パン屋のM&Aを解説!市場動向や成功事例を徹底解説
この記事では、パン屋のM&Aについて解説します。
地域密着型の店舗や複数店舗運営する事業者など、様々な業態があるパン屋について、M&Aの動向や成功事例、売買の戦略を解説していきます。
特に、パン屋を運営している方で、今後の事業の売却・買収を検討している方は必見です。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
目次
パン屋とは?
パン屋とは、パンやベーカリー製品を製造・販売する事業所のことを指します。
一般的には、以下の2つの業態があります。
- 製造小売業として、店内で焼きたてのパンを販売するベーカリー
- 製造卸業として、製造したパンを小売店に卸す業者
パン屋は地域密着型の製造小売業としての展開が中心です。
一方で、企業展開しているチェーン店もあり、バラエティに富んだ業界と言えます。
パン屋の店舗数の推移
パン屋の店舗数は微減している状況にあり、約1万1千店です。
パン食の浸透により増加してきたものの、人口減少などを背景に徐々に減少している傾向がうかがえます。
一方で、パン市場自体は拡大していると言われています。
パン屋の減少には、コンビニエンスストアや量販店といった総合小売業がパン市場への参入による競争環境の激化が背景にあると考えられるでしょう。
パン屋の今後の課題
パン屋業界では主に以下のような課題があるといわれています。
- 原材料高騰
- 人手不足
- 後継者不足
中でも原材料の価格高騰は大きな課題となっています。
パンの原料は小麦であり、そのほとんどは輸入に頼っていることが背景としてあります。
昨今の世界情勢により、小麦粉や油脂などの原材料価格が高止まりしており、コスト上昇圧力があります。
特に。価格転嫁が難しい零細店ほど影響が大きくなります。
パン屋は廃業数が多いことが課題
パン屋業界では、特に小規模な店舗が経営困難に陥りやすく、高い廃業率が大きな課題となっています。
実際、パン屋の倒産が急増しており、2023年度の倒産件数が37件と前年度の2倍になったという東京商工リサーチの調査もあります。
参考:
「パン屋さん」の倒産が急増し年度最多を更新 小麦価格の上昇などコストアップが痛手に
人件費や材料費の高騰
パン屋の運営コストの中で、特に人件費と材料費の高騰が影響を与えています。
原材料の価格は市場の変動に左右されるため、小麦やバターなどの基本的な材料コストが予測不能な形で上昇することがあります。
また、質の高いサービスを提供するためには熟練した職人が必要であり、これらの人件費も経営を圧迫する要因となっています。
地域密着型店舗の事業承継問題
多くのパン屋は家族経営や地域に根ざした小規模事業として運営されていますが、後継者不足による事業承継の問題が顕著です。
現在の経営者が退職する際、適切な後継者が見つからないことで事業が持続できなくなるケースが増えています。これにより、地域社会における重要な社会的役割を担うパン屋が失われることがあります。
事業承継については、以下の記事で詳細に解説していますので気になる方はチェックしてみてください。
事業承継とは?基礎基本から成功へのポイントまで...
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パン屋がM&Aをするメリット
パン屋業界におけるM&Aは、売り手と買い手双方に有益なメリットをもたらします。これにより、経営資源の最適化、市場競争力の強化、そして事業継続の確保が可能となります。
売り手側のメリット
まずは売り手側のメリットから見ていきましょう。
事業承継問題の解決
後継者不足に悩むパン屋にとって、M&Aは事業承継の問題を解決する一つの有効な手段です。売り手は自身の事業を継続させることができ、多年にわたる努力とブランドを次世代に引き継ぐことが可能になります。
ブランドを残すことができる
M&Aにより、長年培ったブランド価値を保持し、新しい経営体のもとでさらなる発展を遂げることができます。これは、特に消費者からの信頼が厚い地域密着型のパン屋にとって大きなメリットです。
経営リスクを回避できる
先に示した通り、パン屋は他の業界と比較して廃業率が高いのが特徴です。
M&Aにより他社の傘下に入ることで、安定した事業運営が可能になります。
買い手側のメリット
次に買い手側のメリットについて見ていきます。
素早い店舗の立ち上げができる
既存の事業を買収することで、新規事業の立ち上げに必要な時間とコストを大幅に削減できます。これは、市場への迅速な参入を可能にし、成長機会を早期に捉えるために有利です。
既存顧客の引継ぎができる
買収により、売り手の既存顧客基盤を引き継ぐことができます。これは、新しい事業者が信頼関係を築き、安定した収益を確保する上で重要なアドバンテージとなります。
パン屋のM&Aの売却価格相場
パン屋がM&Aにおいて事業を売却する場合、相場はあるのでしょうか。
この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、パン屋がM&Aする際の特有の事情まで解説をしていきます。
M&Aにおける売却価格の考え方
M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。
- コストアプローチ(純資産に着目)
- インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
