会社を廃業すると借金はどうなる!?パターン別の対応方法を徹底解説!

2022年11月24日

日本の中小企業のうち、どれくらいの企業が融資を受けているかご存知ですか?
実は、2018年の中小企業庁の調査によると、約65%が借り入れをおこなって経営しています。

そして、ある程度借入れのある企業のほうが、無借金企業に比べると利益率が高くなるといった結果も出ています。
言い換えると、攻める経営をするためには借り入れは有効とも言えるかもしれません。

しかしながら、経営というものは非常に難しく、当然ながらうまく事業が成長しないこともありえます。
その結果、もう会社を廃業したいと思っているものの、借り入れがあるのでどうすればいいかわからない、という経営者は少なくありません。

特に2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、日本全国ほとんどの中小企業に逆風が吹いています。
経済状況が好転し事業も上向くことが一番ですが、万が一のときに備えて借り入れのある会社が廃業するとどうなるのかを知っておくことは大切です。

そこで、今回は廃業と融資の関係について解説します。

企業の廃業とはなにか?

廃業、倒産、清算など、普段なにげなく使っていることばは、似ているようで実は明確な違いがあります。

ある会社がなんらかの事情によって存在しなくなることを廃業と呼びます。

そして、廃業の中にも、オーナー自らの意思で会社をたたむか、意思に関わらず事業を続けることができなくなってしまうか、によって名称が変わってきます。

まず、廃業することを決めたら一番初めに負債を返済することを考えなければなりません。
従業員やお客様への告知、取引先への報告などいろいろ考えてしまいがちですが、負債が返済できるかどうかでその後の動き方は変わるため、はじめに経営者自身で返済可否を明らかにする必要があります。

廃業するならまず初めに負債を明らかにする

一般的な会社における代表的な負債をご紹介します。(なお、ここで説明する負債とは、会計上のことではなく「誰かに支払わなければならない義務を負っているお金」という意味のことを指しています。)

買掛金

何かものを買ったりサービスを受けたりした対価として支払うべきお金です。
取引先が買掛金として認識しているということは、通常それに相当するキャッシュの入金があると認識されていることになります。

リース

飲食店であれば厨房機器、営業会社であればコピー機や車など、リースで利用しているものは、その契約内容に応じて残債や違約金を支払う必要がでてきます。

事務所や店舗の賃料および原状回復費用

通常、事業用で賃借する不動産は3〜10ヶ月程度の解約予告期間が設けられています。
廃業したいタイミングによっては一定期間の賃料を支払う義務を負うほか、解約時には原状回復に費用がかかります。

金融機関からの借入れ

銀行や公庫などから借り入れている場合も返済しなければなりません。
借入れの内容によっては個人保証や担保がついているケースもあるので、借入れ時の条件をよく確認する必要があります。

税金や社会保険料の未納

法人税や消費税、あるいは従業員の社会保険料の未納があれば、清算前に納付しなければなりません。決算の時期と廃業を考えたタイミングによって意図せず支払い義務が発生することもありますので、しっかりと確認してください。

自らの意思で会社をたたむ「清算」

負債の額および返済計画が明らかになった上で、現在会社にある資産や現金によってすべて負債を返済できる場合は、きれいさっぱりと会社を畳むことができます。

株主総会にて会社を解散する決議をとり、会社に残った資産と負債を整理して清算手続きを行います。
このケースの場合は特に問題が発生することもないため、法的に定められた手法に則り進めていくことになります。

事業を続けることができなくなる「倒産」

一方で、会社に残っている資産よりも負債が多い場合は、勝手に会社を閉じることはできません。
その場合は、清算するか再建するかのいずれかによって会社を整理することになります。
また、各種法令に従って整理を進めること(法的整理)もあれば、債権者と直接話し合いによって解決を図ること(私的整理)もあります。法的整理を大別すると以下のとおりです。

清算型

  • 特別清算
  • 破産

再建型

  • 民事再生
  • 会社更生

かんたん1分

廃業時に借金が残ってしまう具体的なケース

それでは、廃業しても借金が残ってしまうケースはどういった場合なのでしょうか。

実質的に債務超過でない場合

廃業すると貸借対照表に載っている資産をすべて現金化して、負債を返済していきます。

たとえば、実質的な資産が1億円あり、負債が8,000万円だったとしましょう。
このとき、実質純資産は2,000万円のプラスです。
この場合、たとえ廃業したとしても手元に2,000万円の現預金が残り株主で配分することになります。

株主が自分だけであれば清算金として2,000万円が自分のものになります。

つまり、実質的に債務超過でない場合は借金が残ることはなく、通常の清算処理で終了します。

実質債務超過・担保なし・連帯保証なしの場合

債務超過の場合は、借金をすべて返すことはできません。

たとえば、実質的な資産が8,000万円しかないが1億円の借金がある場合で考えてみます。
この場合、差額の2,000万円は返せないため、債権者には返済を諦めてもらうしかありません。
また、連帯保証がないため、経営者自身が支払う必要はありません。

