中小企業のM&Aについて:会社の規模感や基本的な情報を詳しく解説

2022年06月10日

この記事では、M&Aの意味と行われる理由、そして、手順とトレンドについて丸ごと紹介します。
M&Aを検討するのに必要な基本情報は網羅しておりますので、ぜひご覧ください。

「M&A」とは?

「M&A」の意味

M&Aとは「Mergers & Acquisitions」の略で、日本語に訳すと「合併と買収」という意味になります。
つまり、複数の会社や事業が一つになる行為(合併)や、ある会社が別の会社を買う行為(買収)のことを指します。

企業がM&Aを行う目的

年々、日本におけるM&Aの件数は増加していますが、企業はどのような目的でM&Aを行うのでしょうか。
譲渡側である売手と、譲受側である買手のそれぞれの視点で分類しました。

売手側

  • 事業承継
  • 事業の選択と集中
  • 創業者利益

買手側

  • 事業規模拡大
  • 人材や技術の獲得
  • シナジー効果

こうして見てみると、売手は自社を継続させるため、一方で買手はさらに自社を大きくするための手段として、M&Aを活用しているようです。

以下の記事で、売手・買手それぞれの視点から観た、M&Aのメリットを紹介しています。
ぜひご覧ください。

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「M&A」の手法

M&Aとは何か、M&Aはなぜ行う必要があるのか、について上記の説明で理解を深められましたか?
では実際に、M&Aはどのように行われるのでしょうか?
M&Aで用いられる具体的な手法について、解説します。

1.株式譲渡

会社のオーナーが保有株式を買手に譲渡する方法。
他スキーム(手法)と比べて手間が少なく、中小企業の譲渡案件では、多くの場合この方法が用いられます。

2.株式交換

買手が買収の対価として新株を発行し、売手側の保有株式と交換することで売手企業の経営権を獲得する方法。
買手・売手会社は親子関係となります。

3.株式移転

複数の株式会社が、発行済み株式全てを新設する株式会社に取得させ、完全な100%親子関係になる方法。
ホールディングス化などに多く用いられます。

4.合併

複数の会社が他の会社に権利義務の全てを承継させる方法。
新たに会社を設立して、その会社に全てを承継する新設合併と、複数会社のうち一社が他社の全てを承継する吸収合併があります。
一般的に「合併」が行われると、一社を残し、他の会社は消滅します。
よって、多くの場合、合併が行われる際の売手側に当たる会社は、「消滅会社」と呼ばれます。

5.事業譲渡

会社の「事業」を第三者に譲渡する方法。
買手は、売手会社の全てを受け継ぐ必要はなく、人材・資産・負債などから、譲渡対象となる範囲を交渉・選択して受け継ぐことができます。

6.会社分割

会社を複数の法人に分割し、それぞれに組織や事業・資産などを移転する方法。
分割事業を新たに設立された会社が受け継ぐ新設分割と、既に存在する会社が引き継ぐ吸収分割の2種類があります。

各手法の比較は、こちらの記事で詳しく行っています。

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さて、M&Aをやるぞ、と思っても、どのように始めるのか分からない方がほとんどだと思います。
それもそのはず、新聞やニュースなどで「買収契約が締結された」と知ることはあっても、その過程を見聞きすることはほとんどないため、どのようにM&Aを行うのかは知らないはずです。

ここでは、一般的なM&Aの流れをご紹介します。

案件化(売手側)

案件化とは、買手への提案に必要な、譲渡対象会社や事業に関する資料を整理することです。
会計・税務・人事など、資料から読み取れる具体的数値だけでなく、企業文化や風土など抽象的な情報についてもまとめます。

候補先マッチング

案件化された売手の情報を買手が見て、本格的な交渉に進むかどうか判断します。
自社の詳細情報を見ず知らずの買手候補に公開するということに対して、不安を感じる売手側オーナーがほとんどだと思います。
しかし、実際には、最初から全ての情報が買手側に伝わるわけではありませんので、ご安心ください。

一般的なM&Aでは、マッチング前に、企業名が特定されない範囲で売手側の情報が記載された資料(ノンネームシート)が買手候補に開示されます。
その資料に対して買手が興味を持ち、売手・買手間で秘密保持契約(NDA)が締結すると、企業名を始めとした案件の詳細(IM)が改めて買手側に公開されます。

