後継者のいない経営者に残された選択肢とは?中小企業の事業承継の現状を解説
後継者がいない場合、経営者がとるべき選択は何でしょうか。
2023年、日本の後継者不在率が過去最低の53.9%まで下がっていますが、それでもなお半数以上の経営者が事業承継について懸念を抱えています。
そこでこの記事では、中小企業が直面する後継者不在の現状、その背景にある要因、企業が倒産するリスク、そして後継者のいない経営者がとるべき選択肢について解説します。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
目次
中小企業の後継者不在の状況
後継者不在率は過去最低の53.9%となり、年々改善傾向が続いています。
この傾向の一因として、地方自治体や地域金融機関による事業継承の支援や、第三者によるM&A、またはファンドを通じた経営の再構築を伴う事業継承の推進が挙げられます(引用:帝国データバンク)。
後継者不在が中小企業に与える影響
日本の多くの中小企業は家族経営であり、経営者の平均年齢は上がり続けています。
そのため、年齢による経営者の健康問題など突然の退職が起きた場合企業の存続が脅かされます。
また、後継者不在は企業の成長戦略や持続可能性にも影響を及ぼします。
後継者がいない場合、企業のビジョンや戦略の継承が困難となり、競争力の低下を招く可能性があります。
さらに、後継者不在は従業員や取引先、地域経済にも影響を及ぼします。
不安定な経営状況や企業の存続の不透明さは従業員のモチベーション低下や取引先との信頼関係の損失を招き、地域経済全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
(引用:帝国データバンク)
後継者不足で企業が倒産する要因
後継者不足は、企業の倒産に直結する要因の一つとして重要視されています。
後継者不足が起きてしまう要因を以下に示します。
①少子高齢化の影響
日本では少子高齢化が進んでおり、出世率も減少傾向です。
また、経営者の平均年齢も年々上昇し、現経営者の多くはシニア層となっています。
そのため年齢により引退を考える経営者が増えている一方、事業を引き継ぐ適任の後継者が不足しています。
その結果、突然の病気や体調不良により事業が継続できなくなり、倒産する事例が増加しています。
② 事業の将来性への不安
経営者は事業を続けても経営の改善が難しいと判断するケースがあります。
その場合、自身の会社を後継者に継がせることに慎重な姿勢を示すことになります。
また後継者自身も、明確なビジョンや事業計画の欠如により、事業を引き継ぐことに対する不安を抱え、事業を引き継ぐことを避けることに繋がります。
③ 十分な準備期間の確保が難しい
事業承継には多くの資料と時間が必要ですが、経営者は日々の業務に追われて時間を取れません。
結果として、突然の事態に直面した場合、事業承継ができない状況に陥ってしまいます。
事業承継に必要な資料が不足している場合もあり、準備を早めに進めることが重要です。
後継者不足が引き起こす企業価値の低下と防止策
後継者不足は、企業価値の低下を引き起こす可能性があります。
経営者の交代に伴う経営体制の不安定化や戦略の変更、信頼関係の崩壊などが、企業の評価に影響を与えることがあります。
このような企業価値の低下を防止するためには、事業承継計画の策定や経営者の育成が重要です。
さらに、企業の価値を維持するためには、ブランド価値の強化や競争力の向上など、継続的な成長戦略の実行が必要です。
後継者のいない経営者がとるべき選択
後継者のいない経営者が取るべき選択について考察します。後継者不在時の経営戦略や事業承継の方法について検討します。
事業承継計画の策定と実行
後継者不在時には、事業承継計画の策定と実行が重要です。
事業継承計画を策定し、具体的な手順や期限を明確に設定します。
これに基づき、M&A仲介や金融機関と協力し、適切な後継者を見つけます。
後継者の候補としては以下の4つがあります。
後継者不在時のM&Aのメリット
後継者不在時には、M&A(合併・買収)を選択することも有効な手段の一つです。
M&Aは、企業の存続を確保するために、他社との統合や買収を通じて経営資源や市場シェアを拡大する手法です。
M&Aのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
1. 事業の多角化やシナジー効果の実現
自社の事業と買い手企業の資本やインフラとの組み合わせにより、経営改善が期待され、市場での競争力強化に繋がります。
2. 従業員の雇用維持
M&Aでは条件として従業員の雇用継続するのが一般的です。
