休眠会社は売却できる?売却の流れやメリットを解説!
休眠会社は、実態の営業活動が停止している会社を言いますが、そんな状況であっても売却できる可能性があります。
会社の状況によっては、想定しているよりも高い価値が付く可能性があるため一度検討するべき価値があるといえるでしょう。
そこで本記事では、休眠会社の概要から売却のメリット、デメリット、価格相場、売却プロセス、および信頼できる相談先の選び方まで、売却に関する重要な情報を詳細に解説しています。
休眠会社の売却を検討している方々にとって、この記事がM&A取引の成功への道しるべとなることを願っています。
目次
休眠会社は売却できるのか?
休眠会社であっても売却は可能です。
事業運営を停止していることから、高い企業価値がつくことは想定しづらい状況ではあるものの、売却することにより一定程度の譲渡益が受け取れるでしょう。
培ってきた事業のノウハウや取引関係に魅力を感じてくれる買い手候補企業と出会うことができれば、売却に至るでしょう。
休眠会社とは
休眠会社とは、実質的な営業活動を行っていないが、法的には存在している企業のことを指します。
会社法における定義によれば、「株式会社に関する最後の登記から12年間が経過したもの」が休眠会社とみなされます。
これらの会社は、様々な理由で事業活動を停止しており、現在は収益を生み出していませんが、会社としての登記は残されています。
休眠会社の特徴
休眠会社は、過去に事業を行っていたが現在は活動をしていない企業です。
これらの会社は、事業の失敗、市場の変化、経営者の健康問題など様々な理由で営業活動を停止しています。
休眠会社は、法人格を保持しており、銀行口座の保有や資産の所有が可能です。
休眠会社が抱える課題
休眠会社が直面する問題には、維持費用や法的責任が発生する可能性があります。
たとえ事業を行っていなくても、会社を存続させるためには税金の支払い、登記簿の更新などの維持費用が必要です。
また、過去の事業活動から生じる未解決の法的問題がある場合もあります。
休眠会社を売却するメリット
休眠会社の売却判断は、基本的にメリット・デメリット双方を検討することによって行われます。
この章では、休眠会社の売却するにおけるメリットについて解説します。
廃業リスクの回避
休眠会社を保持していることは、時に予期せぬ廃業リスクを招くことがあります。このリスクは、事業活動がないにもかかわらず、継続的な法的責任や財務負担が存在することに起因します。
売却によって、これらのリスクから事業主を解放し、将来的な負の影響を未然に防ぐことができます。これは、事業主が新しい事業機会に集中し、企業価値を高めるための重要なステップとなります。
資本の再配分
休眠会社を売却することで得られる資金は、より有望な事業機会や投資に再配分することが可能です。この資本の効率的な再配分は、事業主にとって大きな戦略的価値を持ちます。
資本の再配分により、事業主は企業の成長ポテンシャルを最大限に引き出し、長期的な競争力を確保することができます。これは、資源を最も必要とする事業部門への集中投資を可能にすることで、全体の事業成績向上が見込まれます。
維持費用の削減
休眠会社は、活動していないにも関わらず、維持費用がかかり続けることが一般的です。これには、年間の登記料、税金、監査費用などが含まれます。
売却を通じて、これらの維持に関わる費用を削減し、財務状態の改善を図ることができます。これは、事業主が企業の運転資本を最適化し、他の事業活動に資金の再配分を可能にします。
休眠会社を売却するデメリット
休眠会社の売却は、多くのメリットをもたらす一方で、注意すべきいくつかのデメリットも存在します。
この章では、休眠会社の売却におけるデメリットについて解説します。
売却プロセスの複雑さ
休眠会社の売却プロセスは、多くの場合、時間がかかり、複雑になることがあります。特に、買い手の見つけ方、価格交渉、法的手続きの完了など、様々なステップを経る必要があります。
これらのプロセスは、事業主にとって大きな時間と労力の投資を要求し、その間、他の事業機会を逃す可能性もあります。
適切な買い手の見つけにくさ
休眠会社に対する需要は限られており、適切な買い手を見つけることが難しい場合があります。市場での休眠会社の価値認識は低く、買い手が適切な価値を見出すまでには、相当な説得と情報提供が必要になることも少なくありません。