その為、案件化~候補先探しの段階で企業名が特定され、情報が流出する心配はありません。

質問・交渉

決算資料や給与明細、業績の推移など、さまざま情報から論点を精査して、買手は様々な質問をします。
また、交渉を通し、後の基本合意で必要となる条件提示の準備が行われます。
売手と買手同士がお互いの希望条件をすり合わせ、円満なM&A実行に向けた話し合いが行われます。

基本合意

いわゆる婚約のようなもので、買収にあたっての基本的な条件が提示され、それと同時に買手に対して、独占交渉権と買収監査機会が付与されます。
具体的には、用いるM&A手法、譲渡対象範囲、買収金額などの条件が提示されます。
基本合意は、交渉内の情報や条件を整理する場であるとともに、売手と買手双方がM&Aの実行意思を表明する場でもあります。
独占交渉権とは、売手側のM&A交渉を一定期間独占する権利のことです。
この期間、売手は、独占交渉権を有した買手候補以外との交渉を原則中止しなければなりません。

買収監査(デューデリジェンス)

基本合意で提示した条件が正しいかどうかを判断するために、専門家の目線で監査を行います。
売手企業の事業内容、経営の実態、経営環境などが詳細に調査されます。
買手側は買収監査を通し、M&Aの検討を取りやめる要因がないかを確認します。

最終成約・決済

最終契約書への押印、各種登記の変更手続き、ならびに買収金額の入金を行い、M&A契約は完了します。
法的拘束力のない基本合意契約に対し、法的拘束力のあるこの最終契約では、契約後にどちらかが契約破棄を行った場合、解約の申出を受けた側は、相手に損害賠償請求を行うことが可能です。

PMI

M&Aは、買収契約を締結して終わりではありません。
それぞれの社員への情報公開(ディスクロージャー)や、両社が一つになるための多くの作業が待っています。
これらの作業を総称してPMI(Post Merger Integration :買収後の手続き)と呼びます。

PMIでは、人材や資源、施設の統合だけでなく、企業風土や文化、社内制度、業務プロセスなどの統合も行われます。
M&Aにおいて、交渉の進め方はもちろん重要です。
しかし、最終契約をゴールとして考えず、その後の会社や事業全体の成長をゴールと考えれば、最も重要なのはこのPMIであるといえます。

交渉をどれだけスムーズに進めても、経営統合が上手くできなければ、期待していたM&Aの効果が得られないこともあります。
逆に言えば、交渉に加え、PMIも適切に行うことができれば、M&Aによる統合の効果を最大限高めることができます。

M&Aの流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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M&Aのトレンド

ここまでで、M&Aの概要をお伝えしました。
M&Aに対する疑問も、少しずつ解消できたかと思います。

それでは、実際の市場において、M&Aはどのように活用されてきたのでしょうか。
過去から現在にかけてのM&Aのトレンドを基に、現代におけるM&Aの活用方法について考えてみましょう。

世界、日本における「M&A」の歴史

国内外で、M&Aがどのように始まり、どのような変化をしてきたのでしょうか?
また、日本国内でM&Aはどのように活用されているのでしょうか?
順番に見ていきましょう。

M&Aの起源と遷移

私たち日本人にとっては馴染みのないように思えるM&A。
その起源は1880年代のアメリカにまで遡ると言われています。

・1880年代「重工業発展と一度目のM&Aブーム」

1880年代のアメリカでは、鉄鋼・鉄道・科学・石油を始めとする重工業が発展を見せました。
これに伴い、各企業の競争が激しくなり、解雇や倒産などの選択を強いられる企業が現れ始めます。
この時、同業同士(水平方向)で繋がり合い、規模のメリットを得るためのM&Aの動きが活発化しました。

・1920年代「消費者向け産業発展と二度目のM&Aブーム」

次なるM&Aブームに結び付いたのは、消費財・自動車・小売りなどの消費者向け産業の盛り上がりであったとされています。
技術の進歩により可能となった大量生産産業において、資材の供給から製造・販売まで一貫して行うことを目的として、商流の上流⇔下流間での垂直統合型のM&Aが多く行われました。

