会社売却は誰に相談すべき?相談先20選を徹底解説!【無料の相談先あり】
「会社の売却を考え始めたとき、まず誰に相談すればわからなかった」という話をよくお聞きします。
社員は言うまでもなく、取引先や銀行などにも軽々しく相談できません。
身近にM&Aを経験した人がいることは稀であり、誰に相談すればいいかわからない、という方も多いでしょう。
また、M&A専門会社はマイナスイメージのメディア報道を見て不安に思う方もいるかもしれません。
そこで、この記事では会社を売却しようと思ったときに誰に相談すべきか、について20個の例をもとに解説いたします。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
まずは無料相談からご活用ください。
目次
- 1 会社売却の相談先を選ぶポイント
- 2 会社売却の相談相手(1)同業者
- 3 会社売却の相談相手(2)役員・従業員
- 4 会社売却の相談相手(3)中小企業診断士
- 5 会社売却の相談相手(4)ファイナンシャルプランナー
- 6 会社売却の相談相手(5)商工会議所
- 7 会社売却の相談相手(6)金融コンサルタント
- 8 会社売却の相談相手(7)取引先の金融機関
- 9 会社売却の相談相手(8)都銀・信託銀行
- 10 会社売却の相談相手(9)地銀・第二地銀
- 11 会社売却の相談相手(10)その他の金融機関
- 12 会社売却の相談相手(11)顧問弁護士
- 13 会社売却の相談相手(12)配偶者
- 14 会社売却の相談相手(13)公的機関
- 15 会社売却の相談相手(14)顧問税理士
- 16 会社売却の相談相手(15)M&A仲介会社
- 17 会社売却の相談相手(16)事業再生専門家
- 18 会社売却の相談相手(17)企業家・起業家
- 19 会社売却の相談相手(18)投資銀行
- 20 会社売却の相談相手(19)業界アナリスト
- 21 会社売却の相談相手(20)プライベートエクイティファンド
- 22 会社売却の相談をするにあたって気をつけておきたいこと
会社売却の相談先を選ぶポイント
会社の売却は一度きりの大きな決断であり、初動が成功に大いに影響します。適切な相談相手を選ぶことで、買い手を見つけ、適切な価格を設定し、スムーズに売却プロセスを進めることが可能となります。以下のポイントを考慮に入れて、会社売却の相談先を選ぶことをお勧めします。
1. 専門知識と経験
売却プロセスは複雑であり、多くの異なるスキルと知識が必要です。売却価格の設定、買い手の探索、交渉戦略の立案、法的な問題の解決など、これら全てのステージで専門的なアドバイスが必要となる場合があります。そのため、あなたの具体的なニーズに合った経験と専門知識を持つ相談相手を選ぶことが重要です。
2. 業界知識
あなたの会社が所属する業界に精通した相談相手を選ぶことは、売却の成功にとって重要です。業界の動向、競争状況、将来の見通しを理解することで、より現実的で適切な売却戦略を立てることが可能になります。
3. ネットワーク
適切な買い手を見つけるためには、広範で深いネットワークを持つ相談相手を選ぶことが有利です。買い手候補の開拓は、売却の成功にとって最も重要な要素の一つであり、広範なネットワークを通じて適切な買い手を見つけることができます。
4. 信頼性と信用性
信頼できる相談相手を選ぶことは極めて重要です。このプロセスは、会社の重要な情報を開示することを伴い、それが適切に扱われることが重要です。また、相談相手が約束を守り、あなたの利益を優先することを確認することが重要です。
会社売却の相談相手(1)同業者
会社売却の相談を同業者にするメリット
同業者はあなたの業界について深い知識と理解を持っています。
そのため、彼らは買い手が何を求め、どのような価値を見ているかを理解している可能性があります。
また、彼らは自身のネットワークを通じて潜在的な買い手を紹介することもできます。
さらに日頃から取引や関係性を持っている同業者であれば、信頼関係があるため本音の相談がしやすい環境と言えるでしょう。
会社の内部の事情を理解してくれていることも考えられ、腹を割って会話することができます。
無料で相談できることも強みといえます。実務支援は伴わないことが多いですが、初期的に相談に乗ってもらうには良い相手と言えるでしょう。
同業者に会社売却について相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 業界の知識・実情への理解が深い
- 信頼関係が構築されていれば相談しやすい
- 無料で相談できる
会社売却の相談を同業者にする際の注意点
同業者は一般的にあなたの直接的な競争相手であるため、企業の敏感な情報を共有する際は注意が必要です。
同業者であるがゆえに一度情報が漏れてしまうと業界内で会社売却しようとしていることが一気に広まってしまうリスクがあります。
また、良くも悪くも同業者であるがゆえに、客観的な視点に欠けてしまう可能性は否めません。
