経営者・社長をやめる3つの方法【おすすめの方法とその理由も解説】

2024年03月22日

経営者をやめる3つの方法

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「会社をやめたい」

経営者や社長であれば、多くの方が一度は考えたことがあるでしょう。
ただ、会社勤めをしている方と違って、経営者は心理的にも物理的にも背負っているものが多く、心では思っていてもなかなか現実的に深く考える機会はないかもしれません。

しかし、実は年々自ら廃業する件数は増えています。東京商工リサーチの調べによると、2021年に休廃業した会社は44,377件、倒産した会社は6,030件でした。

そこで、この記事では経営者が「会社の経営をやめる」ことについて考えてみましょう。

経営者や社長が会社をやめたいと思う理由とは

廃業を考えた理由

中小企業庁が経営者を対象に調査した「廃業を考えている理由」にあるとおり、先が見通せないと感じたときに廃業を決断することがうかがえます。

  1. 業績が厳しい(37.3%)
  2. 後継者を確保できない(33.3%)
  3. 会社に将来性がない(30.7%)
  4. もともと自分の代限りでやめるつもりだった(30.7%)
  5. 高齢のため(22.7%)
  6. 従業員の確保が困難(17.3%)
  7. 技能等の引継ぎが困難(14.7%)
  8. 事業用資産の老朽化(6.7%)

なぜ業績が厳しくなるのか?

M&Aナビの調査によれば、多くの経営者が、「業績の悪化が止まらず再浮上の見込みがないと感じたときに、売却することを決断した」と仰っています。
それでは、何が原因で企業の業績は悪化するのでしょうか?もちろん、さまざまな原因が絡み合った結果ではあるものの、多くの会社に共通する点として、以下の2点が挙げられます。

  • 固定費の割合が大きすぎる
  • 組織力を生かしきれていない

固定費の割合が大きすぎる

利益を出せない決算内容の特徴として、固定費の中でも人件費と家賃の比率が大きすぎるケースが往々にしてあります。

これらの費用は会社の成長と共に膨らんでいきやすく、無理な拡大を続けてしまうと少しでも事業が傾いた際に大きな負担となりがちです。
一方で、店舗の維持費や社員やアルバイトスタッフの給料など、事業を維持するためには削れない必要コストとなるため、業績が悪化してもなかなか手をつけづらい費用といえます。

本来であれば、固定費にかけている投資によって収益を生み出すことが必要であるため、単純に固定費の割合を論じるべきではないものの、費用のコントロールがうまくいかなくなれば業績も経営者のマインドも下がってしまうことは間違いありません。

組織の力を生かしきれていない

次に、社員一人ひとりの能力やスキルを生かしきれず、組織としての力を発揮できないことも、業績を伸ばせない企業の特徴です。
多くの経営者が、会社が大きくなるにつれて徐々に社員とのコミュニケーションが行き届かなくなったという悩みを持っています。

M&Aナビに寄せられる声としては、経営者の方の多くが、社員数がおおむね30名を超えたあたりからコミュニケーションが希薄化してきたとおっしゃっています。また、中小企業においては、社長が一番デキる人である場合が多く、なかなか権限委譲や業務分担ができないこともしばしばです。

これらの要因が重なると結果的に会社の組織力の低下を招き、長期的に見れば業績の悪化に繋がってしまうのです。

後継者がいない

いくら会社の事業が好調でも年齢には逆らえません。
日本の経営者の平均年齢は60歳を超えている上に、3分の2以上の会社が後継者不足に悩んでいると言われています。
事業に対する意欲が下がっていく上に、後を継いでくれる人材がいない場合、経営そのものをやめてしまいたくなるのは当然です。

また、たとえ後継者候補がいたとしても、税務面で業績が良い会社であればあるほど承継させることは難しくなりますし、業績が悪い会社の場合は誰も継ぎたくないでしょうから、経営者の年齢が上がるにつれていずれにしても事業承継の問題は発生します。

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会社の経営をやめる3つの方法

このように、経営者であれば誰でも先行きが不安になるはずですが、現実的に会社の経営をやめるためには「廃業」「社内承継」「売却」のいずれか3つしかありません。それぞれのケースはどのようなものなのかご説明いたします。

廃業することで会社の経営者をやめる

廃業とは、会社に残っているお金(資産)を使ってすべての借金(負債)を支払った上で、経営者が自ら会社を畳むことをいいます。

従業員や取引先など、多くの関係者を路頭に迷わせたり迷惑をかけてしまったりする可能性もありますが、法律上は認められている手法ですので、丁寧に時間と労力ををかけることで、影響も最小限に抑えることができるでしょう。

ただし、思い立ってすぐに畳むことはできません。所定の手続きが発生しますので、専門家の助言を仰ぎながら進めていく必要があります。
自ら畳むためには、畳んだ後に1円も借金が残らないこと、つまりそれなりの現金が手元にあることが最大の条件となります。
よって、すでに業績がかなり悪化して会社に現金がほとんどない状態ですと、畳みたくてもできなくなり、債権者との厳しい交渉が待っていたり、経営者自身にも借金が残ったりする可能性があります。

会社の廃業については、こちらの記事も参考にしてください。

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身内や社内の後継者に会社を承継する

ご家族や役員などに「会社を継いでもよい」と考えてくれている後継者がいる場合は、その方に承継することで引退することが可能です。もし対象となる後継者がいる場合は有力な選択肢となるでしょう。

一方で、いくら身近な存在といえども経営者が持つ株式を譲り渡すことに変わりはありませんから、場合によってはお金のやり取りが発生したり後継者に多大な税金がかかったりする可能性もあります。
さらに、いまの経営者が入っている連帯保証は、基本的にすべて後継者に引き継ぐため、特に親族以外の社員や役員に引き継ぐ場合には嫌がられることも多く、現実的に円満な承継をすることは簡単ではありません。
ただし、近年ではできるだけ承継に関する障害を取り除くべく税制の改正が行われております。この記事を参考にしてください。

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会社を売却して経営者・社長をやめる

会社売却とは、オーナー経営者がもつ株式を第三者に譲り渡すことで、会社の所有権を手放すことです。会社の所有権がなくなっても、制度上はもちろん職業としての「社長」を続けることはできますが、中小企業のM&Aにおいては売却と同時に代表取締役を退任することが一般的です。

さらに、会社の借り入れの際につけていた代表者保証についても、通常は売却時に新オーナーに引き継ぐため、売却することでその経営者と会社との間には一切の関係性がなくなります。自分が創業したり成長させたりした大切な会社を手放すことになりますが、従業員の雇用も取引先の信用も守ることができる会社売却は、現実的に一番有力な選択肢といえるでしょう。

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M&Aという選択肢についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

廃業する前に考えたい「M&A」という選択肢

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会社の経営をやめるには売却がおすすめ

つまり、会社の経営をやめるにあたって最もおすすめな方法は売却(M&A)です。

会社を売却することによって、多くの課題を解決することができます。

  • 経営者を引退することができる
  • 売却益を手にすることができる
  • 雇用や取引を守ることができる

会社を売却するにあたってのメリットは、こちらの記事も参考にしてください。

中小企業のM&Aにおける事業承継のメリットと...

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一方で、もちろん会社売却には少なからず負担やリスクも存在しますし、経営状況や準備のタイミングによっては必ずしも売却できるとは限りません。できる限り望み通りの売却を実現するには、少しでも早く準備を進めることが重要です。

またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

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