M&Aのリスクとは?売り手・買い手それぞれのリスクとその対処法を解説

2024年03月15日

M&A リスク

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M&Aは、近年の中小企業経営において注目されている手法の一つです。

M&Aにおいて買い手企業は新しい経営資源の獲得が可能であり、売り手企業は後継者の問題を解決することができるなど様々なメリットがあります。

その一方で、異なる企業が統合することから、多くのリスクが存在します。

M&Aに関連するリスクを事前に理解しておくことで、M&Aを推進する際に生じる問題や困難を避けやすくなります。

この記事を通して、M&Aのリスクを理解していただきM&Aの成功に貢献できればうれしく思います。

M&Aにおける4種類のリスク

M&A リスク

M&A(合併・買収)は企業戦略の重要な手段の一つですが、多くのリスクも伴います。ここでは、主に4つのリスクカテゴリーに分けて説明します。

財務リスク

財務リスクは、M&Aで譲渡される資産や債務にかかわる財務面におけるリスクのことをさします。

具体的には、簿外債務や偶発債務、資産の実在性に関するリスクなどがあげられます。

財務リスクは主に譲受企業にとって重要な懸念事項として考えられています。

M&A実行の際には、財務面でのデューデリジェンスを十分に実施するなどの対策が必要です。

法務リスク

M&A リスク

法務リスクは対象企業の法務面にかかわるリスクのことをさします。
具体的には、これまでの株式移転における瑕疵や取引先との契約関係、許認可に関するリスクなどがあげられます。

法務面での不備により、必要な許認可や契約内容が確認できなければ、M&Aの目的を達成できない可能性があります。
譲受企業は、法務面でのデューデリジェンスを十分に実施することで対策を行う必要があります。

譲渡企業から見た場合においても、契約内容の不備によりM&Aの交渉がストップしてしまうリスクがあるため、M&Aを検討する前の段階で法務面の問題点をチェックし改善を行う必要があります。

経営リスク

経営リスクは、買収後の経営統合や事業のマネジメントなどの経営全般にかかわるリスクをさします。
具体的には、事業の将来性や収益性に関するリスクや、統合プロセスの実施におけるリスクなどがあげられます。

M&Aの実行前に買収後のマネジメントに関する計画設計を行うなどの対策が必要です。

人材リスク

人材リスクは、M&Aによる組織の変化が従業員に与える影響によるリスクをさします。
具体的には、従業員のモチベーションや従業員の雇用契約・費用、労務管理に関するリスクがあげられます。

M&Aにより異なる風土や文化を持つ企業同士が統合することになるため、従業員に与える影響は大きいです。
合併や買収による不安や文化の衝突により、重要な人材が退職することもあるため、適切なコミュニケーションと人事戦略が重要です。

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M&Aにおける売り手のリスク

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M&Aプロセスでは、売り手は様々なリスクに直面します。

これらのリスクは、取引の成功に直接影響を及ぼす可能性があり、慎重に管理する必要があります。

情報漏洩

売り手は、取引過程で企業の機密情報が外部に漏れるリスクに直面します。
これには、企業の財務状況、顧客リスト、内部戦略などの敏感情報が含まれます。

情報漏洩は企業の競争力や市場地位を脅かすだけでなく、法的な問題を引き起こす可能性もあります。
このため、情報の取扱いには最高レベルのセキュリティと機密保持契約が必要です。

買い手が見つからない

売り手にとって、適切な買い手を見つけることは重要ですが、これが困難になることもあります。

市場の不況、企業の評価の低さ、または売却の条件が厳しすぎることが原因で、適切な買い手が現れないことがあります。

このため、売却前に市場調査を行い、企業の魅力を高める戦略を立てることが重要です。

また、売却のプロセスが長期化する場合に備えて、早め早めに売却の検討を進めることが重要です。

相場よりも安く売ってしまう

市場の変動性や交渉力の不足により、売り手は企業の真の価値よりも低い価格で売却するリスクに直面します。

これは特に、売却のタイミングや市場の状況に敏感な中小企業にとって顕著です。

企業の価値を正しく評価し、市場分析に基づいた適切な価格設定、強固な交渉戦略が必要です。

さらに、複数の買い手と交渉することで、最適な取引条件を引き出すことが重要です。

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M&Aにおける買い手のリスク

M&A リスク

買い手は、M&Aの過程で多くのリスクに直面します。

これらのリスクは、取引の成功と企業の将来に大きな影響を与えることがあります。

思わぬ債務を引き継いでしまう

買い手は、買収する企業の隠れた債務や負債を引き継ぐリスクに直面します。

これには、未払いの税金、訴訟費用、未処理の財務問題などが含まれることがあります。

これらの隠れた問題は、買収後の財務状況に大きく影響し、計画していた利益の実現を阻害する可能性があります。

徹底したデューデリジェンス(買収対象企業の詳細な調査)は、このようなリスクを軽減するために不可欠です。

買収後に優秀な人材が抜けてしまう

買収後、企業文化の違いや不安定な雇用状況により、優秀な従業員が退職する可能性があります。

特に、重要な役割を担うキーパーソンの退職は、事業の継続性や成長戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。

