融資を受けるには条件がある?手順やどこから借りるかなど資金調達の基本を徹底解説

2024年09月18日

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人件費や物価の上昇など、中小企業にとって苦しい経済状況が続く中、融資を受けることができれば資金繰りを改善することができるでしょう。

一方で、資金を調達するための手段は融資だけではありません。

そこで本記事では、融資による資金調達の基本を他の手段と比較しながら徹底解説します。
銀行からの融資を受けるための事前準備やポイントについて解説し、最適な資金調達をサポートします。

資金繰りを改善し、より良い事業環境の整備や更なる事業の成長を実現しましょう。

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資金調達の種類は2つある

まず、企業が新たに資金を得るための方法は大きく2種類あります。

資金調達方法1.第三者から「負債」となるお金を借りる融資(デット・ファイナンス)

融資とは誰かからお金を借りることで、自由に使える資金を増やす方法です。
お金を借りるわけですから、必ずいつかは返済する必要があります。

日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関か、銀行や信用金庫などの金融機関から借り入れることが一般的であり、借り入れをする企業の財務状況や将来性などによって条件が変わってきます。

融資による資金調達の特徴として、返済義務を負う一方で、お金さえ返してしまえばそれ以外の義務はありません。
また、会計上は負債として貸借対照表に記載されることになり、この負債の額が大きすぎると新たに借り入れを起こすときに不利になってしまうことがあります。

デット・ファイナンスに関する詳細は、「デットファイナンス とは – 事業承継・M&A用語集」をご確認ください。

資金調達方法2.第三者から「資本」としてお金を投じてもらう投資(エクイティ・ファイナンス)

負債ではなく資本を増やすことで資金を増やす方法もあります。
株式会社の場合、創業時に必ず資本金を入れて設立します。
この資本金を振り込んだ人、いわゆる創業者は株式を保有することになります。

その会社の株式を新たに発行して誰かに買ってもらうと、そのお金は資本として会社に入ることになり自由に使うことができます。
一部の業種を除いて基本的に新株は誰に買ってもらっても構わないため、既存の株主が希望する人に資本参加してもらうことになります。

投資による資金調達の特徴として、投資してもらったお金は返済義務はありません。
その一方で、株式を渡すということは株主になるわけですから、その会社の重要な意思決定に参加されることになります。
また、一度株式を渡してしまうと簡単に買い戻すことは困難です。
つまり、融資とはまったく性質が違って、お金と引き換えに会社の仲間を引き入れるイメージです。

エクイティ・ファイナンスに関する詳細は、以下の記事を参考にしてみてください。

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かんたん1分

融資による資金調達のパターンと条件

どこから借り入れるか

メガバンク、都市銀行、地銀、信用金庫、事業者ローン、日本政策金融公庫など、法人がさまざまな借り入れ先があります。
メガバンクは一般的にハードルが高く、創業から間もなかったり事業規模が小さかったりすると、借り入れすることは難しいです。
一方で、事業者ローンや非常に高金利ですが、保証が不要だったり即日融資を受けられたりすることが特徴です。
日本政策金融公庫は国が100%出資している金融機関で、近年は経営者に過度な負担をかけないよう無担保無保証で貸し出す流れになっています。

金利条件について

どこから借り入れるか、また担保や保証の有無によって、金利の条件は異なります。
メガバンクの金利は比較的低くなりますが、その分借りることができる企業は限られてきます。

担保の有無

担保の有無も借入の条件において重要な影響を及ぼします。
担保の種類は多種多様なものが認められていますが、主な担保となるのは不動産で、ある程度価値が客観的に認められているものです。
他には上場株式や船舶などの動産も担保とすることができます。
担保価値は100%で評価されているわけではなく、掛け目といわれる数字を乗じて銀行は担保の評価額を算出します。
担保評価額に応じてどれだけ資金を融資してよいのか、金利などの条件を検討することになります。

保証の有無

中小企業などがお金を借りる際に、保証協会による保証をつけることがよくあります。
通常の金利に加えて保証料も加わるため、借り入れる条件としては悪くなりますが、はじめて銀行と取引する際などはほぼ確実に保証協会の利用を求められます。
一方で保証協会の保証なく、銀行だけがリスクを負う融資の種類をプロパー融資といいます。
また、経営者による個人保証、いわゆる連帯保証を負うことも一般的です。
連帯保証に自分が入ると、文字通り会社と連帯して責任を負い、会社が借金を返せない場合は、自分が借金を返済しなければなりません。

銀行融資による資金調達の種類

銀行融資には様々な種類があります。自社の状況や借入先によって、どの銀行融資の種類が最適かは異なります。

証書貸付

証書貸付とは、金銭消費貸借契約書という契約書を締結する融資方法をいいます。
もっとも一般的な融資パターンとなっており、銀行による貸付けの多数を占めています。
主に1年以上の期間で利用される場合が多く、短期的な資金融通よりは運転資金や投資資金のために利用されるケースがほとんどです。

手形貸付

約束手形を担保に融資を受ける手法です。
証書貸付よりも短期間での融資の際に利用される場合があります。
つなぎ融資とよばれる返済期間が数ヶ月で設定されている場合など、一時的な資金ニーズにこたえる融資です。

当座貸越

上限額を設定された当座貸越契約を締結し、上限額までは自由に借り入れることができる融資手法です。
当座貸越専用の口座を開設し、その口座内で資金の借入や返済を随時行うことができます。
大手一般企業においても、当座貸越の枠だけは緊急時に備えて用意している場合が多いです。

担保、保証の有無による資金調達の分類

銀行融資は担保と保証の有無により、3種類の融資パターンに分類することができます。

担保融資

自分が所有している不動産などの資産を担保に融資を受ける手法です。
銀行の立場からすると、資産を担保に取っているため安全度が高い融資といえますが、資産を評価する必要があるため、融資の承認が降りるまで、ある程度の時間が必要です。