そのため、M&A後も従業員の雇用が保持できます。
また、M&Aにより大手グループの傘下に入ることができれば、従業員の待遇が良くなる場合もあります。
M&Aによる従業員への影響に関しては、以下の記事をご確認ください。
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3. 売却資金の獲得
会社を売却することで、売却資金を得ることができます。
そのため、引退後の生活資金だったり、あるいは新しい事業に挑戦するのに必要なお金を準備できます。
4. 次世代への事業の承継
M&Aで会社を売却することで、次の世代に事業を承継することができます。
親族や従業員への承継と比較して、幅広い候補先から後継者を選択することができるためより長い目線で会社の発展を考えることができるでしょう。
最近では、後継者のいない会社を承継することを目指したM&Aの買い手候補も増えてきています。
M&Aによる事業承継を検討することで、より良い後継者を見つけることができるでしょう。
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後継者不在・事業承継についてのおすすめの相談先
事業承継には法務や財務など多くの知識が求められ、手続きも多くあります。
そのため後継者不在や事業承継に関して、顧問の公認会計士・税理士や地域金融期間、M&A仲介会社に相談するのが頼ることも重要です。
また、近年ではM&Aプラットフォームを利用した事業承継も増えております。
専門家による事業承継支援サービス
以下に主な事業承継の相談先について記します。
1.公認会計士
監査・会計の専門家として財務書類の監査証明業務など、財務に関する調査・相談に応じる事業承継の支援が期待できます。
経営状況・課題の見える化や磨き上げ、非上場株式の評価・M&Aにおける売却価格の試算、経営者は個人保証の解除などの支援が受けられます。
ただし、事業承継のプロフェッショナルではないので、経営者に寄りそった支援をどれだけ受けられるかは未知の部分があります。
2.税理士
税理士は顧問契約を通じて中小企業との関わりがあり、決算支援などに伴い経営にも精通しています。
相続税に関する助言や株価評価、相続・贈与に対する助言など、幅広いサポートを期待することができます。近年は事業承継支援を取り組む税理土事務所も増えています。
特に、M&Aにおいて税理士が果たす役割については、以下の記事で詳細をまとめておりますのでご確認ください。
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3.地域金融機関
融資など会社の資金面をサポートする金融機関も有力な相談先です。近年は地域振興の観点から事業承継に取り組む金融機関が現れ始めています。
あくまでも資金面の付き合いですが、身運な存在であり財務状況を把握しているだけに、よい支援先になる可能性を秘めているのです。
4.M&A仲介
M&Aを検討するなら、相談からマッチング、売却実行までの一連のプロセスを請け負うM&A仲介会社は相談相手の選択肢になるかもしれません。
またオンラインプラットフォームを活用したM&A仲介に頼むことで、より手軽にM&Aをできます。(引用:中小企業向け 会社を守る事業承継)
以上が主な事業承継の相談先です。それぞれの特徴を踏まえて適切な相談先を選定し、事業承継に取り組むことが重要です。
M&A仲介会社の選び方や費用に関しては以下の記事をご確認ください。
M&A仲介会社の選び方や費用について解説!2つ...
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【後継者のいない経営者が取るべき選択】まとめ
後継者不在の問題は、中小企業にとって避けて通れない重大な課題であり、その解決には事業承継計画の策定から専門家のアドバイスの活用まで、綿密な準備と戦略的なアプローチが求められます。
本記事では、後継者不在の現状分析から、企業倒産のリスク要因、経営者が取り得る選択肢、そして有効な相談先に至るまで、幅広い情報を提供しました。
経営者自身が積極的に事業承継の計画を立て、適切な支援機関や専門家と連携することで、後継者不在によるリスクを最小限に抑え、企業の持続可能な成長を実現することが可能です。
事業承継は次世代へのバトンタッチであり、その成功は企業の未来だけでなく、地域社会や国の経済にとっても価値ある遺産となります。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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