【2024年最新版】歯科業界のM&Aの市場動向、成功事例や売買戦略を徹底解説
歯科医院では、経営難や後継者不在といった問題から、M&Aが徐々に活発化しています。
前者には市場での歯科医院が飽和状態であること、後者には少子高齢化による影響が背景としてあることが考えられます。
そこで、本記事では、歯科医院におけるM&Aの最新動向や今後の展望、そしてM&Aによるメリットについて詳しく解説していきます。
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目次
歯科医院とは?
歯科医院は、口腔内の健康を維持するための治療や予防を行う医療機関です。具体的には、虫歯の治療、歯周病の予防、歯列矯正、ホワイトニングなどを提供しています。
しかしながら、昨今は従来の歯科医院に対する需要が大きく変化しています。
具体的に、歯科治療として最も想像されるう蝕(虫歯)の患者数は減少しており、セラミック・ホワイトニング・マウスピース矯正といった、審美歯科(歯や口元の美しさに焦点を当てた総合的な歯科治療)のニーズが増加している点が全体的な傾向として見受けられます。
事実、昨今のコロナパンデミックにおいては、マスク着用期間を活用した歯列矯正も大きな話題となりました。
時代の潮流とともにニーズの多様化が進んでいる点を考慮すると、歯科医院は着実に顧客ニーズにあったサービスにシフトしていくことが求められるでしょう。
市場規模
歯科医院の市場規模を、「歯科医療費」と「歯科医院数」の2点から俯瞰していきます。
「歯科医療費」に関して、2020年度の市場規模は3.0兆円でした。
歯科医療費の全体的な傾向を見ると、2020年度は0.8%の減少に転じたものの、過去5年間で年次1.5〜1.9%で増加傾向にあり、継続的な微増の傾向にあります。
加えて、上記は保険診療の数値であるため、インプラント治療や矯正治療といった保険適応外のサービスに関しては、約1兆円別個に存在していると推計され、非常に大きな市場を持つことが分かります。
次に「歯科医院数」の観点から考えます。
歯科医院(歯科診療所)の数は過去およそ20年間、横ばい・微増の傾向にあり、常に70,000弱の推移を見せています。かなりの飽和状態にあるものの、2020年度においては微減に転じ、医院数は頭打ちを迎えたような印象が感じられます。
市場展望
市場の展望を考えると、歯科医院市場は大きな過渡期を迎えていると言えるでしょう・
なぜなら、前述した通り、歯科に求めるニーズが多様化しており、従来のビジネスモデルでは時代の潮流に適応できないからです。具体的には以下のような需要の変化が見られます。
- 口内ケア意識の高まりで虫歯の罹患率が減少した反面、歯周病の罹患率が増加。
- 美容目的の審美歯科利用の増加。
このように、歯のリスクが時代とともに変化している点や、美容意識の高まりで歯科に対するニーズがシフトしている点を俯瞰すると、変化に適合したニーズ訴求が一層求められていくことになるでしょう。
歯科医院の今後の課題
歯科医院ビジネスが直面する課題は、主に以下の2点が考えられます。
求められるサービスの変化
最大の課題として、歯科サービスにおける需要の変化という点が大きいと思われます。
前述した通り、歯のリスク変化や美容目的の施術需要増加などが最も顕著な例として挙げられます。
しかしより中長期的なマクロな目線で考えると、最大の需要変化要素は高齢化です。
超少子高齢化が進み、必然的に患者の割合でも高齢者の比率が高まることが予想される中、
高齢者の需要を機敏に察知し、的確にアプローチしていくことがマストになっていくでしょう。
高齢化と後継者不足
そしてやはりどの業界にも共通する課題は、高齢化と後継者不足問題です。
事実、帝国データバンクの医療機関の休廃業・解散動向調査によると、歯科医院を経営する代表者の年齢は、約6割が60歳以上と高齢化が進んでいます。また、歯科医院は個人経営の割委がとても大きい点も特徴的であり、およそ全体の8割が個人経営の歯科医院ともいわれています。
以上の、高い個人経営の割合&経営者の高齢化という点を踏まえると、後継者問題に直面する歯科医院の数は一定数存在することが、容易に予想される状況となっています。
歯科医院の最新の動向
歯科医院の動向として、飽和状態による競争激化の傾向が見られます。
実際、経営難による廃業、もしくはM&Aによる売却というケースが増加しています。
加えて、歯科業界における競争激化の傾向は留まるところを知らず、歯科医師の数は年々増加しています。
歯科医院の経営が一層困難になる中で、廃業もしくはM&Aというケースが従来よりも広く散見されるようになると考えられています。
歯科医院におけるM&Aのメリット