このような状況は、売却プロセスをさらに長期化させ、売却条件の妥協を余儀なくされる可能性があります。
潜在的な法的・財務的リスク
休眠会社を売却する際には、潜在的な法的および財務的リスクにも注意が必要です。売却過程で、過去の未解決の債務や訴訟、税務上の問題などが明らかになることがあります。
これらの問題は、売却プロセスを複雑化するだけでなく、最終的な売却価格にも影響を及ぼす可能性があります。
休眠会社を売却することは、資産の有効活用や事業の整理という観点から魅力的な選択肢となることがありますが、上記のようなデメリットも十分に検討する必要があります。
休眠会社の価格相場
休眠会社の売却を検討する際、価格相場を理解することは非常に重要です。
この章では、休眠会社の価格相場について解説します。
価格相場を左右する主要因子
休眠会社の価格相場に影響を及ぼす要因は多岐にわたります。
最も重要な因子の一つが、会社が保有する資産の種類と価値です。
不動産、知的財産権、または特許などの有形無形の資産は、価格評価において大きなウェイトを占めます。
また、会社の負債の有無とその規模も重要な評価ポイントです。
負債が多ければ多いほど、売却価格にはマイナスの影響を及ぼすことがあります。
さらに、市場での需要と供給のバランスも、価格相場を左右する重要な要素です。特定の業界における休眠会社への需要が高い場合、価格相場は上昇傾向にあります。
相場価格の調査方法と価格決定のポイント
休眠会社の価格相場を調査するには、市場データの収集と分析が必須です。過去の売却事例や業界レポート、専門家の意見を参考にすることで、現在の市場状況を理解することができます。
価格決定にあたっては、会社の独自性とポテンシャルを強調することが重要です。保有資産の特性を明確にし、将来的な価値を買い手に理解してもらうことで、適正価格での売却が可能となります。
また、柔軟な価格交渉戦略を立てておくことも、成功への鍵となります。市場の変動や買い手の需要に応じて、価格や条件を調整する柔軟性が、最終的な売却成立に寄与します。
休眠会社を売却する際の流れ
休眠会社を売却するプロセスは、計画的かつ段階的に進める必要があります。
この章では、休眠会社を売却する際の流れを段階別に解説します。
意向表明書の提示
売却プロセスの最初のステップは、潜在的な買い手に対して意向表明書(LOI)を提示することです。この文書では、売却の意向と基本的な条件が概説されます。
意向表明書は、売却プロセスが正式に開始されたことを示す重要な第一歩であり、双方の間での初期的な合意を形成するためのものです。
相手企業の選定・価格交渉
意向表明書の提示後、潜在的な買い手の中から相手企業を選定します。この段階では、買い手の資質、提案される価格、その他の売却条件を評価します。
価格交渉は、売却条件を最適化し、双方にとって最良の結果を導くための重要なプロセスです。この過程で、買い手と売り手の間で意見の相違を調整し、双方が合意に達することが目指されます。
基本合意書の締結
価格交渉が成功した後、双方は基本合意書(MOU)に署名します。この文書は、売却の基本的な枠組みと主要な条件を定めたもので、正式な契約に先立つ暫定的な合意です。
基本合意書の締結は、双方が売却に関する具体的な約束に基づいて合意したことを正式に記録するものであり、後のプロセスに向けた重要な基盤となります。
買収監査の実施
基本合意書に署名した後、買い手は通常、買収監査(デューデリジェンス)を実施します。この過程で、買い手は休眠会社の財務状況、法的義務、資産の状態などを詳細に調査します。
買収監査は、買い手が売却対象の真の価値とリスクを理解するための重要なステップです。この段階で発見された問題は、最終的な売却条件の交渉に影響を与えることがあります。
最終譲渡契約書の締結
買収監査を経て、最終的な売却条件に合意があれば、最終譲渡契約書に署名します。この契約書は、売却の全ての条件と細部を正式に定めた法的文書です。
最終譲渡契約書の締結は、休眠会社の売却プロセスを完了する決定的なステップであり、所有権の移転を正式に行うものです。
このように、休眠会社を売却する際の流れは、意向表明書の提示から始まり、最終譲渡契約書の締結に至るまで、いくつかの重要な段階を含みます。各ステップは、売却が成功裏に進むために必要なプロセスであり、慎重に進める必要があります。
売却検討中の方の疑問をいますぐ解決!よくある質問と回答はこちら
M&Aでよくある質問〜売却検討中の方の不安・...
