中小企業のM&Aが増加している理由|背景について解説

中小企業のM&Aが増加している理由は、大きく(1)経営者の高齢化、(2)後継者不足、(3)労働人口の減少の3つです。
この記事では、中小企業のM&A増加の背景をデータとともに詳しく解説し、事業承継の選択肢としてのM&Aの位置づけを整理します。
M&Aが増加している背景を理解し、自社の将来に対する具体的なビジョンを描くことができます。
これにより、M&Aを進める際の不安や疑問点を解消できるでしょう。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
M&Aが増加している3つの理由
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(1)経営者の高齢化

(出典:「中小企業白書2018年版」中小企業庁)
一つ目の理由は、経営者が高齢になったことです。
この20年で、経営者のボリュームゾーンは約20歳高齢化しました。
当然ある程度の年齢になってくると次の世代に会社を承継する必要が出てきます。
その結果として、M&Aの件数も増加している形になっています。
(2)経営者の後継者不足
次に挙げられる理由としては、後継者がいないことです。
経営者の多くは、できれば子供を始めとした近い存在の人間に会社を継がせたいと思っています。
しかしながら、“子供がいない”“子供が大企業に勤めており継がない”などの理由で、思ったように承継できないケースが増えています。
帝国データバンクの全国「後継者不在率」動向調査(2025年)では、全国の後継者不在率は50.1%と、依然として約2社に1社が後継者不在という深刻な状況です。
そして、後継者がいない場合の選択肢として、M&Aによる第三者承継を取る経営者が増えているのです。
(3)労働人口の減少
さらに、日本における人口減少も大きな理由の1つです。
2005年に1億2729万人だった日本の人口は減少を続けており、2060年には8647万人まで減ると言われています。
それに伴い労働人口の現象も著しくどの企業も人材不足に頭を抱えています。
また、テクノロジーの進化やグローバル化やインバウンドの影響など、これまでとは違ったスキルや知見を持った人が必要になってきました。
そのため、多様な人材を確保する手段としてもM&Aが活用されてきました。
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中小企業のM&A件数の推移
M&Aの増加は、実際の統計データにもはっきりと表れています。
レコフデータの調査によると、日本企業のM&A件数(公表ベース)は2011年以降ほぼ一貫して増加を続けており、2025年には年間5,115件と2年連続で過去最多を更新しました(2024年は4,700件)。
10年前と比べると年間件数はおよそ2倍の水準に拡大しており、M&Aが一部の大企業だけのものではなく、広く一般的な経営手段になったことが分かります。
(出典:レコフデータ「2025年のM&A回顧(2025年1-12月の日本企業のM&A動向)」)
中小企業に絞ったデータでも、増加傾向は明確です。
公的な相談窓口である事業承継・引継ぎ支援センターの実績を見ると、第三者承継(M&A)の成約件数は令和6年度(2024年度)に2,132件と過去最高を更新し、相談者数も約23,000者に達しています。
センターの成約件数はこの10年で大きく伸びており、さらに公表されない小規模・非公開の案件も多いことを踏まえると、中小企業のM&Aの実数は統計に表れる数字よりもさらに多いと考えられます。
(出典:中小企業基盤整備機構「令和6年度 事業承継・引継ぎ支援事業の実績について」)
こうした件数の増加は、先に挙げた3つの理由(経営者の高齢化・後継者不足・労働人口の減少)と表裏一体の関係にあります。
経営者の高齢化が進み、親族内に後継者が見つからない企業が増えた結果、第三者への承継=M&Aという選択肢を取る企業が増え、それが統計上の件数増加として表れているのです。
今後の見通しとしても、経営者の平均年齢は上昇を続けており、後継者不在率も中小企業では51.2%、小規模企業では57.3%(帝国データバンク・2025年調査)と全体平均より高い水準にあります。
そのため、事業承継を目的とした中小企業のM&Aは今後も増加が続くと見込まれています。
M&Aは事業承継における有力な選択肢
以上のとおり、中小企業のM&Aは一般化してきています。
経営者が引退した後も自分の会社を存続させるために、M&Aは有力な選択肢になりました。
これまで、M&Aで会社を譲渡することは「身売り」と言われ敬遠されてきました。
ところが、このようにM&Aが増加し一般化したことで、譲渡企業側の経営者の精神的な拒絶感は薄らいできました。
当然、良い会社を譲り受ければ買収側のメリットも大きいですし、M&Aによってさらに会社の事業が成長すれば、既存の従業員にとってもプラスになるはずです。
事業承継を考えている経営者の方は、この機会に経営戦略の1つとしてM&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
最後に
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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