会社分割とは?具体的な利用場面と実務上の注意点を解説します

2020年04月28日

M&Aの世界において会社分割はよく出てくるスキームの一つです。どういったケースで会社分割をするのか、また実務上の注意点についてもご紹介します。

会社分割とは

会社分割とは、対象会社の事業などを他の会社、または新しい会社に分割する行為のことです。

会社法では、企業の組織形態を変更するための手法を組織再編行為として、以下の5種類が定められています。

  • 会社分割
  • 事業譲渡
  • 株式買収
  • 合併
  • 株式移転

M&Aといえば株式の売買のことを指すイメージが強いと思いますが、会社の中にある特定の事業だけを売却する場合に、会社分割という手法を使うことがあります。

会社分割は特定の事業の切り出し方によって、

  • 新設分割
  • 吸収分割

という2つのパターンがあります。

さらに、分割したことによる対価(株式)のもらい方が2パターンあります。

  • 物的分割
  • 人的分割

それでは、それぞれのパターンについて解説いたします。

新設分割と吸収分割

新設分割とは、対象会社の事業を新しい会社として分割させることを指します。
一方で吸収分割とは、対象会社の事業を既存の会社(買収する側の会社)に分割することを指します。

物的分割と人的分割

分割の対価をだれが受け取るかによって、分社型分割(物的分割)と分割型分割(人的分割)の2種類に分けられます。
物的分割とは対価を分割会社自身が受け取ることであり、一方の人的分割とは対価を分割会社の株主が受け取ることです。

会社分割のメリット

ここからは会社分割における3つのメリットをご紹介いたします。

部分的なM&Aが可能

A事業とB事業、2つの事業を営んでいる会社を例にとって考えます。
メインとなるA事業は順調に売上が伸びている一方で、新規事業としてはじめたB事業とのシナジーが生み出せず採算がとれていない、としましょう。

この場合、株式譲渡であれば、A事業もB事業もひっくるめて会社ごと売却することになります。一方で、会社分割の手法を使うことで、B事業だけを売却することができるのです。

なお、事業譲渡と会社分割のどちらを利用するべきかについては、会計税務、法務、ビジネス上の影響など多面的に考慮して決定する必要があります。

経営と所有権を一致させることができる

AさんとBさんは共同で会社を経営しており、A事業とB事業を営んでいるとします。

A事業は急成長フェーズに入っており今後も継続的に成長していくとAさんは考えています。一方、BさんはA事業の成長はピークを打ったと考え、今は赤字だが今後必ずB事業は成長すると考えています。

この場合、AさんはA事業に特化し、BさんはB事業に特化すると、それぞれの事業にとっては一番良い結果をもたらすでしょう。

そこで利用できるのが分割型新設分割です。

共同で経営している会社からB事業を新設分割し、Bさんに所有権を持ってもらうようにします。

このように、複数の事業を営んでいる場合に、事業の舵取りだけでなく所有権をはっきりさせたいケースには、会社分割を使うことが有効です。

会社分割のデメリット

一方で、会社分割によるデメリットもご紹介いたします。

手続が煩雑である

会社分割は会社法上に定められた組織再編行為の一つです。
組織再編行為に定められた手続は、通常の株式譲渡などと違って、時間も手間もかかってしまいます。

また、手続に瑕疵があれば、当事者などから無効の訴えを提起されるおそれもあるため、注意が必要です。

スケールメリットの縮小

スケールメリットとは、会社の規模が大きくなることでコスト削減などのメリットを享受できる効果をいいます。

例えば、A店とB店を経営している飲食業の会社において、会社分割によりB店を切り離したとしましょう。

これまで食材の発注は2店分でしたが、会社分割後は1店舗のみになるため、発注量は減ってしまいます。それにより食品卸会社は単価の引き上げや契約条件の変更を求めてくるかもしれません。

事業を切り離すために安易に決断するのではなく、分割することの影響を事前に正しく把握しておくことが大切です。

従業員に不安を与えてしまう

会社分割によって事業を切り離した場合、それぞれの事業で仕事をしていた従業員も離ればなれになってしまいます。当然、それぞれの事業同士で仲の良かった従業員もたくさんいることでしょう。

また、コミュニケーション面だけでなく、新しいオーナーの元で対応できるのか、給料や福利厚生はどのように変わるのか、勤務地は今のままで大丈夫なのかといった新たな悩みも発生します。

会社分割は従業員の心理面にも多大な影響を与える行為でもあり、そのケアをすることは非常に重要です。

会社分割により事業を引き継いだ会社にとっても、不安のある従業員が在籍している会社では、分割後の成長は望めないでしょう。

会社分割のまとめ

ここまで会社分割についてご紹介してきました。

まずは、組織再編の目的をはっきりさせておき、会社分割が最も適切なスキームであることを確認することが大切です。

また、会社分割の手続は複雑であり、手続が漏れてしまうと無効になるリスクもあるため、税務や法務の専門家なども交えながらしっかりと準備を進めていくことをおすすめします。

M&Aナビでは、これまで数多くの会社分割による組織再編やM&Aを支援してきました。

具体的にどうやって売却すべきか、組織再編すべきかを考えていない方でも、完全無料でご相談を承ります。

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