アプリのM&Aについて解説!売却の手法や流れ、事例をご紹介
近年、急速に進化を遂げるデジタル時代において、アプリ市場は一層の成長を見せています。
このような中、アプリの開発・運営企業が戦略的に成長を図るための手段として、M&A(企業の合併・買収)の活用が注目を集めています。
アプリのM&Aは、新たなユーザー獲得や技術力の強化、競合優位性の確立といった多くのメリットを提供し、業界内での地位を飛躍的に高める絶好の機会です。
本記事では、アプリ M&A の現状や成功のポイント、そして企業が得られるメリットについて詳しく解説します。
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目次
アプリのM&Aとは?
アプリのM&Aの定義と目的
M&A(Mergers and Acquisitions、合併と買収)は、企業が他の企業を買収することや、複数の企業が合併するプロセスを指します。
アプリのM&Aは、このM&Aのプロセスがアプリケーション(アプリ)を対象に行われる場合を指します。
アプリのM&Aは、アプリ開発企業が他の企業にアプリを売却することや、逆に他の企業がアプリ開発企業を買収することを含みます。
目的としては、まず売却側の企業は資金調達を目指す場合があります。
アプリ開発にかかるコストやリスクを軽減するために、アプリを売却することで即座に資金を得ることができます。
一方、買収側の企業は、新たな市場に参入したり、技術やユーザー基盤を拡大したりする目的でアプリを取得することがあります。
特に、競争の激しいアプリ市場では、既に成功しているアプリを買収することで、自社のポジションを強化する戦略が取られます。
アプリのM&Aが増加する背景
アプリのM&Aが増加する背景には、いくつかの要因があります。
まず、テクノロジーの進化により、アプリ市場が急速に変化していることが挙げられます。新しい技術やトレンドが次々に登場する中で、既存のアプリが市場での競争に遅れを取ることもあります。
そのため、企業は競争力を維持するために、他の成功したアプリを買収する戦略を採ることがあります。
また、アプリ開発には高額な投資が必要です。
開発にかかる時間やコストを考慮すると、すでに成功しているアプリを買収する方が効率的と考える企業も多いです。
さらに、アプリの売却によって、開発チームが他のプロジェクトに集中できるようになるため、リソースの再分配が可能になります。
アプリのM&Aのトレンド
最近のアプリのM&Aでは、以下のトレンドが見られます。
AIや機械学習分野
まず、AIや機械学習を活用したアプリの人気が高まっており、これらの技術を持つアプリの買収が増加しています。
企業は、AI技術を取り入れることで、自社のサービスをより高度化し、競争優位性を確保しようとしています。
セキュリティ分野
また、ユーザーのデータプライバシーへの関心の高まりも影響しています。
データ保護やプライバシー関連のアプリは、特に注目される対象となっており、その分野に特化したアプリの買収が進んでいます。
これにより、企業はユーザーの信頼を得るとともに、新しい規制に対応するための準備を整えています。
アプリのM&Aを進める方法
アプリを売却する際には、主に二つの方法があります。
一つは「仲介会社」を利用する方法で、もう一つは「自社販売」です。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、選択肢を理解することが重要です。
仲介会社を利用する方法
仲介会社を利用する方法では、アプリの売却を専門に扱う業者に依頼します。
仲介会社は、売却プロセス全般をサポートし、買い手を見つけるための広範なネットワークを持っています。
彼らは市場調査を行い、適正価格を設定し、交渉を代行します。
特に、売却経験が少ない企業や、初めてアプリを売却する場合に便利です。
また、仲介会社が手続きを代行することで、売却者は時間と労力を節約できます。
しかし、仲介会社を利用する場合には、手数料が発生することが一般的です。
手数料は売却価格の一定割合で設定されていることが多く、これをコストとして考慮する必要があります。
また、仲介会社に依頼することで、プライバシーが完全に守られるわけではない点も注意が必要です。
自社販売の方法
自社販売では、アプリの売却プロセスを自社で直接管理します。この方法では、仲介会社に依頼しないため、手数料を節約できます。
また、自社で直接交渉を行うことで、売却価格の交渉において有利に働く可能性があります。ただし、自社での販売には、マーケティングや売却プロセスに関する専門知識が必要です。
売却に必要な文書や契約書の作成、買い手の調査、交渉など、すべてを自社で対応するため、時間とリソースを大きく投入することになります。
また、売却活動を行う中で、競争が激しい市場では十分な露出を確保することが難しい場合もあります。