さらに、同業者は必ずしも会社の売却に関する専門知識を持っているとは限らないので、専門的なアドバイスを求める場合は他の専門家の意見も必要となります。
同業者に会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 業界内での情報の出回り
- 客観的な視点に欠ける
- 専門性に欠ける
会社売却の相談相手(2)役員・従業員
会社売却の相談を役員・従業員にするメリット
役員や従業員は企業の日々の運営に関与しており、業務の詳細に精通しています。そのため、彼らは売却による影響をより具体的に理解し、考慮すべき点を指摘することができます。
また、経営陣や従業員の意見をくみ取ることができるため、現場目線で必要な情報を提供することができるでしょう。
役員・従業員に相談することは情報の取り扱いの観点でリスクはあるものの、適切な方法や流れで情報開示を行えばモチベーションアップにつながることもあります。
会社の経営に関する議論に参加してもらうことで、主体的な働き方を促すきっかけになることでしょう。
役員・従業員に会社売却について相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 業務に精通している
- 現場目線での意見がもらえる
- モチベーションアップにつながる
会社売却の相談を役員・従業員にする際の注意点
売却の意図や計画を従業員に公開すると、不安や混乱を引き起こす可能性があります。
そのため、情報は適切に管理し、正しいタイミングで適切に伝えることが重要です。
また、役員や従業員同士の対立が生じる可能性もあります。
役員や従業員のそれぞれの立場や会社への思いを理解して、適切な範囲での情報共有にとどめる必要があります。
また、役員や従業員は企業の売却に関する専門的な知識を持っていない可能性が高いので、他の専門家の助けを借りることが必要です。
役員・従業員に会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 不安や混乱を引き起こす
- 内部対立が生じる可能性がある
- 専門性に欠ける
会社売却を従業員・社員に公表する際のベストなタイミングや方法に関する詳細は以下の記事をご確認ください。
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会社売却の相談相手(3)中小企業診断士
会社売却の相談を中小企業診断士にするメリット
中小企業診断士はビジネスのあらゆる面を理解しており、企業の売却に向けた戦略の策定や評価の支援が可能です。
彼らは企業の現状分析や強み・弱みの評価にも長けています。
また、中立的な立場から助言が受けられるのもメリットといえます。
中小企業診断士は多くの場合、社外の専門家であり、中立的な立場から客観的な視点での助言を受けることができるでしょう。
さらに、中小企業診断士であれば小企業企業にも対応が可能です。
中小企業診断士は中小企業の支援をメインにしているため、小規模企業の売却の相談にも対応できるコストを設定していることが多いです。
中小企業診断士に会社売却について相談するメリットと整理すると以下の通りです。
- 企業経営の専門家である
- 中立的な立場で助言をしてもらえる
- 小規模企業であっても支援を受けられる
会社売却の相談を中小企業診断士にする際の注意点
診断士の専門性や経験は広範であるため、特定の業界やM&Aの専門知識を持つ人物を選ぶことが重要です。
また、彼らは中立的な立場からアドバイスを行うので、経営者の視点や意志を十分に反映させるためには、自身の意見や意向を明確に伝える必要があります。
中小企業診断士は、個人で活動している場合が多く、相談する方の個人能力に依存する可能性があることにも注意が必要です。
相談する中小企業診断士の実力次第では、期待していたような成果が得られない可能性があります。
中小企業診断士に会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- M&Aの業務を専門にしている診断士を選ぶ
- 自身の意見や意向を明確に伝える
- しっかりと見極める必要がある
会社売却の相談相手(4)ファイナンシャルプランナー
会社売却の相談をファイナンシャルプランナーにするメリット
ファイナンシャルプランナーは個々の財務状況を考慮に入れ、会社の売却がその状況にどのように影響を与えるかを評価するのに役立ちます。
売却後に得られる収益の最適な管理や投資についての助言も提供します。特に税務面でのアドバイスや運用面でのアドバイスを受けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、プライベートな相談をしやすい関係性であることもメリットといえます。
会社売却の際は、家族の理解や売却後のライフプランも含めて人生の大きな決断といえ、プライベートな事情も含めた具体的な相談がしやすい関係は大切です。
ファイナンシャルプランナーに会社売却について相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 財務状況の把握に長けている
