兵庫県のM&Aについて解説 | 会社売却事例も含めてご紹介します
さて、本記事では兵庫県におけるM&Aの特徴や動向を紹介します。
近年の日本では後継者不足による事業承継の必要性が大きな社会問題となっています。
それは兵庫県のおいても例外ではなく、帝国データバンクによると兵庫県の後継者不在率は48.0%となっています。
この記事を通じて、兵庫県でのM&Aの可能性と具体的な事例を理解することで、あなたの会社の未来に新たな選択肢を見つけることができるでしょう。
目次
兵庫県のM&Aの特徴
兵庫県におけるM&Aの市場は、その独特の特性により注目を集めています。
特に、地方銀行や信用金庫が積極的にM&Aのマッチングに関与している点が特徴的です。
これは、地域経済に深く根差した金融機関が、地元企業の持続的な成長と継承を支援するための一環として行われています。
帝国データバンクの調査によると、2022年の兵庫県内での休廃業・解散件数は1647件に上り、これは同期間の倒産件数の約5.3倍に相当します。
この高い休廃業率は、多くの企業が黒字でありながらも、後継者不在やその他の理由で事業を継続できない状況を示しています。
これは、M&Aを通じて他社が事業を引き継げば、多くの企業が不本意な廃業を避けられる可能性があることを示唆しています。
なぜ兵庫県では廃業率が高くなるのか
兵庫県における事業承継の風景は、近年顕著な変化を見せています。
従来は親族内での事業承継が一般的でしたが、少子化の影響で適任の承継者が不足しています。
さらに、事業主自身が事業承継の適切な方法を知らないことも、この問題を複雑化しています。
後継者が見つかったとしても、経営者としての育成には長い時間が必要であり、その過程で承継が頓挫するケースも少なくありません。
このような背景から、「第三者承継」、すなわちM&Aによる事業承継が増加しています。
これは、承継者不在の問題を解決し、地域経済における企業の継続性を保つ上で重要な役割を果たしています。
兵庫県の休廃業・解散比率は全国平均よりも低い
兵庫県では、休廃業や解散が全体の事業所数に占める割合を見ると、意外にも全国平均より低いことが分かります。
帝国データバンクが2014年に行った調査では、兵庫県の事業所数は154,949件、休廃業・解散件数は860件であり、これによる休廃業・解散比率は0.555%です。
この数値は全国平均の0.631%に比べて低く、兵庫県におけるM&Aの活用が一定の成果を上げていることを示しています。
しかしながら、休廃業や解散は地域経済や雇用に大きな影響を及ぼすため、これをさらに減少させることが求められています。
その解決策として、M&Aをより積極的に活用し、事業承継をスムーズに進めることが重要です。
これにより、兵庫県における休廃業・解散比率をさらに下げ、経済の持続的な成長を促すことが可能になります。
兵庫県の銀行がM&Aを後押し
兵庫県では、地域金融機関がM&Aを支援する動きが顕著です。
2018年には、兵庫信用金庫とみなと銀行がM&A業務での提携を結びました。
この提携は、兵庫県内の中小企業が持つ技術やノウハウを次世代に継承するための重要な一歩です。
兵庫信用金庫は取引先の情報をみなと銀行に提供し、M&Aの仲介業務を行うことで、地域企業の成長と継続を支援しています。
このような金融機関によるサポートは、兵庫県のM&A市場を活性化させると同時に、地域経済にも肯定的な影響を与えることが期待されています。
みなと銀行の神戸商工会議所との共同支援により、兵庫県の中小企業が直面する承継問題への解決策を提供し、地域社会における企業の継続性と発展を促進しています。
以上のように、兵庫県におけるM&Aの市場は、地域経済の持続可能な発展に不可欠な要素として機能しています。
地方銀行や信用金庫の積極的な支援により、事業承継の問題が解決され、地域社会の経済的基盤が強化されています。
これにより、兵庫県は今後も休廃業や解散の削減、さらには経済の活性化を目指して進んでいくことでしょう。
M&Aの種類〜株式譲渡と事業譲渡〜
中小企業のM&Aには、様々な方法が存在しますが、大きく分けて以下の2つの種類が主流です。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
M&Aを検討している事業主の方々に向けて、これらの方法のそれぞれについて、具体的な特徴とメリットを詳細に解説します。
株式譲渡
株式譲渡とは、会社が発行している株式を全て売却し、その結果として経営権を譲渡するタイプのM&Aです。
現在行われているM&Aの中で最も一般的な手法として知られています。この手法の採用には、いくつかの明確な利点があります。
- 手続きの簡素化: 株式譲渡の手続きは比較的単純であり、法的な複雑さが少ないため、迅速に進行させることが可能です。
- 負債と担保の引継ぎ: 株式を買い取る側が、売却する側の負債や担保を引き継ぐため、売却側にとっては財務上の負担が軽減されます。
- 資産・人材・免許の速やかな移転: 株式譲渡を通じて、資産や人材、必要な免許などもスムーズに移転できるため、事業の継続性が確保されやすくなります。
特に、売手にとって手続きの簡素化と負債・担保の引継ぎは大きなメリットと言えます。そのため、多くの売手はこの株式譲渡を選択することが多く、これらの理由を考えると納得がいきます。
株式譲渡は、特に事業承継が難しい状況にある事業主や、会社そのものを売却したいと考えている事業主にとって、非常に適したM&Aの手法です。
事業譲渡
一方、事業譲渡は、現在営んでいる事業の一部分だけを売却するタイプのM&Aです。
会社全体を売却するわけではなく、特定の事業部門や資産のみを譲渡する形を取ります。
この手法の特徴として、売却対象を交渉によって柔軟に決定できる点があります。
事業譲渡のメリットは、主に以下のような点にあります。
- 事業のスリム化: 特定の事業部門を売却することで、全体の事業構造をより効率的でスリムなものにすることができます。
- 経営効率の向上: 不要な部門や資産を処分することにより、経営資源をより重要な事業に集中させることができ、全体の経営効率が向上します。
株式譲渡と事業譲渡は、それぞれ異なるメリットを持ちながらも、どちらも売手にとって魅力的な選択肢となり得ます。現在の経営状況や将来のビジョンを考慮して、最適なM&Aの形式を選択することが重要です。
