【2024年最新】飲食業界のM&A動向!相場や成功事例、メリット・デメリットを解説
飲食店業界におけるM&Aは近年増加傾向にあります。
売却が増えている背景には、コロナ禍でダメージや人手不足・物価高騰による経営の圧迫等があげられるでしょう。
一方で買収する企業は、インバウンド消費の取り込みや海外展開などを目指して積極的に買収を測っている状況と言えるでしょう。
そこでこの記事では、飲食店業界のM&Aに関して、最新の市場動向やマッチングの手法、メリット・デメリットについて解説します。
この記事を読むことで、飲食店業界のM&Aについて理解を深め、M&Aを進める際の疑問や不安を解消しましょう。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
まずは無料相談からご活用ください。
目次
飲食店のM&Aの市場動向と価格相場
飲食店M&Aの市場動向
飲食店のM&A市場は、新型コロナウイルスの流行後から活発化しています。
これは、事業継続が困難になった事業者が売却を検討し始めたためです。
M&Aが行われている案件のサイズとしては、オーナー兼シェフが1人で経営する小規模な飲食店から、大企業の数十店舗を抱える飲食店まで、多岐にわたります。
また、飲食店のM&Aは、低コストでの飲食店の買収が可能となっているため、個人投資家や中小企業にも人気があることも特徴の一つです。
飲食店のM&A価格相場
飲食店のM&A価格相場は、時価純資産と実質営業利益の3〜5倍が目安とされています。しかし、価格は立地条件や店舗の規模、流行の影響などさまざまな要因によって変動します。
飲食店のM&A市場の相場は、
に大きく左右されます。
業界特性
飲食業界の特性として、飲食店は初期投資が大きく、立地条件が売上に影響しやすいことが挙げられます。
例えば、駅近の立地や幅広い道路に面している飲食店は価格が高くなりやすいです。
また、飲食店は景気動向や世界情勢、流行の影響を受けやすく、これらの要因がM&A市場の価格に影響を与えます。
さらに、属人的な要素も重要です。例えば、個人経営の飲食店ではオーナーの人柄や料理が客を引き付ける重要な要素となるということも珍しくありません。
これらの要因を考慮することが、適切なM&A価格の決定につながります。
また、飲食店の中でも特に「焼き肉」業態や、「すし」業態、テイクアウト対応の飲食店などは人気が高いため、価格もそれなりに高くなる傾向があります。
市場条件
飲食店のM&A相場は、さまざまな要因により変動します。特にコロナ禍による市場の変化は、飲食店のM&A市場に大きな影響を与えました。多くの飲食店が売上減少や閉店を余儀なくされ、これがM&A市場における買収機会の増加につながりました。
また、新しいビジネスモデルの導入やテイクアウト対応の強化など、時代の変化に合わせた戦略がM&A市場に新たな動きをもたらしています。これらの市場動向の理解は、M&Aの戦略を立てる上で重要です。
飲食店の売却と買収:M&Aの流れ、注意点、戦略のガイド
飲食店業界のM&A(合併・買収)は、ビジネスの拡大、効率化、競争力強化のための重要な手段として広く利用されています。このプロセスは複雑であり、成功を収めるには詳細な計画と戦略が必要です。
本セクションでは、飲食店のM&Aにおける売却と買収の流れ、戦略の要点、および様々な注意点を包括的に解説します。
飲食店M&Aの包括的なガイド:売却と買収の流れ
飲食店のM&Aプロセスは、潜在的な売買対象の選定から始まります。
売却側は自社の店舗やブランドの魅力を最大限に引き出すための準備が必要です。
これには、財務記録の整理、店舗の状態の改善、運営の効率化などが含まれます。
一方、買収側は、目標とする店舗の選定、財務状況の評価、交渉プロセスを慎重に進める必要があります。
市場価値の評価、ビジネスの潜在的な成長性の分析、そして適切な価格の交渉は、買収成功における鍵となります。
M&A戦略の要点:成功のための3つのポイント
飲食店のM&Aの成功のためには、以下の3つのポイントに注目する必要があります。
以下個別に詳しく見ていきましょう。
戦略1:ターゲットの選定と評価
