【2020年最新版】ベンチャー・スタートアップ企業の大型M&A案件まとめ

2024年04月16日

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年々増加しているベンチャー・スタートアップのM&AによるEXIT。
2019年〜2020年に1億円以上で買収された案件を一挙にご紹介します。

大企業によるベンチャー・スタートアップの買収が発生する理由

なぜスタートアップのEXITにM&Aという選択肢が増えているのでしょうか?
それには様々要因はありますが、大きく3つの理由があります。

既存事業とのシナジーを見込める

最も大きな理由は、買収企業側の事業成長にあたって足りないピースや欲しい技術を獲得するための買収です。
会社が大きくなればなるほど、尖った技術の開発や既存事業の枠を越えるサービスの提供をすることは難しくなります。
そこで、自社の事業をさらに成長させるために必要なパーツとして、スタートアップを買収するのです。

新規事業への参入

大企業としての優位性を常に保つためには、事業を作り続けていく必要があります。
しかし、実際には大企業はリスクのあることはやりづらかったり、将来性が見えない事業に投資することに躊躇しがちです。

そこを突いてきたスタートアップが頭角を現してきたタイミングで、新規の業界に参入するために、イチから作るよりもスタートアップを買収することで新規事業そのものを作り出すという経営判断がおこなわれるのです。

人材獲得

事業とともに優秀な人材を確保できるという点も、大企業がスタートアップを買収する理由の1つです。
イチから事業を立ち上げ成長させるという稀有な能力を兼ね揃えた経営者や、新しいIT技術を持った人材がスタートアップには大勢います。
事業だけでなく、そのような人材を確保できることは、買収する側にとってまさに一石二鳥なのです。

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【2020年版】ベンチャー企業の大型M&A案件一覧

それでは、実際にベンチャー・スタートアップが1億円以上で買収された事例をご紹介します。
まずは2020年の事例です。

Sequent Software

スマートフォンやウェアラブル端末での決済サービスを展開するTIS社は、2020年1月にアメリカのスタートアップ企業であり、同じくモバイル決済のサービスを開発しているSequent Software社に追加株式取得をし、持ち株比率を61.6%とし、子会社化しました。(取得価額は約28億5000万円)
Sequent Software社が持つ、5G×IoT決済に欠かせない「トークナイゼーション」と呼ばれる技術を活用した決済システムを、TISが取得するのが狙いです。

アナグラム株式会社

フィードフォース社は2020年1月、インターネット広告運用代行事業のアナグラム社の株式50.1%を取得し、子会社化しました。(取得価額は12億5900万円)
フィードフォース社もインターネット広告運用代行を行っていますが、フィードフォース社は「データフィード広告」という領域を強みとし、アナグラム社は「リスティング広告」という領域を強みとしています。
つまり、広告運用の幅を広げて売上を作る領域も広げるためのM&Aです。

ミーカンパニー株式会社

JMDC社は2020年2月、医療機関や薬局リストのデータベースプラットフォームを持つミーカンパニー社の全株式を取得し、子会社化しました。(取得価額は10億5900万円)
医療関連のビッグデータ解析をし、そのデータを製薬会社の創薬開発に提供しているJMDC社は、M&Aによってより多くの製薬会社との接点を得られます。つまり、JMDC社の既存事業の拡大のスピードアップに役立つM&Aになるのです。

株式会社モダンスタンダード

GA technologies社は2020年1月、高級賃貸ポータルサイトを運営するモダンスタンダード社の株式67%を取得し、子会社化しました。(取得価額は10億円)
GA technologies社は中古不動産の売買、リノベーションなどのサイトを運営していることから、本M&Aによって販売網の拡大を狙っています。

クラウドキャスト株式会社

エムティーアイ社は2020年2月、法人向けの経費精算クラウドサービスを展開するクラウドキャスト社の株式29.2%を追加出資し、持ち株比率を52,01%にすることにより子会社化しました。(取得価額は7億2000万円)
クラウドキャスト社が持つStaple Cardによって従業員の経費精算に紙が一切なくなることが強みであり、これをエムティーアイ社の決済システムにも活用したい狙いです。

株式会社エニシアス

クレスコ社は2020年4月、システムエンジニアリングサービスを展開するエニシアス社の全株式を取得し、子会社化しました。(取得価額は2億8000万円)
エニシアス社、クレスコ社共に同様のサービス展開をしていることから、IT人材獲得の意味合いも大きなM&Aといえるでしょう。

株式会社Mクリエイティブワークス

パートナーエージェント社は2020年3月、フォトウェディング事業のMクリエイティブワークス社に追加で株式85.1%を出資し全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は2億1400万円)
パートナーエージェント社が結婚式事業の中でフォトウェディング事業を持っていなかったことと、近年の結婚式スタイルのカジュアル化によってフォトウェディングの需要が高まっていることから、事業領域の補完を目的としたM&Aになります。

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【2019年版】ベンチャー企業の大型M&A案件一覧

次に、2019年におこなわれた買収価格1億円以上のベンチャー・スタートアップ企業のM&A事例を紹介します。

ラクサス・テクノロジーズ株式会社

ワールド社は2019年11月、高級バッグのシェアリングサービスを展開するラクサス・テクノロジーズ社の株式62.5%を取得し、子会社化しました。(取得価額は43億4200万円)
ワールド社が持つ多種多様なアパレルブランドと、高級バッグのシェアリングサービスによって顧客基盤の相互補完効果を見込んだ、2019年の中では最大規模のベンチャー企業のM&Aになります。

