中小企業の事業承継とは?手法や進め方について解説!

2024年09月24日

中小企業 事業承継

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中小企業にとって事業承継は長期的な企業の発展を実現するために最も重要な仕事の一つであるといえるでしょう。

事業承継の適切な手続きやプロセスを実行することで、持続的な企業の成長を実現することができますが、非常に複雑で長期のプロジェクトになることが一般的です。

そこで本記事では、事業承継の基本から流れ、手続きの概要、さらには注意点や対策まで、中小企業の経営者が知るべき全てを分かりやすく解説します。

事業承継の成功に向けて、この記事が新たな視点をもたらせられれば幸いです。

事業承継とは?〜中小企業経営者が知るべき基礎知識〜

中小企業 事業承継

事業承継とは企業の経営権や株式、企業理念を後継者へと引き継ぐことです。
引き継ぐものは「人(経営)」 「資産」 「知的資産」の3要素に大別できます。
主なものを下の表に示します。(引用:中小企業庁)

事業承継で引き継がれるもの

中小企業は国内の企業のうち99.7%を占めており、日本の経済を支えています。
そんな中小企業ですが、「経営者の高齢化」と「後継者不在」という、二つの大きな課題に直面しております。
中小企業経営者の平均年齢は年々増加しており、また事業承継の相手がいない企業も6割を超えています。

このままでは多くの中小企業が廃業に追い込まれてしまい、2025年には累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるという指摘もあります。
大切な日本の中小企業を存続するためにも事業承継に関する基礎知識を持つことは、中小企業経営者にとって必要不可欠です。(引用:中小企業向け 会社を守る事業承継)

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中小企業における事業承継の課題

中小企業において、経営者の高齢化が進む中で、事業承継は大きな課題となっています。適切に事業承継が行われないと、長年に渡って築き上げてきた技術、ノウハウ、顧客基盤、従業員の雇用などが失われてしまう恐れがあります。事業が立ち行かなくなれば、地域経済や雇用にも大きな影響を及ぼしかねません。

特に中小企業では、事業承継について次のような課題が存在します。

経営者自身の事業承継への取り組みが遅れがち

経営者自身が事業承継について前向きに検討を進めていないケースが多く、「跡継ぎがいない」「まだ早い」と先延ばしにしてしまい、いざ事業承継を考え始めた時には、既に遅れてしまっている状況です。

適切な後継者がいない場合の対応が難しい

家族内や従業員に適任者がおらず、M&Aなどで第三者に承継を検討しなければならない場合、スムーズな引継ぎが難しくなります。売却先の確保も容易ではありません。

専門家の助言を受ける機会が少ない

事業承継に関する専門的な知識やアドバイスを得る機会が少ないことも課題です。中小企業経営者は一般的に専門家の助言を受ける機会が乏しく、適切な計画を立てづらい状況にあります。

このように中小企業の事業承継には様々な課題が存在しており、経営者自身が積極的に準備を進め、専門家の支援を受けながら対策を講じていくことが重要とされています。

中小企業の事業承継における選択肢

中小企業の経営者にとって、事業承継は大きな課題の一つです。
適切な後継者がいない場合、長年培った技術や顧客基盤、従業員の雇用などが失われてしまう恐れがあります。

そのため、事業承継には十分な準備と検討が必要不可欠です。主な選択肢は以下の通りです。

家族内承継

伝統的な方法で、経営者の子供や親族に事業を引き継がせることです。
事業の理念や文化を受け継ぐことができますが、適任者がいない場合は難しくなります。

従業員承継

優秀な従業員に事業を引き継がせる方法です。
事業の継続性が保たれ、従業員の雇用も守られる利点がありますが、後継者への資金面での支援が課題となります。

第三者承継(M&A)

株式や事業の一部または全部を、第三者(個人や企業)に売却することです。事業の継続と資金の確保ができる一方、長年培った企業文化の変化などが避けられない面もあります。