飲食店のM&Aにおける最初のステップは、適切なターゲットの選定と評価です。
業界の立地、ブランド価値、財務状況、顧客基盤など多角的な視点からの評価が不可欠です。
市場の動向を理解し、適切な評価基準を設定することは、適切なターゲットを見つけ、価値ある投資を行うための基盤となります。
また、ターゲット企業の過去の業績、成長の可能性、そして競争上の位置づけを分析することで、より正確な評価が可能になります。
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戦略2:財務計画と資金調達
財務計画の策定は、M&Aの成功に欠かせない要素です。
資金調達の方法、条件、投資の回収計画などを含むこのプロセスでは、自己資本、銀行ローン、投資家からの資金など様々な選択肢が検討されます。
特に、買収に必要な資金の調達方法は多様であり、各選択肢のメリットとリスクを総合的に評価することが重要です。
長期的な視点で財務計画を立て、資金調達の選択肢を検討することで、M&Aの安定した財務基盤を築くことができます。
戦略3:統合後のシナジー創出
買収後の統合プロセスでは、両企業の文化や運営方法の調和を図ることが重要です。
統合によって、運営の効率化、コスト削減、ブランド価値の向上など、複数のシナジーを創出することが期待されます。
これを実現するには、従業員のトレーニング、経営方針の統一、マーケティング戦略の統合などが必要です。
また、統合による新しい市場への進出や新たな顧客層の開拓も、M&Aの成功を後押しする要因となります。
M&Aにおける3つの注意点
M&Aを成功させるために気をつけておきたい注意点は以下の3つです。
以下個別に詳しく見ていきましょう。
注意点1:市場リサーチとデューデリジェンス
市場リサーチとデューデリジェンスは、M&Aプロセスの中核をなすステップです。
市場の現状、競合の状況、ターゲット企業の詳細な財務状況や運営実績の徹底的な分析を行います。これにより、投資リスクを把握し、適切な評価を行うことが可能になります。
また、デューデリジェンスでは、法律的な問題、財務上の誤り、その他の潜在的な問題点を発見し、買収前に対処することが重要です。
デューデリジェンスに関しては、以下の記事をご確認ください。
M&Aのデューデリジェンス(DD)とは?目的や...
M&Aにおいてデューデリジェンス(DD)がどのような役割を果たすかを理解しないまま戦略を練っている方は多いのではないでしょうか。 M&Aを実施する買手にとっては、買収の対象となる企業がどのような状態に…
注意点2:適合性
適合性の確保は、M&Aの成功において非常に重要な要素です。
組織の文化や、従業員の価値観、経営方針の違いが無視されると、統合後に深刻な問題を引き起こす可能性があります。
したがって、文化的な適合性を評価し、必要に応じて両社の文化を調和させるための戦略を立てることが重要です。
これには、従業員の意見や感情を尊重し、オープンで透明なコミュニケーションを促進する取り組みが含まれます。
注意点3:法規制とコンプライアンス
法規制とコンプライアンスの確認は、M&Aプロセスにおいて避けては通れないステップです。
特に飲食店の場合、食品安全、衛生管理、労働法規など、さまざまな法的要件を遵守する必要があります。
適切な法的アドバイスを受けることで、将来的なリスクを軽減し、スムーズな統合を実現することができます。
また、規制の変更や新しい法律の適用にも迅速に対応することで、法的な問題を未然に防ぐことが可能です。
飲食店M&Aのメリットとデメリット
飲食店のM&A(合併・買収)は、企業成長と事業拡大の重要な手段です。
このセクションでは、飲食店業界におけるM&Aの利点と潜在的なリスクについて紹介します。
飲食店M&Aのメリット
飲食店M&Aのメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
以下個別に詳しく見ていきましょう。
メリット1:ブランドと市場拡大
M&Aを通じて、より広い顧客基盤にアプローチし、ブランド知名度を高めることが可能となることが多いです。
特に、地域や国際市場での拡大を目指す場合、既存の強力なブランドを取得することで、新規市場への進出がスムーズになります。
