【2024年最新版】人材業界のM&A動向を領域別に徹底解説!最新事例あり

2024年04月16日

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人材業界のM&Aは、世に公表されていない案件も含めるとかなり活発におこなわれています。
求人広告の代理店や人材派遣・人材紹介業といったベーシックな業態はもちろんのこと、HRテックと呼ばれるサービス開発系やコンサルティング系の業態まで、幅広い領域で買収が繰り広げられています。
東京オリンピックに向けて人材の需要は逼迫し続けていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で一気に求人需要は冷え込みました。
今後の動向が気になるところではありますが、人材業界におけるM&Aの動きはどうなるのでしょうか?

この記事では、人材業界の経営者の方々に向けて、これからのM&Aマーケットについて領域別に解説いたします。

領域別にみる人材業界M&Aのこれから

人材業界といっても幅広いため、一括りで今後のM&A動向を見立てるのではなく、領域別に解説いたします。

求人広告代理店

リクルート系をはじめとして全国には多数の求人広告代理店事業をおこなっている会社があります。
一次代理店として専業でおこなっている会社から複数事業の一つの商材として扱っている会社までさまざまですが、共通する特徴として顧客の幅が広いこと商談相手の多くが経営者であることが挙げられます。

M&Aの観点でみるとこの特徴はプラスです。
求人広告事業をおこなう同業が買収するケースはあまく多くなくとも、営業先と営業力に魅力を感じる異業種の買収先が出る可能性は高く、売却に向けた商談は比較的進めやすいといえます。

ただし、もし買収後に違う事業の営業活動をする場合、既存の社員がしっかりとついて来るかどうかは難しい問題です。
M&Aの交渉において事前に社員とコミュニケーションをとることは基本的にないため対策すること自体難しいのですが、会社や事業は日々進化や変化するものだという前提で経営していれば順応しやすいでしょう。

求人メディアの運営

総合系のメディアはリクルートやマイナビ、エン・ジャパンなどが展開していますが、業種やエリアなどを絞ったメディアは非常に多岐にわたっており、水面下では頻繁にM&Aが行われている領域です。
というのも、品質や件数などはさておき、メディア事業は比較的初期から売上が見込みやすいビジネスであるとともに、それなりの規模までは成長しやすいため、いつかメディアを持ちたいと思っている企業からすればM&Aの案件として魅力的に移りやすいのです。

一方で、昨今のマーケティングはお金をかければ集客ができるというわけではないため、将来性を高く見積もりすぎて実態と大きく乖離した売却金額を設定してしまうと、その妥当性は説明しづらいといえます。
よって、適切な条件を設定すれば、早期に売却することが可能でしょう。

採用関連サービスの運営

内定者フォローやアセスメントツール、採用管理システム(ATS)やRPO(採用業務アウトソーシング)など、企業の採用活動を支援するためのさまざまなサービスが増えています。
この領域は特にアメリカが先行しており、いわゆるタイムマシン的に日本に入ってきたサービスも少なくありません。
そして、もちろんすべてではないものの、圧倒的に伸びていたりシェアをとっていたりするサービスがほとんどないことも特徴です。
採用系の課題は、わざわざお金を払ってまで使い続けたいと思う人事担当者はまだまだ多くないという点です。
そのため、どの企業もある程度の事業規模までは大きくなるものの、その先の成長の壁にぶつかってしまうことも少なくりません。

しかしながら、M&Aのマーケットではこの領域のプレイヤーは非常に人気があります。
人材領域は、昔から同じ課題に向き合い続けてきたせいか、テクノロジー化が遅れています。
よって、サービスを作ることができるチームを買収できることは魅力的なようです。

自社で採用系のサービスを作っている場合は、まずは自社の適正な評価を知るためにも、早めに売却準備を始めてみるとよいでしょう。

人材紹介会社

2020年3月に厚生労働省が発表した報告書によると、平成30年度の有料職業紹介事業者数は22,977事業所と過去最高を記録しています。全国のセブンイレブンの数(約20,000店)よりも多いと思うと、かなりの競合がひしめく領域です。
以前は、紹介する人材も提案する企業も自社で開拓するケースが多かったのですが、近年ではどちらも外部のデータベースを使って探すことができるので、行政の許可さえおりれば誰でも事業を始められるようになりました。

裏を返すと競合優位性を出すことが難しい領域であり、M&Aによって売却をする際には高い評価を得ることはやや難しいといえます。
自社にしかない特別な顧客資産や突出した採用実績など、なにかユニークな強みがあることが重要となってきます。

