熊本県のM&A・事業承継を解説!会社売却事例もご紹介します
本記事では、熊本県のM&Aについて解説します。
熊本県は県内企業の99.9%が中小企業であり、県全体の経済や雇用を支えています。
一方で、後継者候補のいない企業が多く、M&Aや事業承継に課題を抱える会社も多いのです。
そこで本記事では、熊本の産業の特徴やM&A、事業承継に関しての実態などを紹介します。
熊本県内でM&A、事業承継を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を通じて、熊本県でのM&Aの可能性と具体的な事例を理解することで、あなたの会社の未来に新たな選択肢を見つけることができるでしょう。
熊本の産業の特徴
熊本県は農業の盛んな地域でありましたが、近年は製造業も県の基盤産業となっています。
九州地方における工業出荷額では、福岡県、大分県と肩を並べる勢いです。
このような工業県へと転換してきた背景には、県の産業振興の中核を担う「公益財団法人くまもと産業支援財団(旧:くまもとテクノ産業財団)」の存在が大きいです。
くまもと産業支援財団は、県内の中小企業の的確な支援を実施しており経営相談や企業支援などを手がけます。
電子部品を中心に盛んな熊本の製造業
2022年4月28日に熊本県が公開した「令和元年度 県民経済計算 推計結果」によると、製造業は県内総生産の17.5%を占めており、県内最大の産業であることが明らかになっています。
そのなかでも特に県内の製造品出荷額等が高い業種は以下のようになります。
- 1.電子部品・デバイス・電子回路製造業
- 2.輸送用機械器具製造業
- 3.生産用機械器具製造業
また、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」と「生産用機械器具製造業」は、全国でも高いシェアです。
また、ゴム製品製造業の全国シェアも高くなっています。
開業率や廃業率は全国と同程度で経済動向は持ち直しつつある
「熊本県の経済情勢 令和4年5月号」によると、熊本県内の景気は、「感染症の影響が和らぐもとで、基調としては持ち直している」とされています。
また、帝国データバンクの「休廃業・解散 動向調査(2021年)」によると、熊本県の企業の休廃業や解散は、3年ぶりに増加に転じたことがわかりました。
休廃業と解散の件数は660件となっています。
代表者の年齢をみると、70代が全体の3割ほどを占めており、リタイア適齢期を迎えてうまくM&Aや事業承継ができなかったことも考えられます。
また業種別でみていくと、小売業や建設業の休廃業が多い傾向です。
熊本県内の商店数と年間商品販売額は下降の一途をたどり、休廃業数の増加の原因になっています。
このように、基盤産業である製造業は製品出荷額が上向いているものの、ほかの業種には課題があります。
熊本県のM&Aの特徴
ここからは、熊本県のM&Aや事業承継の特徴をみていきます。
後継者候補は親族が多い
熊本のM&Aの特徴は、後継者候補に親族が多いことです。
熊本商工会議所の「事業承継ヒアリングシート調査報告書」(平成30年1月公開)によると、会社の10年後の夢を話せる後継者候補がいる企業は67.7%となっています。
また、親族が後継者候補であるとしている企業は86.1%となっています。業種別に見ていくと、運輸・通信業、製造業、建設業の企業経営者が身内への事業承継を検討していることもわかりました。
以上から熊本県内の企業は、多くの場合で身内に事業承継を検討して後継者によるさらなる発展を望んでいると考えられます。
3割の企業は後継者候補なし、8割以上は売却や譲渡先が未定
前述の「事業承継ヒアリングシート調査報告書」によると、32.3%の事業者は後継者がいないと回答しています。
後継者がいないと回答した経営者の年齢層は60代以降が7割以上を占めています。
また、会社の売却、もしくは事業譲渡により引き継ぐ相手先候補がいない企業は86.8%です。
つまり、リタイア適齢期の経営者がM&Aや事業承継に課題をもっていることがわかります。
さらに、経営者が後継者や売却の課題を抱えるだけではなく、それらを相談する専門家がいない場合も多くなっているのです。
M&Aを実行する企業が少なく、その理由としてM&Aを具体的に考えている会社が少ないという見解もでています。
熊本には事業承継を先送りしている企業が多い
企業の後継者候補を身内や従業員で検討していても、事業承継に課題がある企業もいます。
前述の「事業承継ヒアリングシート調査報告書」をもとにすると、親族や役員・従業員のなかに後継者候補にしたい人材がいると回答したなかで、事業承認を打診している理由が明確になっている割合が37.9%となっています。
経営者のなかには、後継者候補がまだ若いなどの理由から事業承継を打診していない場合もありますが、4割ほどの事業者ではっきりとした理由がありません。
つまり、事業継承へのアクションを先延ばしにしていることと考えられます。
その理由には、前述したような相談できる専門家がいなかったり、社内に承継したい独自のノウハウや技術がなかったりすることがあげられます。
熊本県は事業承継ネットワークの診断件数や参画期間が少ない
各都道府県には「事業承継ネットワーク」といって、商工会議所や民間支援機関などが連携して、経営者の事業継承をバックアップする仕組みがあります。
中央企業庁が令和元年7月に発表した「事業承継の集中支援について」によると、熊本県名における事業承継ネットワークへの参画機関数は33となっており、診断件数は991件でした。
とくに診断件数に関しては、全国各県と比べても少なくなっており、事業承継の停滞が伺えます。
安心してM&Aや事業承継をするには専門家への相談や連携が必要
熊本県では企業の後継者不足の対策として、公的機関が設置されています。
前述した「事業承継ネットワーク」もそのひとつです。
また、「熊本県事業引継ぎ支援センター」も設置されており、事業や会社の承継をサポートしています。
さらに「熊本県後継者人材バンク」が開設され、後継者不足の企業と経営意欲のある方を結びつける事業を展開しているのです。
公的な組織のほかにも、民間のM&A仲介会社なども熊本県の企業の事業承継をお手伝いしています。
M&Aナビにおいても熊本県の経営者様から事業承継や会社の売却、譲渡の相談を受けてきました。
県内で盛んな製造業、そのほかの多岐にわたる業種においてもお気軽に事業承継やM&Aに関してご相談ください。
参考:熊本商工会議所の「事業承継ヒアリングシート調査報告書」(平成30年1月公開)
売却検討中の方の疑問をいますぐ解決!よくある質問と回答はこちら
M&Aでよくある質問〜売却検討中の方の不安・...