本章では、歯科業界のM&Aのメリットを
「売り手側」と「買い手側」の両者の目線からご紹介します。
買い手側のメリット:開業コストの最小化
買い手側の最大のメリットとしては、居抜き物件の活用による「開業コストの最小化」という点があります。
前提として、歯科業界には自身の歯科医院を開業する方々が多い傾向があり、歯科医院開業には底堅い需要が存在します。しかしながら、その開業コストは最低でも5,000万円は必要と言われており、高い経済的ハードルとなっているのです。
そこにおいて、既存の歯科医院の医療設備やノウハウを最低限のコストで承継できる点は、開業を考えられている歯科医師の方々には大きなメリットであり、M&Aの大きなポテンシャルであるとも言えるのです。
売り手側のメリット:将来に対する不安の解消
売り手側のメリットとして考えられるのは、やはり将来に対する不安の解消であると考えられます。不安要素としては、前述した熾烈な競争環境、多様化するニーズへの訴求、後継者不在問題などが挙げられると考えられます。
そういった将来の不確実性が高まる中、M&Aを通して将来に対する不安を解消することは有効な選択肢の1つであると考えられます。
歯科医院のM&Aにおける注意点
歯科医院のM&Aには、以下に挙げられるような注意点も勿論存在します。
しかしながら、適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。
承継に時間がかかる
各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。
買い手が見つからないリスクがある
買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。
歯科医院におけるM&Aの売却価格相場
歯科医院のM&Aを実施する場合、どのような価格相場があるのでしょうか。この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、化粧品業界においてM&Aを実施する際の特有の事情まで解説をしていきます。
価格算定方法
M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。
- コストアプローチ(純資産に着目)
- インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
- マーケットアプローチ(市場相場に着目)
詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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考慮すべき特有の事情
歯科医院のM&Aにおける考慮すべき特有の事情は、その特異な買収ニーズでしょう。
自身で開業を行う歯科医師が多数派の中、居抜き物件のM&Aには大きな需要があることが予想されます。目に見えないところに潜在的な価値が眠っている可能性があります。少しでもご興味をお持ちの方はぜひ一度、弊社にご相談ください。
歯科医院のM&Aのおすすめ相談先
歯科医院のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。
M&Aマッチングサイト
オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、歯科医院はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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M&A取引における財務評価や税務処理は、その複雑さから専門的な知識を要します。顧問の会計士や税理士は、これらの面で重要なアドバイスを提供し、適切な財務計画と税務戦略を立てるお手伝いをします。
歯科医院のM&Aのまとめ
皆様、いかがだったでしょうか?
昨今の少子高齢化による後継者不足だけでなく、競争の激化による経営難のリスクや、ニーズの一層の多様化など、歯科業界は前例のない過渡期に直面していると言っても過言ではありません。
その反面、上記の不安要素を俯瞰した際に、同時に歯科医院におけるM&Aのポテンシャルというものを感じていただけたのではないでしょうか?
少しでも歯科医院のM&Aに興味・関心を抱いていただけましたら、売り手/買い手問わずお気軽に弊社にご連絡ください。
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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