- 税務面・資産運用面でのアドバイスが受けられる
- プライベートな事情を含めた相談がしやすい
会社売却の相談をファイナンシャルプランナーにする際の注意点
ファイナンシャルプランナーは会社売却の専門家ではないことに注意しましょう。
ファイナンシャルプランナーの本来の業務は、個人資産の運用設計であるため、会社売却自体の専門性には欠けるでしょう。
特に、企業としての視点が弱いことには注意してください。個人の目線に立つことが多いファイナンシャルプランナーの場合、企業目線での助言には期待しずらいといえます。
ファイナンシャルプランナーに会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 会社売却の専門家ではない
- 企業視点の助言に期待しずらい
会社売却の相談相手(5)商工会議所
会社売却の相談を商工会議所にするメリット
商工会議所は各種のビジネスリソースを提供し、地域内のネットワーキングの機会を提供します。これにより、潜在的な買い手との接点を作ることができます。
地域の企業経営に理解が深いため、的確なアドバイスが期待できるでしょう。
また、商工会議所は中小企業の支援に重きを置いているため積極的にサポートしてもらえるでしょう。
会員になっていれば初期的は無料で受けてくれることがほとんどです。
更に、実務の支援が必要な場合は、適切な専門家を紹介してくれます。
税理士や会計士、弁護士などの士業専門家とのネットワークを保有しているため、相談内容に合わせて最適な専門家を紹介してもらうのが良いでしょう。
商工会議所に会社売却について相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 地域内のネットワークが豊富
- 積極的なサポートを期待できる
- 最適な専門家を紹介してもらえる
会社売却の相談を商工会議所にする際の注意点
商工会議所は企業のネットワーキングやビジネス開発をサポートしますが、M&Aについての具体的なアドバイスや支援は提供していない場合が多いです。
そのため、専門的なアドバイスやサポートが必要な場合は他の専門家に相談する必要があります。
また、基本的には地域内の中小企業の支援を行っているため、完全に中立的な立場での助言を得られるとは限りません。
構築しているネットワークについても地域内で強固なものとなっているため、広域でビジネスを展開している場合は助言が物足りないものになる可能性もあります。
ファイナンシャルプランナーに会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 会社売却の実務の専門性に欠ける
- 中立性に欠ける可能性
会社売却の相談相手(6)金融コンサルタント
会社売却の相談を金融コンサルタントにするメリット
金融コンサルタントは企業価値の評価、財務構造の最適化、売却後の財務計画等についての専門知識を持っています。
売却価格の決定や、売却から得られる利益の最適な活用方法についての助言を提供できます。
金融コンサルタントの中には大手企業のアドバイザーの経験を持つ方がいます。
大手企業での実務経験を持つコンサルタントから経営全般に関する貴重な助言を受ける機会を持てるでしょう。
金融コンサルタントに会社売却について相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 企業財務に関して専門的なアドバイスが期待できる
- 大手企業での実務経験を持ったコンサルタントからの助言を受けることができる可能性がある
会社売却の相談を金融コンサルタントにする際の注意点
金融コンサルタントは金融に関する専門的な知識を持つが、売却プロセスの法的な側面や業界特有の事情については他の専門家の意見を求める必要があります。
また、企業の経営に関する実務経験が乏しい場合が多いといえるでしょう。
金融コンサルタントは、金融機関や証券会社出身の方が多いため、経営者目線でのアドバイスが難しい可能性があります。
金融コンサルタントに会社売却について相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- M&Aに関する知識が不足している可能性がある
- 経営目線でのアドバイスに欠ける可能性がある
会社売却の相談相手(7)取引先の金融機関
経営者であれば誰しも、会社にとって大事なことがあると取引がある金融機関に相談が必要か考えるはずです。
中小企業の大半は金融機関から借り入れており、会社を売るとなれば当然黙っているわけにはいかないと思うことは当然です。
会社売却の相談を金融機関にするメリット
銀行や信用金庫などの金融機関に相談すると、以下のメリットがあります。
- 財務・経理面の現状についてアドバイスを受けられる
- その金融機関の取引先から買収先を紹介してもらえる
取引先の担当者であれば、これまでの業績の推移や将来性などを理解しているはずですので、ある程度話はスムーズに聞いてもらえるでしょう。
