山梨県のM&A・事業承継の特徴について解説します
本記事では、山梨県のM&Aについて解説します。
山梨県は都市圏に近いこともあり転入より転出が多く、人口は減少傾向です。
さらに、2021年4月時点の65歳以上人口割合は全国が22.7%であるのに対して山梨は30.8%と、高齢化が進んでいます。
それでも2021年の倒産件数は19件と、件数は比較できる1989年以降で最も少なく、負債総額は2番目に少なくなっています。
これは新型コロナウイルスに伴う救済措置による一時的な効果とも考えられ、現時点で経営が苦しいながらもなんとか存続している企業がどれだけもちこたえられるかは分かりません。
上記二点を踏まえると、山梨では今後経営が厳しくなったり、後継者がいなくなったりする企業は増えることが予測されます。
そして、これらの課題を解決する手段として、今後M&Aの必要性が高まるでしょう。
今回は、山梨県の産業構造を踏まえながら、M&A・事業承継のポイントを探っていきます。
目次
山梨県の産業の特徴
山梨の基幹産業は製造業です。全国と比較しても、産業構成比における製造業の比率が大きくなっています。
また山梨は、ぶどう・もも・すももの産地として有名です。
そのイメージの通り、山梨県が公表しているデータによると、これらの生産量は全国1位です。
一方で、対事業所サービス・情報通信などのサービス業などのサービス業は、全国の産業構成比より小さくなっています。
山梨県では電気機械器具製造業を筆頭にした製造業が盛ん
山梨では製造業が盛んで、とくに電気機械器具製造業、生産用機械器具製造業が強みとなっています。
製造業が山梨のGDPと従業者構成比に占める割合は、全国の産業構成比よりも大きくなっており、山梨の産業を支えていることがわかります。
山梨県が公表しているデータによると、令和3年3月に発表された平成30年度の産業別県内GDPの構成比は第二次産業 が39.7%と、全国平均を10ポイント以上も上回っています。
そのため、製造業は今後の山梨の産業においても重要な位置を占めることになると考えられます。
山梨県の気候を活かした果実の生産
山梨はぶとうやももの産地として広く認知されており、しっかりとブランドイメージが確立されています。
昼と夜の気温差や日照時間、降水量など、山梨はおいしい果実の栽培に適した気候条件を満たしています。
そのため、果実の栽培が盛んにおこなわれているのです。
実際に、経済産業省が公表しているデータによると、山梨の農業・林業の労働生産性は全国平均を上回っています。
気候の特性は余程のことがない限り失われることはありません。
これまで作り上げてきた山梨ブランドのイメージと気候を活かし、今後も山梨における果実の生産は続いていくものと考えられます。
山梨県のM&Aの特徴
山梨県は都市圏に近く、全国展開の拠点となりやすい
全国展開を狙う、あるいはすでにしている企業が、山梨の会社とM&Aをおこなうことがあります。
山梨は都市圏に近く、全国展開を狙うにあたって都市圏を押さえておきたい企業にとっては魅力的な立地です。
たとえば、全国で食のサービス事業を展開する株式会社リエイは「食の提供力をいっそう向上させる」とし、同じく食のサービス事業を展開する山梨の株式会社まもかーるを子会社化しています。
このように、都市圏に近い山梨の企業をM&Aによって取得し、全国のサービス網の強化を試みる企業も存在します。
山梨県は製造業が盛んでM&Aの機会が多い
製造業が盛んな山梨では、技術を強みとした企業を取得することで、その企業の高い技術力を自社の企業に取り込むことを目的としたM&Aもおこなわれています。
すでに高い技術がある企業をM&Aによって取得することで、自前で技術力を高めるよりも短い時間で企業の技術力を向上させることが可能です。
先にも述べたように山梨では製造業が盛んで、とくに産業構成比に占める電気機械器具製造業の割合が大きくなっています。
このような企業の多い山梨では、自社の技術力向上のためにM&Aによって技術のある企業を取得する例もみられます。
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山梨県で実際に行われたM&Aの事例
株式会社まもかーるを株式会社リエイがM&Aで買収
千葉に本社を置き、食のサービス事業と介護事業を展開する株式会社リエイは、山梨を本拠とし食のサービス事業を展開する株式会社まもかーるを買収することで、「提供力」という強みを手に入れました。
