事業承継に必要な期間は?承継する際の3つの注意点とともに解説!

2024年03月15日

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M&Aは、売る側にとっては従業員の雇用の継続や後継者不在の解決などのメリットがあり、買う側には、事業拡大やリソースの拡大などのメリットがあり、多くの企業から注目されています。
特に、日本では2025年問題と言われる経営者の後継者不在の問題が深刻になっており、事業承継の有効な手段としてM&Aが注目を集めています。

 事業承継は単にビジネスを後継者に渡して「はい、終わり」というものではありません。その後安定して経営を続けていくには、現経営者が行ってきた「経営資源」を承継する必要があります。そのため、事業承継を行うにはその前後に十分な準備が必要です。

そこで本記事では、事業承継を行うにあたって必要な期間と、承継をする際の3つの注意点を開設していきます。

事業承継に必要な期間

事業承継は、どれくらいの時間をかけて進めるべきでしょうか。
中小企業基盤整備機構の調べによると、後継者の育成に必要な期間を「約5年」「5年~10年」と回答した経営者は全体の半数を超えています。
親族内承継や社内承継の場合、経営の実務だけではなく企業理念・経営方針や従業員・取引先とのコミュニケーションについても学ぶ必要があり、一朝一夕にはいかないからです。将来を見据えて選定・育成しないといけません。

ところが、現実的には「子どもが継いでくれるに違いない」と思い込み、相談をしないまま時間は過ぎ、いざとなって承継の意向がないとわかるなど、コミュニケーション不足が目立つように思います。
社外承継やM&Aも同様で、短期決戦で話をまとめようとすると足元を見られ、自社や現経営者にとって不利な条件をのまざるを得ないケースになりがちです。
時間をかけ、会社の価値を高めたうえで実行することが肝心だと思います。

会社の業績がよいときに交渉に入る準備をしておくと、株価が高い状態で売却できる可能性は高く、反対に高齢になり後継者不在が喫緊の課題になったタイミングでは時間的な猶予はあまりなく、買い手優位の交渉になりがちです。
少なくとも5年、余裕をもって10年は考えておくべきでしょう。
仮に10年あるとすれば、最初の1~2年で親族内や社内に後継者候補はいるのか、資質はどうなのかを確かめることができ、いないのであれば社外に活路を見出すことができます。
急ぐことなくじっくりと相手を探すことができるので、条件面で焦ることは少なくなるに違いありません。

時間に余裕があると、現経営者の身の振り方もじっくり考えることができます。
社長交代後は会長職になり会社の面倒を見ながら過ごすのか、それとも完全に引退して悠々自適に暮らすのかなど、後継者候補と相談しながら決めていけばいいでしょう。

なお、実家が会社を営む私の知り合いは、大学を卒業後、都内にある同業の会社で5年ほど修行してから、地方にある実家に戻って数年働いたのちに社長交代というプロセスを踏んでいました。
さまざまな経験を積んでから承継したので、本人や周りからしても安心です。
現経営者のためではなく、後継者が安心して承継後に経営に取り組むためにも、時間をかけて行いたいものです。

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承継する際の注意点

ここまで、事業承継には5~10年かけて行っていくべきであるという、事業承継にかかる期間について見てきました。

では、実際に承継を行うにあたってどのような点に注意して進めていくべきなのでしょうか。3つの注意点を解説していきます。

人(経営)の承継

法人であれば代表取締役の交代というように、人(経営)の承継とは、後継者へ経営権を引き継ぐことを指します。
現経営者が育ててきた事業を誰にたすきをつなぐかで事業承継の成否は決まりますから、時間をかけ慎重に決める必要があります。
いままでは次期経営者としての資質に関係なく、経営者の長男に継がせるというケースが多かったのですが、その結果、事業が破綻してしまうと従業員は路頭に迷い本末転倒です。
経営ビジョンや本人の覚悟・意欲、実務能力といった観点など、変わりゆく経営環境に対して柔軟に対応することができ、事業を継続・成長させていくことができる人物を選定しないといけません。

親族内承継や社内承継の場合は、経営ノウハウや取引先など必要な能力を身に付けるのに、ある程度の時間がかかるので、後継者候補をなるべく早く選び、育成に取り組む必要があります。
一方、これまで述べてきたように、近年は社外人材やM&Aが事業承継の選択肢の一つとして認識されるようになりました。
親族内・社内承継だけではなく、外部の第三者への承継を視野に入れて、「誰に」事業を引き継ぐのか検討を進めたいところです。

資産の承継

資産の承継とは、株式や事業用資産(設備・不動産など)、資金(運転資金・借入など)といった、事業継続のために必要な資産の承継を指します。

法人の場合は会社が保有する資産の価値は株式に包括されるので、株式の承継=資産の承継と考えて構わないでしょう。

一方、個人事業主は自社株を持たずに、不動産や機械設備を経営者本人が個人所有していることがほとんどですから、それぞれを計上して承継しないといけません。
資産の承継で押さえるべきことは、自社株・事業用資産を贈与・相続の形で引き継ぐ場合は、資産の規模や状況により多額の贈与税・相続税が発生する可能性があるということです。
後継者に税負担ができるほどの資金力がないと、承継自体を考え直さないといけなかったり、何らかの対策を練ったりする必要があります。
税負担を回避するために、複数の人物に株式・事業用資産を分散して承継すると、その後の人間関係で揉めて経営に悪影響を与える可能性があり、お勧めはできません。
資産の承継は後継者一人に集中させるのが賢明であり、そのためには税負担を考慮した手段を検討する必要があります。

一方、承継するのはプラスの資産とは限りません。
法人や現経営者個人の負債や保証も整理して承継することになり、個人財産に関しては他の相続人との関係も考えないといけません。
これについては専門的な知識が求められるので、税理士をはじめとする専門家のサポートも必須になります。
時間を要することもありますから、やはり早めに取り組んだ方がよさそうです。

知的資産の承継

知的資産とは経営理念や従業員の技術・技能、ノウハウ、経理者の信用、取引先との人脈など、貸借対照表に記載されている資産以外の無形資産を指します。
財務諸表には表れませんが、どれもが事業を支える重要な要素であり、事業継続のために必要なものばかりだからこそ、これら知的資産も承継しないといけません。

とりわけ、中小企業の場合は現経営者が持つノウハウや信用、人脈が経営の屋台骨になっていて、社長が変わった途端に評判を落とし業績が悪化することがあります。
時間をかけて後継者を育て、信用や人脈を受け継ぐなど、戦略的な視点は求められるでしょう。

もしくは、経営者と従業員の信頼関係が、円滑な経営の秘訣になっていた場合、代替わりして信頼関係を失うと、離職の引き金になることもあります。
後継者はこういった点も理解して、信頼関係構築に早くから取り掛かる必要があるでしょう。

中小企業にとって知的資産が競争力の源泉であることは非常に多く、次代にうまく承継することができないと、事業の継続性は危うくなります。
知的資産の承継もしっかりと押さえておきたい点です。

事業承継に必要な期間と注意点 まとめ

ここまで、事業承継に必要な期間と、承継する際の3つの注意点を解説してきました。

事業承継を行う際には、5~10年という長い期間が必要なことや、人・資産・知的資産の承継が必要です。また、事業承継のスキームによってかかる期間や注意すべき点が異なることもあります。

事業承継を考えるべきタイミングが来た際には本記事を参考にしてください。

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