廃業する前に考えたい「M&A」という選択肢

2022年06月03日

中小企業が抱える悩みの一つに、後継者不足による廃業問題があり、廃業する企業は年々増えています。
同じような悩みを抱えて”廃業”を選ぼうとしている経営者の方も、もしかしたらお読みになっているかもしれません。

しかし廃業を考える前に、今回記事でご紹介する「M&A・事業承継」という選択肢を検討した上で決断をすることが、最善な選択ができると思っています。

増えつつある廃業

冒頭でもお話した通り、後継者不在に悩んでいる中小企業が年々増えています。

東京商工リサーチが2022年1月に発表した、「2021年”休廃業・解散企業”動向調査」では、下記のようなことが書かれています。

  • 2021年、全国で休廃業・解散した企業は4万4,377件
  • 企業倒産件数は6,030件
  • 休廃業・解散した経営者の平均年齢は、71.0歳となった

60代以上の経営者が廃業(清算)を選択

上記から読み取れることは、引退時期にある経営者が、廃業(清算)を選択しています。
会社を廃業(清算)することは、雇用している従業員も辞めることになります。

このようなことを少しでも解決できるよう、中小企業庁では「事業承継5ヶ年計画」というものが策定されています。
主には下記のことを施策として掲げております。

  • 事業承継に早めに取り組むことの重要性を経営者に伝える
  • 経営者が承継したくなるような環境を設備
  • 後継者のマッチング強化
  • 事業からの退出や事業統合などをしやすい環境の整備
  • 経営経験豊富な経営人材の紹介・活用

上記を行うことで、地域に根付いている事業を次の世代にしっかりと承継し、これをきっかけとした後継者が積極的に新事業へチャレンジできる環境を整えられると考えているようです。
結果、後継者難でこれからもでてくる廃業にたいして、違う選択肢がとれるようになると思います。

後継者問題は、M&A・事業承継によって解決ができる

これからも廃業が増えていく根拠としては、2016年2月に日本政策金融公庫総合研究所によって行われた、「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」でこのような調査結果がでています。

2016年2月に日本政策金融公庫総合研究所によって行われた、「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」
※ 出典:「事業承継五ヶ年計画」中小企業庁

この調査では、「60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定している状況」だと言われています。
さらに、廃業する予定の廃業理由を見てみると、

  • 子供に継ぐ意思がない
  • 子供がいない
  • 適当な後継者がみつからない

という純粋に後継者不足を理由とする廃業が合計すると28.6%占めていることがわかります。
そして上記のような理由による廃業の課題は、M&A・事業承継によって解決することができると考えます。

M&Aと廃業・清算の違いを正しく理解

ここまで廃業(清算)という言葉を使ってきましたが、似たような言葉に「倒産」といった言葉もあります。
廃業・清算・倒産について正しく理解をしておきましょう。

廃業について

廃業とは、自らの意思で会社の事業を辞め解散することです。
例えば、後継者の不在(事業承継が行えない)などで、会社や事業を辞めることなどは廃業にあたります。

清算について

何らかの事情で会社を畳むことになった場合、単に廃業しただけでは会社は消滅しません。
それだけでは、会社に資産と負債が残ったままの状態になってしまいます。
そこで、清算手続を取って、会社資産の売却や債権の回収を行い、その資金で債務の弁済を行う必要があります。
会社の状況によって清算方法は2つに分かれます。
ひとつは「通常清算」で、もうひとつは「特別清算」や「破産」などのいわゆる「倒産手続」です。

倒産について

倒産とは、会社の資金繰りが悪化し、取引先や従業員への支払いが困難になり、会社を辞めることが倒産にあたります。
会社が倒産する場合は、基本的には法的手続き(民事再生、破産、私的整理など)を弁護士に依頼して行います。
ゆえに、倒産の場合、資金難が大きな原因です。
借入金や負債の返済を全て行うことは非常に困難です。
こういった場合は、会社を辞めるときには廃業ではなく、倒産という選択にならざるを得ないケースが多いです。

M&A・事業承継と廃業(清算)を比較

後継者問題で事業を継続できない場合においては、M&A・事業承継と廃業といった選択肢が残ります。
そこでM&Aによる事業承継と廃業ではどういった違いが出てくるのでしょうか。
ここでは2点に絞って比較を行いました。

M&A・事業承継と廃業(清算)の共通点および相違点

M&A・事業承継と廃業(清算)の共通点および相違点

M&A・事業承継と廃業(清算)ではそもそも、目的が大きく異なる

当然ですが、M&A・事業承継と会社の廃業(清算)は目的が大きく異なります。
M&A・事業承継は会社を後世に残すために、第三者に譲渡することです。
一方、会社の廃業(清算)は自分の代で会社を清算結了させることです。
中小企業M&A・事業承継を行えば、従業員との雇用契約は継続されることがほとんどです。
廃業(清算)してしまったら従業員の雇用を守ることは不可能です。
得意先との取引も同様で、M&A・事業承継であれば取引は継続しますが、廃業(清算)してしまえば、取引を継続することは不可能です。
廃業(清算)の場合は得意先も事業を畳むことを検討しなければいけなくなるかもしれません。

M&A・事業承継と廃業(清算)では会社の評価額も大きな異なる

M&A・事業承継を検討する売手オーナーは、できるだけ高く売却したい・売却できたらいいなという意向があるはずです。
会社を高い価額で売却できるということは、ご自身の作り上げてきた会社が市場から評価されたということでもあります。
会社の清算・廃業では、早期に会社所有の財産を売却する必要に迫られ時価よりも安価な価額で資産を売却せざるを得ないケースが想定されます。
また従業員が職を失うことから通常の退職金に加えて、割り増しして退職金を支払う必要があるケース等があり、一般的に会社の清算価値は時価純資産を下回ることが多いです。

M&A・事業承継と廃業(清算)では税務上の取り扱いも大きく異なる

M&A・事業譲渡による株式譲渡の場合
株式譲渡によるM&Aであれば、株式譲渡益に対して20.315%の税率が課されるのみです(個人株主の場合)。
給与所得等は最大55%の所得税+住民税が課されるため、給与等の税率が55%の最高税率で課されている売り手オーナーにとっては、半分以下の税率である点が特徴です。

法人株主の場合は、他の法人の利益と合算し実効税率約34%が課されます。
法人株主が繰越欠損金を保有している場合には当然繰越欠損金と相殺することができます。

廃業(清算)の場合
会社が債権者に対する、債務支払い後に会社に財産が残った場合は、当該財産を株主へ分配します(これを残余財産の分配と呼んでいます)。
残余財産の分配額が出資の払い戻し相当額を超える部分は、税務上配当とみなされ、最大で55%の所得税及び住民税が課されることになります。(個人株主の場合)

M&Aと廃業 まとめ


売手オーナーが会社を後世に残したい、従業員の雇用を守りたい、得意先との取引を継続しておきたいのであれば、後継者不足を理由にして清算・廃業を検討する前にM&A・事業承継による第三者承継を検討してみてはいかがでしょうか。

M&A・事業承継によって貴社が存続することにより救われる利害関係者は非常に多く存在するはずです。
どちらのスキームを採るのか、それともそれ以外のスキームを採るのかは、売手、買手の状況によって様々です。
どのスキームでM&A・事業承継を実行するのかによっても手取り額等の経済効果に大きく影響を与えます。

またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

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