スポーツ用品業界のM&A動向を解説!メリット・デメリットやマッチング手法をご紹介

2024年09月25日

スポーツ用品

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スポーツ用品業界は、余暇の多様化に伴って市場が拡大しており、M&Aが活発化するとみられています。
中でも、アウトドア用品やスポーツシューズを日常のアイテムとして取り入れるスタイルが流行しており、今後も成長が予想されます。

一方で、人口減少の影響から若年層向けのスポーツ用品市場は減少が予想され、M&Aを含めた経営戦略の練り直しが必要となるでしょう。

そこで本記事では、スポーツ用品業界におけるM&Aのメリット・デメリットや売却価格に関する考え方について解説していきます。

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スポーツ用品店業界とは?

スポーツ用品店とは、スポーツやフィットネスに関連する商品を取り扱う専門店です。具体的にその店舗形態は以下の4つがあります。

  • メーカー直営店
  • 大型チェーン直営店
  • スポーツ種目別の専門店
  • 小規模小売店
    • しかしながら店舗割合に着眼すると、地域密着型の小規模小売店が約7割を占めているという現状です。

      市場規模

      2023年のスポーツ用品国内市場規模(国内出荷金額ベース)は前年比100.2%の1兆6,493億1,000万円になると見込まれており、市場規模は横ばい/微増の傾向にあると考えられます。しかし分野ごとに着目すると、違った背景が見られます。

      例えば、2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大により冷え込んだスポーツ用品市場を支える存在となってきたゴルフ、アウトドア、サイクルスポーツ、釣りといったアウトドアレジャー系分野については、新規参加者数が落ち着いて需要が低減しています。
      一方で、コロナ渦の終焉に近づく中で、スポーツシューズといった特定のシーンを選ばないプロダクトは好調です。

      ​このように分野ごとの好不調が見られるものの、市場全体としては横ばいに近い微増推移が予想されます。

      参考:スポーツ用品市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

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      スポーツ用品店の今後の課題

      店舗の約7割を占める小規模なスポーツ用品店に着目すると、今後の課題には以下のものがあると考えられています。

      後継者不足

      最も大きな課題としては後継者不足が挙げられるでしょう。
      特に昨今の高齢化は個人経営の小規模事業に大きな影響を与えており、スポーツ用品業界でも例外なく顕著な困難となっています。
      スポーツ用品店の約7割が地域密着型の小規模小売店が占める中、それらの多くが家族経営などで運営されているため、後継者が不在となるケースが頻繁に見られるのです。

      同業の大規模・中規模業者によるM&Aを通して、既存事業を継続させるというのは選択肢の1つであると考えられます。

      店舗の大型化

      大型スポーツチェーンなどの大型店舗がスポーツ用品業界の主な売上を占める傾向にある現状において、個人経営のスポーツ用品店は大きな過渡期に直面しています。

      財務面での不安が大きいという方には、M&Aを通して事業を安定化させるというのは不安解消の選択肢の一つとして有効な手段であると考えられます。

      スポーツ用品業界の最新のM&A動向と事例

      昨今、スポーツ用品業界全体でM&Aを通した競争力強化が見られますが、小規模・中規模スポーツ用品店が大規模同業者からM&Aを受けることで、新たな資本と経営手腕を取り入れ、競争力を強化する例も散見されています。
      以下ではその事例を紹介します。

      【事例1】モリトによるマニューバーラインの買収

      2018年3月、モリト株式会社がマニューバーラインの全株式を取得しました。
      モリト株式会社は履物・アパレルを中心とした服飾資材と身の回り品を中心とする生活関連資材に特化した事業を展開し、M&Aによる収益基盤の拡大を模索していました。他方、マニューバーラインは、マリンレジャー、スノーボード、アパレル用品等の輸入販売及び卸売業界でのトップランナーであり非常に安定した業績を維持していましたが、「後継者不在」という問題を抱えていました。そこで両者のメリットが一致し、モリト株式会社がマニューバーラインにM&A(全株式取得)を行いました。

      参考:株式会社マニューバーラインの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

      【事例2】ゼットによるシウラスポーツ用品の事業譲受

      2018年3月、ゼット株式会社が同業でスポーツ用品の卸売販売を行うシウラスポーツ用品株式会社の卸売事業の事業譲受を行いました。
      平成 30 年 3 月 31 日をもってシウラスポーツが卸事業を終了するにあたり、ゼット株式会社事業終了時点よりシウラスポーツの卸売事業の在庫及び取引先等を継承することが、事業拡大・強化に有益であると経営判断し、事業譲渡が実施されました。

      参考:事業譲受に関するお知らせ

      スポーツ用品業界のM&Aのメリット

      本章では、スポーツ用品店のM&Aを実施するメリットを、売り手側/買い手側の両面から詳しく解説します。

      売り手側のメリット

      経営の安定化

      スポーツ用品はトレンドの変化が年々激しくなっており、小規模事業のスポーツ用品店には設備投資などの面から時代の需要変化に適応することが難しくなりつつあります。
      また、大型店舗がシェアを拡大し大きな売上比率を占める中、小規模のスポーツ用品店の将来性には売上の不確実性が存在します。

