会社売却の準備と戦略とは?理想のM&Aを実現するためのポイントを解説します
経営者であれば誰しも、自社の売却について考えたことがあるはずです。
M&Aナビでは、いま現実的には考えていないという方でも、経営戦略の選択肢としてExit戦略を持っておくことは非常に重要であると考えています。
会社を売却しなければならないタイミングになってから準備を進めても理想の売却に導くことは難しく、早めに考え始めて検討を進めることが大切です。
会社売却はお見合い結婚のようだとも言われ、ぴったりの相手に売却できればその後の成長も期待できるでしょう。
一方でやむを得ない相手に売却してしまえば、企業価値が毀損してしまうだけでなく、残った従業員や取引先が不幸な結果となるかもしれません。
それでは、理想のM&Aを実現するためには何から始めればよいのか、会社売却の戦略について解説いたします。
目次
会社を売却するための戦略を立てる目的
あなたにとって会社を売却する目的はなんでしょうか?
その目的によって、立てるべき戦略や準備すべきことは大きく変わります。
また、どんなM&Aでも、水面下ではさまざまな交渉ごとが発生します。円満に見えるM&Aほど事前に抜かりなく準備しているものです。
まずは売却の目的と、どういう条件であれば成功と言えるのかについて考えてみましょう。
資本を安定化させて事業を大きくしたい
自分なりに会社を成長させてきたものの、どうしても資本が足りず飛躍できないことがあります。
そんなときは、会社を売却して大手企業の傘下に入れば、目先の資金繰りを気にせずに成長に専念することができるでしょう。
この目的は資金調達という意味合いが強いため、特に以下について買手に納得してもらう必要があります。
- 具体的に必要な資金
- 資金を投じたあと事業の成長戦略
また、親会社となる買手にお金や人員などを拠出してもらうことが前提となるため、誰に売るかという点も重要です。
こちらが「この会社に売りたい」を思っても、その相手が買収できるタイミングではない場合どうしようもありません。そのため、やはりできる限り早く準備を進めながら、最適なタイミングで最適な相手と交渉を始められるようにすべきです。
経営者を引退したい
経営者を引退するために会社を売却したい、というケースも増えています。
モチベーションが続かなくなった方もいれば、家族やプライベートの時間を大切にしたいという方もいらっしゃいます。経営者とて人間ですから、引退することは悪いことではありません。
ただし、中小企業において経営者は絶対的な存在であり、残る従業員や取引先に負担をかけないように綿密な準備を進めることが重要です。
経営者がやめても円滑に会社が継続して成長するために、特に以下について準備する必要があります。
- 後継者の育成
- 現経営者に依存しない売上獲得
- 透明性の高い経営
要は、うまくいっている会社の社長が口にする「俺がいなくても会社は回る」という状態を作るということです。
なお、経営者をやめたいと考えている方は、こちらの記事も参考にしてください。
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事業を継続させるために引継ぎたい
せっかく育ててきた会社を自分の代でたたむのはもったいない、できれば誰かに事業を継承したい、と思っている方は多いでしょう。
また、事業自体は順調にもかかわらず、経営者自身の体力や年齢の面で事業を継承せざるをえないケースもあります。
そういった時は、事業の継続を最優先に考えた売却を検討しましょう。いわゆる事業承継型のM&Aです。
買手側の会社が事業承継の目的の場合、買収後すぐに経営に深く関与することは多くありません。
まずはオーナーを引き継いでから徐々に時間をかけて統合や協業を進めていくことで、それまで積み上げてきた売上や顧客関係性を崩さずスムーズに事業承継をおこなうことが一般的です。
ですので、事業承継型のM&Aにおいては、特に以下について準備が必要です。
- 安定した売上獲得の仕組み
- 従業員がやめない雰囲気作り
売却後、特に何も手をかけなくても安定した業績が期待できる会社であれば、より多くの買手候補を募ることができるでしょう。
なお、親族や従業員へに会社を引き継ぐことも含めた事業承継について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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会社売却の戦略を立てる方法
では、会社売却の戦略はどうやって立てるべきなのでしょうか?