株式会社リエイは1972年に飲食業で創業し、1980年に福利厚生サービス事業として創立した会社です。創立後は介護施設を次々と展開し、タイや中国にも進出しました。
2018年からは「第一期の拡張期」として、介護事業の加速とフードサービス事業の強化に取り組んでいます。
そこで、2018年に山梨県の3工場に加え、神奈川県相模原や東京都八王子エリアで事業を展開する株式会社まもかーるの株式の35%を取得し、持分法適用関連会社としました。
2年後の2020年には残り65%の株式も取得し、100%子会社することで食の提供力のさらなるに強化に乗り出しています。
生産拠点が増えたことで、「出来立ての味の提供」「提供力」という強みをさらに強化しました。
株式会社文理学院を株式会社学研塾ホールディングスがM&Aで買収
株式会社研塾ホールディングス(以下学研HD)は甲信越・東海地域での事業を強化するために、山梨に本社を置き、山梨・静岡を中心に30教室を展開する株式会社文理学院を買収しました。
学研HDは1946年に教育事業で創業し、教育と医療福祉を中心にサービスを展開してきました。
現在は国内だけでなく、海外でも事業を拡大中です。
今後も教育分野のトップを目指すべく、学研HDは近年M&Aを積極的におこなっています。
これには、その地域の特性に合わせた教育サービスを提供するには、すでにその地域で広く受け容れられている塾を買収するほうが効率的だからという背景があります。
学研HDは株式会社文理学院を買収する2017年までは、甲信越・東海地域での事業はまだ手薄でしたが、このM&Aにより事業の全国展開をさらに強化しました。
山梨県のM&A案件を探すには
山梨県のM&A案件を探すには、どのような手段があるのでしょうか。
一般的には、以下の3つの手段があります。
- M&Aマッチングサイトで探す
- 地元の金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、インターネット上で企業の売却案件を探すことができるサービスです。
特に近年ではM&Aの案件を探すための手段として主流になってきており活用する企業が増えています。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
山梨県の案件もありますので、一度見てみてください。
地元の金融機関に相談する
地元の金融機関に相談することも有効な選択肢の一つといえます。
地方銀行や信用金庫は、地元企業の事業承継支援や経営支援に力を入れているためM&Aの売却案件の情報を保有している可能性が高いです。
一度、懇意にしている地域金融機関に相談してみましょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社に相談することは、最もベーシックな手段の一つだといえるでしょう。
M&A仲介会社は、売却を検討している方を積極的に探索しており、売却案件の情報を豊富に持っていることが考えられます。
M&Aナビでは、プラットフォームに掲載していない非公開の案件を多数保有しておりますので、一度ご相談ください。
M&A仲介会社に相談する際は、手数料や費用など注意すべきことがいくつかあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
M&A仲介会社の選び方や費用について解説!2つ...
以前よりもM&Aが経営戦略の一つとして一般的になるにつれて、M&A仲介会社の選び方がポイントとなっています。 経済産業省も「中小M&A推進計画」を打ち出し、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者におい…
山梨県のM&Aまとめ
今回は、山梨県のM&Aの特徴、山梨県のおもな産業についてご紹介しました。
山梨県ならではの特徴を感じていただけたでしょうか?
山梨の基幹産業は製造業です。
そのため製造業を強化したい企業とのM&Aの機会が多く、都市圏へのアクセスの良さが、全国展開を目指す企業とのM&Aのポイントになります。
山梨県の会社を売却しようと検討している方は、M&Aナビがおすすめです。
M&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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