ラーメン屋のM&A動向を解説!メリット・デメリットやマッチング方法とは?
ラーメン屋は、コロナや原材料の高騰の影響を受け、M&Aが増加傾向にある業界といえます。
また、大手ラーメンチェーンが中堅ラーメンチェーンを買収する動きが活発化するなど、外食産業の中でも買収や業界再編が活発な業界であるといえるでしょう。
そこで本記事では、ラーメン屋におけるM&Aのメリット・デメリットや売却価格に関する考え方について解説していきます。
記事だけでは解決できない不安や疑問は、経験豊富なアドバイザーがご相談を承っております。
目次
ラーメン屋とは?
ラーメン屋とは、日本人なら誰もが好きなラーメンを提供する飲食店です。ラーメン屋は日本全国にどこでも広く存在しており、味噌ラーメン(北海道)や豚骨ラーメン(福岡)といった各地の特色を生かした点が非常に特徴的です。
また、店舗形態に関しては個人経営の独立系店舗、チェーン店舗、フランチャイルズ店舗など多くの形態が存在していますが、国内1万8000店の店舗のうち、約半数はチェーン店であると言われています。
市場規模
コロナパンデミックを終え、ラーメン屋業界は少しづつ市場規模拡大の傾向にあります。
2023年のラーメン市場規模は4,600億円と予想されており、2030年には5230億円に拡大すると予想されています。7年間で630億円の市場拡大が見込まれており、比較的緩やかに増加していることが見受けられます。
理由としてはコロナ禍以降、飲み会やファミリー層の食事先としてのラーメン需要が一定数あり、ラーメン屋の利用シーンや顧客層が少し広がっていることが挙げられます。また、店舗ごとの差別化が盛んになったり繁華街が活力を取り戻しつつある中、今後も市場拡大が続くと予想されています。
参考:外食主要カテゴリーの2030年市場を予測 | プレスリリース | 富士経済グループ
市場展望
現在公表されているラーメン店は全国に約1万8000店舗ある中、そのうち約半数がラーメンチェーン店であると言われています。しかしながら個人経営のラーメン屋は大手チェーン店と違って、規模の経済の恩恵を享受できないため経営が厳しく、廃業する店も多いのが事実です。
実際、帝国データバンクの調査によると、2024年1-7月にはラーメン店の倒産数が49件と過去最多を記録しており、過去最多を上回るペースになっています。
しかし、前述したようにラーメン市場は将来的な成長余地があるので、熾烈なラーメン競争の中でどのような差別化を行い、どのように顧客基盤を形成していくのかが重要な要素となっていくと考えられます。
参考:「ラーメン店」倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新へ
ラーメン屋の今後の課題
ラーメン屋の今後の課題は、以下の2点が考えられます。
多様なニーズへの適合
消費者の嗜好が多様化し健康志向が高まる昨今、従来のラーメンだけではなく、様々なバリエーションを求める声が増えています。
例えば、ヴィーガンラーメンなどの健康志向メニューや、女性が食べやすいレディースメニューの新規導入などを通して、多岐にわたる顧客ニーズに対応し、顧客基盤を堅実に構築していくことなどがラーメン屋の課題であると思われます。
ラーメン屋の競争の激化
ラーメン業界においては、これまで参入障壁の低さを理由として、さまざまな味や特徴を持つ新規店が参入してきました。また、その傾向は近い時期に終わりそうにもありません。
その影響もあってか、ラーメン店同士の消耗戦は年々熾烈なものになっているのです。特に、昨今の世界的なインフレーションにより原材料費や人件費などのコストアップに直面する中、低価格で勝負してきたラーメン業界の勢いは年々衰退していっています。
後継者不足
少子高齢化・人口減少を迎える日本において、勿論ラーメン屋業界でも後継者不足問題は存在します。
特に個人経営のラーメン屋において、どのように後継者を見つけ事業を承継するのかという点は死活問題と言えるでしょう。
ラーメン屋の最新のM&A動向と事例
下記において実際に行われたラーメン屋のM&Aについてご紹介します。
【事例1】ギフトによるラーメン店2社のM&A
2019年8月1日、株式会社ギフトが有限会社ラーメン天華及び有限会社ケイアイケイフーズの株式の取得(子会社化)を実施しました。
株式会社ギフトは、北関東地域での地盤強化や顧客のニーズに対する対応力向上を目的として、北関東を中心に顧客基盤を形成するラーメン屋であったラーメン天津をM&Aし、事業の地盤強化を図りました。
参考:有限会社ラーメン天華及び有限会社ケイアイケイフーズの株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ
【事例2】フジオフードシステムによるサバ6製麺所のM&A
2018年7月、フジオフードシステムはラーメン屋「サバ6製麺所」を運営しているサバ6製麺所を株式取得によって子会社化しました。
背景としては、フジオフードシステムは、自社のノウハウなどのリソースを活用したサバ6製麺所の店舗拡大・海外進出を目的にM&Aを実施し、新事業への参入を図りました。
参考:サバ節を加えた魚介風味のラーメンで急成長するブランド「サバ6製麺所」~ 株式会社サバ6製麺所の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ ~