プロパー融資

プロパー融資とは信用保証協会の保証なしの融資のことです。
プロパー融資を受けることで信用力が付くといったメリットがありますが、審査のハードルは高くなります。

信用保証協会の保証付き融資

起業したばかりなど、信用力が低い企業が融資を受ける際は、信用保証協会の保証を受けるケースが多くなります。
保証料が必要なため、融資条件としてはプロパー融資よりも悪くなります。

銀行から融資による資金調達を受けるための事前準備

銀行融資を受けるためには事前の準備が必要不可欠です。
銀行から融資の承認を受けるために特に重要な事前に準備すべき事項を3つ紹介します。

資金使途、返済原資を明確にしておく

借入金の資金使途は必ず聞かれるポイントの一つです。
例えば、設備投資のため、一時的に資金繰りが苦しいため、などの合理的な理由を準備しておきましょう。
また、設備投資を行って将来キャッシュがいくら増加することで返済原資とする計画である、といった返済原資を明確にしておくことが望ましいです。

事業計画の準備

返済計画と同様に事業計画も融資を受ける際には重要なポイントです。
合理的なロジックのない事業計画を銀行に提出してしまっては、この経営者は信頼できる人ではないな、と思われてしまうリスクが高まります。
そのため、どうやって売上を上げるのか、どうコストを抑えていくのか、など、誰がみても納得できる事業計画を作成するようにしましょう。

決算書の準備

通常、決算書は3期分を準備します。
また。進行期については試算表を用意しておき、現在の経営状況を数字で説明できるように準備します。
経営者貸付金、経営者借入金や特別損益など、貸借対照表や損益計算書において目立った数字がある場合は、質問された時に答えられるよう事前の準備が必要です。

プロパー融資を受けるためには

銀行からのプロパー融資を受けられると、企業における成長の目安になります。
プロパー融資を受けることができれば信用力がつき、信用保証協会への保証料もなく、金利等も有利な条件で借りやすくなります。
また、借入額に一元的な上限もなくメインバンクとして長い付き合いにできることもメリットです。
それではプロパー融資を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。

税金対策でなくしっかり利益を出す

中小企業の多くは税金を払わずに済むように利益を出そうとせず、節約の対策をしていることでしょう。
しかし、プロパー融資を受けるためには一定の利益を継続して出していることが必要になります。
そのため、必要以上な節税対策はおこなわず、しっかりと利益を出して納税することがプロパー融資への第一歩といえます。
ある意味、経営者としてのパラダイムシフトが必要です。

M&Aや会社売却時の税金については、以下の記事を参考にしてみてください。

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運転資金として融資を受ける

最初にプロパー融資を受ける場合、資金使途は設備投資よりも運転資金の方が望ましいといえます。
なぜなら設備投資への融資は通常長期にわたり、運転資金よりもリスクが高い融資と考えられてしまうためです。
リスクが高い融資と認定されてしまえば金利等の条件も悪くなり付帯条件も厳しいものとならざるを得ません。
よって、最初のうちは運転資金を融資してもらい返済実績を作った上で、設備投資などの大きな借入を申請するとよいでしょう。

複数の金融機関に融資を打診する

メガバンク、地方銀行、信用金庫、など国内には500以上の金融機関があります。
たとえ、身近な金融機関に断られたとしても、できる限り多くの金融機関と交渉してみましょう。
同時期に複数の銀行と交渉を進めることで、金利等の条件も有利なものを引き出せる可能性も高まります。

融資以外の資金調達方法について

これまで融資について説明してきましたが、企業を存続させる目的で資金を安定化させるにあたっては、融資と新株発行以外にも様々な方法があります。

融資以外の資金調達方法1.ファクタリング

自社の資金繰りが短期的に厳しく、一時をしのげば余裕が出てくるといった場合は、ファクタリングを検討することもできます。
ファクタリングとは、自社の有する売掛金や受取手形をファクタリング事業者に売却することにより資金を得る手法です。
金利にかわる手数料は銀行融資に比べて高く設定されますが、ファクタリング実行までの時間がかなり短いのが特徴的です。

ファクタリングについては、こちらの記事も参考にしてください。

資金調達手段であるファクタリングとは?種類やM&#...

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融資以外の資金調達方法2.資産売却

自社で保有している換金可能な資産がある場合は、売却資金で資金融通することが可能です。
債務を負う、また高い金利を払う必要もないので、どうしても手元に現金が必要な場合は資産売却は有効な選択肢となります。

融資以外の資金調達方法3.株式譲渡し経営を安定化させる

自分の持っている株式をM&Aによって売却し経営を安定化させることも、会社にとっては有効な資金調達の手段といえます。
慢性的に資金繰りが安定しないと、次への投資はおろか会社を潰さないようにすることで必死になってしまいます。
なにかのきっかけで経営が好転することもあるかもしれませんが、一度そういった状況に陥るとなかなか抜け出すことは困難です。

そこで、思い切って売却して安定株主を得ることで、会社の経営状況を上向かせることができるかもしれません。
加えて、創業者には株式を売却したことによる対価が入るため、資金繰りから開放されるとともに精神的にも安定を得ることができます。

会社売却については、以下の記事をご確認ください。

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融資による資金調達のまとめ

この記事では、融資による資金調達の概要をご紹介いたしました。
融資は企業における資金調達の中でもっとも重要であり基本となる手法ですが、財務状況やタイミングなどによっては時間がかかってしまったり、借り入れを起こすことができなかったりすることもあります。

資金繰りを検討する際には、色々な選択肢を持つためにも早めに売却の可能性や売却可能額などを知っておくことをおすすめします。

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