中小企業の規模や財務状況、事業の将来性など、様々な要素を勘案し、最適な選択肢を検討する必要があります。

中小企業の事業承継の最新動向

M&Aが一般化してきた

近年、中小企業の事業承継におけるM&A(企業の買収・売却)が増加傾向にあります。
適切な後継者がいない場合、M&Aを活用して第三者に事業を承継させることで、事業の継続と従業員の雇用を守ることができます。

M&A仲介会社の支援も広がり、中小企業でもM&Aが一般的な選択肢となってきました。

公的機関が積極的な支援を開始

国や自治体は、中小企業の事業承継を支援するため、様々な施策を講じ始めています。
専門家の派遣、資金面での支援、税制優遇措置など、きめ細かな支援が行われるようになりました。

経営者は公的機関の支援を積極的に活用し、スムーズな事業承継を図ることが重要です。

事業承継ファンドが活発化

中小企業の事業承継を支援する「事業承継ファンド」の設立が活発化しています。
このファンドは、資金力のある事業会社や個人投資家から資金を集め、事業の買収や承継を支援します。

中小企業にとって、事業継続の選択肢が広がったと言えます。

中小企業における事業承継の流れと手続きの概要

中小企業 事業承継

事業承継を円滑に行うために、早期に準備に着手し、外部アドバイザーの活用をしながら、事業承継を行う必要が分かりました。
それでは中小企業庁の事業承継ガイドラインに沿って事業承継のプロセスを解説していきます。

事業承継プロセス

事業承継のプロセスは以下のステップに分かれます。

1.事業承継に向けた準備の必要性の認識

まずは、事業承継には準備が必要なことを自覚することが肝心です。
事業承継は家族内の問題と捉えられがちであり、外部との相談が遅れることが多くあります。
一方高齢に伴う健康リスクを考慮すれば後継者の選定や教育には時間がかかるため、中小企業経営者は70歳になる10年前、遅くとも60歳の段階で準備を始めることが望ましいでしょう。

2.経営状況・経営課題等の把握(見える化)

経営の実態や課題、資源などを明確にし、会社の現状をしっかりと理解しましょう。
事業の持続性や成長の可能性、製品の競争力や開発能力、利益獲得の源泉を見直し、自社の強みと弱みを把握します。
この強みをどう拡張し、弱みをどう改善するか戦略することが重要です。

3.事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

成績が振るわない、または経営上の問題を抱える企業は、後継者にとって魅力的ではありません。
後継者が「この会社を継ぎたい」と感じるような魅力ある企業にするために、経営の改善を行いましょう。
このために本業の競争力強化や経営体制の総点検をすることが重要です。

4.事業承継計画の策定とマッチング

事業の継承計画を立て、いつまでにどの方法で行うかを明確にします。
その後、適切な後継者を見つけるために、事業承継計画に基づいて適切な後継者を選びます。
マッチングにはM&Aの専門業者や金融機関を頼ることで事業承継候補を見つけやすくなります。

事業承継候補が決まったら経営権、株式、経営理念などの承継・M&Aを実行します。
この際も税務・法務が絡み、複雑な手続きが必要になるので外部アドバイザーに頼るのが有用です。

ポスト事業承継

後継者にとっては事業承継をしてからがスタートです。
企業がさらに成長し発展するためには、後継者が現在の事業を新しい視点で再評価し、その特性を生かしつつ新規事業に挑戦することも重要です。
このような進化を目指して、事業承継前に後継者と協議を行い、承継後の方針について計画を立てることが欠かせません。

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事業承継を成功させるための3つのポイント

中小企業 事業承継

事業承継の成功事例を学ぶことは、中小企業経営者にとって非常に有益です。成功事例から得られる教訓を活用することで、自社の事業承継戦略を改善することができます。
成功事例では、以下のポイントに焦点を当てることができます。

事業承継計画を策定し準備すること

事業承継は計画的に進める必要があります。
いつまでの事業承継をするのかを決め、後継者の育成、経営の移行を計画的に行い十分に準備することが必要です。
5年〜10年準備期間を用意するのが良いでしょう。