株主・経営者個人・会社は本来それぞれ別のものであり、倒産した場合に責任の範囲を超えて債務を負うことはなく、この場合は廃業後に借金が残ることはありません。

実質債務超過・担保あり・連帯保証なしの場合

債務超過で廃業する際には、担保が設定されている債務の取り扱いが重要になります。

のちほど説明しますが、担保とは非常に強い権利です。
債務に担保が設定されている場合は、最優先でその担保から債務を弁済されることになります。

たとえば、事業資金を借り入れた際に自宅を担保に入れている場合、本来は現金の代わりに自宅を返済に充てなければなりません。
担保によって支払うことができれば、廃業後に借金が残ることはありませんが、個人としての生活に支障が出ることも考えられるため、実際にはいろいろな選択肢を出しながら債権者と相談することになります。

いずれにしても、廃業を考える場合には、担保の有無によって大きく対応が変わってきます。

実質債務超過・担保なし・連帯保証ありの場合

この場合、廃業しても経営者個人に借金が残ってしまいます。

中小企業が融資を受ける場合、連帯保証がなければお金を借りることが難しいケースがほとんどです。
法人を廃業させたとしても連帯保証に入っている人は連帯して債務を負っているため、個人での返済義務が生じます。
たとえば、自分の会社を廃業させた後にサラリーマンとしてやり直したいと思っても、借金返済に追われてしまうこともありえます。

かんたん1分

会社を廃業する際に負債や借金が残った場合の対応方法

廃業を検討した結果、資産に比べて債務が多かった場合、支払うべきものから順に返済していくことになります。負債の優先順位についてみてみましょう。

担保

債権には、後述のとおりいくつかの種別がありそれぞれ優先順位が決まっています。
廃業する際には優先順位の高いものから返済していくのですが、最初に返済しなければならない債権は、担保が設定されている借金です。

正確にいえば担保は債権ではなく「債権を確実に弁済させるための効力をもつもの」とされており、優先弁済的効力があります。
これは、他の債権者がなんと言ってこようとも、あるいは債務者(会社側)が別の債権者に支払おうとするも関係なく、一番にその債権の弁済を受ける権利がある、ということを意味しています。

よって、まずは担保が設定されている債務から返済していくことになります。

財団債権


次に、債権そのものの中で最も優先順位が高いものが財団債権です。
どういったものが財団債権に当たるかについては破産法で定められており、代表的なものは以下のとおりです。

  • 破産手続きに関する裁判・申し立ての費用
  • 破産管財人の報酬(予納金)
  • 租税の請求権(手続き開始から1年以内のもの)
  • 従業員の給与(手続き開始前3ヶ月分)

一般債権

次に弁済されるべき債権が一般債権です。
一般債権の中でも、財団債権に含まれない従業員給与や未納税金が優先的に弁済され、通常の取引で発生する買掛金や前受金は一番最後の順位となります。

廃業しても借金が残ってしまう場合の対応策

廃業しても借金が残ってしまう場合は、廃業するメリットは減ります。その場合には何か対応策はないのでしょうか。考えられる手段をまとめてみました。

事業を立て直して再建を図る

たとえ借入金返済が資金繰りを苦しめているとしても、銀行に交渉することは可能です。

経営改善計画と呼ばれる事業計画を提出し、借入金返済のスケジュールを緩やかにしてもらうように交渉することで、その間の資金も融資してもらえる可能性もあります。

借金返済が猶予されている間に、経営改善計画に基づいてきちんとした経営を行い、事業を再建することで事業から得られるキャッシュフローで返済することは、ある意味王道のパターンであり、最も望ましい対応策ともいえるでしょう。

M&Aによって会社を売却する

事業がまだ回っているうちに、会社を売却することも選択肢の一つです。

会社を売却すると、通常は連帯保証を新たな買手に引き継ぎます。また、返済期限が近づいていたり過ぎていたりする債務を、新たな買手が返済に応じる可能性もあります。

廃業する前に考えたい、M&Aについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

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【廃業する前に】借金があっても会社は売却できる

借金があったとしても会社は売却することは可能です。

債務超過の場合、原則として会社の評価額としては値がつきません。

ただし、事業の将来性に価値を見出してもらうことができれば、債務および連帯保証を引き継いでもらえる可能性は十分にありますし、M&Aナビでもたくさんの実績があります。

そのため、借金があるからとすぐに諦めるのではなく、会社の売却可能性についても考えるとよいでしょう。

なお、債務超過の会社売却を自力でおこなうことは非常に難しいため、なるべく早めにM&Aの専門家に相談することがおすすめです。

またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

かんたん1分

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