そして、会社の売却には財務内容が重要となりますので、専門的なアドバイスを受けることもできるかもしれません。
また、金融機関がもつネットワークから売却先を紹介してもらえる可能性があることもメリットといえます。
会社売却の相談を金融機関にする際の注意点
一方で、金融機関の担当者が、必ずしもM&Aの専門知識を持っているわけではないという点は頭に入れておく必要があります。
M&Aという取引は、金融色が強いというイメージもありますが、財務や税務などはあくまでも一つの側面にすぎません。
交渉する過程において、経営戦略や法務、労務やITシステムなどさまざまな論点をまとめ上げる必要があります。
まだ決めていない段階で、どういう方針や戦略にするかを相談する場合は注意が必要といえます。
特に、金融機関の場合は、営業店の担当者とM&Aの実務部隊が分かれていることが多いです。
日頃から接点を持っている営業店の担当者に会社売却に関する相談を行ったとしても、十分なアドバイスは期待できないでしょう。
- M&Aの専門的な知識を持っているわけではない
- 営業店の担当者はM&Aには不慣れ
会社売却の相談相手(8)都銀・信託銀行
会社売却の相談を都銀・信託銀行にするメリット
都銀・信託銀行は、大手であるため資本力や取引ネットワークが広範で、さまざまな業界や規模の企業との接点を持っています。また、M&Aアドバイザリー部門を設けている場合もあり、具体的なM&Aのアドバイスを提供することが可能です。
特に、都銀・信託銀行のM&Aアドバイザリー部門は大手企業や中堅企業のM&Aの実務支援を中心としているため、大企業の会社売却に関する知見を活かすことができます。
また、情報の管理体制が整えられており、安心して相談できる環境にあるといえるでしょう。
都銀・信託銀行に会社売却を相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 専門のアドバイザリー部門を持っており知見が豊富
- 情報管理体制が整っており安心して相談できる
会社売却の相談を都銀・信託銀行にする際の注意点
都銀・信託銀行は大手であるため、中小企業への対応が不得手な場合があります。
また、銀行としての利益を優先する可能性があるため、自身の意向が十分に反映されるようにコミュニケーションをとることが重要です。
更に、近年は会社売却の相談を多く受ける都銀・信託銀行が増えてきていることから、M&Aアドバイザリーの人員が十分ではない場合もあり、想定しているよりもきめ細かな対応が望めない可能性があります。
都銀・信託銀行に会社売却を相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 中小企業への対応は不十分な可能性がある
- 銀行の利益優先にならないようなコミュニケーションを図る必要がある
- 人員が不足している場合がある
会社売却の相談相手(9)地銀・第二地銀
会社売却の相談を地銀・第二地銀にするメリット
地銀・第二地銀は地域密着型で、地元企業との深い関係を持っています。これは、地元の潜在的な買い手との接点を提供する可能性を意味します。また、地元経済に深い理解を持っているため、地域特有の事情を考慮したアドバイスが可能です。
また、地銀・第二地銀は中小企業をメインの顧客としていることから、中小企業の相談であっても対応してもらえるでしょう。
地銀・第二地銀に会社売却を相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 地域企業への知見・理解が豊富
- 中小企業であっても相談しやすい
会社売却の相談を地銀・第二地銀にする際の注意点
地銀・第二地銀は、特定の地域に焦点を当てているため、地域外の買い手とのネットワーキングの機会が限定的かもしれません。
また、大手銀行と比較して、M&Aに関する具体的なサービスや専門知識を提供できる能力は限定的である可能性があります。
昨今ではM&Aの専門部署を持つ地銀・第二地銀が増えていますが、人員体制は手薄な銀行も多く十分な専門性を持ち合わせていないケースもあります。
地銀・第二地銀に会社売却を相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- ネットワークが地域に限定される可能性がある
- M&A部署が限定的で十分な支援を受けられない可能性がある
会社売却の相談相手(10)その他の金融機関
会社売却の相談をその他の金融機関にするメリット
信用金庫、信用組合、農協などのその他の金融機関は、特定の業種や地域に密接に関わっていることが多く、その分野や地域に関する深い理解を持っています。これにより、特定の業種や地域に特化したアドバイスを得ることができます。
また、これらの金融機関は中小企業への支援に長けていることが特徴として挙げられます。
会社売却だけでなく、それに付随する経営支援に関しても幅広く助言を受けることができるでしょう。
その他の金融機関に会社売却を相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- 分野や地域に関する深い理解がある
