鳥取県のM&A・事業承継について、会社売却事例も交えて徹底解説
鳥取県は西日本に位置し、日本でもっとも人口の少ないコンパクトな県です。
日本海に面し、西は島根県、東は兵庫県に隣接した場所にあります。
また、近年では交通網や通信技術が発達し、他県からアクセスしやすくなっています。
今後、県外の資本をもつ企業が、鳥取の事業承継を積極的に検討するようになるかもしれません。
実際、M&Aの視点で見ると、鳥取県内における後継者不足による休業・廃業が深刻です。後継者のいない企業が、県内全体の7割を超えているというデータもあります。
そこで本記事では鳥取の産業やM&Aの特徴、事例を紹介し、皆さまに少しでもM&Aに興味をもっていただけるように解説していきます。
目次
鳥取県における産業の特徴
鳥取県は全国で最も人口が少ない県であり、県全体の74%を森林が占めます。
県内GDPでは製造業が最も高く、続いて不動産業、保健衛生・社会産業が続きます。また、1次産業に就労している人の割合が他の県より多いことが特徴です。
鳥取県は日本で最も人口の少ない県
鳥取県は日本でもっとも人口の少ない県です。
経済産業省の統計によると、鳥取県の人口は1985年をピークに、人口流出と自然減から県内全体の人口は減少の一途をたどっています。
令和4年5月の推計では、鳥取県の人口は約54.5万人であり、これは東京都の杉並区・荒川区・八王子市などと同程度です。
鳥取県は製造業が盛ん
鳥取の産業の特徴は、製造業が強い点です。
その理由として、県内の道路が整備されたことや、東日本大震災による一極集中のリスクが見直されたことによる複合的な要因があります。
実際に、鳥取県の産業を県内GDP別に見ると、製造業が14.3%と最も多い結果になっています。ついで不動産業11.3%、保健衛生・社会事業が11.0%と続きます。
一方で、人口が少ないことで県内の需要は小さく、1次産業、2次産業のいずれも県外需要に依存する形となっているのです。
鳥取県のM&Aの特徴
鳥取エリアでは、多くの産業で後継者不足に悩まされています。
もともと人口が少ないこともあいまって、後継者不足はこの先さらに加速することが考えられます。
鳥取県には後継者不足に悩む経営者が多い
鳥取では、多くの経営者が後継者不足に悩まされています。
実際に帝国データバンクの調査によると、鳥取県では後継者不在率が約75%であり、これは全国1位です。
また60歳以上の経営者のうち、後継者のいない割合が57.4%と半数以上にもなり、喫緊で事業承継が必要とされている面もあります。
もともと人口が少ない点や若者の県外流出などで、この先鳥取の後継者不足はさらに加速していくと予想されます。
鳥取県は県外企業が誘致しやすい
鳥取では、県外企業が県内で活動しやすい環境が整えられています。
従来の鳥取エリアは、その地域的な特性から他県からの進出が難しいエリアでした。
それは交通網が限定され、気候風土が隣接するエリアと異なるため、県内で「閉じた」ネットワークが形成されやすい環境にあったからです。
近年、交通網が改善され、さらに通信技術の発展により他県からでもアクセスが容易になりつつあります。
県外からアクセスしやすくなることは、つまり県外企業とのM&Aが実現しやすい環境にもつながるのです。
実際に鳥取では後継者不足に悩む企業が多く、他県から県内に展開する企業の事業を承継し、未進出エリアへの足がかりとする可能性も秘めています。
鳥取県のM&Aの事例
鳥取のM&Aの事例について見ていきましょう。
さんびるHDがヨネザワをM&Aで買収
経営者の高齢化に伴い事業承継を検討していたヨネザワを、県内でビルメンテナンスを手がける「さんびるホールディングス(以下、さんびるHD)」が完全子会社化した事例です。
ヨネザワは、事業者向けに地元で接着剤や粘着テープなどの化学製品などの販売している会社で、年間2億円を売り上げを誇ります。
ただ、ヨネザワの社長の高齢化に伴い、事業引継ぎ先を探していました。
そこで、普段からメンテナンス会社に資材を卸しているヨネザワに、さんびるHDが目をつけます。
さんびるHDがヨネザワを完全子会社化し、両社ともに販売の選択肢を広げています。
富士薬品があみはま薬局をM&Aで子会社化
全国に調剤薬局・ドラッグストアを展開する富士薬品(埼玉県さいたま市)が、同じく調剤薬局・ドラッグストアを鳥取県内で展開する、あみはま薬局(鳥取県鳥取市)を子会社化した事例です。
調剤薬局・ドラッグストアは店舗数が増え、業界再編が進んでいます。あみはま薬品は鳥取県内で昭和30年に設立され、鳥取市を中心に展開しています。
県外企業が県内に展開する企業を子会社化し、未出店地域への足がかりと事業強化を進めた事例の1つです。
砂丘園芸がヤマタホームへM&Aで事業譲渡
県内で住宅事業を展開する株式会社ヤマタホーム(鳥取県鳥取市)が、おなじく県内で住宅事業を展開する、株式会社砂丘園芸(鳥取県鳥取市)より住宅部門の事業譲渡を受けた事例です。
住宅業界はこの先、人口減少と共に着工棟数が大幅に減少することが予想されています。
売却や買収などの業界再編が進む中、互いに得意な分野で連携しあい、統合を進めていくことで生き残りを図ろうとしています。
鳥取県のM&Aまとめ
鳥取県は日本で人口が一番少ない県です。
県内では後継者不足が深刻で、後継者不足率は全体の約75%に上ります。
地理的な特性から、他のエリアからアクセスしにくく全国展開する企業でも未進出の企業が多くあります。
逆に言えば、鳥取には県外企業とのM&Aのチャンスが生まれているのです。
本記事で紹介した「富士薬品とあみはま薬局のM&A」のように、鳥取が未出店店舗である企業も、M&Aを活用することで効率的に販路を拡大できます。
また鳥取県の会社を売却しようと検討している方は、ぜひM&Aナビをご活用ください。
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