EC業界のM&Aを解説!事業売却の事例や今後の動向・トレンドをチェック!
昨今、EC業界では積極的なM&Aが行われています。
今や多くの業種において、EC業界との連動がかかせません。
新型コロナウイルスによる非対面接触の動きも相まって、EC業界はもはや私たちの生活と切り離せない状況にまできています。
そこで本記事ではEC業界の市場規模やトレンド、M&Aを使ったEC業界への参入について解説しています。
この記事を読むことでEC業界でM&Aを考えられている方の不安や疑問点が解消されることでしょう。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
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目次
EC業界の市場規模とトレンド
EC業界の現在の市場規模と、トレンドについて解説します。
EC業界の市場規模
EC業界の市場規模は堅調に伸び続けており、今後もさらに拡大していくことは間違いありません。
令和元年度に発表された電子商取引に関する市場調査(経済産業省)によると、2020年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)は19.3兆円でした。
また同資料によると、2010年からEC業界の市場規模は概ね増加の一途を辿っています。
つまり、今後も市場規模は伸びる可能性が十分にあり、EC市場への参入はこれからも有効な手段と言えます。
EC業界のトレンド
新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として、外出自粛の呼びかけ及びECの利用が推奨された結果、物販系分野の大幅な市場規模拡大につながりました。
BtoC-ECの市場規模(消費者向け電子商取引)
2019年 | 2020年 | 伸び率 | |
---|---|---|---|
物販 | 10兆515億円 | 12兆2,333億円 | 21.71% |
サービス | 7兆1,672億円 | 4兆5,832億円 | ▲36.05% |
デジタル | 2兆1,422億円 | 2兆4,614億円 | 14.90% |
また、スマホを利用してECで買い物するユーザーが増えたことで、ユーザーはより「早く物を手に入れたい」思考へと変化しています。
これは、注文してから翌日に商品の届くAmazonが大きな影響を及ぼしているのは想像に難くありません。
実際に、Amazonやヨドバシカメラなど物販系を取り扱うECサイトは、軒並み売上を伸ばしています。
とくに、型式や製品名がわかれば商品がすぐにわかる家電系のECサイトが、堅調な動きを見せています。
参考:EC業界の市場規模
EC業界のパターン
それぞれのEC業界のパターンについて解説します。
EC業界のパターン1.商社型
商社型は、「商品を仕入れてほしい人に売る」仲介業です。
商社型ECの特徴としては、仕入れの際にさまざまな商品を扱うことにより、1つの商品に「付加価値」を付けて売れる点です。
また商社型チャネルには、おもに3つの方法があります。
- 多くの卸売&小売業者に商品を取り扱ってもらう
- 取扱店を絞り込んで商品を取り扱ってもらう
- 自社の商品のみ取り扱ってもらう
EC業界のパターン2.メーカー型
メーカー型ECとは「自社で商品を作って直接顧客に販売する」ことを指します。
近年、メーカーが自社ECサイトなどを使って、直接お客様に商品を売ることが増えてきています。
なぜなら、モール型はライバルが多く、基本的に定価で勝負しなければならないなど、難しい課題を抱えているからです。
そこで、メーカー型を利用すると、
- 自社商品の直接のファンを作りやすい
- 卸売業者に支払う中間マージンをカットできる
などのメリットがあります。
近年では、仲介業者を通さずに企画、製造、販売をすべて自社で行うD2Cと呼ばれる形式のECブランドが急増しています。
EC業界のパターン3.モール型
モール型とは、ショッピングセンターのように多数のお店が1つのECサイトに出展している形態のことです。
たとえばモール型には、Amazonや楽天市場などが該当します。モール型はECサイト上にお店の出展を募り、その出展料で収益をあげています。
モール型のメリットは、なんといっても集客しやすい点です。
知名度の高いモール型ECサイトは、顧客が信頼感をもちやすいため、安心してショッピングしてもらえる利点があります。
そのため、知名度の低い中小企業や零細企業などは、物を売りやすいモール型への出展がおすすめです。
EC商品の購入スタイル
EC商品の購入スタイルについて、3つ解説します。
EC商品の購入スタイル1.単品型
単品通販はECサイトで1種類の商品を取り扱うことが多いので、消費者は「この商品がいい」と考えて購買します。
そのため、ある程度知名度の知れた企業であれば、消費者がダイレクトに自社ECサイトから物を購入してくれます。
また、モール型のように出展料は掛からないので、コストを大きく下げながら商品・サービスを売ることが可能です。
一方で、単品通販は「その商品・サービスに対して購買意欲の高い顧客」を集めることができなければ成り立たないため、知名度の低い中小企業や零細企業にはあまり向いていません。
EC商品の購入スタイル2.モール型
モール型ECサイトでは、消費者は比較・検討しながら購入します。
具体的には「値段」「配達日」「商品・サービスの内容」などです。
モール型には数多くの商品が並んでいるので、消費者は商品を十分に見比べながら、自分に必要な物を手に入れられます。
また、モール型ECサイトで顕著なのは「レビュー(評価)」が購買に大きな影響を及ぼす点です。
評価が高く、いいコメントが多ければ購買意欲が高まりますし、逆に言えば酷評された意見が多ければ、購入する人が少なくなってしまいます。
つまりモール型では、商品力が売上に大きく影響を及ぼすので、EC業界の中でもシビアな戦いが求められます。
EC商品の購入スタイル3.サブスク型(継続購入)
サブスクとは「サブスクリプション」の略で、「定額料金制のサービス」のことを指します。
実際に「商品を選ぶのが面倒くさい」と考える消費者が、サブスクを利用する傾向にあります。
たとえば薬や健康食品などは、消費者によって「これがいい!」と決まっていることが多く、サブスクを利用してECサイトから定期的に商品が届くようにします。
