コラム

退職金と株式譲渡所得を使いこなして手元に残る現金を最大化する方法

会社売却の方法

中小企業のM&Aでは、「株式譲渡+退職金」スキームが活用されています。

中小企業では経営者=株主であることが多いため、株式売却の対価と役員退職に対する対価という2種類の受け取り方をするわけです。

なぜ、このスキームが活用されるのでしょうか。本日は、このスキームのメリットや注意点をご説明します。

株式譲渡+退職金スキームとは?

「売り手オーナーの保有する株式を買手へ譲渡する株式譲渡」と「売り手オーナーへの退職金支給」を組み合わせたスキームです。

 

売手オーナー

売手オーナーのメリット

  • 株式譲渡と退職金を組み合わせることで、税負担の軽減が可能になります。

 

  • 株式譲渡の税率は、株式譲渡益に対して20.315%で一定です。

なお、株式の売却に要したM&A専門会社へ支払う報酬や、外部アドバイザーに対する報酬は株式譲渡益の計算から控除することができます。

  • 退職金への課税は税務上、優遇されている退職金は、株式に対する課税とは異なり、累進税率で課税されます。

退職所得(*1)×税率(累進税率)*1:退職所得=(退職金 - 退職所得控除(*2))×1/2*2:退職所得控除=40万円×勤続年数(20年以下)+70万円×(勤続年数-20年)

退職所得は、給与所得と同じく勤労性所得の一種ではありますが、過去の勤務に対する報酬の後払いという性質及び退職後の生計維持の原資となるものであるため、税務上他の所得と比べて優遇されています。

優遇点としては、退職所得控除後の金額に2分の1を乗じたものに税率を乗じる点(*1)と、退職所得控除(*2)です。退職金に係る税は退職所得に累進税率を乗じたものになります。

これは言い換えると、他の所得に比べて税率が半分ということになります。

退職所得×税率=(退職金 - 退職所得控除)×1/2×税率退職金を最高税率が課せられる金額(例えば2億円)支給したとしても、税率は約28%(55.945%(所得税+住民税)×1/2)にしかなりません。

これが退職金は税務上優遇されていると言われている所以です。

売手オーナーの留意点

  • 株式譲渡益からは株式売却のために外部アドバイザーへ支払った報酬の売却に要した費用を控除することができるため、株式の売買価額を低くしすぎると当該費用を控除できなくなるケースがでてくるため留意が必要です。

 

  • 退職金の額を増やせば増やしただけ、売り手オーナーの税務メリットを享受できるわけでもない点は留意が必要です。株式の取得価額や上述の売却に要した費用等も含めて、手元にいくら現金が残るのかを検証する必要があります。

買手

買手のメリット

役員退職金を支給した後の法人を買収するため、役員退職金分だけ損金が発生します。

この損金は退職金発生年度もしくは翌事業年度以降に繰越欠損金として課税所得との相殺が可能で節税メリットがあります。

買手の留意点

売り手企業が売り手オーナー等に対して、不相当高額な退職金を支払った場合は退職金のうち不相当に高額な部分の金額は損金不算入となります。

以下の算式に基づき退職金額を定めることが、中小企業M&Aでは多く見受けられます。

  • 退職金=最終月額報酬×役員在任年数×功績倍率

最終月額報酬は退任直前の役員報酬の月額、役員在任年数は役員に就任してからの年数です。

なお、前述の通り不相当に高額な部分については損金計上が認められないリスクもありますので、支給には十分な検討が必要です。

このスキームを活用することで、売り手オーナーや買手にとって税務メリットを享受することができます。ただし、役員退職金は支給額、支給方法、支給のタイミング等により一部または全額が役員退職金として認められないケースがあるので注意が必要です。

さいごに

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