マンション管理会社のM&Aについて解説!市場動向や成功事例をご紹介
近年、マンション管理会社のM&Aが注目を浴びています。
業界内の競争激化や経営資源の最適化を目指し、多くの企業が戦略的な提携や統合を進めています。
本記事では、マンション管理業界におけるM&Aの最新動向や成功事例、今後の展望について深掘りしていきます。
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目次
マンション管理会社とは?
マンション管理会社は、分譲マンションの管理・運営を専門に行う企業です。具体的には、共用部分の維持管理、清掃、設備の点検、修繕工事の手配、会計業務、管理組合のサポートなど、多岐にわたる業務を担っています。
マンション管理会社は「ストックビジネス」と呼ばれる継続的な収益が見込めるビジネスモデルを採用しており、管理戸数が収益の鍵となります。
マンションにお住まいの方には、居住者の生活環境やマンションの資産価値の維持という面で、マンション管理会社の重要性が伝わっているのではないでしょうか。
市場規模
前提として、マンション管理市場は、以下の2つに分割されます。
- マンション管理費市場
- 共用部修繕工事市場
マンション管理費市場
1点目のマンション管理費市場に関しては、一定の堅調な伸びを見せ続けています。事実、2011年には約6,000億円だった市場規模は2022年において約8,200億円に達しており、11年の間で2000億円以上の成長が見られたことになります。
より細かい視点で見ると、2022年のマンション管理費市場規模は、前年比2.2%増の8,206億円と推計されており、背景として新築分譲マンション竣工戸数は微減傾向で推移しているが、管理費は引き続き上昇していることから、堅調な伸びが続いていると考えられます。
共用部修繕工事市場
2点目の共用部修繕工事市場に関しては、一定の成長が見られるものの、2022年は、前年比21.0%減の5,746億円と推計されました。
しかし特筆すべき特徴として同市場は、マンションの計画修繕周期の影響により年次によって増減があるという点があります。
実際、2030年の市場規模予測では8,181億円と算定されており、2022年比で142%の成長が予測されています。
市場展望
マンション管理費業界+共用部修繕工事市場はこれからも堅調に需要拡大・市場拡大していくことが予想されます。
背景としてマンション管理費業界に関しては、人口減少や少子高齢化といった要因に加え、新築分譲マンションが供給され続ける限り、マンション管理市場は拡大する見込みは堅いことが根拠となっています。
加えて、共用部修繕工事市場に関しては、経年劣化による修繕工事の増加や大規模修繕を迎えるマンション数の増加により、市場の拡大が見込まれることが背景にあります。
事実、予測によると、マンション管理業界は2030年には累計17,945億円に達すると考えられており、2022年比で約130%の増加幅が予想されています。
マンション管理会社の今後の課題
マンション管理ビジネスが直面する課題は、主に以下の2点が考えられます。
少子高齢化による人手不足
少子高齢化に直面する日本において、共通の最大の課題は人手不足です。
勿論マンション管理業界においても人手不足は深刻であり、将来にかけてどのようにテクノロジー導入を通して、マンション運営・管理を効率化していくかがカギとなってきます。
デジタル化の潮流をマンション管理にも適応し、テクノロジーを最大活用することがマンション管理業界にも必然的に求められていくでしょう。
マンション供給戸数減少による競争の激化
マンション管理業界においてマンション数の供給数が減少していることも大きな業界課題となっています。
事実、国土交通省の調査によると、マンションストック数の新規供給戸数は2007年をピークに大きく減少しています。2022年には200万戸を下回り、約450万戸の供給が見られた2007年から半減以上していることが分かります。
ここにおいて、次第に業界全体のマンションストック戸数は近い将来頭打ちを迎えることが予想されます。これは減少していくパイを同数の競合で奪い合うことを意味し、マンション管理業界における競争の激化が予測されます。
マンション管理会社における最新のM&A動向と事例
この章では、マンション管理業界におけるM&A・売却・買収事例を取り上げます。
下記において、いくつかの例をご紹介します。
事例1:日本管理センターとアクシスモーションのM&A
2017年11月、日本管理センター株式会社は、アクシスモーション株式会社と資本業務提携を実施しました。資本提携とは相互に資本を共有し相互協力を行うM&Aの一種です。
アクシスモーションは、不動産管理会社や個人オーナーを対象にマンション管理のシステムサービスを提供している会社であり、業務効率化に強みを持っています。日本管理センターはアクシスモーションの持つ業務効率化システムを利用することで、物件情報の閲覧や清掃・点検業務の円滑な手配を可能にし、単なる業務効率化だけでなく人員不足問題の緩和をも狙い資本提携を実施しました。
参考:アクシスモーションと資本業務提携を実施 ~ワンストップアウトソーシングサービス「PMアシスト」を導入~
事例2:あなぶきクリーンサービスとテクノ防災サービスのM&A
2019年6月28日、株式会社あなぶきクリーンサービスがテクノ防災サービス株式会社の全株式を譲り受け、子会社化を実施しました。