メリット2:運営の効率化
異なる飲食店の経営ノウハウや資源を統合することで、コスト削減や運営効率の向上が期待できます。
共通の調達システムや販売戦略を採用することで、全体の運営効率が大幅に改善されることはよく聞く話です。
メリット3:財務の強化
M&Aにより、資金調達の選択肢が広がり、より良い財務状況が実現することがあります。
また、買収した事業からの収益や、スケールの経済によるコスト削減が、財務基盤の強化に寄与します。
飲食店M&Aのデメリット
一方で、飲食店M&Aには、統合の複雑さ、文化的な衝突、財務的リスクなど、様々な挑戦も伴います。これらのデメリットは、事前の慎重な計画と戦略によって最小限に抑えることができます。
ここでは主なデメリットとして以下の3つを紹介します。
以下個別に詳しく見ていきましょう。
デメリット1:統合の複雑さ
異なる組織文化やシステムを統合する過程は、しばしば複雑で時間を要するものです。
効果的な統合を行うためには、丁寧な計画と継続的なコミュニケーションが不可欠です。
ここがうまくいかないと、せっかくのM&Aが台無しになりかねないので、慎重に行いましょう。
デメリット2:文化的な衝突
異なる企業文化の衝突は、従業員の士気低下や生産性の低下につながる可能性があります。
文化的適合性を重視し、従業員間の意見調整と相互理解を促進することが重要です。
デメリット3:財務的リスク
買収には高額な資金が必要であり、不適切な財務計画は企業に大きな負担をもたらす可能性があります。資金調達とリスク管理には特に注意が必要です。
M&Aの専門家の力を借りて、資金調達やリスク評価に関する専門的なアドバイスを得ることも場合によっては検討することが必要となります。
飲食店M&Aの成功事例3選
飲食業界におけるM&Aは、業界再編成の推進力となっています。
本セクションでは、成功を収めた製造業のM&A事例を分析し、その成功の秘訣を探ります。
サンマルクホールディングス、子会社3社の統合を発表
2022年4月、サンマルクホールディングスは、自社の完全子会社である3つの企業を2022年7月に統合することを宣言しました。この持株会社は、フランチャイズチェーンやレストラン、カフェを含む事業を展開しています。
統合される子会社には、ベーカリーレストラン「サンマルク」、寿司レストラン「すし処函館市場」、そして「バケット」という名のベーカリーレストランが含まれます。
この統合の背景には、ベーカリーおよび寿司事業の業績不振があり、サンマルクホールディングスはこれを機に、レストラン事業のビジネスモデルを見直す予定です。
吉野家ホールディングス、子会社株式をフライドグリーントマトに譲渡
吉野家ホールディングスは、2022年3月に連結子会社であるグリーンズプラネットの全ての株式をフライドグリーントマトへ譲渡しました。譲渡金額は明らかにされていません。吉野家ホールディングスは、主に吉野家、はなまる、海外飲食店舗を運営する持株会社です。
譲渡されたグリーンズプラネットは、ファストフードやフードコートで多様なブランドを展開していました。受け取り手のフライドグリーントマトは、飲食業界の総合プランニングや音楽事業を手がける企業です。
吉野家ホールディングスは、新型コロナウィルスの影響を受け、グリーンズプラネットの今後の運営をフライドグリーントマトに委ねることにしました。
ジェイグループホールディングス、NEWFIELD HONOLULUの全株式を譲渡
ジェイグループホールディングスは、2022年2月にアメリカ・ハワイ州にある子会社NEWFIELD HONOLULU, INCの全株式を3300万円で譲渡しましたが、譲渡先は非公開です。NEWFIELD HONOLULU, INCはハワイでレストラン運営を行う企業です。
ジェイグループホールディングスは、飲食、不動産、ブライダル、バーベキュー事業を展開する持株会社で、新型コロナウィルスの影響でNEWFIELD HONOLULU, INCの業績が悪化したため、ハワイの飲食市場から撤退することを決定しました。
参考:ジェイグループHD<3063>、子会社で米国ハワイ州の飲食店を運営するNEWFIELD HONOLULU,INCの全株式を譲渡
