北海道のM&A・事業承継を解説。会社売却事例も含めてご紹介

2022年03月20日


北海道は、農業、林業、漁業が盛んな地域ですが、豊富な観光資源を背景に小売業や観光業など多様な業種の会社が存在します。特に地域に根差した事業が多くあり、地元の経済を支えてきました。

そんな北海道では、経営者の高齢化や若手の人材不足によって事業を続けたくても続けられない経営者が増えています。この問題を解決するために、商工会議所や金融機関、民間のM&A仲介業者などもさまざまな施策を講じています。

今回は、北海道のM&A・事業承継を、会社売却事例も含めてご紹介いたします。

現在、同じような課題を感じていて、これからの経営戦略に悩んでいる経営者の方が、M&A・事業承継を考えるきっかけになれば幸いです。

北海道におけるM&Aの特徴

北海道の企業は、99.8%が中小企業といわれています。
冒頭でもお伝えしたとおり、経営者の高齢化・若手の人材不足によって事業承継がうまくいかず、休業や廃業を選択せざるをえないケースが多くなっています。そういった背景もあり、北海道では中小企業のM&Aが増えています。

ここでは、北海道におけるM&Aの現状を見ていきたいと思います。

北海道での中小企業の現状

北海道における中小企業の経営者の平均年齢は、2018年に60.5歳となり、過去最高になりました。全国平均の59.7歳と比較すると0.8ポイント上回っています。また、70歳以上の経営者は10,690人となり、前年比で5%増加しています。

帝国データバンク札幌支店によると、2018年の北海道における地元企業の後継者不在率は73.5%と全国平均を上回り、全国を9地域に分けたとき、最も高い数値となりました。経営者が60代で60%、80代で50%の企業が、後継者不在の状況です。

また、東京商工リサーチ北海道支社による産業別データによると、金融業での後継者不在は29.2%ですが、それ以外の業種全てにおいて、後継者不在の企業が50%を超えています。特に小売業は61.2%、建設業も61.3%と後継者不在が目立ちました。

IT関係やソフトウェア関係の企業についても後継者不在の割合が高くでています。ただ、IT・ソフトウェア業界は経営者の年齢が若く、後継者を決めていないことが多いためです。

北海道におけるM&Aの増加

この背景があり、北海道でのM&A(合併・買収)はさかんに行われています。2018年に行われたM&Aは85件で、前年と比べて19件増加しており、過去最高だった2016年の90件に次ぐ高い水準となっています。

2019年の1~9月期も66件のM&Aが行われ、2018年の同時期と比較しても4件増加しています。

中小企業だけでなく小売り大手などでも人材不足や経営者の高齢化が進んでいるため、中小企業による再編がM&Aを通して活発に行われています。これは金融機関が前向きにM&A仲介業務に取り組んだ成果でもあります。

金融機関によるM&Aの仲介業務の活発化

現在、北海道では銀行や信用金庫がM&Aの仲介に乗り出しています。

中小企業の減少は、地元の金融機関にも大きな影響を与えるため、M&Aによる地元経済の活性化を目指しています。M&Aや事業承継が理想的な形で増加することで、地元の経済が活発化し、地域貢献できます。それに加え、M&Aの仲介手数料により収益を増加させることができます。そのため、M&Aの相談ができる場所を提供しようとする動きも増えています。

一例をあげると、2018年度から、稚内信用金庫や室蘭信用金庫など北海道の5つの信用金庫は、札幌市で弁護士らによって設立された一社団法人しんきん事業承継支援ネットワークとの提携を始めました。

すでに提携済みの信用金庫と合わせて、13の店舗で企業の相談を受け付けており、認定を受けた職員や専門家が企業を訪問して、実際にM&Aや事業承継を支援するしくみが作られています。そこで、企業の現状を確認し、M&Aの受け入れについての意見交換や中長期的な戦略プランなどについて話し合い、実際にM&A交渉や事業承継につなげています。

M&Aの相談をしたくてもどうすればいいかわからない経営者も多くいるため、道内では気軽にM&Aを検討できる雰囲気作りを推進しています。

北海道外企業による道内企業のM&A

道内の企業同士のM&Aだけでなく、北海道外のファンドや仲介業者による北海道内の企業とのM&Aも増えています。以前は事業再生を目指した投資が多くありましたが、現在は地域分散や事業拡大を目指し、将来的に収益の見込める企業への投資が増えています。

また売手も、道内だけでなく全国規模、ワールドワイドなネットワークをもつ企業を買手とすることへの抵抗感が薄れています。道内だけでは希望する買主が見つけられない場合も、対象地域を広げることで、選択肢を増やすことができ、技術、ノウハウをより高めていくこと、雇用を持続していくこと、企業価値を高めていくことが可能となります。