あなぶきクリーンサービスは首都圏における事業拡大を推進する中での協業相手を模索していた一方、テクノ防災サービスは後継者不在により、事業継続のための譲渡先を探していました。
そこでM&Aを通した子会社化を行うことで、穴吹クリーンサービスは事業拡大を実現し、テクノ防災サービスはその傘下として事業継続を行うことが可能になりました。
参考:テクノ防災サービス株式会社の株式取得についてのお知らせ
マンション管理会社におけるM&Aのメリット
本章では、マンション管理会社のM&Aのメリットを2点ご紹介します。
買い手側のメリット:事業拡大の可能性
最も大きな買い手側のメリットは、【事例1】【事例2】にみられるような事業拡大の可能性です。
特に前述したように人材不足でマンション管理の効率化が求められる中、【事例1】のようなデジタルシステムをM&Aで取得することは1つの有効な手段です。
加えて、【事例2】のように互いの不足部分を補完し合うM&Aも、競争が激化するマンション管理業界において必然的になってくるでしょう。
マンション管理の効率化・事業拡大の手早い手段としてM&Aは大きなポテンシャルを有していることは明白だと思われます。
売り手側のメリット:将来に対する不安の解消
マンション管理会社におけるM&Aの売り手側の最大のメリットは、「不安の解消」であると思われます。前述した通り、マンションストックの供給戸数が減少し、競合同時の競争が激化することが予想される中、中小規模の企業は不利な競争を強いられることは明らかでしょう。また【事例2】のように後継者不在で事業の承継にお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そういった将来の不安が高まる中、M&Aを通して将来の不安を解消することは有効な選択肢の1つであると考えられます。
マンション管理会社のM&Aにおける注意点
マンション管理会社のM&Aには、勿論注意点も存在します。しかしながら、適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。
承継に時間がかかる
各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。
買い手が見つからないリスクがある
買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。
マンション管理会社のM&Aの売却価格相場
マンション管理会社のM&Aを実施する場合、どのような価格相場があるのでしょうか。この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、マンション管理会社においてM&Aを実施する際の特有の事情まで解説をしていきます。
価格算定方法
M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。
- コストアプローチ(純資産に着目)
- インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
- マーケットアプローチ(市場相場に着目)
詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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考慮すべき特有の事情
マンション管理会社の考慮すべき特有の事情は、その特異なビジネスモデルでしょう。マンション管理会社は「ストックビジネス」と呼ばれる継続的な収益が見込めるビジネスモデルを採用しており、管理戸数が収益の鍵となっています。マンションストック供給数が減少する中、M&Aによる譲渡・譲受は大きなポテンシャルを秘めています。少しでもご興味をお持ちの方はぜひ一度、弊社にご相談ください。
マンション管理会社のM&Aのおすすめ相談先
マンション管理会社のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。
M&Aマッチングサイト
オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、マンション管理会社はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。
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顧問税理士
M&A取引における財務評価や税務処理は、その複雑さから専門的な知識を要します。顧問の会計士や税理士は、これらの面で重要なアドバイスを提供し、適切な財務計画と税務戦略を立てるお手伝いをします。
マンション管理会社のM&Aのまとめ
皆様、いかがだったでしょうか?
昨今の少子高齢化による人手不足だけでなく、競合他社との競争が激化する中、マンション管理会社は前例のない過渡期に直面しています。
ここにおいて、事業拡大や事業継続の1つの可能性として、M&Aの可能性というものを感じていただければ幸いでございます。
少しでもマンション管理会社のM&Aに興味・関心を抱いていただけましたら、売り手/買い手問わずお気軽に弊社にご連絡ください。
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株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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