- 中小企業への支援に長けている
会社売却の相談をその他の金融機関にする際の注意点
これらの機関は地域や特定の業種に特化しているため、その範囲外のアドバイスやネットワーキングの機会が限られている場合があります。
また、一般的には大手銀行などに比べてM&Aの支援力は弱いといえるでしょう。
多くの職員がM&Aのアドバイザーではないため、会社売却の実務全般への対応力が不十分な可能性があります。
その他の金融機関に会社売却を相談する際の注意点を整理すると以下の通りです。
- ネットワークが限られている可能性がある
- 会社売却の実務への対応力が乏しい
会社売却の相談相手(11)顧問弁護士
会社売却の相談を顧問弁護士にするメリット
顧問弁護士は、会社売却に伴う法的な問題を専門的に扱うことができます。
契約書の作成やレビュー、法的なリスクの評価、交渉のサポートなど、売却プロセス全体を通じての法的な助言を提供できます。
また、弁護士には守秘義務が課されているため、安心して相談できることもポイントの一つです。
会社売却という繊細な情報の漏洩リスクが最低限に抑えられるため、安心して相談に望めます。
更には、長年の関係性がある弁護士の場合、信頼関係が構築されておりオープンな相談をしやすい環境にあるといえるでしょう。
顧問弁護士に会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 法務面でのサポートが期待できる
- 安心して相談できる
- 信頼関係の下でオープンな相談をしやすい
会社売却の相談を顧問弁護士にする際の注意点
弁護士は法律専門家であり、経済的な側面やビジネス戦略については他の専門家に相談することが望ましいです。
また、顧問弁護士がM&Aに特化しているかどうかを確認することが重要です。
企業法務やM&Aの実務の経験がない弁護士は多いため、先生の経験値や実務経験を確認しておくのが望ましいでしょう。
顧問弁護士であっても、M&Aに関する相談は別途費用が発生する場合がほとんどでしょう。
会社売却の支援を受ける場合は、顧問契約の範囲内で収まるとは考えずらいため、追加で費用が発生することを前提として相談を進める必要があります。
顧問弁護士に会社売却の相談をする際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 法務面以外の実務は対応の限界がある
- M&Aの実務経験が無い方もいるため事前の確認が必要
- 追加の費用が発生する可能性が高い
会社売却の相談相手(12)配偶者
会社売却の相談を配偶者にするメリット
配偶者への相談は、最も信頼できるパートナーへの相談といっても過言ではありません。会社経営の視点だけでなく家庭の事情や将来の生活設計を考慮に入れることができます。
経営者の人となりや価値観をくみ取ったうえでの助言が期待できるでしょう。
また、会社売却は経営者にとっては非常に大きな決断になります。最も身近な配偶者が精神的な支えになればスムーズな会社売却を進めることができるでしょう。
配偶者に会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 最も信頼できるパートナーである
- 人となりや価値観をくみ取ってくれる
- 精神的な支えになる
会社売却の相談を配偶者にする際の注意点
配偶者はあなたのパートナーですが、企業売却やM&Aに関する専門知識を持っていない場合が多いです。そのため、専門的なアドバイスは専門家から得ることが必要です。
また、あくまでも配偶者は経営者の個人としての幸せを第一に考える立場であるため、客観性に欠ける可能性があります。
必ずしも会社やそこで働く従業員の利益を第一に判断するわけではないことに注意が必要です。
配偶者に会社売却の相談をする際の注意点を整理すると以下の通りです。
- M&Aに関する専門性が乏しい
- 客観性に欠ける
会社売却の相談相手(13)公的機関
会社売却の相談を公的機関にするメリット
公的機関(例:中小企業庁、商工会議所など)は、中小企業の経営支援を行っており、各種助成金や補助金の情報提供、売却に関連する法律や規制のアドバイスを提供できます。
無料で専門家の紹介をしてもらえる可能性があり、活用する利点が多いといえるでしょう。
また、公的機関からは、その立場上、公正中立な助言が期待できます。
公的機関は特定の利害関係を持たない中立的な立場であるため、公正な助言が期待できます。
公的機関に会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 各種公的支援の情報提供を受けられる
- 無料で専門家を紹介してもらえる
- 公正な立場からの助言を受けられる
会社売却の相談を公的機関にする際の注意点
公的機関は一般的に中立的な立場を保つことが求められているため、具体的な売却戦略の立案や交渉支援などは期待できません。
また、担当者はM&Aの専門家ではない場合がほとんどであるため、実務的な助言を期待するのは難しいでしょう。
