コラム

会社を譲渡したら社内にどんな影響が出るの?

M&Aの概要

中小企業のM&Aでは、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」という二種類の方法があります。

株式譲渡とは、会社の経営権と所有権をすべて移譲するために、売却側が自社株式の100%もしくは過半数を第三者に売却するものです。中小企業においては、社長がオーナー(100%株主)であることが多いため「社長が持っている株式を第三者にすべて売却する」と考えていただくとわかりやすいでしょう。

一方、事業譲渡とは、売手側企業が事業の選択と集中を行うため、特定の事業を第三者企業に売却するものです。たとえば、ある会社がアパレルショップと飲食店の事業を営んでおり、アパレル事業に集中するために飲食店事業のみを手放す、といったケースが当てはまります。

それぞれの手法におけるメリット・デメリットについてはこちらの記事をご参照ください。

株式譲渡による事業承継のメリット・デメリット

中堅中小企業のM&Aで多く利用されるスキームは「株式譲渡」が多く、続いて「事業譲渡」です。今回は、株式譲渡の特徴についてご紹介します。

事業譲渡による事業承継のメリット・デメリット

中堅中小企業のM&Aで多く利用されるスキームは「株式譲渡」が多く、続いて「事業譲渡」です。今回は事業譲渡の特徴についてご紹介します。

さて、この記事ではオーナー自身が保有する株式を第三者に譲渡する「株式譲渡」を行うことによって、譲渡される企業の社内にもたらす影響についてご紹介いたします。

 

従業員への影響

従業員雇用

『会社の経営権が他者に渡ったあと、うちの従業員の雇用はどうなるのだろう・・・?』

このように会社を譲渡した後、従業員の雇用について不安を経営者は多くいます。

しかし、中小企業におけるM&Aの多くは、従業員の雇用は維持されることが一般的です。

買手企業にとって業務ノウハウやスキルを持った人材も同時に獲得することも目的にしていれば、雇用が継続されない可能性はますます少なくなります。

また、買手側にも雇用を維持したいと思える理由があります。

買手が雇用を維持したい理由
  • 売手従業員が不利な状況になるM&Aは、そもそも売手側オーナーが望まないため、M&A自体が成立しない。
  • 買手が買収する「事業」や「会社」は、働く人に依存する確率が高く、従業員を失うと買収後の目的が達成されなくなる。(特に、中小企業は従業員一人ひとりが非常に大きな役割を担っているケースが多い)
  • 買手側が売手側の従業員数に不満を感じても、日本の労働法から考えて解雇が難しい。トラブルを避けるためにも、こうしたリスクは避ける買手が多い。

こういった理由から、買手企業側も買収先企業や買収先事業の従業員に対し、しっかりとした雇用を維持することが多いようです。

 

人材流出のリスク

さて、たとえ買手側に従業員の雇用の確約を取り付けたとしても、従業員のモチベーションが損なわれてしまえば、意味がありません。

優秀な人材が会社を去っていくことにも繋がる可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、会社を売却することを従業員に公開する前と後に分けて、重要なポイントを整理してみます。

譲渡を公開する前
従業員に不安を感じさせることのないよう、

  • 機密保持の徹底
  • 適切な手順を踏んだ交渉
  • 譲渡することを共有するタイミングの精査
  • 最適な譲渡先の選定
  • 契約条件の詳しい確認
譲渡を公開した後
発表後に従業員がマイナスの印象を受けないよう、

  • 従業員を納得させられるだけの譲渡理由の説明
  • 譲渡後の指針や雇用状況の適切な説明
  • 新たなオーナーの元で働くことに関するメリットの明示

以上のような配慮が必要となります。

 

代表者への影響

ポジション

一般的には、株式譲渡によって所有権および経営権が他者に移ると、買手企業から代表者(代表取締役)が選出されます。

ただ、代表者が変わっても、現実的にはすぐ新体制として動き出せるわけではありません。まずは、事業内容の理解や従業員のスキル把握など、現状を理解した上で、ようやく新たな事業計画の設計や戦略実行に移ることができます。

よって、売手企業の代表者が引継ぎや助言の役を務めるために、しばらくの間(1~2年ほど)会社に留まる例も多くあります。

なお、代表者を始めとした会社のキーマンの処遇については、M&Aの交渉過程で交わされる「基本合意契約書」「譲渡契約書」等による書面合意をしておくことが大変重要です。