どちらの方法を選ぶかは、自社の状況やアプリの特性、市場の状態に応じて決定することが重要です。
仲介会社を利用することで、プロのサポートを受けながらスムーズに売却を進めることができますが、コストがかかることを理解し、自社販売のメリットやデメリットも検討してから最適な方法を選ぶべきです。
アプリのM&Aのステップ
戦略策定
アプリのM&Aプロセスの第一歩は、明確な戦略を決定することです。
戦略を立てる際には、アプリの現状、目標、そして市場環境を詳細に分析することが重要です。
まず、自社のアプリの強みと弱みを把握し、どのような成果を期待するのかを明確にします。
たとえば、資金調達を主な目的としているのか、または市場シェアの拡大を狙っているのかによって、戦略が異なります。
資金調達を目的とする場合には、アプリの収益性や成長ポテンシャルを強調することが必要です。
一方、市場シェアの拡大を目指す場合には、アプリのユーザーベースや技術的な優位性をアピールポイントとして使うことが重要です。
次に、市場調査を行い、競合状況やターゲットとする買い手の特性を把握します。
これにより、アプリをどのようにポジショニングするか、どのような価値を提供できるのかが見えてきます。
戦略を立てる段階では、売却する際の価格設定や、希望する買い手の条件も含めて検討することが求められます。
また、戦略の決定には、社内の関係者や専門家の意見を取り入れることも重要です。
経営陣や財務担当者、法律の専門家など、複数の視点を組み合わせることで、より実行可能で効果的な戦略を策定することができます。
マッチング
戦略を決めた後は、適切な買い手を見つけることが次のステップです。
アプリのM&Aにおいて、買い手の選定は非常に重要なプロセスであり、成功するかどうかを大きく左右します。
買い手を見つけるためには、まずターゲットとなる企業や投資家のリストを作成します。
自社のアプリに関連する業界や市場において、アプリの価値を最大限に引き出せる企業をリストアップします。
たとえば、同じ業界内で競合する企業や、技術的に補完し合う企業などが考えられます。
次に、買い手に対するアプローチ方法を決定します。
買い手の興味を引くためには、アプリの魅力を伝えるプレゼンテーションや提案書を用意することが必要です。
アプリの価値や成長可能性、収益性などの情報を具体的に示し、買い手に対する説得力を高めます。
また、適切な買い手を見つけるためには、業界のネットワーキングイベントや専門家の紹介を活用することも効果的です。
仲介会社を利用する場合には、彼らのネットワークや専門知識を活かして、買い手候補を絞り込むことができます。
交渉
買い手を見つけた後は、交渉が重要なステップとなります。
交渉の成功には、準備と戦略が必要です。
交渉の前に、アプリの価値や売却条件を再確認し、自分たちの要求や期待を明確にしておきます。
これには、売却価格だけでなく、支払い条件や契約条項、引き渡しのタイミングなども含まれます。
交渉の際には、これらのポイントをしっかりと伝えることが重要です。
また、交渉では相手のニーズや関心を理解することも重要です。
買い手が何を求めているのか、どのような条件であれば成立する可能性が高いのかを把握し、双方にとって満足できる条件を見つけることを目指します。
交渉の過程で、妥協点を見つけることも必要ですが、自社の重要な条件を譲らないように注意します。
交渉が進む中で、法的な契約書や合意書の作成が行われます。
これには、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
契約書には、売却条件や責任の範囲、アプリの引き渡し方法など、重要な情報が含まれるため、詳細に確認することが必要です。
アプリのM&A事例
アプリのM&Aの具体例として、以下の事例が挙げられます。
ここでは、実際に行われたアプリの売却や買収のケースを紹介し、その背景や結果について解説します。
フェイスブックによるインスタグラムの買収
2012年、フェイスブックは写真共有アプリ「インスタグラム」を10億ドルで買収しました。
インスタグラムは当時、急速に成長しているアプリであり、特に若年層のユーザーに人気がありました。
フェイスブックは、この買収を通じて、ユーザーのシェアリングプラットフォームを強化し、競争優位性を確保することを目指しました。
この買収によって、インスタグラムはフェイスブックの技術力とリソースを活用し、更なる成長を遂げています。
フェイスブックによるWhatsAppの買収
2014年には、フェイスブックがメッセージングアプリ「WhatsApp」を190億ドルで買収しました。
WhatsAppは、世界中で非常に多くのユーザーを持つ人気のメッセージングプラットフォームであり、この買収によって、フェイスブックはメッセージング分野での地位をさらに強化しました。