提供できるサービスは機関により異なるため、事前にどのような支援を受けられるのかを確認することが重要です。
公的機関の多くは、事業承継や補助金申請などの窓口と会社売却に関する窓口が一緒になっているケースが多いです。
会社売却に特化して専門的な支援を求めるのは難しいといえるため、最終的には民間のM&A支援会社と連携した支援を求めることになるでしょう。
公的機関に会社売却の相談をする際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 実務支援が乏しい
- M&Aの支援に特化していないケースが多い
会社売却の相談相手(14)顧問税理士
顧問税理士は、唯一自社の経営状況を知っている外部の方ですので、売却を考えた背景についてわかってもらいやすい存在です。
普段からいろいろなことを話す深い関係性であれば、相談することに対する心理的なハードルも低いでしょう。
会社売却の相談を顧問税理士にするメリット
顧問税理士に対する相談は、以下のメリットがあります。
- 長年の付き合いによる信頼関係があるため話しやすい
- 自社の財務状況や特徴などを他の誰よりも詳しく把握しているため理解してもらいやすい
会社を売却するという一大イベントを誰かに話すことは、誰しも慎重になってしまうもの。
そのため話しやすい相手に相談したいと思うことは当然です。
また、具体的な売却の準備が始まると、決算書をはじめとした数々の資料を用意する必要があり、そのタイミングでは間違いなく顧問税理士の協力が必要となります。
そういう意味では、いずれにしても遅かれ早かれ耳には入る相談相手と言えるでしょう。
会社売却の相談を顧問税理士にする際の注意点
税理士に限らず士業の方は、それぞれ得意な分野を持っています。
相続に強い税理士もいれば節税を売りにしている事務所もいます。
そして、実はM&Aに強い税理士はさほど多くありません。
税理士の本業は、顧問先の会社の経理や税務のサポートを継続的におこなうことであり、会社の売却交渉を支援することではありません。
もちろん、事業承継問題を解決するために税務の分野からサポートするという思いでM&A支援をおこなっている税理士もいますが、ほとんどはM&Aの専門知識は有していないと考えた方がよいでしょう。
そのため、もし相談する際は、先生の得意分野かどうかを合わせて確認することが賢明です。
会社売却・M&Aにおける税理士の役割については、以下の記事をご確認ください。
M&Aにおける税理士の役割や業務を解説!報酬...
M&Aの実行には専門家の支援が欠かせませんが、税理士も頼れる専門家の一つとして言えるでしょう。 最近では、中小企業においてもM&A(合併・買収)が企業戦略の一環として頻繁に行われていますが、その実施に…
会社売却の相談相手(15)M&A仲介会社
社会課題ともいえる後継者不足問題を解決することを目的にした仲介会社の数は年々増えています。
M&A仲介会社がおこなう業務には、FA(Financial Advisor)と呼ばれる買手もしくは売手の代理人として支援するパターンと、仲介と呼ばれる買手と売手の間に入って交渉をまとめるパターンがあり、それぞれ「片手」「両手」と言われることもあります。
会社売却の相談をM&A仲介会社にするメリット
M&A仲介会社に対する相談は、以下のメリットがあります。
- M&A支援を専門でおこなっており、幅広い知識に基づいたアドバイスを受けることができる
- M&A仲介会社が持つネットワークの中から買手を探すことができる
毎日M&Aの業務をおこなっているため、実務やトレンドなどを一番把握している存在です。
また、金融機関や税理士と違って、取引や契約関係にあるわけではないので、第三者としての意見を求めるには最適な相手といえます。
会社売却の相談を仲介会社にする際の注意点
一方で、仲介会社の質には大きなバラツキがあります。
M&Aの支援には特別な資格や許認可が必要なく、自ら名乗れば誰でもM&Aアドバイザーになれます。
また、M&Aにおいてマッチング(相手探し)は非常に重要なプロセスであり、経営者のネットワークがなければできません。
ですので、ジャンルを問わず経営者を対象にしたサービスをおこなっている会社は、顧客がそのままM&Aのネットワークとして活用できると考えて、M&A仲介に新規参入するケースもあります。
しかしながら、M&A仲介は幅広い知識が求められるとともに、リスクを予見して対策を考える必要があり、間違いなく実績がモノをいいます。
そのため、M&A仲介を名乗っていても実務の経験が乏しいと、交渉の過程でとんでもない問題が起きることもありますので、できるだけ慎重に選ぶことが重要です。
仲介会社に会社売却の相談をする際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 会社によって支援力にバラツキがある
- 実績が乏しい場合がある
M&A仲介会社の選び方や費用相場は以下の記事をご確認ください。
M&A仲介会社の選び方や費用について解説!2つ...
