ウェイバー

(読み方 : ウェイバー)

ウェイバー(Waiver)とは、当事者が既に知っている権利又は特権を自発的に放棄することをいう。英米法系の概念である。 契約当事者の一方が契約上有している権利を行使しない場合、そのような権利不行使の事実がたび重なるなど一定の事情があると、禁反言(estoppel)などを理由として、権利を放棄したものとみなされ、本来認められるはずの権利行使が認められない場合がある。 当事者の一方が権利行使をしなかった場合に、相手方からの、権利行使をしなかった当事者に対する安易な権利放棄または喪失の主張を防ぐために、権利放棄条項(no waiver)を定めて置くことになる。

日本訳における議論

Waiverという表現を日本語で訳す場合、どのように訳すかが問題になることがある。 Waiverという単語自体は、日本語では「棄権」や「放棄」を意味する単語であるため、そのように訳すことが多い。しかしながら、契約法上では、「権利を放棄しない」という意味合いでWaiverという言葉を使うことがあるため、「権利不放棄」という訳をする方が正しいのではないかとの議論がある。

権利放棄条項の設置の目的

権利放棄条項の設置の目的について以下で具体的に説明する。 契約において請求権等を持つものが、例えば1回目の債務不履行だからといって請求権を行使しなかったが、2回目の債務不履行の際に請求権を行使した場合、相手方は1回目の債務不履行の際に請求権を行使しなかったことにより請求権等を持つものが、将来の違反に対する請求権を放棄したものだと主張することが考えられる。 そのような事態を防ぐために、請求権等を持つものは、一度相手方の債務不履行に請求権等の権利を行使しなかった場合でも、それ以降も同様の債務不履行や他の債務不履行を容認するものではないことを定めた内容を契約に盛り込む。 日本法においては、契約書に記載がない事項については一般法である、民法や商法の条項によって補充がされるため、一度、債務不履行を見逃したからといって、その後もその債務履行に対しての請求権等を放棄したと認めることはない。 ただ、英米法では体系的なルールが存在しないため、日本では契約書に含まれない内容でも契約書において規定する必要がある。

禁反言の原則(Estoppel)との関係

権利放棄条項と禁反言の原則(Estoppel)との関係について説明する。 まず、禁反言の原則(Estoppel)とは、同じく英米法上の概念であり、自分の言動(または表現)が一たび表明された以上、後になってこれに反する行動や主張をすることを許さないとする原則のことである。 日本法にも類似の概念が見られ、民法の表見代理の規定や商法の第9条、第14条等があげられる。 権利放棄条項はこの禁反言の原則の適用を排除するという意味合いも持つ。

Doctrine of lachesとの関係

権利放棄条項とDoctrine of lachesとの関係について説明する。 まず、Doctrine of lachesとは、同じく英米法上の概念であり、権利の上に眠っているものは保護に値しない」という考え方である。 「日本語では「懈怠」という意味で捉えられ、権利を持っているものがその権利を合理的な期間の範囲内に行使しない場合には、もはや権利は放棄されたものとみなすという考え方である。 形態としては、遅延行為に対する禁反言の原則にあたる。そのため、Doctrine of lachesは禁反言の原則の一部といえる。 権利放棄条項はこのDoctrine of lachesの考えをとらないことを契約書に明記しておくことで権利の放棄を防ぐという意味合いがある。

国家の主権免除の特権との関係性

権利放棄条項と国家の主権免除の特権の関係について説明する。 国家の主権免除の特権とは、国際法上の原則で、国家が外国の裁判権、統治権に服することから免除されるという原則である。 国家と外国法人が契約する場合、当該契約における裁判管轄権の規定にかかわらず、現地政府が公益その他、国内法上適法なかぎり、主権の行使としてその一方的破棄の権利を持つ。概念には絶対免除主義と、国家の公法的行為のみ主権免除が認められるという制限免除主義の 2 種類の考え方があるが、最近では、制限免除主義が次第に有力になってきている。 また、国家の主権免除の具体的な内容については、各国がそれぞれ国内法によりその範囲や権利を定めている。そのような原則の適用を防ぐ目的で、相手方が国家や国家機関である場合には、その相手方に国家の主権免除の特権をあらかじめ放棄させ、国際法あるいは当事者自治の原則に従う旨、契約上明記しておく必要がある。

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