WhatsAppは、フェイスブックの広告プラットフォームと統合されることなく、独立した運営を続けており、そのユーザーベースを維持しています。
GoogleによるYouTubeの買収
2006年、Googleは動画共有プラットフォーム「YouTube」を16億5000万ドルで買収しました。
この買収は、Googleのデジタル広告戦略を強化し、オンラインビデオ市場への参入を果たすためのものでした。
YouTubeは、Googleの強力なインフラと広告技術を活用し、動画コンテンツの巨人としての地位を確立しました。
参考:Google buys YouTube for $1.65 billion
マイクロソフトによるLinkedInの買収
2016年、マイクロソフトはビジネス向けSNS「LinkedIn」を262億ドルで買収しました。
LinkedInのプロフェッショナルネットワークとデータベースは、マイクロソフトのビジネスツールやクラウドサービスと連携することで、企業のビジネスプロセスの効率化や新しいビジネスチャンスの創出に貢献しています。
アプリのM&Aの企業価値算定
企業価値の算出方法
アプリのM&Aにおける企業価値の算定は、売却や買収の決定において非常に重要なプロセスです。企業価値の算出には、いくつかの主要な方法があります。
マーケットアプローチ
市場比較アプローチは、同業他社や類似のアプリがどの程度の価値で取引されているかを基に、自社のアプリの価値を算出する方法です。
具体的には、類似のアプリの売却価格や評価額と比較して、自社アプリの価値を推定します。
このアプローチは市場の動向を反映しやすく、比較的簡単に実施できる方法ですが、比較対象が見つからない場合や市場の変動が大きい場合には限界があります。
インカムアプローチ
インカムアプローチでは、アプリの将来の収益を現在価値に割り引いて評価します。
これには、アプリが将来にわたってどれだけの収益を上げるかを予測し、それを適切な割引率で現在価値に変換することが含まれます。
この方法は、アプリの収益性や成長性を直接反映できるため、より詳細な評価が可能ですが、予測の精度や割引率の設定には慎重な判断が必要です。
コストアプローチ
コストアプローチは、アプリが持つ資産(特許、技術、ユーザーデータなど)の価値を基に評価します。
アプリが保有する知的財産やユーザーリスト、技術的な資産などを評価し、それらの合計値を算出します。
この方法は、特にアプリが特許や独自の技術を持っている場合に有効ですが、将来の収益性や市場の動向を反映するのが難しいことがあります。
アプリ開発会社の評価ポイント
アプリ開発会社の評価ポイントには、いくつかの重要な要素があります。
これらのポイントを考慮することで、より正確な企業価値の算定が可能になります。
ユーザー基盤
アプリの価値を評価する際には、そのアプリが持つユーザー基盤の規模や質が重要です。
アクティブユーザー数やユーザーのエンゲージメント、ユーザーの属性(地域、年齢層など)は、アプリの収益ポテンシャルに直接影響します。
収益モデル
アプリの収益モデル(広告収入、サブスクリプション、アプリ内購入など)も重要な評価ポイントです。
収益の安定性や成長性、収益の多様性は、アプリの将来性を示す指標となります。
技術的優位性
アプリが持つ技術的な優位性や独自性も評価のポイントです。
独自のアルゴリズムや技術的な革新、パテントなどは、競争力を高める要素となります。
市場の競争環境
アプリが競争の激しい市場においてどのようなポジションにあるのかも重要です。
市場シェアや競合他社との比較、将来の成長見込みなどが評価に影響します。
これらの評価ポイントを総合的に考慮し、企業価値を正確に算出することが、アプリのM&Aを成功させるための鍵となります。
アプリをM&Aで売却するメリット
資金の獲得ができる
アプリをM&Aで売却する最大のメリットの一つは、資金を獲得できる点です。
アプリ開発には多大な投資が必要ですが、売却することでその投資を回収し、さらに利益を得ることができます。
売却によって得られる資金は、次のプロジェクトへの投資や、事業の拡大、あるいは経営の安定化に活用することが可能です。
また、売却によって得られる資金は、一時的な収入だけでなく、将来の収益を確保する手段としても機能します。
特に、アプリの成長が鈍化している場合や、経済的な困難に直面している場合には、売却によって得られる資金が重要な資産となります。
アプリの成長の実現ができる
アプリを売却することで、アプリの成長をさらに加速させることができる場合があります。
売却先の企業がアプリに対して更なる投資やマーケティング支援を行うことで、アプリの機能改善や新たな市場への展開が実現されることがあります。
たとえば、大手企業がアプリを買収した場合、彼らのリソースやノウハウを活用してアプリをさらに成長させることが可能です。