ラーメン屋のM&Aのメリット
以下において、ラーメン屋のM&Aにおける3つのメリットを以下でご紹介します。
顧客チャネルと地盤拡大
M&Aの最も分かり易いメリットとして、顧客チャネルの拡大と地盤の教化という点があります。例えば、【事例1】のように、自らの事業が進出していない地域/地盤が弱い地域の強豪ラーメン店をM&Aを通して買収することで、迅速にその店舗が持つ顧客チャネルや地盤の強さを獲得することができるのです。
ラーメン屋は一層熾烈な競争に直面する中で、M&Aを通して地盤を強固にすることは1つの生存戦略とも言えるでしょう。
新事業へ参入
M&Aの大きなメリットとして、新事業への容易な参入が挙げられます。例えば、【事例2】のように海外進出に不足する強みや事業を行う企業をM&Aすることで、効率的なアプローチが取れるのです。
特に昨今ラーメンの人気が国外問わず高まる中、M&Aを通して互いに補完し合うような事業を買収し、海外進出のような新事業への迅速な参入を可能にできるのは、M&Aならではのメリットです。
後継者問題の解決
どの業界にも共通する問題ですが、やはり後継者問題の解決はM&Aがもたらす最大のメリットの1つです。事実、約1万8000店舗あるラーメン屋の中で約半数が非チェーン店であるということは、個人経営のラーメン店も無視できない割合のはずです。
業界問わず後継者不在が大きな問題として叫ばれる中、ラーメン屋も後継者問題に直面していることは明らかでしょう。M&Aを通して後継者不足問題を解決し、将来に対する不安を軽減するという道は、1つの選択肢として考慮する余地はあるでしょう。
ラーメン屋のM&Aにおける注意点
ラーメン屋業界のM&Aには、勿論注意点も存在します。しかしながら、適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。
承継に時間がかかる
各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。
買い手が見つからないリスクがある
ラーメン屋、とくに小・中規模のラーメン屋にはM&Aの実例が豊富ではないことから、買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。
ラーメン屋のM&Aの売却価格相場
ラーメン屋がM&Aを実施する場合、どのような価格相場があるのでしょうか。この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、ラーメン屋がM&Aする際の特有の事情まで解説をしていきます。
価格算定方法
M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。
- コストアプローチ(純資産に着目)
- インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
- マーケットアプローチ(市場相場に着目)
詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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考慮すべき特有の事情
ラーメン屋の考慮すべき特有の事情は、熾烈な競争の事実でしょう。例えM&Aを実施しても何らかのシナジーの創出がなければ、ポジティブなインパクトをもたらせず失敗に終わってしまうので、M&Aを行う際には慎重な検討と考慮が必要です。
しかし反対に、シナジーの創出に成功し、仕入れ値の抑制や顧客チャネルの拡大などを実現することが出来れば、ラーメン屋間の大きな相乗効果を生み出す可能性が考えられます。
少しでもご興味をお持ちの方はぜひ一度、弊社にご相談ください。
ラーメン屋のM&Aのおすすめ相談先
ラーメン屋のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。
M&Aマッチングサイト
オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、ラーメン屋はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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M&A取引における財務評価や税務処理は、その複雑さから専門的な知識を要します。顧問の会計士や税理士は、これらの面で重要なアドバイスを提供し、適切な財務計画と税務戦略を立てるお手伝いをします。
ラーメン屋のM&Aのまとめ
皆様いかがだったでしょうか?
昨今の昨今の世界的なインフレーションにより原材料費や人件費などのコストアップに直面し熾烈なラーメン屋競争がより厳しくなる中、M&Aによる生存戦略も大きな選択肢の1つであるということを今回の記事を通して、強く感じていただければ幸いでございます。
少しでもラーメン屋のM&Aに興味・関心を抱いていただけたなら、お気軽に弊社にご連絡ください。
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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