【2024年最新版】葬儀業界のM&Aの市場動向、成功事例や売買戦略を徹底解説
葬儀業界とは、葬儀の計画、準備、実施、そして関連サービスを提供する産業を指し、遺族が故人を弔うための儀式をスムーズに行うためのサポートを提供することを主な目的としています。
近年はコロナパンデミックを契機として、近親者のみで開催する「家族葬」が社会に定着するなど、多様な形態の葬儀が登場しており、業界もその需要に応じてサービスを拡充しています。
本記事では、葬儀業界におけるM&Aの最新動向や具体的事例、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
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目次
葬儀業界とは?
前述した通り、葬儀業界とは、個人の葬儀に関する一連の業務を一気通貫で担う業者を指します。
しかしながら時代や価値観とともに、家族葬や直葬(簡素な葬儀)、オンライン葬儀など、多様な形態の葬儀のニーズが見受けられるようになりました。
結果として、多様化するニーズに追従する形で、業界内でも競争が激化しており、葬儀業界は全体として業界再編の時期を迎えていると言われています。
そんな中、業務効率化や事業の多様化、特定地域でのチャネル強化などを狙いM&Aが実施されることが増えている現状があり、葬儀業界ではその傾向が一層強くなることが考えられるでしょう。
市場規模
2022年の葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、死亡者数が増加したことで、前年比106.6%の1兆6,447億円と推計されました。
2020年には、コロナパンデミックによりおよそ前年から3000億円規模で市場が縮小した一方で、ポストコロナを迎え、徐々に市場規模は回復傾向にあります。
しかしながら、最も特筆すべき事項としては、コロナ禍をきっかけに葬儀の在り方を検討する機会が増え、近親者のみで葬儀を執り行う小規模な「家族葬」が一挙に普及したことが挙げられます。
1葬儀あたりのキャッシュフローの減少は、葬儀業界の業界構造を一変させた新規ビジネスモデルとも言えるでしょう。
市場展望
高齢者の人口増加に付随して葬儀のニーズは増えるものの、葬儀形式においては高単価の「一般葬」から低単価の「家族葬」や「直葬・火葬式」などへの移行が進んでいくと考えられています。
新たな葬儀モデルの登場による単価下落により、葬儀業界は長期的には縮小傾向が続くものであると予想されます。
事実、2032年の市場規模予測は1兆7,684億円と推計されています。短期的には回復傾向にあるものの、コロナ以前の1兆8,200億円には届かない数値となっており、中長期的には縮小していくものと考えられています。
葬儀業界の今後の課題
葬儀業界が直面する課題は、主に以下の2点が考えられます。
ニーズの多様化
葬儀業界が現在直面している最大の課題としては、ニーズの多様化が考えられます。
前述した通り、葬儀モデルは昨今のパンデミックなどを通して一挙に多様化しました。
従来の高単価な「一般葬」から、低単価の「家族葬」や「直葬・火葬式」へシフトし、加えて「自然葬」「樹木葬」といった特殊な葬儀も注目を集めるなど、従来の葬儀のカタチは多岐にわたって深化してきました。
まとめると、葬儀の多様化によって消費者の選択肢は大きく増えました。しかしながら、葬儀業界にすると選択肢の多様化は競争の激化を意味しており、中小・零細業者が多い葬儀業界では大きな課題と言えるでしょう。
加えて、従来の葬儀と比較した際に1葬儀における単価は大きく下落しており、こちらも業界共通の課題と言えるでしょう。
後継者不足
そしてやはりどの業界にもつき物なのは、後継者不足問題です。
事実、葬儀業界は全体として中小零細業者が多く、全体の90%を占めると言われています。
中小企業が後継者不足に直面する可能性が高いことを考慮すると、葬儀業界においても同様、後継者不足問題は根深い課題であることが容易に予想されます。
葬儀業界における最新のM&A動向と事例
この章では、葬儀業界におけるM&A・売却・買収事例を取り上げます。
下記において、いくつかの例をご紹介します。
事例1:「アルファクラブ武蔵野」による「ほぐし屋 いこい」のM&A
2024年3月、アルファクラブ武蔵野株式会社は、株式会社ケイズハウジングが運営するリラクセーションサロン「ほぐし屋いこい」の事業を譲り受けました。
アルファクラブ武蔵野は、葬儀業界に参画する企業であり、冠婚葬祭などのサービスを提供しています。一方、ほぐし屋いこいはマッサージサービスなどを提供するリラクセーションサロン事業を展開していました。
アルファクラブ武蔵野は、葬儀の際の遺族のケアといった観点で重儒事業との親和性を見出し、M&Aを実施しました。
参考:葬儀会社がリラクセーション事業を譲受 ご遺族様のグリーフケアを目的に アルファクラブ武蔵野が「ほぐし屋 いこい」の運営を開始
事例2:アルファクラブ武蔵野による「メタバース霊園 風の霊」のM&A