これにより、アプリのユーザーベースの拡大や収益の増加が期待でき、アプリ自体の価値をさらに高めることができます。
リスクの軽減
アプリを売却することで、事業運営に伴うリスクを軽減することができます。
アプリ開発や運営には、技術的なリスクや市場の変動、競争の激化など多くのリスクが伴います。
売却することで、これらのリスクを他の企業に引き渡し、自社は安定した状態に移行することができます。
さらに、アプリの売却によって得られる資金を利用して、リスクを分散するための新たな事業やプロジェクトに投資することも可能です。
これにより、リスク管理の戦略を強化し、将来的な経営の安定化を図ることができます。
アプリをM&Aで売却するデメリット
競業避止を負う
アプリのM&A(合併・買収)において、売却後に競業避止義務を負うことは、売却者にとって大きなデメリットの一つです。
競業避止義務とは、売却後に売却したアプリと同様のビジネスを再び立ち上げたり、競合する企業で働いたりすることを禁じる契約条件です。
この義務は、買収側が市場での競争優位を維持するために設定されることが多いです。
売却者が競業避止義務を負うことにより、以下のような影響があります。
- ビジネスチャンスの制限
- キャリアの制約
- 市場でのプレゼンス喪失
これは、業界内での知名度やネットワークが重要な売り手にとって、かなりのハンデとなることがあります。
競業避止義務を負うことは、売却者にとって大きな制約となります。
そのため、売却契約を結ぶ際には、競業避止の範囲や期間について十分に理解し、自分の将来のキャリアやビジネス計画にどう影響するかを考慮することが重要です。
適切に評価されないリスクがある
アプリをM&Aで売却する際の重要なステップの一つは、アプリの価値を正確に評価することです。
しかし、売却プロセスにおいて適切に評価されないリスクが存在することがあります。
これは、売却者にとって非常に大きなデメリットとなり得ます。
適切な評価を行うためには、専門の評価機関やコンサルタントに依頼することが推奨されます。
また、評価基準について事前に十分に話し合い、透明性のあるプロセスを確保することが重要です。
これにより、売却者が公正な価格でアプリを売却し、適切な対価を得ることが可能になります。
ユーザーの離反のリスクがある
アプリのM&A(合併・買収)において、ユーザーの離反のリスクは大きなデメリットの一つです。
売却後にユーザーがアプリから離れてしまうと、売却したアプリの価値が低下し、買収後の運営にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ユーザーの離反のリスクには、以下のような要因が考えられます。
- 新しい運営体制への不安感
- ブランディングの変化
- サポート体制の変化
ユーザーの離反を防ぐためには、売却プロセス全体にわたってユーザーの意見や不安に対応し、信頼を維持することが重要です。
ユーザーに対する事前のアナウンスを行うことや急激なサポート体制の変更を避けることが重要だといえるでしょう。
アプリ売却の注意点
適切な価値評価をすること
アプリの売却において最も重要な注意点の一つが「適切な価値評価をすること」です。
アプリの価値を正確に評価することで、売却価格が公正であり、売却者と買収者の双方が満足する取引を実現することができます。
アプリの価値を適切に評価するためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
財務データの分析
アプリの価値を評価するには、過去の財務データが重要な要素となります。
売上高、利益、コスト、成長率などを詳細に分析し、アプリの現在の収益性と将来の収益予測を把握することが必要です。
これにより、アプリが市場でどれだけの価値を持つかを正確に評価できます。
ユーザーデータの評価
アプリのユーザー数やユーザーのアクティビティ、ユーザー獲得コストなどのデータも評価において重要です。
アプリのユーザー基盤が広く、活発であれば、その価値も高まります。
また、ユーザーのロイヤリティや利用頻度も評価に影響を与えます。
競合分析
同じ市場に存在する競合アプリの分析も必要です。
競合アプリの収益モデル、成長率、マーケットシェアなどを調査し、自分のアプリと比較することで、競争環境におけるアプリの相対的な価値を見極めることができます。
技術的な評価
アプリの技術的な側面も評価の重要な要素です。
アプリのソースコードの品質、技術的な独自性、セキュリティなどを評価することで、アプリが持つ技術的な価値を判断できます。
市場トレンドの考慮
アプリが属する市場のトレンドや成長可能性も価値評価に影響します。
市場が成長している場合や新たなトレンドがある場合、アプリの価値は高まる可能性があります。