飲食業のM&A案件を探すには
飲食業のM&A案件を探すには、どのような手段があるのでしょうか。
一般的には、以下の3つの手段があります。
- M&Aマッチングサイトで探す
- 地元の金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、インターネット上で企業の売却案件を探すことができるサービスです。
特に近年ではM&Aの案件を探すための手段として主流になってきており活用する企業が増えています。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
飲食業の案件もありますので、一度見てみてください。
地元の金融機関に相談する
地元の金融機関に相談することも有効な選択肢の一つといえます。
地方銀行や信用金庫は、地元企業の事業承継支援や経営支援に力を入れているためM&Aの売却案件の情報を保有している可能性が高いです。
一度、懇意にしている地域金融機関に相談してみましょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社に相談することは、最もベーシックな手段の一つだといえるでしょう。
M&A仲介会社は、売却を検討している方を積極的に探索しており、売却案件の情報を豊富に持っていることが考えられます。
M&Aナビでは、プラットフォームに掲載していない非公開の案件を多数保有しておりますので、一度ご相談ください。
M&A仲介会社に相談する際は、手数料や費用など注意すべきことがいくつかあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
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個人でも買収可能な飲食店のM&A方法
飲食店のM&A(合併・買収)は、大企業だけの領域ではありません。
個人でも、適切な知識と戦略を持てば、飲食店の買収は可能です。
このセクションでは、個人投資家が飲食店のM&Aに参入するための基本的なアプローチと、成功のための戦略を探ります。
個人投資家のための飲食店M&A入門
始めるための基本ステップ
個人が飲食店のM&Aに参入するための第一歩は、業界の市場動向の理解です。
市場の動向や価格相場に敏感であることが重要です。
つまり、業界の基礎知識から始め、市場のニーズや成長可能性を理解することが不可欠なのです。
次に、買収対象となる飲食店の選定、財務状況の評価などの知識をつけていくことが必要となります。
この際に弊社が運営している「M&Aナビ」に代表されるようなM&Aマッチングプラットフォームを利用することは、適切なターゲットを見つける上で有効な手段となり得ます。
成功のためのキーポイント
成功へのキーとなるのは、正確な市場分析と、買収対象の適切な評価です。
さらに、資金調達計画の策定とリスク管理も重要です。
こうしたステップを適切に踏むことで、個人投資家でも飲食店の買収を成功に導くことが可能になります。
注意事項:資金調達
資金調達は、個人投資家にとって重要な課題です。
自己資金だけでなく、ローンや投資家からの資金調達が選択肢になります。
このような手法を賢く使うことが個人によるM&A成功への第一歩になります。
【飲食店M&A】まとめ
いかがだったでしょうか?
飲食店業界のM&A市場は、コロナ禍を受けて活発化してきました。
価格相場は立地や店舗規模によって異なることが特徴的で、成功のためには、ターゲットの選定、財務計画、統合後のシナジー創出が重要です。
飲食店のM&Aのメリットにはブランド拡大と運営効率化があげられ、デメリットには統合の複雑さや文化的衝突が含まれます。
個人投資家も市場分析とリスク管理を通じてM&Aに成功することが可能であることも最後に紹介しました。
ぜひこの記事を参考にして、飲食店M&Aを検討してみてください。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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