この点は従業員に対する処遇の確約とも共通しています。

売却益

その他に代表者に対して発生するものとして、株式譲渡時の「売却益」が挙げられます。

企業の買収価格算定にはいくつかありますが、算定方法についてはこちらの記事をご参照ください。

会社の価値を算出する3つの手法とは

会社や事業を売買するにあたって最も気になる「会社の価値」。M&Aにおいて実際に用いられている3つの手法についてご紹介します。

こうして算定された価格によって株式の売買が行われ、代表者には利益が生じます。

この売却益から税金が引かれた金額が、最終的に手元に残るお金となります。

(株式譲渡の税率は、株式譲渡益に対して20.315%で一定です。なお、株式の売却に要したM&A専門会社や外部アドバイザーに対する報酬は株式譲渡益の計算から控除することができます。)

 

退職金

M&Aで会社売却が行われた場合、代表や役員への退職金はどうなるのでしょうか。

代表や役員の退職金で注目すべきは、従業員の退職金と大きく異なる点が2点あるということです。

 

役員の退職慰労金は契約上の絶対的な約束ではない

役員の退職慰労金は、雇用契約や任用契約上の会社との約束ではなく、主総会で承認されて初めて支給が行われます。つまり、役員任用契約内に退職慰労金の記載があったとしても、株主総会次第では支給されない可能性も出てくるということです。

退職慰労金を有効活用することで手元に残るキャッシュを最大化させることができる

会社が役員に対して退職慰労金を支給すれば、そのぶん会社に残る現金は減少します。
そうなると、会社の企業価値も減少するため、株式譲渡時の売却価額も減ることになります。
よって、「代表や役員が退職慰労金を得る」→「その分売却益が減少」となり、M&Aによって受け取る額面上の総額は大きく変わらないということになります。

ただし、金額にもよりますが退職金は株式譲渡益に比べて税務的に優遇されることがあります。
また、買手企業にとって、株式譲渡にかかるお金は「買手企業がキャッシュで用意する」必要がありますが、「役員退職慰労金+株式買収金」のうち役員退職金は売手企業のキャッシュから出すことができるため、買手企業のキャッシュアウトを抑えることができます。

つまり、役員退職慰労金をうまく活用することで、代表者にとっても買手企業にとってもメリットあるM&Aを行える可能性が出てきます。

(詳しく知りたい方は、お気軽にM&Aナビ(エムエーナビ)のアドバイザーにご相談ください)

債務に対する個人保証

オーナー経営の中小企業の場合、経営者が金融機関からの借り入れ等の債務に対して連帯保証や担保提供を行っていることが多く見受けられます。

M&Aによる会社の譲渡となると、借り入れによる債務も丸ごと買手側企業が引き継ぐ契約にすることが一般的です。

譲渡と同時に、正しく金融機関との手続きを行うことで、経営者は長年縛られてきた債務から解放されることができます。

役員への影響

役員雇用

従業員の部分でお伝えした通り、中小企業の経営を因数分解していくと、人材に依存する面は比較的大きくなります。

そのため、中小企業のM&Aを行う際は、役員についても一定期間の雇用継続が条件として盛り込まれたり、社名や勤務地についても一定期間はそのままにするというケースが多いです。

役員に関して問題になりやすいケース

中堅中小のオーナー企業で、後継者不在を理由に会社売却を考えている場合、会社の役員も同じく引退の年齢に近づいている場合が多くあります。

そこで問題となるのが、役員の「退職慰労金」です。

上述の通り、役員以上の退職慰労金は、株主総会での決議事項となるという点で、普通の従業員の退職金とは大きく異なります。

長い間ともに歩んできた役員との間の問題発生を未然に防ぐためにも事前に合意しておく必要があります。

M&Aでは、従業員、代表、役員等各方面への配慮が不可欠

この記事では、株式譲渡が売手企業の内部へ与える影響について説明しました。

M&Aに対する疑問は少しでも軽減されたでしょうか。

  • 社内への影響についてよく詳しく聞きたい!
  • 売却にあたって他にどんなことを考えるべきか知りたい!

この記事を読み、上記のような思いを持った方はいませんか?

また、

  • M&Aを検討しているが、何から考えたらいいのかわからない・・・
  • 会社の将来に漠然とした不安があるが、相談相手が見つからない・・・

こうした不安を感じている経営者の方も少なくはないのではないでしょうか?

会社を売却するにあたって考えるべきことはたくさんありますが、数多くの先例や成功事例もあります。
わからないことやご質問などがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

M&Aナビ(エムエーナビ)では、M&Aを数多く支援してきた経験豊富なアドバイザーが無料で何度でもご相談を承ります。

M&Aに関する相談をいつでも無料で受け付けています

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