意外と知らない「株式譲渡」と「事業譲渡」の違いとは?

2024年03月15日

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M&Aにおいてもっともポピュラーな売却手法は、「株式譲渡」と「事業譲渡」です。

株式譲渡とはその会社を株式を売却することで、事業譲渡とは一部の事業だけを売却することです。

多くの場合では、どちらかにするか迷うケースはないのですが、売却するときの事情によっては最適な手法を選ぶ必要がでてくることもあります。

そこでこの記事では、「株式譲渡と事業譲渡の違いをしっかり理解しておきたい」という経営者の方に向けてわかりやすく解説いたします。

株式譲渡のキホン

株式譲渡

株式譲渡は文字通り株式を売ることであり、中小企業のM&Aにおいて一番多く使われているM&Aの手法です。

ある会社の株主が、自身の持つ保有株式を第三者に売却することを指しています。一般的な中小企業であれば、社長=創業者=株主であることがほとんどですので、社長が持っている自社の株を誰かに売るといえばわかりやすいでしょう。

株式譲渡の特徴

代表者が変わる

社長がその会社の株主の場合、売却すると同時に代表取締役を退任することが一般的です。

中小企業は、金融機関や顧客との取引において会社=経営者個人とみなされることが多いため、会社のオーナー(所有者)と代表者が異なることは好ましくありません。

また、社長に連帯保証がついている場合は、代表者変更に伴って新たな株主もしくは経営者に引き継がれます。

社長個人に対価が入る

株式譲渡は、売却する会社の株式を持つ社長(株主)と買収する会社との間の取引です。

よって、買収する側が支払うお金は社長個人が受け取ることになります。
また、その対価には有価証券の譲渡税(2020年4月時点で20.315%)が発生します。

株主と代表者の変更以外は何も変わらない

株式譲渡は社長にとっては大きなイベントですが、株式を新たな株主に譲渡するだけのシンプルな取引です。
日常的に上場企業の株式が売買されても会社そのものは何も変わらないと同様に、中小企業の株式譲渡が完了しても、社名や会社の債権債務、取引先との契約関係、許認可などは何も変わりません。

株式譲渡のメリット

株式譲渡の最大のメリットは、手続きが簡単であること。会社という箱ごと譲渡するため、買手も譲り受けたらそのまま事業を継続することができます。

株式譲渡のデメリット

会社のすべてを譲渡することになるため、どれだけ愛着や自信がある事業をおこなっていても、負債があったり赤字だったりすると満足いく売却価格がつかないことがあります。

創業以来、大切に育ててきた会社の価値を判断されるため、打診される金額によっては努力が報われないと感じてしまうかもしれません。

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事業譲渡のキホン

事業譲渡

事業譲渡は、会社の中にある一部の事業を売却することを指します。

しっかりと単体で収益化されている事業を対象とすることはもちろん、WEBサイトや店舗だけを対象とすることもできます。

事業譲渡の特徴

リスクや負債を引き継がない

事業譲渡は、株式譲渡とちがって「モノ」を売却することで、売却後は買手の会社の事業として再スタートすることになります。
そのため、その事業が抱える潜在的なリスクや負債などは売却の対象となりません。
正確に言えば、買手も自由に買うものを選択することができるため、リスクになりそうなものを避けて買収することが理論上は可能です。

売却する会社に対価が入る

事業譲渡は、売却する会社と買収する会社との間における取引です。

よって、買収する側が支払うお金は売却側の会社が受け取ることになります。
また、その対価には法人税が発生します。

M&Aを考えるとき、経営者なら誰でも自身にお金が入ることを想像しがちですが、事業譲渡においては個人にお金が入ることは一切ありません。

すべての権利・契約関係をイチから結び直す必要がある

事業譲渡は、それまで売却側の会社で営んでいた事業から買収側の会社の事業に変わるため、すべての契約を結び直す必要があることが特徴です。

たとえば、顧客と締結している契約書や利用規約、その事業に従事する従業員を引き継ぐならば雇用契約なども、すべて新たな会社との間で結び直さなければなりません。

事業譲渡のメリット

売手が売りたいものだけを売却することができる点は大きなメリットです。

中小企業M&Aにおいてよくあるケースは、選択と集中をするために非主力事業を売却したり、採算がとれない店舗だけを売却することが大半です。

また、当然ながら法人格を残すことができることもメリットといえます。

事業譲渡のデメリット

事業譲渡は対価がすべて会社に入るため、もし経営者が個人として対価を得ようと考えているならばデメリットになりえます。また、売買契約を締結して完全に引き継ぎが完了するまでには煩雑な手続きが必要なため、株式譲渡に比べると労力がかかってしまいます。

まとめ

株式譲渡は株式をハコごと売ることであり、事業譲渡は一部事業だけを切り離して売ることです。それぞれにメリット・デメリットがあります。

あらかじめどういう売却手法にするか決まっている場合はもちろん、最適な手法がわからない場合でも、M&Aナビでは完全無料でご相談を承ります。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

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