【2026年最新】事業承継・M&A補助金とは?4つの枠と補助上限・申請の流れを解説

事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aにかかる費用の一部を国が補助する制度です。旧称は事業承継・引継ぎ補助金で、中小企業庁が実施する中小企業生産性革命推進事業の一つです。令和7年度補正予算では、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠の4つの枠が用意されています。
事業承継やM&Aを検討し始めると、専門家への相談料や仲介・FA報酬など、まとまった費用がかかることに戸惑う経営者は少なくありません。補助金を使えば、こうした費用の一部を軽減できる場合があります。事業承継全体の進め方や考え方は、事業承継とはのページで整理しています。
この記事では、事業承継・M&A補助金の4つの枠と補助上限・補助率、対象になる経費、申請の流れと公募スケジュールを整理します。公募回ごとに要件や上限額が変わることがあるため、申請を検討する際は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
事業承継・M&A補助金とは(旧・事業承継・引継ぎ補助金)
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事業承継・M&A補助金は、中小企業庁が実施する中小企業生産性革命推進事業の一つです。旧称は事業承継・引継ぎ補助金で、現在の名称に変わっています。制度の詳細は、公式事務局サイト(https://shoukei-mahojokin.go.jp/)と中小機構「補助金活用ナビ」で公開されています。
対象になるのは、事業承継や第三者への引き継ぎ(M&A)に取り組む中小企業です。承継の準備段階、M&A実行時の専門家活用、成約後の統合作業(PMI)、廃業を選ぶ場合の費用まで、フェーズに応じて4つの枠が用意されています。自社が今どの段階にいるかによって、対象になる枠は変わります。
4つの枠と補助上限・補助率
事業承継・M&A補助金には、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠の4つの枠があります。令和7年度補正予算における補助上限と補助率は、次の表のとおりです。
| 枠 | 主な対象 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 5年以内に親族内・従業員承継を予定する事業者の設備投資等 | 800万円(一定の賃上げ実施で1,000万円) | 1/2(小規模事業者は2/3) |
| 専門家活用枠 | M&Aにおける買い手・売り手の専門家活用費用 | 買い手支援類型600万〜800万円(特定要件で2,000万円)/売り手支援類型600万〜800万円/小規模売り手支援類型450万円 | 類型により1/3〜2/3(売り手支援類型1/2、小規模売り手支援類型2/3) |
| PMI推進枠 | M&A成立後の統合作業(専門家活用・事業統合投資) | 専門家活用類型150万円/事業統合投資類型800万〜1,000万円 | 専門家活用類型1/2 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 廃業に伴う費用(他枠と併用申請可) | 150万円 | 1/2・2/3 |
事業承継促進枠|親族内・従業員承継の準備を後押し
事業承継促進枠は、5年以内に親族内承継や従業員承継を予定する事業者を対象に、設備投資等の費用を補助する枠です。補助上限は800万円で、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率は1/2で、小規模事業者は2/3です。
たとえば、年商8億円の製造業が、5年以内に息子への承継を予定していて、承継後の事業を見据えて生産設備の更新を計画している場合、この枠の対象になり得ます。承継後の事業を継続・成長させるための投資を後押しする枠といえます。
専門家活用枠|M&Aの仲介・FA報酬やDD費用が対象
専門家活用枠は、M&Aで買い手・売り手それぞれが専門家を活用する費用を補助する枠です。買い手支援類型は600万〜800万円が上限で、特定の要件を満たすと2,000万円まで引き上げられます。売り手支援類型は600万〜800万円、小規模な売り手向けの小規模売り手支援類型は450万円が上限です。補助率は類型によって1/3〜2/3の範囲で決まり、売り手支援類型は1/2、小規模売り手支援類型は2/3です。
年商3億円の卸売業がM&Aで会社を譲渡する場合、仲介会社への成功報酬や、弁護士によるセカンドオピニオン費用が、この枠の対象になり得ます。対象経費の詳細は次の章で整理します。
PMI推進枠|M&A成立後の統合作業を支援
PMI推進枠は、M&Aが成立した後の統合作業(PMI)にかかる費用を補助する枠です。専門家を活用する場合の上限は150万円(補助率1/2)、設備投資等を伴う事業統合投資の場合は800万〜1,000万円が上限です。M&Aは成約してからが本番といわれることも多く、この枠は成約後の実務を支える位置づけです。
廃業・再チャレンジ枠|廃業費用を補助、他枠と併用も可能
廃業・再チャレンジ枠は、事業を廃業する場合にかかる費用を補助する枠です。上限は150万円で、補助率は1/2または2/3です。この枠は、他の枠と併用して申請できる点が特徴です。たとえばM&Aで一部の事業を譲渡しながら、残りの事業を廃業する場合など、複数の枠を組み合わせて申請できる可能性があります。
4つの枠は、承継の準備段階からM&A実行、成約後の統合、廃業まで、事業承継のさまざまな局面に対応しています。自社がどのフェーズにあるかによって、申請できる枠や検討すべき組み合わせは変わります。
対象経費
補助金の対象になる経費は、枠によって異なります。専門家活用枠では、次のような費用が対象です。
