事業承継とは?5つの手法と各種ポイントをご紹介
現在、国内企業の3社に2社は後継者がいないと言われています。
株式会社の数は約250万社ですので約167万社に後継者がいないことになります。
これが現在大きな社会問題となっている「事業承継問題」です。
多くの経営者にとって避けて通れないこの事業承継問題を解決するには、どんな手法があるのでしょうか?
本稿では、主な承継手法として挙げられる5つの手法をご紹介しつつ、その中でも特に中小企業に適した3つの手法について解説します。
事業承継5つの手法
オーナー経営者の場合、5つの手法があるといわれています。
- 親族内で承継する
- 従業員に承継する
- 第三者に承継する
- IPOする
- 清算・廃業する
この中で、「IPO」は、2017年実績でも90社と非常に狭き門です。現実的な選択肢として非常に難しいといえるでしょう。
また、「清算・廃業」も事業を廃止することになり“承継”できるわけではありません。
現実的には3つの手法で事業承継を検討
したがって、事業を存続させることを前提にすると、1〜3の3つの手法から選択することになります。
これらは、それぞれにメリットもリスクもあるため、個別の事情や意思によって何が最適な手法なのか変わってきます。
親族内で承継する
いわゆる「子供に会社を継がせる」などのケースです。
従来、事業承継といえば親族内承継が一般的であり、多くの経営者が望んでいる選択肢といえるでしょう。
誰が後継者なのか決まっているため、株式や資産の移転を計画的に行うことができ、事業承継後も所有と経営が分離しないメリットがあります。
また、従業員承継や第三者承継に比べ、従業員や取引先などの利害関係者から心情的にも受け入れられやすいため、後継者や周囲の同意さえ得られれば比較的スムーズに事業承継を行うことができる方法といえます。
しかし、冒頭でも述べたとおり、現在の日本では2/3の企業に後継者がいません。
つまり、会社を継いでくれる子供や親族が身近にいないため、そもそもこの選択肢を取りたくても取れないというのが実情です。
実際、直近10年で親族内承継の割合は急減しており、今後も増える見込みはなさそうです。
従業員に承継する
親族内承継が急減している一方で、従業員への承継は増加傾向にあります。
(従業員承継には、親族以外の“役員”に対する承継や外部招聘者への承継も含まれます)
経営者の立場からすれば、社内のことを十分把握している者に対し、事業を承継できる安心感があり、適任者の見極めも実際の働きぶりを見ながら検討することが可能です。
また、社内で活躍している方が後継者になるといえば、ほかの従業員からの理解も得やすいでしょう。
ところが、この選択肢には大きな壁があります。それは、後継者となる従業員の資力です。
会社の「経営」だけでなく「所有」も引き継ぐ場合、会社の株式を買い取る必要があります。
しかし通常、それだけの資金を個人で準備できるケースは少ないでしょう。
また、現経営者個人の連帯保証や担保についても引き継ぐ必要がありますが、これらは「長年経営してきた現経営者個人の実績や人柄」によって信用を得てきたものもあります。
いくら後継者が優秀だったとしても、金融機関からの理解を得るには大きなハードルが待っています。
M&Aによって第三者に承継する
そして、親族や従業員への承継という手法を選択することが難しい環境下で近年急増しているのが、第三者承継、いわゆる「M&A」です。
急増の理由としては、身近に適任者がいない場合であっても、社外から広く候補を募ることが可能であり、相乗効果のある企業とグループになることで自社の成長にもつながるなど、多くのメリットがあることが挙げられます。
また、中小企業のM&Aでは、株式譲渡+役員退職金(代表者の交代)スキームを採ることが多く、売り手オーナーは保有する株式を第三者へ譲り渡すことで、非上場株式の現金化と売り手オーナーの退任が可能となり、相続問題の解決にも寄与します。
第三者に承継するための第一歩
このように、自社の事業を承継させるにあたってはいくつかの手法があり、一概にベストといえる選択肢はありません。
しかし、間違いなく言えることは、「事業承継の検討に“早すぎる”ことは絶対にない」ということです。
親族・従業員承継の選択肢がなくなったからM&Aを検討する、という心構えでは、良いお相手に出会える時間・タイミングを逃していることになります。
幅広く、良い条件・良いお相手を見つけるためには、少しでも早くからM&Aについて検討することをお勧めします。
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