まずは、自社のことを客観的に理解することから始めましょう。
M&Aにおいて、売手はどうしても主観的にものごとを考えてしまいがちです。しかし、買手と冷静に交渉するためには客観的な評価や見え方を理解することが重要であり、それがひいては理想の売却へとつながっていくのです。
自社の強みと弱みを分析する
まずは自社の強みと弱みを分析してみましょう。
もちろん経営者の方であれば「自分の会社のことくらいわかっているよ」と思うかもしれません。
しかし、重要なことは、客観的に見た自社の強みと弱みを明らかにすることです。
「近くのお客さんはそこそこ来てくれている」
ではなく、
「既存顧客の3ヶ月以内リピート率が70%を超えており、単価も15%高い」
と言われた方が、買手がイメージしやすいことは明らかです。
- できるだけ定量的な数値で事業を説明できるようにする
- 弱みとなる部分について、なぜ改善できないのか(しないのか)説明できるようにする
- 黒字or赤字になっている主な要因を明らかにする
何から始めればよいかわからない、という方は、経営戦略を立てるときに使う「3C」や「SWOT分析」などのフレームワークに当てはめて考えてみるのもよいでしょう。
しっかりと自社の強み・弱みを分析できれば、たとえ赤字であったとしても売却できる可能性は高まります。売却を考えるための第一歩ですので、ぜひ手を抜かずに考えてみてください。
どうすれば会社が伸びるのかを考える
いまの自社の強み・弱みがわかったら、次は将来どうすれば事業が伸びるのかについて検討してください。
検討するにあたって重要な観点は以下のとおりです。
- できるだけ成約条件を取り払って考えること
- たくさん考えること
- これまで失敗したことも改めて考えてみること
M&Aの交渉では、どんな候補先が現れるかわかりません。
また、買手によって求める価値も異なりますし、最終的に買収後の成長戦略を決めるのは買手です。
そこで、売却する側の立場としては、できるだけ多くの方に「将来性を感じてもらう」ための材料として、さまざまなパターンの成長戦略や事業アイデアを提供すべきであると言えます。
会計・法令上の不備を明らかにする
自社の会計上、法令上の不備や違反などを明らかにしておいてください。
M&Aにおいて買手がもっとも嫌うことが「リスクをのむ」ことです。
売上が上がるかどうかは誰にもわかりませんし、買収後は買手自身の責任で頑張るしかありません。
一方で、税金や社会保険料の未納があったり、訴訟される可能性があるトラブルを抱えていたりすると、いつ大きなリスクが発生するかわかりません。そして、こういったリスクをとってくれる買手はほとんどいないため、結局いつまでも売却できなくなってしまいます。
経理や総務の方に任せてしまっている部分などもあると思いますが、税理士や社労士などにも確認しながら自社が抱える潜在的なリスクを明らかにしておくことで、事前に対処することは可能です。
いまの会社の価値(想定売却価格)を知る
いますぐ売却するつもりがない会社でも、客観的に見るとどの程度の価値があるのかについて知っておきたいところです。
正確に言えば、想定売却価格そのものを知ることよりも、その売却価格が算出された根拠と今後の伸びしろを理解することが重要です。
企業評価の手法や考え方はさまざまであり、どの計算手法を用いても参考にしかなりません。しかし、そのプロセスを知れば、今後もっと売却価格を高くするために何をすべきか、といったことが明確にわかるようになります。
よく「純資産+営業利益3年分」という計算式が売却価格の相場だという方がいるのですが、まったく正しくないので信じないでください。
M&Aナビで売却された事例で、この計算式に当てはまるものは一つもありませんし、そんな簡単に価格は決まりません。
売却しようとする会社の業種や決算状況、将来性などさまざまな角度から分析を行い、さらにそのときのM&Aマーケットのトレンドなどを加味した上で、ようやく評価することができます。
この評価を売手ご自身ですることは難しいため、専門家に依頼する必要があります。
通常は30-50万円程度の費用がかかるものですが、M&Aナビであれば無料で実施しておりますので、もしご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
対価として手に入れる金額や売却先の規模など、人によって希望する条件はさまざまですが、いずれにしても理想の条件で売却するためには、早い段階での準備と戦略設計が必要です。
そして、理想と現実に大きな差がある場合は、すぐに売却するのではなく企業価値を上げる施策を打つことも一つの選択肢です。
M&Aナビにもときどき「高く売りたいのでなんとかしてほしい」というご相談に訪れる経営者の方がいらっしゃいます。
気持ちはとてもよくわかりますし力になりたいと思うのですが、いかんせん元々あるもの(会社)を実態より高く見せることは誠実ではないですし、そもそも買手に見抜かれます。
ですので、そういった場合は、しっかりと理想と現実のギャップをご説明した上で、時間をかけてでも理想に近づけるか、現実を見ながら売却を進めるかについて一緒に議論しています。
もし、少しでも会社の売却を考えている方はどうぞお気軽にご相談ください。
まずは、完全無料で貴社の企業評価を受け、客観的に見た自社の実態について理解を深めてみましょう。
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