全国で経営者が高齢化しているため、事業を売却することへの心理的な抵抗よりも、事業承継への取り組みを検討しやすくなっています。

北海道の中小企業活性化支援

北海道では、中小企業の活性化支援が行われています。事業の強化や、経営資源の確保など、企業活動を行うための総合的な支援を公益財団などが実施しています。

ここでは、北海道ならではの企業に対する支援に注目してみたいと思います。

売上3倍! 道内の原料を使ったチーズケーキ

中小企業応援ファンド事業として立ち上げられたのがチーズ工房の桜慈工房です。地域の人材や資源をもとにして、道内の経済活性化を図るため、2007年に開業しました。チーズケーキの販売に力を入れていて、「熟旨チーズケーキ」は、北海道十勝の食材を使って作っています。

2009年には、地域資源対応型ハンズオン支援事業として、製品改良や生産管理、財務管理などについて、中小企業総合支援センターが支援を行いました。ハンズオンとは「手に触れる」という意味ですが、ファンドなどが投資先の企業の経営に深く関与することをいいます。M&Aによって買収された企業に、買主の役員や社員が経営に関わっていくことも含まれます。

立ち上げ当初は店頭で売ることがメインでしたが、レストランや空港などでも取り扱いを始めたことや、チーズケーキの種類を増やすなど、製品開発にも力を入れ、売上は当初の3倍まで増えました。

北海道に観光客を取り込むためのシステム作り

konnichiwa-japan株式会社は、webサイトの構築やメディアデザインの作成などを行う企業です。2009年に創業しました。国内のwebプランニングだけではなく、海外とのビジネスマッチングなどの事業を行うため、中小企業総合支援センターから、中小企業応援ファンド事業として支援されています。

海外観光客の誘致を目指し、中国で発行されている「銀聯(ギンレン)カード」の取り扱いのある検索サイトの開発を行っています。これにより、中国人観光客による消費を促すとともに、商店街などの観光事業の活性化を目指すサービスの提供も計画しています。

北海道で実際に行われたM&A

ここでは、北海道で実際に行われたM&Aを見ていきましょう。
道内で行われたものや、北海道以外の企業とのM&Aなど、さまざまな業界で行われています。ぜひ参考にしてみてください。

事例1 地元地域内での自動車整備会社の事業承継

有限会社奥口自動車販売(苫小牧市)は、自動車整備や板金、塗装を手掛ける会社です。経営者が高齢で体調を崩したこと、身内や親族、従業員にも承継に適任者がいなかったため、M&Aによる事業承継を行いました。買主は地元の中古自動車販売会社で、整備事業の充実を目指していました。

苫小牧信用金庫による仲介で成功した事例となります。

事例2 生活介護施設の事業引き渡し

小樽市で経営していたあんしんケアホーム和光株式会社は、日本ヒューマンサポートグループ会社の株式会社理想ケアサービス(小樽市)とのM&Aで事業の引継ぎを行いました。

売主のあんしんケアホームは役員への事業承継を検討していましたが、介護保険制度に対する中長期的な見通しに不安を持ち、引き継げないままでした。
一方で、買主の理想ケアサービスは小樽市内の地域に根差したサービスの向上と事業拡大を検討していたため、仲介会社を通じて、あんしんケアホームの案件を知り、M&Aによる事業引継ぎが完了しました。

あんしんケアホームは施設が1ヶ所ということもあり、買主探しに難航していましたが、仲介会社を経由することで、引き受け先の候補を増やすことができました。また、売主は後継者不在の問題を解決することができ、買主は小樽での事業拡大を進めることができたため、理想的な形でのM&Aとなりました。

事例3 地元経済に還元したいカラオケチェーン店の買収

タカハシは、北海道最大のカラオケ店ですが、外食、交通、介護福祉などさまざまなグループ会社を持ち、事業の多角化を進めています。成長を考えたM&Aであると同時に、地元経済を救うためのM&Aも多く実施してきました。現在の全体の3割近い店舗は、買収によるものです。

2016年に札幌市にある北東商事を買収しました。北東商事はコミックやオンラインゲームを取り扱うブランド「キャッツアイ」を経営しています。また、2018年に「マッシュ」を運営する札幌市のフィールドも子会社としました。こちらも道内の同業者で、いずれも後継者問題を抱え、タカハシが事業譲渡を提案されました。
買収後も、ブランドや店舗をそのまま継続しており、道内の経済を支えるための政策をとっています。

それ以外にも、地ビール製造会社、観光船や路線バスなどの事業を手掛ける企業経営の引継ぎ、事業立て直しに力を入れています。

まとめ

北海道のM&A・事業承継について、会社売却事例もまじえて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

黒字企業であっても後継者がおらず廃業しなくてはならない、素晴らしい技術を持ちながら、それを残していく方法がない、というのはもったいないことです。日本経済をこれからも継続・発展させていくために、M&Aや事業承継が有効な手段であることを、確認していただけたと思います。

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