・1960年代「戦後の新産業、新規企業等の盛り上がり」

第二次世界大戦後、アメリカ全体の勢いは増し、新産業や新規企業へと人々の注目が向くようになりました。
こうした株式市場の傾向により、急激に株価を高めた新興企業が、株価の低い企業を吸収し、規模を拡大していくという動きが増えたのでした。

・1970~1980年代「アメリカ経済の衰退と新しい形のM&A」

ベトナム戦争の影響やオイルショック等により、アメリカ経済の成長は鈍化しました。
金融面の規制緩和や企業改革が叫ばれたこの時期、多く行われるようになったのが、敵対的M&Aでした。
企業戦略の一部として、敵対的M&Aが広く認められるようになりました。

日本におけるM&Aの歴史

次に、日本おけるM&Aの歴史を解説します。
日本でM&Aが頻繁に行われるようになったのは、ここ数年のことのように感じる方も多いのではないでしょうか?
確かに、近年日本におけるM&Aの件数は増加し続けていますし、M&Aに関するニュースを耳にする機会が多くなったことは事実です。

しかし、意外にも、日本においてM&Aが最初に行わたのは、1900年以前だったと言われています。

19世紀末~1920年代にかけて、三井・三菱・住友などの財閥が買収を含め数多くのM&Aを行いました。
またそれとは別に、電力業界の事例もあります。
1914~1918年にかけて続いた第一次世界大戦や1923年の関東大震災などの影響から、安全で安定した電力供給が必要となり、組織間の提携を目的としたM&Aの動きも強まることとなりました。
こうした大規模M&Aの増加を経て、1960年以降には既に、M&Aが当たり前の経営戦略として用いられるようになっていました。

2000年以降の事例としては、楽天株式会社による東京放送の買収戦略(結果として買収は失敗に終わりました)やサムスンによるソニー吸収合併のようなクロスボーダーM&Aなどの事例がありました。
このように、国内外問わず大規模なM&Aが行われることも少なくありません。

それ以外にも日本には、ソフトバンクグループやRIZAP(ライザップ)グループなど、積極的なM&A戦略をとる会社が多数存在します。
ソフトバンクグループの実績としては、共同出資によるヤフー日本法人の設立、ボーダフォン子会社化、アリババの合弁会社化などがあり、またそれ以外にも、多くの企業への出資を行なっています。
一方RIZAP(ライザップ)グループは、M&Aによって2年半で62社のグループ参入を実現させました。

M&Aに対するイメージと実際のトレンド

ここまでの内容で、M&Aの概要と、その歴史や事例についてお伝えしました。
皆さまのM&Aに対するイメージはいかがでしょうか?

おそらく、「M&A」のイメージとして、大企業同士の大規模な買収や合併を思い浮かべる方が大半なのではないでしょうか。

では、実際のM&Aの件数はどのように推移しているのでしょうか。

全体的M&A件数の増加

M&A件数の推移

 

2021年のM&A件数は4,280件となり、過去最多件数を塗り替える結果となりました。

中小企業における事業承継の手段としてのM&A

こうした増加の背景には、経営者の高齢化、後継者不足、労働人口減少などの理由があると言われています。
そして帝国データバンクの調査によると、2021年の後継者難倒産は過去最多を更新し、事業承継における「2025年問題」は目前であると伝えています。
日本の少子高齢化は深刻化し、日本におけるM&Aの数は今後も増加する見込みです。

中小企業における事業承継を支えるサービス「M&Aナビ」

上で述べたように、日本国内では数多くの優良中小企業の経営者が後継者不足に直面しています。
そして、そうした企業こそ、M&Aという選択肢を取ることで、廃業の危機回避ができるだけでなく、事業や会社のより良い将来を実現することが可能になります。

しかしながら、中小企業がM&Aを行おうとする時、高額な仲介手数料や、煩雑な準備、タフな交渉など、多くの壁が立ちはだかります。
M&Aナビは、すべての企業が経営戦略の一つとしてM&Aを活用できる社会の実現を目指しています。

実際、M&Aナビでは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

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