ペットショップ業界のM&A動向を解説!メリット・デメリットやマッチング方法とは?

2024年08月06日

ペットショップ

ペットショップ業界は、業界の成長に伴いM&Aが増加傾向にある業界といえます。
一方で、グローバルな視点で見ると、動物福祉の観点から生体販売が禁止される国が出てきているなど、今後の変化に注目が必要な業界といえるでしょう。

そこで本記事では、ペットショップ業界におけるM&Aのメリット・デメリットや売却価格に関する考え方について解説していきます。

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ペットショップ業界とは?

ペットショップ業界とは、ペットやペット関連製品の販売を行う産業であり、昨今は社会的に大きな注目を集めています。

具体的には、パンデミックの巣ごもり需要でのペットを飼う人の増加や、動物愛護的な意識の広がりを通して「ペットの家族化」が進み、ペットは私達の生活に一層身近な存在となりました。また、「ペットの家族化」に比例して、ペット製品/サービスの顧客ニーズも多種多様に変化しており、ペットに対する支出(生涯飼育経費)は堅調に増加しています。

このような状況において、ペットショップ産業は大きな過渡期を迎えており、M&Aのポテンシャルにおいても注目すべき業界と言えるでしょう。

ペットショップ業界の市場規模

現在ペットの飼育頭数は緩やかに減少している反面、前述した通りコロナパンデミックによる巣ごもり需要やペットに対する愛護意識の高まりを受け、ペットショップ業界を含むペット関連市場全体の規模は年々拡大しています。

具体的なデータで見ると、2024年度のペット市場は18,629億円と、2019年の15,705億円からおよそ1.2倍に成長していることが分かります。
特にペットショップ業界を指す「生体販売+サービス」の割合は45%を占め、その市場の大きさが伺えます。

市場規模の推移

参考:ペットビジネスに関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

ペットショップの今後の課題

しかしながら、成長するペットショップ業界にはいくつかの課題が存在しており、
特に巨額のお金が動くM&Aを行う際には、深く考量する必要性があります。

ペットショップ業界が直面する最大の課題は「動物福祉の在り方」です。
近年はよく耳にする「動物福祉」や「動物愛護」ですが、これらはペットショップ業界に極めて大きな影響を与えています。

具体的にフランスでは、動物福祉の観点から犬と猫のペットショップでの生体販売が2024年から全面的に禁止されるなど、グローバルに動物福祉に対する意識が高まっています。また、日本においても、無作為なペットの繁殖や殺処分などの問題が時代とともにクローズアップされる中、ペットの法的規制が近年整備され始めています。具体的に、劣悪な飼育環境でのペットの繁殖を行う悪質ブリーダーに対する規制を強化しており、ペットショップのサプライヤーであるブリーダーへの姿勢が厳格化しているのです。

このように世界的に動物福祉、動物愛護の意識が高まる中、ペットショップ業界には「適切なブリーダーからのペット供給」や、「売れ残りペットに対する倫理的配慮」など、1つの命を扱う業者としての責任が今後一層求められていくでしょう。
参考:フランス 犬と猫がペットショップから消える?いったいなぜ? | NHK

ペットショップ業界の最新のM&A動向と事例紹介

ペット業界でのM&Aは一定の件数が見られる一方、ペットショップ業界でのM&Aは稀なケースとなっています。

しかしながら、ペット製品/サービスが多様化する中で、ペット生体販売と二次的サービス(トリミングやペット保険など)を連携させることで、大きなシナジーの創出が期待されます。その具体例として、以下に実際の事例をご紹介します。

【事例1】リックコーポレーションによるジョーカーの子会社化

リックコーポレーションは、岡山県を拠点にホームセンターやペット専門店を展開している企業です。一方、ジョーカーは関東地区に16店舗のペット専門店を運営する企業であり、特にトリミング部門において高い専門性と収益性を有します。

リックコーポレーションがジョーカーのトリミング技術やノウハウを活用した集客力の強化や、ペット事業の関東圏への進出というチャネル拡大を期待し、今回の子会社化が実施されました。

参考:株式会社ジョーカーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

【事例2】アニコムホールディングスによるシムネットの買収

株式会社シムネットは、ペット関連のインターネットサービスを企画・運営しています。そして同社の子会社である、みんなのペットオンライン株式会社は、「みんなのブリーダー」と「みんなの子猫ブリーダー」という、ブリーダーマッチングサイトを運営しています。

一方アニコムグループはペット保険事業を中心に活動し、加えて遺伝子検査など科学的にブリーダーをサポートする事業も並行して行っています。

今回の買収においては、アニコムホールディングスのペット保険という需要の増えるサービスを、シムネットが有するプラットフォームを活用し、ブリーダーサポートサービスの拡大やペット保険契約件数の増加を目指しています。

