【最新版】コロナ禍でM&Aの買収意欲は下がるのか?積極買収を表明している企業もご紹介
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が猛威を奮っており、日本のみならず世界経済に大きな影を落としています。
2020年3月以降、実に18社もの企業が東証よりIPOの承認を得ながらも中止となりました。
もちろんM&Aマーケットに対しても影響は出ています。いまはどの企業も手元にキャッシュを確保しておきたいと考えているため、買収タイミングを遅らせたり中止したりする動きも出始めています。その一方で、M&Aによる事業拡大を表明している会社もあり、各社によって考え方や意欲はさまざまです。
緊急事態宣言が解除されて、ようやく経済が復活する兆しが出始めていますが、M&Aマーケットは今後どうなっていくのでしょうか?
目次
M&Aによる買収は減るのか?
一般的にM&Aは買収側企業の中長期的な戦略に基づいて行われますので、本来は短期的な事業やキャッシュの浮沈とは別の視点で検討されます。
つまり、「今ちょっとお金があるから買っちゃおう」とか「コロナで今は厳しいから考えることさえやめる」といったことではなく、目先の状況がどうあれ会社の将来のために必要な投資かどうかという観点で検討される、ということです。
事業を成長させようとする経営者であれば、アフターコロナを見据えて事業構造の転換や新領域への進出などを考えていることでしょう。それらを実現するためには当然投資が必要でありM&Aは有力な選択肢になることは変わりません。
もちろん、そうはいっても目下の業績悪化を防いだり社員の雇用を守ったりするために、当面は目先の事象に対処することはありえるため、中長期な打ち手であるM&Aの検討の優先順位がやや下がることはあるでしょう。
成長性に加えて安定性やキャッシュフローを重視する傾向に
今回のコロナショックはすべての経営者に大きな課題や問題を突きつけることとなりました。
投資と内部留保のバランス、オフィスの必要性、業種やロケーションなど、さまざまな観点から今後見直しが入ることでしょう。
そして、M&Aマーケットにおいては、より安定性のある企業が売却しやすくなります。
買手にとってM&Aを突き詰めるとリスクをどれだけ許容できるかということに尽きます。
人員体制、事業モデル、内部管理、買収金額など、すべて希望どおりの買収などありえないわけで、ある魅力に期待しつつどこかのリスクを許容して、最終的には買収することを判断します。
ですので、そのときのトレンドや将来性などによって、判断のバランスは常に変化しているのです。
これまでは、全体の傾向として多少リスクをとってでも成長の可能性に期待する会社が多い傾向にありました。つまり、債務超過や赤字の会社でもそれなりの魅力があれば売却に成功していましたが、これからはやや厳しくなることは間違いありません。
一方で、安定性と成長性を両立している会社は非常に有利な条件で売却することができるでしょう。
コロナショックでもM&Aを積極的に検討している企業をご紹介
当然M&Aに対し慎重になっている企業はいる一方で、すべての買手の意欲が下がっているわけではありません。M&Aナビへ登録する買収希望企業の数も減っていませんし、引き続き底堅い買収ニーズはあります。
さらに上場企業の中には、この時期においてもM&Aを強化すると表明している会社もありますので、いくつかご紹介します。
オープンハウス
関西・東海圏で投資用不動産販売業を中心に展開している株式会社プレサンスコーポレーションを買収したことで話題となったオープンハウスは、2020年5月15日に四半期決算発表をおこないました。
コロナショックによって一時的な住宅販売の落ち込みや投資意欲の変化など業績への影響を受けると述べている一方で、新たな事業機会が生まれると想定しており、不振企業の淘汰を機会と捉えM&Aを検討していくこと発表しています。
オープンハウス「2020年9月期 第2四半期 決算説明資料」
UTグループ
製造業向け派遣の最大手であるUTグループは、2020年5月20日に中期経営計画を発表しました。
2025年までに現在の2倍となる2,000億円を目指すために、高スキルエンジニアの派遣事業および地方に派遣事業においてM&Aを活用した拡大戦略を発表しています。
UTグループ「長期経営ビジョンにおける業績目標の修正及び第4次中期経営計画の策定に関するお知らせ」
スターティアホールディングス
ITインフラサービスおよびデジタルマーケティング事業をおこなうスターティアホールディングスは、2020年5月15日に新たな中期経営計画を発表しました。
これまでバラバラで成長してきた2つの事業を有機的に連動させるために、主要都市におけるM&Aを活用して顧客数を増やすことを戦略として掲げています。
スターティアホールディングス「中期経営計画「NEXT’S 2025」の策定に関するお知らせ」
エイジア
メールやSMSなどを使ったマーケティングコミュニケーションシステム「WEBCAS」を提供するエイジアは、2020年5月14日に発表した中期経営計画において、「既存製品に並ぶ主力事業となる新製品の開発や M&A を通じた新事業の創出が当社の重要な経営テーマである」と述べています。
順調に成長している既存事業に加えて、さらに大きな飛躍を目指すためにM&Aによる新事業開発を積極的におこなうことに言及しています。
エイジア「中期経営計画策定のお知らせ」
第一交通産業
九州地域を中心にタクシーや不動産事業などを展開する第一交通産業は、これまでも積極的に買収をおこなって拡大を図ってきました。
2020年5月21日、新たに310億円の借入を発表し、手元資金を確保するとともにM&Aによる売上拡大を見込んでいるとのことです。
第一交通産業「資金の借入に関するお知らせ」
Ubicomホールディングス
フィリピンを主な拠点としたオフショア開発の大手であるUbicomホールディングスは、2020年5月25日の決算発表をおこないました。
その中で、今後のグループ成長戦略としてM&Aや提携、出資によるWin-Win戦略なるものを掲げています。M&A実行後はスクラップ&ビルドによって事業を再構築した上で、より高利益体質に変革させると宣言していることは興味深いところです。
Ubicomホールディングス「2020年3月期 決算説明資料」
シイエム・シイ(CMC)
大手自動車メーカーのマニュアル制作に強いシイエム・シイが2020年5月20日に実施した決算説明会を行いました。2030年に営業利益100億円を目指すためにM&Aによる市場拡大を目指す考えです。主力事業であるマニュアル制作の次の柱としてマーケティング支援や戦略支援を掲げており、M&Aを活用してそのソリューションの幅を広げていく考えです。
シイエム・シイ「2020年9月期 第2四半期連結決算説明資料」
アフターコロナにおけるM&Aマーケットのまとめ
この記事の執筆時点(2020年5月26日)では、まだまだこの先の経済状況が見えないところですが、確実に経営者のマインドに変化は出てきており、M&Aの意思決定にも影響を与えることは間違いありません。
投資を控える企業もいれば、今だからこそ積極的に買収して事業を伸ばしたいと考える企業もいます。
そして、間違いなく今後言えることは、「ちゃんとした会社がより高く評価される時代になる」ということです。
これはなにもすごい業績を上げているとか、内部体制がしっかりしているとか一部のことを言っているわけではありません。
売却しようと考えている経営者の方は「自分が買手なら自分の会社を買いたいかどうか」を考えてみてください。
もし仮にその答えに迷ったとしても、将来しっかりとした条件で売却するために準備をすれば問題はないでしょう。
またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
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