少額でM&Aができる案件の探し方や小規模M&Aのメリット、注意点を徹底解説
本記事では、少額でM&Aを進める際のメリットや注意点について解説します。
最近は事業承継の手段としてM&Aが一般的になってきました。
そんな中で、比較的少額であっても買収できる案件が増えてきており注目を集めています。
この記事では、少額でM&Aができる案件の探し方や小規模M&Aのメリット、注意点を徹底的に解説をしていきます。
この記事を読むことで、少額でのM&Aに対する具体的なアプローチ方法が分かり、成功への道筋が見えてきます。
目次
M&Aは少額でもできる?
M&A(Mergers and Acquisitions、合併と買収)は、大企業同士の大規模な取引というイメージが強いかもしれませんが、実は少額で行うことも可能です。
特に中小企業やスタートアップ企業の場合、限られた資金でのM&Aが一般的です。
少額M&Aの場合、全体の買収価格は低めに設定され、投資リスクを抑えつつ新たなビジネスチャンスを探ることができます。
少額M&Aには、後継者問題を抱える中小企業の救済、新しい市場への進出、特定の技術やノウハウの獲得など、様々な目的があります。
また、少額であれば、M&Aの失敗による大きな経済的損失を避けることが可能で、初めてM&Aを行う企業にとってもリスクが少ないというメリットがあります。
しかし、少額であってもM&Aは複雑なプロセスを伴います。
企業価値の評価、契約交渉、統合後の経営戦略など、様々な側面を慎重に考慮する必要があります。
また、買収後の統合作業も重要なポイントで、文化や価値観の違いを乗り越え、一体となって機能する組織を作り上げることが求められます。
少額でM&Aができる案件の探し方
では、実際に少額でM&Aができる案件はどこで探すのでしょうか。
この章では、具体的な少額でできるM&Aの案件の探し方について解説をしていきます。
M&A仲介会社へ依頼する
専門のM&A仲介会社に依頼することは、適切な案件を見つけるための有効な手段です。
中には少額でM&Aができる案件を支援していることもあるため一度相談するのがよいでしょう。
また、仲介会社は買い手と売り手のマッチングをサポートし、交渉や契約プロセスのサポートも提供します。
特に、ビジネスの特定分野に精通した仲介会社を選ぶことで、業界特有のニーズに合致した案件を見つけることが可能です。
さらに、専門家の助言を得ることでリスクを軽減しスムーズな取引が期待できます。
市場動向の分析、価値評価、交渉戦略の策定など、仲介会社は買収プロセスの各ステップで重要な役割を果たします。
M&A仲介会社の選び方や費用は以下の記事をご確認ください。
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マッチングプラットフォームを利用する
インターネット上のM&Aマッチングプラットフォームは、買い手と売り手を繋ぐ重要なツールです。
仲介会社が支援する案件と比較して少額でM&Aができる案件の割合が非常に多い特徴があります。
M&Aのマッチングプラットフォーでは、多くの案件から選択することができ、利用者は自分の条件に合った案件を簡単に検索し、比較することができます。
例えば、特定の業界や地域に特化したプラットフォームを利用することで、よりターゲットに合った案件を見つけることができます。
プラットフォーム上でのレビューや評価、過去の取引履歴などを参考にすることで、信頼できる取引相手を見極めることが可能です。
おすすめのマッチングサイトは以下の記事をご確認ください。
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公的機関に相談する
地域の経済振興機関や商工会議所などの公的機関は、M&Aに関する情報提供や相談を行っています。
これらの機関は特に地域密着型のM&Aに関心がある企業にとって有益です。
地域に根ざした小規模企業から相談を受けることが多いため、M&Aの規模としても小さい傾向にあります。
地元企業間の連携を促進し、地域経済の活性化に貢献するM&A案件をサポートすることが多いです。
また、公的機関は地域のビジネス環境や市場動向に関する豊富な情報を持っているため、地域に根差した戦略的なM&Aの実施に役立ちます。
金融機関に相談する
銀行や信用金庫などの金融機関もM&Aのサポートを提供しています。
日頃の顧客接点の中でM&Aのニーズをつかむことができるため、案件規模にかかわらずM&A案件を持っていることが多いです。
特に地域に根差した金融機関の場合は、少額でM&Aできる案件を数多く保有していることが考えられるでしょう。
また、これらの機関は、特に融資や資金面での支援が必要な場合に重要なパートナーとなり得ます。
金融機関は企業の財務状況や業績を詳細に分析し、適切な買収案件の推薦や資金調達の手助けを行います。
知り合いに紹介してもらう
ビジネスネットワークを活用し、知り合いから案件を紹介してもらう方法もあります。
直接の紹介は信頼関係に基づくものであり、安心して取引を進めることができます。
少額でM&Aできる案件の特徴
この章では、少額でM&Aできる案件の特徴について解説をしていきます。
後継者不在の会社
後継者がいない中小企業は、少額M&Aの典型的な例です。
経営者が引退を考えているが後継者が見つからない場合、これらの企業は買収の対象となることが多いです。