M&Aで会社や事業の売却を検討する中で、不安や疑問点は多くあるのではないでしょうか。 M&Aナビにおいても「いくらで売れるのか知りたい」「売却後の税金が不安」といったご質問をいただいております。 そこ…
熊本県でのM&Aや事業承継の事例紹介
ここからは、M&Aナビがお手伝いした熊本県内の事業承継の事例をご紹介します。
急遽発生した事業承継
はじめに紹介するのは、熊本市内にて自動車板金業を営む事業主の事例です。
先代は個人事業主として30年以上も事業を運営してきましたが、急逝により事業の引継ぎが必要となりました。
当初、ご親族は廃業を検討しておりましたが、先代と取引のあったディーラー様より事業承継への働きかけがあり、引継ぎを決意されました。
その後、息子様が法人設立により事業継承をおこない、先代が努力して築き上げたお客様や取引先との信頼関係をさらに向上させています。
先代が高齢となり事業承継を決意
続いて紹介するのは、菊池市で音響関係の事業を営む事業主の事例です。
こちらの事例は先代が高齢となり、県内一円を対象にする業務遂行が困難な状況から事業承継のご相談をいただきました。
先代が築き上げてきた経験と信頼をどのように受け継いでいくかという課題を乗り越え、今では独自サービスによる新規顧客の獲得に注力できる体制となっています。
焼酎製造業の事業承継
最後に紹介するのは、天草市で焼酎製造業を営む事業主の事例です。
先代の経営者の方はこれまでの純然たる状況を打破するために事業承継を決意されて、M&Aナビにご相談くださいました。
その後、若い経営者の視点で市場を考えることを目的に事業承継をおこない、新商品を展開しています。
現在の経営者は30代ということもあり、新たな挑戦が今後も続きます。
熊本県のM&A案件を探すには
熊本県のM&A案件を探すには、どのような手段があるのでしょうか。
一般的には、以下の3つの手段があります。
- M&Aマッチングサイトで探す
- 地元の金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、インターネット上で企業の売却案件を探すことができるサービスです。
特に近年ではM&Aの案件を探すための手段として主流になってきており活用する企業が増えています。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
熊本県の案件もありますので、一度見てみてください。
地元の金融機関に相談する
地元の金融機関に相談することも有効な選択肢の一つといえます。
地方銀行や信用金庫は、地元企業の事業承継支援や経営支援に力を入れているためM&Aの売却案件の情報を保有している可能性が高いです。
一度、懇意にしている地域金融機関に相談してみましょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社に相談することは、最もベーシックな手段の一つだといえるでしょう。
M&A仲介会社は、売却を検討している方を積極的に探索しており、売却案件の情報を豊富に持っていることが考えられます。
M&Aナビでは、プラットフォームに掲載していない非公開の案件を多数保有しておりますので、一度ご相談ください。
M&A仲介会社に相談する際は、手数料や費用など注意すべきことがいくつかあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
M&A仲介会社の選び方や費用について解説!2つ...
以前よりもM&Aが経営戦略の一つとして一般的になるにつれて、M&A仲介会社の選び方がポイントとなっています。 経済産業省も「中小M&A推進計画」を打ち出し、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者におい…
熊本県のM&Aまとめ
この記事では熊本県における産業の特徴やM&A、事業承継についてご説明しました。
熊本県の企業は身内を中心とした後継者候補が存在するものの、一部では後継者候補が存在しない会社もあります。
後継者候補がいる場合であっても先送りする現状もあり、M&A事業承継に関しての対策は急務といえるでしょう。
熊本県の会社を売却しようと検討している方は、ぜひお気軽にM&Aナビにご活用ください。
M&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
関連記事
M&A(エムアンドエー)とは?意味や目的、仕組みや手法などM&Aの基本を簡単に解説!!
M&A(エムアンドエー)とは、”Mergers and Acquisitions”の頭文字を取った略語であり日本語に直すと合併と買収です。 本記事では
M&Aは個人でもできる?個人が中小企業をM&Aで買収する方法とは
個人M&Aが書籍やTVなどのメディアで大きく取り上げられ、「自分もできる!」「個人でM&Aして社長になりたい!」といった意欲のある方が増えて
M&Aはどこに相談するのが良い?相談先の選び方や、選ぶときの3つの注意点を徹底解説!
M&Aを検討しているが、どこに相談すればいいかわからない…。そんな悩みを抱えるは当然です。 家族や従業員に気軽に相談できる内容ではないですし、銀行や税
中小企業の事業承継におけるM&Aのメリットと高く売却できる条件とは?
本記事では、事業承継の手段としてM&Aを活用することのメリットや高く売却できる条件について解説します。 近年、親族や従業員への事業承継ではなく、第三者
新着買収案件の情報を受けとる
M&Aナビによる厳選された買収案件をいち早くお届けいたします。