参考:株式会社シムネットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ペットショップ業界のM&Aのメリット

ペットショップ業界におけるM&A(企業合併・買収)には多くのメリットがあり、これらがM&A成功のカギとなっています。そこで、今回は以下の3つをご紹介します。

サービスチャネルの統合

昨今、ペット業界でのニーズ/サービスが多様化する中、サービスチャネルの統合は大きなシナジーが期待されます。例を挙げると、事例2のアニコムホールディングスによるシムネットの買収においては、アニコムホールディングスが持つペット保険を、シムネットのブリーダーマッチングサイトにて活用することで、顧客チャネルの拡大を図っていることが分かります。

技術の承継

M&A事例1でリックコーポレーションがM&Aにおいてジョーカーのトリミング技術に着目したように、ペットショップ店にはトリミング法に限らず独自の技術やノウハウが存在します。しかし同時に、後継者不足によりこれらの貴重な技術やノウハウが失われる可能性があります。

M&Aによって競争性を有する企業との統合を進めることで、これらの技術やノウハウが保存され、新たな世代に承継するチャンスが生みだすことが可能になります。

事業不安の解消

ペットショップ業界は比較的好調とはいえ、中小規模の割合も大きく、昨今の仕入高の高騰や競争の激化で、事業の将来性に不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

事業の将来性に不安を感じられる場合には、M&Aを通して会社を売却するというのも手段の1つになっています。

ペットショップ業界のM&Aのデメリット

ペットショップ業界のM&Aには、勿論デメリットの可能性も存在します。
しかしながら、以下のデメリットに適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。

承継に時間がかかる

各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。
M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。
この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。

買い手が見つからないリスクがある

ペットショップ業界にはM&Aの実例が豊富ではないことから、買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。

ペットショップ業界のM&Aの売却価格相場

ペットショップ業界でのM&A取引において、売却価格の相場を理解することは重要です。この価格は、多くの要因によって左右され、適切な評価が事業の持続可能性と成長に大きな影響を及ぼします。

M&Aにおける売却価格の考え方

M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。

  • コストアプローチ(純資産に着目)
  • インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
  • マーケットアプローチ(市場相場に着目)

詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。

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考慮すべき特有の事情

「ペットの家族化」が進み動物福祉や動物愛護が重要な社会課題と認識されつつある中、ペットショップ業界のM&Aは単なるビジネスの取引に留まらず、ペットの命という社会的責任も含まれる特殊な業界となっています。

法的または倫理的なコンプライアンスに沿うだけでなく、信頼できるサプライヤーとの関係を構築したり、ペットの殺処分の見直しであったり、命を預かり販売する業者として責任ある社会的行動を取ることが求められるのです。

ペットショップ業界のM&Aのおすすめ相談先

ペットショップ業界のM&Aを検討する際には、適切なアドバイスとサポートを提供できる専門家に相談することが非常に重要です。以下に、M&Aプロセスを円滑に進めるためにおすすめの相談先を挙げます。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、買い手と売り手をマッチングさせる専門的なサービスを提供します。これらの会社は、業界知識と広いネットワークを持っており、適切な買い手や売り手を見つける手助けをしてくれます。ペットショップ業界の特性を理解している仲介会社を選ぶことで、より効果的な取引が期待できます。

M&Aマッチングサイト

インターネット上で利用できるM&Aマッチングサイトも、ペットショップ業界の事業者にとって有用です。
これらのサイトは、全国各地の潜在的なM&A候補をリストアップし、簡単にアクセスできるプラットフォームを提供します。
ユーザーは自分の条件に合った相手をオンラインで探すことができ、初期の接触も容易になります。

当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
ペットショップの案件もありますので、一度見てみてください。

>>ペットショップのM&A案件を見る

おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。

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今回はM&A・事業承継マッチングサイトの中から、弊社社員が本気でおすすめできるマッチングサイト20選をご紹介いたします! 「どのマッチングサイトを選べばいいのかわからない」「それぞれ仕組みが違って難しい」といっ…

顧問税理士

M&A取引には、税務面での考慮が不可欠です。顧問税理士は、M&Aの税務処理や資産評価など、財務面でのアドバイスを行います。和菓子業界の事業者がM&Aを行う際には、税理士の知識が大きな助けとなり、よりスムーズな取引の実現に寄与します。

ペットショップ業界のM&Aのまとめ

ペットショップ業界において、M&Aはサービスチャネルの統合/技術の承継事業/不安の解消といった重要な役割を果たすことが可能です。
十分な準備と検討をもとに、適切な相手とマッチングすることができれば、事業承継の良い選択肢としてM&Aを活用することができると考えられます。
M&Aを通して、ペットショップ業界の顧客ニーズの急激な変化に適応しつつ、新たな付加価値を創出することができるでしょう。

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