逆に、市場が成熟している場合や衰退している場合は、アプリの価値が下がる可能性があります。
アプリの適切な価値評価を行うことで、売却者と買収者の双方が納得のいく取引を実現することができます。
適切な評価がないと、不公平な価格で取引が行われる可能性があるため、十分な注意が必要です。
譲渡対象範囲を明確にすること
アプリの売却において、「譲渡対象範囲を明確にすること」は非常に重要なポイントです。
譲渡対象範囲が不明確であると、売却後にトラブルが発生したり、期待した成果が得られない可能性があります。
ここでは、譲渡対象範囲を明確にするために考慮すべき要素について解説します。
譲渡対象の資産の特定
アプリの売却時には、どの資産が譲渡対象となるのかを明確にする必要があります。
譲渡対象には、以下のようなものが含まれることが一般的です。
- ソフトウェアのソースコード
- データベース
- ユーザーアカウント
- ドメイン名
- 知的財産権(特許、商標、著作権など)
上記の資産が売却対象に含まれるかどうかを事前に確認し、個別に契約書に明記することが重要です。
譲渡対象の業務プロセスの明確化
アプリの運営に関連する業務プロセスやノウハウも譲渡対象となる場合があります。
たとえば、マーケティング戦略、顧客サポートの手順、運営マニュアルなどが含まれることがあります。
これらの業務プロセスが譲渡対象に含まれるかどうかを明確にし、適切に移行するための準備を行う必要があります。
譲渡対象を契約書に明記
譲渡対象範囲に関する詳細は、売却契約書に明確に記載することが必要です。
契約書には、譲渡対象となる資産や業務プロセス、譲渡の条件や期限などを具体的に記載し、双方の合意を得ることが重要です。
契約書が曖昧な場合、売却後にトラブルが発生するリスクが高まります。
譲渡後のサポートの取り決め
売却後のサポート体制についても明確にすることが大切です。
譲渡後に、元の運営者が一定期間サポートを提供することが合意される場合があります。
サポート内容や期間についても契約書に記載し、譲渡後のスムーズな移行をサポートすることが望ましいです。
譲渡対象範囲を明確にすることで、売却プロセスがスムーズに進行し、売却後の問題を防ぐことができます。
適切な範囲設定と詳細な契約書の作成が、成功する売却に繋がるのです。
技術的な課題を解決すること
アプリの売却において、「技術的な課題を解決すること」は非常に重要な注意点です。
技術的な問題が解決されていない場合、アプリの価値が下がるだけでなく、売却後に運営上のトラブルが発生する可能性があります。
ここでは、技術的な課題を解決するために考慮すべき要素について解説します。
ソフトウェアの品質とバグ修正
アプリのソフトウェアに存在するバグや不具合は、売却前にできるだけ修正しておくことが重要です。
バグが多いと、アプリのパフォーマンスやユーザー体験に悪影響を及ぼし、売却後の運営に支障をきたす可能性があります。
売却前にソフトウェアの品質を向上させることで、買収者に対して安心感を提供できます。
セキュリティの強化
アプリのセキュリティは非常に重要です。
セキュリティホールや脆弱性が存在する場合、ユーザーのデータが危険にさらされる可能性があります。
売却前にセキュリティの強化を行い、適切な対策を講じることで、ユーザーの信頼を保ち、売却後のトラブルを防ぐことができます。
コードの整備とドキュメント化
アプリのソースコードが整理されており、適切なドキュメントが整備されていることも重要です。
コードが不明瞭であったり、ドキュメントが不足していたりすると、買収者がアプリの運営や保守を行う際に困難を感じることがあります。
売却前にコードを整理し、ドキュメントを充実させておくことで、スムーズな引き渡しが可能になります。
スケーラビリティの確認
アプリが今後の成長に対応できるスケーラビリティを持っているかどうかも確認するべきです。
アプリが急成長した場合にシステムが適切に対応できるかどうかを検証し、必要な改良を行っておくことが重要です。
これにより、売却後もアプリが持続的に成長するための基盤が整います。
技術面の譲渡後のサポート体制の整備
技術的なサポート体制が整っていることも重要です。
アプリの運営や保守に関するサポート体制が確立されていることで、売却後の運営がスムーズに行えるようになります。
売却契約には、一定期間の技術サポートを含めることも考慮しましょう。
技術的な課題を解決することで、アプリの価値を最大化し、売却後の運営がスムーズに進むようにすることができます。
適切な準備を行うことで、売却プロセスを成功に導くことができるでしょう。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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