- FA・仲介手数料
- デューデリジェンス(DD)費用
- セカンドオピニオン費用
- 表明保証保険料
これらは、M&Aを進めるうえで専門家に依頼する機会が多い費用です。仲介・FA報酬の一般的な相場は、M&Aの費用・手数料 完全ガイドで整理しています。
事業承継促進枠は設備投資等、PMI推進枠は統合作業にかかる費用、廃業・再チャレンジ枠は廃業に伴う費用が対象です。対象になる経費の具体的な範囲は公募要領に細かく定められているため、申請前に必ず確認してください。
M&Aナビの成約までの期間は、平均6ヶ月ほどです(案件によって前後します)。
後継者を探す時間が限られているなら、早めに選択肢を知っておくと動きやすくなります。
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申請の流れと公募スケジュール
申請は、公募要領を確認したうえで必要書類をそろえ、電子申請システムから提出する流れが基本です。電子申請システムの利用にあたって必要な手続き(GビズIDの取得など)は公募回ごとに案内されるため、事前に公式サイトで確認しておくとスムーズです。
採択されたからといって、すぐに補助金が振り込まれるわけではありません。事業を実施した後に実績報告を提出し、内容が確認されてから補助金が支払われる仕組みが一般的です。準備から受給まで一定の期間がかかることを踏まえて、スケジュールを組んでおく必要があります。
2026年7月時点で公募が行われているのは15次公募で、2026年6月19日から7月24日まで受け付けています。14次公募は2026年2月27日から4月3日まで実施され、すでに終了しています。次回以降の公募スケジュールや詳細な要件は、公募回ごとに変わることがあります。申請を検討する際は、必ず中小企業庁や事務局の公式サイト(https://shoukei-mahojokin.go.jp/)で最新の公募要領を確認してください。出典は、中小企業庁「事業承継・M&A補助金」公募ページと中小機構「補助金活用ナビ」です。
申請準備で押さえること
公募期間は限られているため、書類の準備に時間がかかると申請のタイミングを逃してしまいます。自社がどの枠の対象になるか、必要書類は何かを早めに確認しておくことが、申請準備の第一歩です。
要件を自社だけで読み解くのが難しい場合は、税理士や中小企業診断士、商工会議所などに相談する方法もあります。M&Aにおける専門家活用枠を検討している場合は、仲介会社やFAへの相談と並行して準備を進めると、必要な書類をそろえやすくなります。M&Aによる事業承継を検討している場合は、事業承継型M&Aの記事もあわせてご覧ください。
公募回ごとに対象になる事業者の範囲や必要書類が見直されることもあるため、前回の公募要領をそのまま参考にせず、申請する回の最新の公募要領を確認する習慣をつけておくと安心です。
補助金以外の費用軽減
補助金は、事業承継やM&Aにかかる費用の一部を補うものであり、費用全体をゼロにする制度ではありません。対象経費や上限額に該当しない費用は、自己負担になります。
費用そのものを抑える方法として、着手金や中間金がかからない完全成功報酬型の仲介会社を選ぶという選択肢もあります。承継方法ごとの費用構造や仲介・FA報酬の相場は、事業承継の費用で整理しています。補助金の活用と合わせて検討することで、費用面の負担をさらに軽減できる場合があります。
よくある質問
Q1. 事業承継・M&A補助金とは何ですか?
中小企業庁が実施する補助金制度で、事業承継やM&Aにかかる費用の一部を補助します。旧称は事業承継・引継ぎ補助金で、事業承継促進枠など4つの枠があります。
Q2. 補助金の上限額はいくらですか?
枠によって異なります。事業承継促進枠は800万円(賃上げで1,000万円)、専門家活用枠は通常600万〜800万円(特定要件を満たす買い手支援類型で最大2,000万円)、PMI推進枠は最大1,000万円、廃業・再チャレンジ枠は150万円です。
Q3. 補助率はどれくらいですか?
枠や事業者の規模、類型によって1/3〜2/3の範囲で決まります。詳しい補助率は枠ごとに異なるため、申請前に公募要領で確認してください。
Q4. いつまで申請できますか?
2026年7月時点の15次公募は2026年7月24日まで受け付けています。次回以降の日程は、中小企業庁や事務局の公式サイトで確認してください。
Q5. 申請にはどんな準備が必要ですか?
対象になる枠や必要書類、電子申請システムの利用手続きを早めに確認することが大切です。税理士や中小企業診断士に相談する方法もあります。
Q6. 補助金を使えばM&Aの費用はかからなくなりますか?
いいえ。補助金は費用の一部を補うものです。対象外の経費や上限を超える部分は自己負担になります。詳しい費用の相場は事業承継の費用の記事で解説しています。
まとめ
事業承継・M&A補助金は、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠の4つの枠で構成され、承継の準備段階から成約後の統合、廃業まで幅広い場面に対応しています。補助上限や補助率、対象経費は枠ごとに異なり、公募回によっても変わるため、申請を検討する際は必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
自社がどの枠の対象になるか判断に迷う場合は、税理士や中小企業診断士、M&A仲介会社など専門家に早めに相談することをおすすめします。
M&Aナビでは、相談料や着手金がかからない完全成功報酬で、事業承継やM&Aに関するご相談を承っています。補助金の活用を検討している段階でも、お気軽にアドバイザーへご相談ください。

株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』






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