2023年1月、アルファクラブ武蔵野株式会社は、テクニカルブレイン株式会社が開発した「ネット霊園 風の霊」 の開発・運営に関するシステム一式の譲受契約を締結したと発表しました。
「ネット霊園 風の霊」は、仮想現実空間・メタバース上に霊園を設置し、インターネットを用いて、アバターが故人の供養に参列することができるサービスです。
アルファクラブ武蔵野はデジタル化時代に適応したサービス展開を考え、本M&Aを実施しました。
参考:アルファクラブ武蔵野、メタバースでの供養サービス「ネット霊園 風の霊」の譲受契約締結
葬儀業界におけるM&Aのメリット
本章では葬儀業界のM&Aのメリットを、「売り手」と「買い手」の2つの視点からご紹介します。
買い手側のメリット:シナジーの発揮
最も大きな買い手側のメリットは、【事例1】【事例2】にみられるような事業吸収によるシナジーの発揮です。
特にデジタル化が業界問わず推進されている中、【事例2】はサービスのDX化を狙った代表的な事例と見受けられます。
加えて、互いの事業が保有する顧客を相互に補完し合うことで、サービス提案力の高まりや顧客獲得の可能性の向上といった、シナジーの創出・発揮といったことが期待されます。
売り手側のメリット:将来に対する不安の解消
葬儀業界におけるM&Aの売り手側の最大のメリットは、「不安の解消」であると思われます。具体的には、前述した通り中小零細事業者がほとんどを占める葬儀業界において、後継者問題は大きな課題となってくるでしょう。また、ニーズが多様化し従来よりサービス拡大競争・価格競争が激化することが予想される中で、中小零細事業者は不利な競争を強いられると考えられます。
そういった将来の不確実性が高まる中、M&Aを通して将来に対する不安を解消することは有効な選択肢の1つであると考えられます。
葬儀業界のM&Aにおける注意点
葬儀業界のM&Aには、勿論注意点も存在します。しかしながら、適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。
承継に時間がかかる
各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。
買い手が見つからないリスクがある
買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。
葬儀業界におけるM&Aの売却価格相場
葬儀業界のM&Aを実施する場合、どのような価格相場があるのでしょうか。この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、化粧品業界においてM&Aを実施する際の特有の事情まで解説をしていきます。
価格算定方法
M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。
- コストアプローチ(純資産に着目)
- インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
- マーケットアプローチ(市場相場に着目)
詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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考慮すべき特有の事情
葬儀業界の考慮すべき特有の事情は、多様化する葬儀モデルでしょう。葬儀モデルが多様化し、競争が激化する中で同業種・異業種問わず、目に見えないM&Aのポテンシャルが眠っている可能性があります。少しでもご興味をお持ちの方はぜひ一度、弊社にご相談ください。
葬儀業界のM&Aのおすすめ相談先
葬儀業界のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。
M&Aマッチングサイト
オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、葬儀業界はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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顧問税理士
M&A取引における財務評価や税務処理は、その複雑さから専門的な知識を要します。顧問の会計士や税理士は、これらの面で重要なアドバイスを提供し、適切な財務計画と税務戦略を立てるお手伝いをします。
葬儀業界のM&Aのまとめ
皆様、いかがだったでしょうか?
昨今の葬儀業界は、葬儀モデルの多様化やデジタル化の推進など、前例のない過渡期に直面しています。しかしながら同時に、上記の【事例1】【事例2】のような葬儀業界におけるM&Aのポテンシャルというものを具体的に感じていただければ幸いでございます。
少しでも葬儀業界のM&Aに興味・関心を抱いていただけましたら、売り手/買い手問わずお気軽に弊社にご連絡ください。
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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