以前よりもM&Aが経営戦略の一つとして一般的になるにつれて、M&A仲介会社の選び方がポイントとなっています。 経済産業省も「中小M&A推進計画」を打ち出し、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者におい…
会社売却の相談相手(16)事業再生専門家
会社売却の相談を事業再生専門家にするメリット
事業再生専門家は経営難に陥った企業の再建を支援する専門知識を持っています。そのため、会社の売却が必要となった背景に経営難がある場合、その対応策を提案することができます。
特に、債権者との交渉力は信頼を置けるパートナーと言えるでしょう。債務の再構築を含めた金融機関とのコミュニケーションの場面では心強い見方といえます。
事業再生専門家に会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 経営難の際の助言に期待できる
- 債権者との交渉力が信頼できる
会社売却の相談を事業再生専門家にする際の注意点
事業再生専門家は主に経営難の解消に焦点を当てているため、M&Aの全体的なプロセスや戦略を網羅的にサポートする能力は限定的かもしれません。
また、事業再生専門家は高度な経営知識を有している方が多いことや1回のプロジェクトにかける期間が長いことから、すぐに支援を受けられない可能性があります。
会社売却の相談相手(17)企業家・起業家
会社売却の相談を企業家・起業家にするメリット
成功した企業家や起業家はビジネスの成功と失敗の両方を経験しており、その経験と知識から現実的なアドバイスを提供できます。
実体験に基づく生の経験を聞くことができ、有意義な助言を受けることができるでしょう。
また、実際に経験した人にしかわからない、心構えや動機付けについて知ることができます。
大きな決断をする際のメンタル面を学ぶことができ、心の支えにすることができるでしょう。
企業家・起業家に会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 実体験をもとにしたアドレスを受けられる
- 精神的な支えになる
最近では、会社売却を経験した先輩起業家が、自身の経験や失敗しないためのノウハウを発信しているメディアもあるようです。
記事だけでなく無料相談も受け付けているようなので、気になる方は相談してみてはいかがでしょうか。
「株式譲渡日記」
■ 無料相談ページ:https://jotonikki.com/sodan/
会社売却の相談を企業家・起業家にする際の注意点
彼らのアドバイスは彼ら自身の経験に大きく依存しています。
したがって、そのアドバイスがあなたの特定の状況に適しているかどうかを確認することが重要です。
過去の経験に基づくアドバイスは貴重ですが、市場環境や会社の状況はその時々によって大きく異なるため、すべてが当てはまる可能性は低いでしょう。
大きな成功を収めた方の助言であっても、大きな落とし穴がある可能性があるので注意が必要です。
- その方の経験に大きく依存していることに注意する
- 過去の成功事例とは市場環境や会社の状況が大きく異なる
会社売却の相談相手(18)投資銀行
会社売却の相談を投資銀行にするメリット
投資銀行は大規模なM&Aを扱う専門知識と経験を持っており、幅広いネットワークを通じて買い手を見つけることができます。
また、過去の豊富なM&A実務をもとにした、適正な価格設定や交渉戦略の策定など、M&Aの各ステップに対する専門的な支援が可能です。
投資銀行はM&A業務をメインに扱う領域であるため、M&Aに対応するための人員体制が充実しています。
一定程度以上の企業規模である場合は、充実したサポートを受けることができるでしょう。
投資銀行に会社売却を相談するメリットを整理すると以下の通りです。
- M&Aに関する専門性が乏しい
- 客観性に欠ける
会社売却の相談を投資銀行にする際の注意点
投資銀行のサービスは一般的に高額であり、小規模な取引に対する関心が低い場合があります。
また、投資銀行のアドバイザーが多数の案件を同時に扱っている場合、あなたの取引に十分な注意を払えない可能性もあります。
多くの場合、投資銀行のアドバイザリーサービスは大手企業をターゲットとしていることから、手数料が高額になる可能性が高いです。
中小企業ではコスト面での負担が大きくなることが予想され、相談する際の事前検討は十分に行う必要があります。