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兵庫県で実際に行われたM&A
兵庫県では、様々な産業にまたがる多くのM&A(合併・買収)が実施されてきました。
これらのM&Aは、地域経済に大きな影響を与え、企業の成長戦略の一環として注目されています。
ここでは、兵庫県で行われたM&Aの具体的な事例を紹介し、それぞれのM&Aがどのような目的で行われ、どのような成果をもたらしたのかを詳しく見ていきます。
兵庫県のM&Aの事例①
売手企業:株式会社神戸マルゼン
買手企業:株式会社ココカラファイン
売却内容:兵庫県で展開している調剤薬局1店舗
このM&A事例では、神奈川県に本社を置く株式会社ココカラファインが、兵庫県で展開されている調剤薬局1店舗を買収しました。
ココカラファインは全国でドラッグストアを経営しており、このM&Aにより、西日本でのヘルスケアネットワークを強化し、店舗展開を拡大することに成功しました。これは、同社の事業拡大戦略の一環として重要な一歩でした。
兵庫県のM&Aの事例②
売手企業:トーラク株式会社
買手企業:丸大食品株式会社
売却内容:トーラク株式会社の全株式
取得価格:12億円
2020年に発生したこのM&Aでは、大阪府の丸大食品株式会社が、加工食品や惣菜を製造するトーラク株式会社の全株式を12億円で取得しました。
トーラクは神戸プリンやらくらくホイップなどを手掛けており、丸大食品にとって、この子会社化は事業領域の拡大と商品開発力の強化を目指す重要な動きでした。新たな価値の提供に向けた意欲的な一歩と言えます。
参考:トーラク株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
兵庫県のM&Aの事例③
売手企業:川瀬食品株式会社
買手企業:株式会社G-7ホールディングス
売却内容:株式売却契約
2017年に行われたこのM&Aでは、兵庫県の地域密着型スーパーを展開する川瀬食品株式会社が、業務スーパーや農産物直売所、食品の卸売を行う株式会社G-7ホールディングスに全株式を売却しました。
この売却は、G-7ホールディングスにとって、食品販売事業での事業強化と地域へのさらなる浸透を意味していました。
参考:川瀬食品株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
兵庫県のM&Aの事例④
売手企業:株式会社フーズパレット
買手企業:フジッコ株式会社
売却内容:全株式売却
2019年に行われたこのM&Aでは、兵庫県の株式会社フーズパレットが、フジッコ株式会社に全株式を売却しました。
フーズパレットは中華惣菜の販売を行っており、フジッコは「ふじっ子」ブランドを含む多様な食品製造・販売を行っています。
この合意は、両社のブランド力や商品開発力の強化に寄与すると予想されています。
参考:株式会社フーズパレットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
兵庫県のM&Aの事例⑤
売手企業:松本精工株式会社
買手企業:株式会社カネミツ
売却内容:全株式売却
このM&Aでは、自動車用の電装部品などを製造販売する兵庫県の松本精工株式会社が、自動車や農機具用のプーリを開発販売する兵庫県の株式会社カネミツに全株式を売却しました。
この売却により、部品開発事業の強化が見込まれており、両社にとって新たな発展の機会を提供しています。
兵庫県のM&A案件を探すには
兵庫県のM&A案件を探すには、どのような手段があるのでしょうか。
一般的には、以下の3つの手段があります。
- M&Aマッチングサイトで探す
- 地元の金融機関に相談する
- M&A仲介会社に相談する
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、インターネット上で企業の売却案件を探すことができるサービスです。
特に近年ではM&Aの案件を探すための手段として主流になってきており活用する企業が増えています。
当社では、M&Aマッチングサイトを運営しており常時1,000件の売却案件を掲載しております。
兵庫県の案件もありますので、一度見てみてください。
地元の金融機関に相談する
地元の金融機関に相談することも有効な選択肢の一つといえます。
地方銀行や信用金庫は、地元企業の事業承継支援や経営支援に力を入れているためM&Aの売却案件の情報を保有している可能性が高いです。
一度、懇意にしている地域金融機関に相談してみましょう。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社に相談することは、最もベーシックな手段の一つだといえるでしょう。
M&A仲介会社は、売却を検討している方を積極的に探索しており、売却案件の情報を豊富に持っていることが考えられます。
M&Aナビでは、プラットフォームに掲載していない非公開の案件を多数保有しておりますので、一度ご相談ください。
M&A仲介会社に相談する際は、手数料や費用など注意すべきことがいくつかあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
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兵庫県でのM&Aのまとめ
兵庫県のM&A事例を振り返ると、様々な業種にわたる企業が戦略的な合併・買収を行っています。
これらのM&Aは、企業の成長や事業の多角化、ブランド力の強化など、さまざまな利点をもたらしています。
兵庫エリアでは、事業承継を検討している経営者が増えており、M&Aは重要な選択肢となっています。
M&Aナビは、売り手・買い手双方にとって有益なプラットフォームです。
多くの企業が登録しているため、成約までの期間が短くなる傾向にあります。事業承継や企業の成長を目指す経営者の方々には、M&Aナビの利用がお勧めです。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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