従業員のエンゲージメントを維持し、事業の継続性を確保するためには、適切なコミュニケーションと緊急時の人事計画が必要です。

相場よりも高く買ってしまう

買い手は、市場価値よりも高く企業を買収するリスクに直面することがあります。

過剰評価や情報の非対称性により、買収価格が実際の価値を超えることがあります。

これにより、買収した企業の価値を回収するためには、予想以上の時間と労力が必要になることがあります。

市場分析、財務評価、競合他社との比較などを通じて、適切な買収価格を定めることが重要です。

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M&Aのリスクを回避するには

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M&Aのリスクを軽減し、成功に導くためには、戦略的なアプローチと周到な準備が必要です。

以下は、リスクを管理し、取引を有利に進めるための主要な方法です。

M&A専門家に相談する

専門的な知識が不可欠なM&Aにおいて、経験豊富な専門家からの助言は非常に価値があります。

専門家は市場動向、評価手法、交渉戦略などに関して専門的な知識を提供できます。

また、法的、財務的、税務的な問題に対処するための専門知識も提供できるため、リスクを最小限に抑え、取引を円滑に進めることができます。

デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスは、買収対象企業の財務状況、法的問題、運営上の問題などを詳細に調査するプロセスです。

この調査により、隠れた負債、法的な紛争、その他のリスクが明らかになります。

徹底したデューデリジェンスを行うことで、不測の問題に対処し、買収後のサプライズを避けることができます。

適切なPMIの実施

PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)は、買収後の統合プロセスです。

この段階での適切な管理は、経営戦略の実現、文化的統合、効率的なオペレーションの確立に不可欠です。

統合計画は、従業員のエンゲージメント、経営体制の整備、ITシステムの統合など、多岐にわたる要素を考慮に入れて慎重に策定する必要があります。

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M&Aをする際のおすすめ相談先

M&A リスク

M&Aのリスクを回避するためにはM&A専門家に相談することが重要と解説しました。

ここでは、具体的な相談先について解説していきます。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、買収対象の企業を見つけ、交渉や契約のプロセスをサポートします。

M&Aの支援を専業で行っているため、豊富な経験や専門的な知識をもとにしたサポートを受けることができます。

仲介会社は、買収対象の選定から買収後の統合プロセスまで、幅広いサポートを提供し、取引のリスクを最小限に抑えながら最適な取引を実現します。

金融機関

銀行や証券会社などの金融機関は、資金調達のアドバイスや、時にはM&Aのチャンスを紹介することもあります。

金融機関は、資金面でのサポートだけでなく、市場分析や投資戦略に関する専門的なアドバイスも提供します。

これにより、M&Aの資金面での安定性を確保し、より良い投資決定を行うことが可能になります。

顧問税理士

税務の観点からM&Aに関するアドバイスが必要な場合、顧問税理士の役割が重要です。

特に、M&Aに伴う税務処理や資産評価に関して専門的な知見を提供します。

税理士は、取引の税務面での最適な戦略を提案し、税負担の軽減や合法的な税務計画をサポートします。

商工会議所などの団体組織

商工会議所や業界団体は、M&Aに関する情報提供や、時にはマッチングの機会を提供することもあります。

地域の経済発展を促すためのリソースとして活用できます。

これらの団体は、地域に根ざしたネットワークや業界特有の情報を活用し、M&Aのチャンスを提供するとともに、地域経済の活性化に貢献します。

事業承継引継ぎ支援センター

事業承継引継ぎ支援センターは、特に後継者問題を抱える中小企業に対し、事業承継のためのM&A支援を行います。

国の委託によって運営されている団体であり、後継者不在による企業の廃業を防ぐための重要な役割を果たしています。

M&Aだけでなく、親族内承継も含めた事業承継全般についてのサポートを提供しており、後継者の不足による中小企業の経営危機を解決するための重要なパートナーとなっています。

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M&Aのリスクについてのまとめ

M&A リスク

いかがでしたでしょうか。

M&Aでは様々なメリットがありますが、異なる企業が統合することから、多くのリスクが存在します。

デューデリジェンスやPMIなどM&Aにおける重要プロセスを実行するとともに、M&Aに詳しい専門家に相談することで、M&Aのリスクを最小限に抑えながら、メリットを最大限に発揮できるようにすることが大切です。

M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。

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