      大手のM&Aを受けることで、経営基盤を安定させつつ、親会社の経営資源の活用や新規の設備投資による経営の効率化を図ることが可能になるでしょう。

      後継者問題の解消

      後継者不足による事業承継が社会課題の中、前述のモリト株式会社のマニューバーラインの全株式取得でも見られるように、M&Aの大きなメリットとして後継者不在の解決という点があります。

      スポーツ用品業界に留まらず社会全体として高齢化が進む中、M&Aという後継者不足の解決策は非常に有効な手段です。

      買い手側のメリット

      商品ラインナップや生産技術の獲得

      スポーツ用品会社をM&Aで買収すると、規模のメリットを得られる、自社にはないノウハウや顧客・優秀なスタッフを獲得できる、といったメリットを得られるでしょう。
      特にゼット株式会社が同業でスポーツ用品の卸売販売を行うシウラスポーツ用品株式会社の卸売事業の事業譲受を行った際には、このような規模の経済に関するメリットに着目したことが考えられるでしょう。

      自社のもともとの事業にはなく、シナジー効果を見込める事業を展開している会社を買収すれば、買収する会社のノウハウや人材、販路を生かした、今までにはない事業の展開が期待できるでしょう。

      地域シェアの拡大

      小規模スポーツ用品店の多くは地域密着型のビジネスモデルです。
      地域に根差したビジネスモデルに参入し、販路拡大を模索する際には、小規模スポーツ用品店のM&Aには大きなシナジーの創出が見込まれまるでしょう。

      スポーツ用品業界のM&Aにおける注意点

      スポーツ用品業界のM&Aには、勿論注意点も存在します。しかしながら、適切に対処し、解決策を準備することで、より良いM&Aを実現することが可能になっています。

      承継に時間がかかる

      各企業/事業が持つ技術やノウハウの承継は時間を要する長期プロセスです。M&Aによって事業が統合された場合、技術やノウハウの継承には長期間にわたる努力と調整が必要になります。この過程において、双方の従業員間で摩擦が生じる可能性があり、スムーズな運営への移行を妨げることがあります。

      買い手が見つからないリスクがある

      スポーツ用品業界、とくに小・中規模の小売店にはM&Aの実例が豊富ではないことから、買収を検討しても財務的に魅力的な買い手が限られることがあります。また、業界特有のサプライチェーンや倫理性を理解し、継承を望む適切な買い手を見つけることは容易ではありません。このため、適切な買い手が見つからず、事業が存続の危機に瀕することもあります。

      スポーツ用品業界のM&Aの売却価格相場

      スポーツ用品店がM&Aにおいて事業を売却する場合、どのような価格相場があるのでしょうか。この章では、M&Aにおける売却価格の考え方から、スポーツ用品店がM&Aする際の特有の事情まで解説をしていきます。

      価格算定方法

      M&Aのおいては、以下の3つの手法をもとに売却価格を設定することが一般的です。

      • コストアプローチ(純資産に着目)
      • インカムアプローチ(収益力やキャッシュフローに着目)
      • マーケットアプローチ(市場相場に着目)

      詳細な価値算定の手法については、以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。

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      考慮すべき特有の事情

      スポーツ用品業界には、店舗形態でビジネスモデルが大きく異なるという特有の事情が存在します。

      例えば、ウィンタースポーツ用品専門店であれば、大型チェーンと比較した際にシーズンを通して収益に大きな偏りがある場合が考えられます。
      また、超地域密着型のスポーツ用品小売店では、売上の大部分が学校用品の販売といったケースも存在します。

      しかしながら、こういった特異な事情を反対の視点から活用することも可能です。例えば、サマースポーツ用品に注力する企業がウィンタースポーツ事業をM&Aすることで、年間を通した売上の安定を模索したり、学校用品という安定した需要を持つ地域密着型の小売店を買収効率化することで、新たな収益の柱を構築することが出来る可能性もあります。

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      スポーツ用品業界のM&Aのおすすめ相談先

      スポーツ用品店のM&Aを検討する際には、専門的な知識と経験を持つ相談先が非常に重要です。以下に、M&Aプロセスをスムーズに進めるためのおすすめの相談先を挙げます。

      M&A仲介会社

      M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを支援し、取引の各段階で専門的なサービスを提供します。これらの会社は、市場動向の分析、価格交渉、契約締結のサポートなど、M&Aの複雑なプロセスを導く役割を果たします。

      M&Aマッチングサイト

      オンラインのM&Aプラットフォームは、国内外の多様な事業者との接点を提供します。これにより、スポーツ用品点はより広い範囲の潜在的な買い手や売り手を簡単に見つけることができ、効率的に取引先を選定することが可能です。
      おすすめのM&Aマッチングサイトを以下の記事で解説していますので気になった方は是非ご確認ください。

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      顧問税理士

      M&A取引における財務評価や税務処理は、その複雑さから専門的な知識を要します。顧問の会計士や税理士は、これらの面で重要なアドバイスを提供し、適切な財務計画と税務戦略を立てるお手伝いをします。

      スポーツ用品業界のM&Aのまとめ

      いかがだったでしょうか。

      少なくない社会課題をスポーツ用品業界は抱える、特に小規模事業では「後継者不足」が最大の課題となっています。そしてその解決策として、M&Aのポテンシャルについて、メリットや事例を用いて具体的に紹介してきました。

      本記事が、スポーツ用品店を運営する皆様の助けになれば幸いでございます。
      M&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。ぜひご活用ください。

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