買収のメリットとは?中小企業をM&Aする際の注意点もご紹介
本記事では、中小企業を買収するメリットについて解説します。
近年、人口減少や少子高齢化による後継者不在問題は、地域を支える中小企業にとって大きな課題となっています。
それに伴い、親族や従業員への事業承継だけでなく、M&Aによる第三者への事業承継を選択する中小企業が増えてきました。
売り手はM&Aにおいて多くのメリットがありますが、買い手にはどういったメリットがあるのでしょうか。
この記事では、M&Aで中小企業を買収することによるメリットについて解説をしてきます。
売り手にとってのメリットは、こちらの投稿を参考にしてください。
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目次
中小企業を買収する4つのメリット
M&Aによって中小企業を買収することで、買い手には大きく4つのメリットがあります。
- 時間の短縮
- リスク限定
- 人材・ノウハウ・技術・販路の獲得、シナジー効果
- リスク分散
それぞれについて解説していきます。
時間の短縮
M&Aの一番の魅力の一つが、「時間を買える」という点です。
何年もの間、膨大な手間やコスト(人材採用、教区、販路開拓等々)をかけてようやく軌道に乗るような事業拡大が、M&Aを行えば、数か月という短い期間で手に入れられます。
リスク限定
M&A検討時には、売主側の過去の実績から直近の経営状況まで、確認をした上で交渉を行うことができます。
「これから先、失敗せずに事業拡大をしたい。」こうした買主にこそ、M&Aという選択肢は魅力的な投資な選択肢となり得ます。
人材・ノウハウ・技術・販路の獲得、シナジー効果
中小企業ならばどの企業においても、資源不足の壁に突き当たることがあるのではないでしょうか。
正しく選定して、最良の企業を相手にM&Aを行うことができれば、単純な双方の力の和以上の効果「シナジー効果(相乗効果)」を生み出すことも期待できます。
互いの経営資源が補完され合うだけでなく、「1+1」の力が「3」にも「4」にもなりうるということです。
リスク分散
ある1軸のみで事業展開をしていた会社が、M&Aで垂直方向、水平方向などの他社を取得することができれば、「リスク分散」が可能となります。
なんらかの要因で、ある事業の収益性が低下したとしても、全体としての収益がある程度維持できるというメリットがあります。
企業買収を手法ごとに3つに分類
まず、中小企業M&Aにおける買い手が考えるM&A戦略は、大きく3つに分類できます。
垂直(タテ)方向(川上・川下)
まず「垂直(タテ)方向」のM&A戦略です。
これは、一般的に言われるサプライチェーン(商流)の「川上」から「川下」を指します。
買主側企業にとって、一連のサプライチェーンの中で複数の階層を押さえることは、自社単体での「マージン(利ざや)のコントロール力向上」や「上下階層への影響力増大」に繋がります。
「卸企業(川上)の小売り企業(川下)の買収」
「商品の販路を広く持つ企業(川下)による製造業(川上)の買収」
といった例がこれにあたります。
水平(ヨコ)方向
次が「水平(ヨコ)方向」です。
例えば、ある企業の拠点や商品・サービスが単一であれば、圧倒的な事業拡大は難しいでしょう。
しかし、M&Aを用いた効率的なヨコ方向の拡充(他地域への事業展開、新たな販路獲得など)を行うことは、事業の拡大、成長スピードのアップに繋がります。
「地方企業の買収による他地域新出」
「ある特定の販路に強みのある同業他社の買収による販路拡充」
といった例がこれにあたります。
垂直・水平の両展開
上記2つの展開を掛け合わせたM&A戦略も考えられます。
「垂直(タテ)方向」と「水平(ヨコ)方向」両方の展開を実現させることで、自社の弱みを効率的に補い、強みを最大化する事業拡大が期待できます。
ある資材会社が、他都府県の建設会社を買収した」としましょう。
この資材会社は、M&Aにより、他府県へのヨコの広がりが少ないという「弱み」をより効率的に補うことができ、更には、密接なタテ関係を媒体として、建設現場の声や知見を直接的にキャッチすることで、「強み」ともいえる資材調達力に更なる「質の高さ」をプラスすることができるかもしれません。
中小企業の買収における注意点
ここまで、M&Aにより中小企業を買収することのメリットについてみてきました。
買収には多くのメリットがあるものの、効果を最大化させるためにはいくつかの注意点があります。
主な注意点は以下です。
- M&Aの目的を明確にする
- 対象企業を慎重に選定する
- 統合のプロセスに力を入れる
それぞれについて解説をしていきます。
M&Aの目的を明確にする
M&Aにより買収をすることの目的を明確にすることは非常に重要です。
M&Aはあくまで経営戦略の一つの手段であるため、ビジョンがあやふやなまま手続きを進めても、統合後の経営は上手く進められません。
「本来の目的は何であったのか」この点をしっかりと確認した上で、必要なプロセスや適したM&Aの手法を逆算して考えましょう。
対象企業を慎重に選定する
M&Aによる買収を行うにあたり、対象企業の選定のステップは慎重に行うことが求められます。
検討している売却案件が本来のM&Aの目的に沿ったものなのか、買収を実行することで得たいシナジー効果を得ることができるのかを慎重に検討する必要があります。
特に株式譲渡のスキームを活用して買収を実行する場合においては、売り手企業の簿外債務といった財務上のリスクが存在します。
買収の実行後に大きな訴訟問題や経営失敗に繋がらないよう、適切なデューデリジェンスを実施し買収の対象企業を慎重に選定しましょう。
対象企業の選定に関しては、以下の記事をご確認ください。
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統合のプロセスに力を入れる
契約上でM&Aの買収が完了したとしても、統合のプロセスが失敗に終わった場合は事前に設定した目的を達成できない場合があります。
統合のプロセスへの手間を惜しまずに注力をすることで、M&A実行後の統合の効果を最大限に引き出すことが可能です。
M&Aの実行後は、異なる組織文化やルールが混ざりあうこととなります。無駄な衝突が起こらないよう、買収側の企業の経営陣が主導権をもって慎重で丁寧な統合のプロセスを実施するようにしましょう。
M&Aによって会社を買収するときの注意点やリスクについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
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中小企業を買収するメリットまとめ
以上のように、中小企業M&Aについて改めて考えてみると、売手の後継者問題解決だけではない、各方面・各当事者へのメリットが見つかります。
M&Aナビ上では、全国各地、各商流階層の中から、多種多様な譲渡案件を掲載しています。
M&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけますし、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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