人材派遣会社

派遣会社は最も頻繁にM&Aがおこなわれている業界の一つです。
ビジネスモデルの特性上、一人でも多くの登録スタッフを抱えることが重要であるため、規模の経済が働きやすいのです。
事実、現在の派遣業界大手のほとんどはM&Aによって大きくなってきました。
そのため、M&Aマーケットにおいては非常に人気が高い領域であり、無茶な売却条件を設定しない限りほぼ確実に売却できるといえます。

ただし、中には労働法規や内部管理体制が不十分になってしまっている場合もあるため、売却しやすいからこそ早めに準備を整えて、確実にM&Aを進めることが重要です。

採用コンサルティング会社

近年は、採用業務が複雑になってきたことと求人倍率が高止まりしていたことから、採用コンサルティング会社へのニーズが高まっています。
しっかりとした実績や独自性を持つことができれば、報酬も高く顧客からの信頼も厚いため、少人数でも安定した業績を残している会社も少なくありません。

しかしながら、M&Aの観点においては、人だけで事業が成り立っている会社はやや売却しづらいといえます。
中小企業のM&Aにおいては、買手が一定期間手を加えなくてもそれなりに業績が回る、つまり仕組み化されていればされているほど人気が出ます。

よって、いくら人が素晴らしいスキルやノウハウを持っていても、そのビジネスモデルだとリスクが高いと判断されやすいのです。
ただし、あくまでも多くの買手から人気を得ることが難しいだけであって、ピタリとはまる会社を出会うことができれば、意外と好条件でM&Aが成立するケースもあります。

いわゆる人材買収とも呼ばれますが、役員・従業員に高く価値を感じてくれる会社に出会えれば、その会社の事業成長に大きく貢献してもらえると判断してくれる可能性は十分にありえます。
そういった売却の場合は、自ら相手を探すことは難しく、信頼できるM&Aアドバイザリー会社を活用して水面下で早めに候補先を探してもらうことをおすすめします。

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人材業界における最新M&A事例

それでは、2019年から2020年にかけて行われた上場企業によるM&Aの事例をみてみましょう。

ツナググループ・ホールディングスによるGEEK社の買収

2020年3月、RPO(採用業務アウトソーシング)を主軸に事業を展開する株式会社ツナググループ・ホールディングスは、WEBサイト制作や求人系システム開発をおこなう株式会社GEEK社を1億3,000万円で買収しました。
今後同社がHRテック系のサービスを新規開発するためのリソースや知見を得るための買収といえるでしょう。

人材業界は規模の割に大手企業のIT化が進んでいない傾向にあり、業界知見とテクノロジーを持っている会社は買収されやすく、本件はその典型的な事例でした。

パーソルキャリアによるライボ社のM&Aでの買収

2019年3月、パーソルキャリア株式会社は、キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を運営する株式会社ライボを買収しました。(金額非公開)
2018年にはリクルートが米国の企業口コミサービス「glassdoor社」を1,300億円で買収しています。

業界におけるリーディングカンパニーの買収実績は、競合の大手企業の買収戦略に少なからず影響を与えるため、同業他社が売却された事例があれば、それらを参考にして戦略的なM&Aを検討するとよいでしょう。

エンジャパンによるBrocante社のM&Aでの買収

2019年12月、求人情報サービス大手のエン・ジャパン株式会社は、フリーランス向けの IT 案件サイト「フリーランススタート」を運営する株式会社 Brocante を買収しました。
本件は簡易株式交換と呼ばれる形式が取られており、Brocante社株主に対しては約6億円相当のエン・ジャパン社株式が対価として支払われました。
エン・ジャパン社はテクノロジー強化のためのM&Aを経営戦略として掲げており、狙っていた新規事業領域とBrocante社のサービスが合致したため、時間をお金で買うために買収したといえるでしょう。

UTグループによるサポート・システム社のM&Aでの買収

2020年1月、大手製造業向け派遣のUTグループ株式会社は、関西地域を基盤とした製造業派遣の株式会社サポート・システムを11億円で買収しました。
派遣会社は規模が大きくなることで効率化しやすく売上も拡大しやすいビジネスモデルであり、両者の事業成長に対する思惑が一致したM&Aといえます。

人材業界におけるM&Aのまとめ

人材業界は比較的参入障壁が低いため、どの領域においても競合が多く売上を拡大し続けることが難しい業界です。
また、近年はHRテックと呼ばれるITサービスを開発する企業が急増していますが、まだまだ求人・採用マーケットに対して普及させたサービスは乏しく、開発途上で成長の壁にぶつかっている企業も少なくありません。

一方で、大手を中心にテクノロジー化が遅れていることや、顧客や従業員に汎用性が高いことなどから、適切な条件であれば売却しやすい業界です。
少しでも売却を検討している人材業界の経営者の方は、M&Aナビをご利用ください。

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