企業規模が小規模である場合、取引価格は比較的低く設定されます。
売上や利益が小さい
売上や利益が小さい企業も少額でのM&A対象となります。
これらの企業は成長の潜在力を秘めていることが多く、適切な経営戦略と資源を投入することで価値を高めることが可能です。
財務状況がよくない
財務状況が厳しい企業も、少額M&Aの対象となることがあります。
これらの企業は迅速な資本注入や経営の改善が必要であり、低価格での買収が可能な場合が多いです。
しかし、大きなリスクを負うことになるため財務状況を慎重に評価する必要があります。
少額でM&Aを行う5つのメリットとその注意点
ここでは、少額でM&Aを行うことによって得られるメリットと注意点について解説をしていきます。
少額でM&Aを行う5つのメリット
まずは少額でM&Aを行うメリットについて、5つの具体的な内容をもとに解説をしていきます。
失敗時の損失を軽減できる
少額M&Aの最大の利点は、失敗した場合の損失が限定的であることです。
このリスクの低減は、特に予算が限られている中小企業や初めてM&Aを行う企業にとって、大きな安心材料となります。
低リスクであることにより、積極的な市場展開が可能になり、新しいビジネスモデルの試行のハードルを下げることができます。
すでにあるノウハウや取引関係を引き継げる
企業規模が小さい場合においても、買収することで対象企業の既存のノウハウや顧客基盤、取引関係などを引き継ぐことができます。
これは、新規事業の立ち上げ期間とコストを大幅に節約できる点で重要です。
既に確立されたブランドや市場へのアクセスは、新しい事業の成功を大きく加速させることができます。
事業承継問題の解決につながる
後継者不在の企業を買収することで、事業承継の問題を解決し企業の存続を支援することができます。
これは、地域経済において重要な役割を果たす中小企業にとって特に有意義です。
後継者のいない企業が買収によって新たな経営者の下で継続することは、従業員や関連するステークホルダーにとっても安定をもたらします。
事業承継を目的としたM&Aを「事業承継型M&A」と言います。
事業承継型M&Aに関しては、以下の記事をご確認ください。
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スピーディーな事業の立ち上げが可能
既存の企業を買収することで、新規事業をゼロから立ち上げるよりも迅速に市場に参入することができます。
これは、市場機会を素早く捉え、競争上の優位性を確保する上で大きなアドバンテージとなります。
特に動きが早い業界では、時間が重要な要素であり、M&Aはその時間を有効に活用する手段となります。
投資対効果を最大化できる
少額M&Aにより、限られた投資で最大の効果を得ることが可能です。
特に成長潜在力のある小規模企業の買収は、長期的な収益性の向上に寄与します。
適切なターゲット企業を選定を行うことや効率的な統合プロセスを実施することができれば、高いROI(投資収益率)を実現することが可能になります。
少額でM&Aを行う場合の注意点
少額でM&Aを行うにあたっては、メリットばかりではありません。
次に少額でM&Aを行うにあたっての注意点について解説をしていきます。
簿外債務の引き継ぎのリスクを理解する
買収する企業の隠れた負債や簿外債務に注意する必要があります。
これらは財務上のリスクを高める要因となるため、事前の徹底したデューデリジェンス(企業調査)が必要です。
専門の会計士や弁護士による評価は、隠れたリスクを明らかにし、未来の経済的負担を避けるのに役立ちます。
簿外債務に関しては、以下の記事をご確認ください。
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譲受した事業を正しく理解する
買収する事業の特性や市場環境を正確に把握し、適切な経営戦略を策定することが重要です。
理解不足は、将来的な成功に悪影響を及ぼす可能性があります。
業界の動向、競合他社の状況、顧客ニーズなど、多角的な分析を行うことが不可欠です。
事業の成長に注力する
買収後は、事業の成長と発展に注力する必要があります。
これには、効果的な経営改革や市場開拓、新たな投資などが含まれます。
買収した事業のポテンシャルを最大限に活かし、継続的な成長を目指すためには、戦略的なリソース配分と綿密な計画が求められます。
少額なM&Aのまとめ
少額でのM&Aは、中小企業やスタートアップにとって有効な戦略です。
低い投資リスクでありながら、事業の成長、市場拡大、技術やノウハウの獲得といった多くのメリットを享受できます。
また、適切な案件を見つけるためには、M&A仲介会社、マッチングプラットフォーム、公的機関、金融機関、そして自身のネットワークを有効活用することが重要です。
しかし、少額のM&Aには、簿外債務や事業の特性の理解不足などのリスクも伴います。
事前のデューデリジェンス、適切な戦略策定、そして買収後の事業成長に向けた取り組みが成功への鍵となります。
少額でM&Aを行う場合においても、M&Aは企業の未来に大きな影響を与える重要な決定であり、慎重かつ戦略的なアプローチが求められます。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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