スマートキャンプ株式会社

こちらはベンチャー企業によるベンチャー企業のM&Aです。
マネーフォワード社はSaaSメディア「BOXIL」を運営するスマートキャンプ社の株式72.3%を取得し子会社化しました。(取得価額は19億9800万円)

スマートキャンプ社は直近の営業利益が-1億300万円でありながら、これだけ多額なM&Aになったことは、マネーフォワード社の会計SaaSサービス「Money Forward」の新規顧客獲得にBOXILが非常に効果的であると判断されたことによると思われます。

株式会社INDETAIL

スマートバリュー社は、ソフトウェア開発会社のINDETAIL社の全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は13億3000万円)
どちらも同業であり、ソフトウェア開発力の規模拡大が目的のM&Aといえます。

なごやかケアリンク株式会社

ソラスト社は2019年4月、介護サービス施設を53ヶ所運営するなごやかケアリンク社の全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は13億円)
ソラスト社も同業であり、本M&Aによって177ヶ所に増加し、さらなる事業拡大が目的になっています。

株式会社センジュ

学習塾予備校のポータルサイトを運営するイトクロ社は20219年11月、子供向け習い事や子育てのポータルサイトを運営するセンジュ社の全株式を取得し子会社化しました。(取得価額は7億円)
このM&Aにより、イトクロ社は子育てから高校卒業までの教育関連ポータルサイトを手に入れたことになります。

株式会社ハートフィール

ナルミヤ・インターナショナル社は2019年3月、男児子供服製造のハートフィール社の全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は7億900万円)
女児子供服が得意なナルミヤ・インターナショナル社が男児子供服の展開も視野に入れたM&Aです。

株式会社アルファドライブ

ユーザベース社は2019年11月、社内新規事業開発に特化したコンサルティング事業を手がけるアルファドライブ社の全株式を取得し完全子会社化しました。(取得価額は5億5000万円)
Newspicksの法人向けの新規事業展開として、ユーザベース社はM&Aを実施しました。

オーテ株式会社

インターネット広告事業を手掛けるアイモバイル社は2019年8月、スマホ向けアプリ開発のオーテ社の全株式を取得し完全子会社化しました。(取得価額は5億円)
オーテ社のアプリ内での広告収益向上を図るため、アイモバイル社がM&Aを実施しました。

アウルス株式会社

エン・ジャパン社は2019年3月、Webやアプリの受託開発のアウルス社の株式を51.0%取得し、子会社化しました。(取得価額は4億300万円)
人材事業のエン・ジャパン社が他業種の新規事業を模索する中でのM&Aになりました。明確に事業のシナジーを考慮したM&Aとは発表されていないことと、株式交換は2021年に行うことから、IT人材の獲得と、今後の新規事業展開のためのITノウハウの社内蓄積に活用されると考えられます。

株式会社クラフトリッジ

Orchestra Holdingsは2019年1月、システム開発のクラフトリッジ社の全株式を取得し子会社化しました。(取得価額は3億6700万円)
Orchestra Holdingsが2017年に開始した大企業向けのシステム開発事業をさらなる柱事業とするべく、同領域に強いクラフトリッジ社をM&Aしました。

株式会社アッション

SHIFT社は2019年1月、Webデザインやレイアウトの最適化を検討する際に用いるABテストで高度なノウハウを持つアッション社の全株式を取得し完全子会社化しました。(取得価額は3億5000万円)
SHIFT社が手掛けるソフトウェアのテストの内容として、アッション社のデザインやABテストを組み込み、顧客へのサービス提供の幅を広げるためのM&Aです。

株式会社JapanWork

エン・ジャパン社は2019年7月、外国人向け求人事業を展開するJapanWork社の株式51.0%を取得し、子会社化しました。(取得価額は2億3400万円)
エン・ジャパン社が日本人に対する求人以外にも、人材事業を拡大する狙いでおこなわれたM&Aになります。

株式会社ワクト

エル・ティー・エス社は、ソフトウェア開発のワクト社の全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は1億6000万円)
両社共にシステム開発会社であることから、人材獲得と、事業強化を図ったM&Aになります。

株式会社COOL SERVICES

ZUU社はアジアビジネスに特化したソーシャルレンディング事業をおこなうCOOL SERVICE社の株式を80%取得し子会社化しました。(取得価額は1億1850万円)
ZUUが手掛けるフィンテックプラットフォーム事業に、今後成長が見込まれる海外向けソーシャルレンディングを取り込むことのが目的です。

ワイゼンラージ株式会社

総合的エンターテイメント事業を手掛けるKey Holder社は2019年10月、TV業界のクリエイターやスタッフの派遣業務をおこなうワイゼンラージ社の全株式を取得し、完全子会社化しました。(取得価額は1億1000万円)
Key Holder社がエンターテイメント業界での事業を幅広く展開していく中で、エンターテイメント人材事業のワイゼンラージ社をM&Aした事例になります。

今後もEXIT手段として大企業へのM&Aは続くのだろうか

2019年、2020年1〜3月のベンチャー・スタートアップ企業のM&A事例を紹介しました。

今後は新型コロナウイルス感染症による経済環境の激変によって、引き続き大きな買収案件が起きるかどうかは不透明です。
一時的にスタートアップ買収の熱は冷めるかもしれません。

ただ一方で、こういった時期だからこそ積極的に買収を検討している大企業も少なからず存在します。

将来はIPOなどのEXITを目指している経営者の方は、現実的にどういったEXITの選択肢があるのか気になるところだと思います。
M&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

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