M&Aで会社や事業の売却を検討する中で、不安や疑問点は多くあるのではないでしょうか。 M&Aナビにおいても「いくらで売れるのか知りたい」「売却後の税金が不安」といったご質問をいただいております。 そこ…
休眠会社を売却する際のおすすめの相談先
休眠会社の売却は複雑なプロセスであり、専門的な知識と経験が必要となります。成功へ導くためには、適切な相談先を選ぶことが極めて重要です。
この章では、休眠会社を売却する際のおすすめの相談先を3つ紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、売却プロセス全体をサポートし、買い手との交渉を代行することができる専門家です。
これらの会社は、適切な買い手の見つけ方、価格交渉、契約締結までのプロセスをスムーズに進めるための豊富な経験とネットワークを持っています。
特に、業界特有の知識を有するM&A仲介会社を選ぶことで、休眠会社の特性に最適な買い手を見つける可能性が高まります。
また、仲介会社は価格交渉のプロセスにおいても重要な役割を果たし、売却価格の最大化に貢献することができます。
法律顧問
休眠会社の売却には、多くの法的手続きが伴います。
法律顧問は、売却に関する法的アドバイスを提供し、契約書の作成や法的リスクの評価を行うことで、売却プロセスを安全に進めるための支援を行います。
また、法律顧問は、休眠会社が過去に抱えていた法的問題の解決策を提案することも可能です。これにより、売却がスムーズに進行し、未来の法的トラブルを防ぐことができます。
財務顧問
財務顧問は、休眠会社の財務状況の詳細な分析を行い、売却価格の評価や財務的なリスクの特定に貢献します。
財務顧問のアドバイスにより、売却価格の妥当性を評価し、買い手との交渉において有利な立場を確保することが可能になります。
加えて、財務顧問は、売却によって得られる収益の最適な再投資方法に関する助言も提供することができます。
これにより、売却後の資金管理と企業成長戦略の策定に大きな助けとなります。
【休眠会社は売却できる?】まとめ
最終的に、休眠会社を売却するかどうかは、その会社の資産価値、市場の需要、および売却によって達成したい目標に大きく依存します。
適切な準備と専門家の助言を通じて、休眠会社の売却は、貴重な資金を生み出し、新たな事業機会への道を開くことができます。
この記事が、休眠会社の売却を成功させるための一助となれば幸いです。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
関連記事
M&A(エムアンドエー)とは?意味や目的、仕組みや手法などM&Aの基本を簡単に解説!!
M&A(エムアンドエー)とは、”Mergers and Acquisitions”の頭文字を取った略語であり日本語に直すと合併と買収です。 本記事では
【2024年最新】M&A業界の特徴と今後の動向!業界に将来性はあるのか
日本では後継者不在による黒字廃業が社会問題のひとつになっていることを背景にM&A業界の今後に注目が集まっています。 2025年までに70歳を超える中小
【2024年最新】M&A・事業承継のおすすめマッチングサイト20選を徹底比較!
今回はM&A・事業承継マッチングサイトの中から、弊社社員が本気でおすすめできるマッチングサイト20選をご紹介いたします! 「どのマッチングサイトを選べ
M&Aの売却価格はどう決まる?~相場・目安や売却価格の算出方法を解説~
M&A取引において、売却価格はどう決まるのでしょうか?また、売却価格に相場はあるのでしょうか。 いざM&Aで会社や事業を売却するとなれば、最
新着買収案件の情報を受けとる
M&Aナビによる厳選された買収案件をいち早くお届けいたします。