関係各所との円滑なコミュニケーション

円滑な事業承継には、家族や従業員とのコミュニケーションが欠かせません。
子どもや従業員が継いでくれると考え、コミュニケーションをしないままでいると、いざとなって承継の意向がないとわかるケースが多々あります。
その場合事業承継を短期間で行わなければならなくなり、立場を弱められた条件を受け入れざるを得ない可能性が高まります。

外部の専門アドバイザーの活用

また事業承継には、法務、税務、財務、経営戦略など多岐にわたる要素があり、初めて事業承継を行う経営者にとって非常に難しいです。
そのため経験豊かな取引金融期間や顧問の公認会計士・税理士、M&A仲介会社に頼ることも重要です。
また、近年ではM&Aプラットフォームを利用した事業承継も増えております。

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中小企業における事業承継の注意点と対策のポイント

中小企業 事業承継

事業承継にはいくつかの注意点があります。
例えば、後継者の不適切な選定、不十分なトレーニング、法的な問題の見落としなどが挙げられます。
これらの注意点の対策とポイントを説明いたします。

一般的な事業承継の注意点とその回避方法

一般的な事業承継の注意点を解説していきます。

1.家族間の対立

家族経営の場合、後継者の選定や経営権の移行に関して対立が生じることがあります。
その結果事業承継後に経営状態が悪くなってしまうケースもあります。
これを回避するために、家族間でのコミュニケーションが不可欠です。

2.後継者の育成不足

後継者が事業を引き継ぐ準備が不十分な場合、経営の安定性が損なわれる可能性があります。
事業承継には準備期間を用意し、後継者の育成と教育を十分行いしましょう。

3.法的問題

法的手続きや契約の不備により、紛争や法的トラブルが発生することがあります。
専門家の助言を仰ぎ、法的側面を確実に処理しましょう。

4.財務的な誤算

事業承継には相続税や贈与税、外部アドバイザーへの費用など多額の資金が必要となることが多々あります。
財務戦略の計画ミスが、事業の安定性に悪影響を与えてしまいます。
そのため国が推奨する制度を利用するのも有効です。以下は主な制度です。

1.事業承継制度

この制度は、事業を後継者に引き継ぐ際の相続税・贈与税を納税猶予または免除する制度です。この制度により事業承継の負担が軽減されます。

2. 事業承継 引継ぎ補助金

 
M&A時の専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等を支援します。(引用:中小企業庁)

効果的な後継者教育とリーダーシップの移行

中小企業 事業承継

事業承継において、株式や資産、経営権の移転は注目される要素ですが、後継者の教育も重要です。
次期経営者として企業を継いでいくには経営者としてリーダーシップや、企業の理念や人脈などの知的資産、また営業、財務、労務など多岐にわたる知識が必要です。
その手段としては「社内での実務経験」や「社外での実務経験」、「外部機関による後継者向けセミナー」が有効です。

1.社内教育

社内教育により現場を知ると同時に会社特有の運営方法を学ぶことができ、従業員や取引先との信頼関係を結ぶことができます。
また、現経営者と働くことで経営理念や経営に対する姿勢を教えることができます。

2.社外教育

他社での勤務や、子会社などでの経営を任せることで自社を客観的に見ることができ、新しい経営手法の習得や責任感を育みます。

3. 後継者向けセミナー

商工会議所や中小企業大学校などが開催します。
組織マネジメントの知識・ノウハウなど経営後継者に必要な基本的な知識を実践的に習得できます。

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【中小企業 事業承継】 まとめ

中小企業 事業承継

ここまで「中小企業における事業承継」について詳しく見てきました。
事業承継は、計画的に進めることで円滑に行えます。
この記事で解説した基礎知識、流れと手続きの概要、注意点と対策のポイントを参考に、あなたの会社に最適な事業承継計画を立ててください。
事業承継は一朝一夕には行えない長期的なプロジェクトですが、適切な準備と戦略によって、確実に次世代へとバトンを渡すことが可能です。
今後の経営において、この情報が役立つことを願っています。

M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。

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