- 中小企業へのサービス提供に消極的な可能性がある
- 手数料が高額になる可能性がある
会社売却の相談相手(19)業界アナリスト
会社売却の相談を業界アナリストにするメリット
業界アナリストは特定の業界に深い理解を持っており、業界のトレンドや競争状況を評価するのに役立ちます。
これにより、売却のタイミングや価格設定に対する洞察を得ることができます。
また、業界全体というマクロの視点での助言を受けることができ、自社にとって客観的なアドバイスとして検討できるでしょう。
競合他社の動向にも詳しい可能性が高く、自社の会社売却の戦略の一助となる情報を持っていることも考えられます。
業界アナリストに会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 業界に対する深い理解を持っている/li>
- マクロ視点での客観的な助言を受けられる
会社売却の相談を業界アナリストにする際の注意点
業界アナリストは通常、特定の業界に焦点を当てているため、他の業界やM&Aプロセス全体に対する深い知識は持っていない場合があります。
特に、M&Aの実務に関する支援力には限界があるといえるでしょう。
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会社売却の相談相手(20)プライベートエクイティファンド
会社売却の相談をプライベートエクイティファンドにするメリット
プライベートエクイティファンドは企業を直接購入し運営することを目指しており、そのための資金と専門知識を持っています。
売却相手として直接交渉することが可能であり、また、他の可能な買い手への紹介も期待できます。
また、プライベートエクイティファンドは、企業価値向上に関するノウハウを豊富に持っています。
企業の永続的な発展に向けて非常に有益なアドバイスが期待できるでしょう。
プライベートエクイティファンドに会社売却の相談をするメリットを整理すると以下の通りです。
- 会社売却の専門知識と資金を保有している
- 交渉可能な買い手企業の紹介が期待できる
- 企業の発展のために有益な助言が期待できる
会社売却の相談をプライベートエクイティファンドにする際の注意点
プライベートエクイティファンドは通常、高い収益を目指しており、そのためには企業の大幅な改革が必要な場合があります。
この点は、企業の現在の運営方針や文化と合わない場合があります。
また、プライベートエクイティファンドは、一定規模以上の会社に対して関心が高く、中小企業に対する関心は低いことが多いです。
プライベートエクイティファンドに会社売却の相談をする際の注意点を整理すると以下の通りです。
- 経営方針がそぐわない可能性がある
- 中小企業に対する関心がうすい
会社売却の相談をするにあたって気をつけておきたいこと
自社の売却について相談するにあたって、どういったことに気をつけておくべきでしょうか。
会社売却の相談をする際に気をつけること1.時間的な余裕を持って相談し始めること
会社を売る、ということはあくまでも手段にすぎません。
「経営者やオーナーを引退したい」のか「事業を末永く続かせたいのか」など、本来の目的を達成するためには、ただ売るだけではなくさまざまな選択肢があります。
また、できるだけ望み通りの条件で売却するには、しっかりとした準備期間をとることが有効です。
よって、少しでも売却する選択肢を持ったタイミングで、できるだけ早く余裕を持って相談することをおすすめします。
会社売却の相談をする際に気をつけること2.売却先にこだわりすぎない
売却企業の経営者であれば、どういった会社と一緒になれば事業シナジーが出るということは想像しやすいでしょう。
そのため、売却先を過度に絞り込んでしまった状態で相談を始めてしまうことがあります。
しかし、M&Aとは意外な相手とマッチングすることが多く、もともと想定していた候補先とは違う会社に売却することは当たり前に起こりえます。
自分で考えている自社の強みや課題も相手によって変わるため、まずは売却先にこだわりすぎず幅広い可能性を探ることが大切です。
M&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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