- マーケットアプローチ(市場相場に着目)
詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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パン屋がM&Aする際に考慮すべき特有の事情
M&Aにおける一般的な価値算定の手法を用いつつも、パン屋のM&Aにおいて特有の事情も存在します。
主に、以下のような内容がパン屋のM&Aにおいて売却価格に影響することが多いです。
- 立地条件
- ブランド力
- 設備状況
立地条件・ブランド力・設備状況が、できるだけ良い状態であれば、売却価格は高くなることが考えられます。
M&Aを検討するにあたって、現在の状況を確認しておくと候補先との交渉をスムーズに進められるでしょう。
パン屋のM&A事例
パン屋のM&A事例について紹介します。
山崎製パンが神戸屋の包装パンの製造販売事業を買収
2022年8月、山崎製パン株式会社は、株式会社神戸屋の包装パンの製造販売事業の譲受を行うと発表しました。
山崎製パンは、国内首位の売上規模を誇る製パン会社であり、今回の買収によりさらなる成長が予想されます。
今回の買収では、譲受をした事業ブランドを当面維持するとしています。
参考:
株式会社神戸屋の包装パン事業等の譲受けに関するお知らせ
食パンの専門店「乃が美」を手掛ける起源HDが株式会社SHI-MIZUの「高級芋菓子しみず」事業を買収
2022年6月、株式会社SHI-MIZUはお芋スイーツ専門店「高級芋菓子しみず」事業を、株式会社起源ホールディングスへ譲渡したことを発表しました。
株式会社起源ホールディングスは、高級生食パンブームの火付け役である阪上雄司氏が率いる会社です。
阪上雄司は、高級食パンの専門店「乃が美」を手掛けています。
参考:
【高級芋菓子しみず】高級食パンブーム火付け人「阪上雄司」氏率いる 新会社「株式会社起源ホールディングス」へ事業譲渡のお知らせ
竹下製菓株式会社が株式会社清水屋食品を買収
2022年1月、竹下製菓株式会社清水屋食品を買収しました。
竹下製菓は、主力商品として「ブラックモンブラン」を手掛ける氷菓メーカーです。
一方、売り手となった清水屋食品は、岡山に本社を置く製パンメーカーであり、「生クリームパン」などの特徴ある商品を手掛けています。
参考:
会社情報
パン屋がM&Aを成功させる3つのポイント
そんなパン屋のM&Aを成功させるには以下の3つのポイントがあります。
- 十分な検討期間を設けること
- 正しくブランド価値を認識すること
- 経験豊富な専門家に相談すること
それぞれについて見ていきましょう。
十分な検討期間を設けること
事業の継続が難しくなる前に、店舗や設備、人材などの経営資源に残存価値がある時期を捉えて売却を検討することが肝心です。
収益が低迷する前の早めの売却が有利になる場合があります。
正しくブランド価値を認識すること
長年培ったブランド価値や顧客基盤、従業員の雇用を守ることが求められます。
正しく自社のブランド価値を理解し、事業継続に向けて良い交渉先を選定しましょう。
買収後の方針について買い手と綿密に調整し、従業員や地域への影響に配慮することが不可欠です。
経験豊富な専門家に相談すること
M&Aは複雑なプロセスであり、専門的な知識が必要とされます。
法律、財務、文化的な側面を含め、各種の専門家に相談し、詳細なアドバイスを受けることで、適切な戦略を策定し、リスクを最小化することができます。
パン屋のM&Aの実績が豊富なM&A専門家を選定することで、自社の目的に沿った提案を受けることができるでしょう。
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パン屋がM&Aを考えた時におすすめの相談先
パン屋のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。
M&Aプラットフォーム
オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、パン屋業者はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
パン屋の案件もありますので、一度見てみてください。
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パン屋のM&Aについてのまとめ
いかがでしたでしょうか。
パン屋では、高い廃業率が課題となっており、その一つの要因として後継者不在の問題がありました。
また、その解決策の1つとしてM&Aを選択することが有効であり、パン屋がM&Aをする際のメリットや価格相場について解説してきました。
本記事が、パン屋を運営する皆様のM&A戦略の一助となれば幸いでございます。
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また、パン屋に近い業界・業態には、カフェや和菓子製造業などがあります。
以下の記事で業界ごとのM&Aについて解説しているので、ご興味ある方は確認してみてください。
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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