EC市場の取引の流れ
EC市場の取引の流れについて解説します。
EC市場の取引の流れ1.製造
まずはECサイトに出展するための商品・サービスを製造します。
とくに単品通販(D2C)においては、「商品も自社で製造して販売する形態」が多く取られています。
EC市場の取引の流れ2.仕入れ
ECサイトで商品・サービスを売るために、仕入れを行います。
ちなみに、仕入れは商社でなくても、個人が商品を仕入れてEC市場で取引することも可能です。
たとえば、アリババを使って中国などから輸入する方法もありますし、ヤフオクなどのオークションサイトを利用して仕入れる方法もあります。
EC市場の取引の流れ3.在庫保管
製造や仕入れを進めて商品が完成したら、在庫を保管します。
在庫を保管するために自社の敷地内で賄ったり、場合によっては貸倉庫を利用したりします。
当然在庫を保管するにも費用がかかるので、商品の売れる時期を見極めて適切に製造・仕入れすることが大切です。
EC市場の取引の流れ4.販売(サイト掲載)
商品・サービスをECサイトに掲載して、販売します。
ECサイトで販売するにあたって、商品撮影は非常に重要です。
消費者は手に取って商品を見られるわけではないので、見栄えよく見せる必要があります。
EC市場の取引の流れ5.配送
ECサイトで商品が成約につながれば、お客様に向けて商品を配送します。
ECサイトで配送する際、商品代金に送料を含めて「送料無料」と表示する手法があります。
お客様にとっては、「送料無料」と聞くと余計なコストは掛からず購買意欲が高まるので、おすすめです。
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EC業界の近年のM&A事例
EC業界で近年起こったM&Aの事例についても解説します。
EC業界のM&A事例1.京王百貨店とセレクチュアーのM&A事例
2016年10月、京王百貨店は人気ECサイトを運営する「セレクチュアー」を買収しました。
京王百貨店はセレクチュアーの全株式を取得して完全子会社化しました。
譲渡価格は10億4,000万円でした。
京王百貨店は、シニアの客層に強みを持ち、独自の通販サイトも運営していましたが、ミドル層をつかめないことに課題を感じていました。
そこで、30~40代の顧客に人気があった通販サイト「アンジェ web shop」を運営する「セレクチュアー」を買収しました。
セレクチュアーはクックパッドの子会社でしたが、この時期に社長の交代などにより事業戦略を転換するタイミングであり、新たな事業領域を手に入れたい京王百貨店と事業を絞り込みたいクックパッドの思惑が一致したM&Aでした。
参考:セレクチュアー株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
EC業界のM&A事例2.ティーライフとLifeitのM&A事例
2018年8月、健康茶をはじめとした健康食品事業のECを手がけるティーライフは、EC専業のLifeit社を買収しました。
Lifeit社は2001年に設立され、もともとはオークションサイトの運営をおこなっていました。
その後、幾度かM&Aされたり事業内容を転換させたりしながら経営をおこなってきましたが、中期経営計画で積極的なM&Aを掲げていたティーライフ社が買収することとなりました。
EC事業ののM&A案件を探すには
EC事業のM&A案件を探すには、どのような手段があるのでしょうか。
一般的には、以下の3つの手段があります。
- M&Aマッチングサイトで探す
- 地元の金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、インターネット上で企業の売却案件を探すことができるサービスです。
特に近年ではM&Aの案件を探すための手段として主流になってきており活用する企業が増えています。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
EC事業の案件もありますので、一度見てみてください。
地元の金融機関に相談する
地元の金融機関に相談することも有効な選択肢の一つといえます。
地方銀行や信用金庫は、地元企業の事業承継支援や経営支援に力を入れているためM&Aの売却案件の情報を保有している可能性が高いです。
一度、懇意にしている地域金融機関に相談してみましょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社に相談することは、最もベーシックな手段の一つだといえるでしょう。
M&A仲介会社は、売却を検討している方を積極的に探索しており、売却案件の情報を豊富に持っていることが考えられます。
M&Aナビでは、プラットフォームに掲載していない非公開の案件を多数保有しておりますので、一度ご相談ください。
M&A仲介会社に相談する際は、手数料や費用など注意すべきことがいくつかあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
M&A仲介会社の選び方や費用について解説!2つ...
以前よりもM&Aが経営戦略の一つとして一般的になるにつれて、M&A仲介会社の選び方がポイントとなっています。 経済産業省も「中小M&A推進計画」を打ち出し、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者におい…
M&Aナビに掲載中のECのM&A案件特集
弊社が運営するM&Aナビには、EC関連の事業者様から売却や買収のご相談をいただくことが増えてきました。
そこでM&Aナビに掲載いただいているEC関連のM&A案件をまとめた特集ページを用意いたしました。
ECのM&Aにご興味がある方はぜひのぞいてみてください。
EC業界のM&A まとめ
EC業界の市場規模やトレンド、購入スタイルや取引の流れ、M&Aを使ったEC業界への参入について解説しました。
EC業界は今の時代にかかせない市場だと、おわかりいただけたでしょうか。
また、EC業界とM&Aを実施し、業績を伸ばしている会社も存在しているのです。
またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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