安心安全なM&A取引のために — M&Aナビが実践する3つの取り組み

2026年04月28日
M&A

吸血型M&Aの被害が拡大する中、「どうすれば安全にM&Aを進められるのか」は会社売却を検討する経営者にとって最大の関心事です。安全なM&A取引の実現には、悪質な買い手を排除する仕組み、担当者の質を担保する教育体制、そして経営者保証の解除を支える金融機関との連携——この3つが欠かせません。

本記事では、M&Aナビが実践する3つの取り組みを紹介しながら、M&A仲介会社を選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。M&Aナビ以外の仲介会社を検討する際にも活用できるチェックリストとしてお役立てください。

吸血型M&Aの手口や被害事例の全体像は「吸血型M&Aとは?手口・事例・対策を徹底解説」をご覧ください。


安全なM&A取引に必要な3つの要素

安全なM&A取引を実現するには、(1) 悪質な買い手を排除するシステム・制度、(2) 職業倫理を持ったプロフェッショナル、(3) 経営者保証の解除を可能にする金融機関ネットワークの3つが不可欠です。

吸血型M&Aが社会問題化した背景には、3つの構造的な課題があります。

  1. 悪質な買い手の混在 — M&A市場には通常の買い手に混ざって、搾取を目的とする不適切な事業者が存在します。トップ面談の段階では見分けがつかないため、仕組みとして排除する体制が求められます。
  2. 仲介担当者の質のばらつき — M&A仲介は担当者の知識・倫理観に品質が大きく左右されます。担当者個人の力量に依存する体制では、不適切な取引を見逃すリスクが残ります。
  3. 経営者保証解除の困難さ — 吸血型M&Aの被害の核心は、経営者保証が解除されないまま資金だけを吸い上げられることにあります。金融機関との連携なくして、この問題は解決できません。

M&Aナビでは、この3つの課題に対して「性悪説に立ったシステム構築」「プロフェッショナルの育成」「提携ネットワークの強化」という3つの取り組みで対応しています。以下、それぞれの具体的な内容を解説します。

どの仲介会社を選ぶ場合でも、この3つの要素が備わっているかを確認してください。 M&A仲介会社選びの基本的なチェックポイントになります。

詳しくは「M&A仲介会社の選び方や費用について解説!」で解説しています。


取り組み1 — 性悪説に立ったシステム構築・制度設計

M&Aナビでは、買い手企業に対して匿名検討段階から契約締結前まで4段階のチェック体制を敷いています。反社チェック・与信チェック・取引スキームチェック・最終チェックの各段階で、自社開発のAIシステムも活用しながら悪質な買い手を排除する仕組みを構築しています。

「性悪説に立つ」という表現は厳しく聞こえるかもしれませんが、ここで言う性悪説とは「仕組みで安全を担保する」という設計思想です。人の善意に頼るのではなく、システムと制度で不正を検知・排除する体制を作ることが重要だと考えています。

4段階にわたる買い手チェック体制

M&Aナビでは、M&Aのプロセスの進行に合わせて4段階のチェックを実施しています。

段階 タイミング 確認内容
調査1:反社チェック 匿名検討段階 法人・経営者の反社会的勢力との関与、悪評・風評チェック
調査2:与信チェック NDA締結〜実名検討段階 法人・グループ全体の与信確認、現預金水準、グループ間の資金の流れ
調査3:取引スキームチェック トップ面談前 取引スキームの妥当性、資金調達方法、経営者保証引継ぎ方針
調査4:最終チェック 契約締結前 与信再チェック、ガイドラインに基づくリスク事項の書面説明

調査1の反社チェックは、売り手企業の情報を一切開示する前に実施します。この段階で問題があれば、売り手企業の情報は買い手候補に渡りません。外部の調査データベースを活用し、過去の異常な変更履歴や経歴も点検しています。

調査2の与信チェックでは、買い手企業単体だけでなくグループ全体の財務状況を確認します。吸血型M&Aの典型的な手口である「グループ間での資金移動」を検知するため、決算書3期分をはじめグループ会社を含むすべての資料の提出を求めています。現預金の水準やグループ間の資金の流れに不明点がないかを精査し、M&Aを実行できる資金力があるかどうかも確認します。

調査3では、当該案件の取引スキームが妥当かどうかを確認します。資金調達の方法、役員体制、経営者保証の引継ぎ方針などについてアンケートを実施し、不合理な点があれば変更を求めます。

調査4は契約締結前の最終確認です。2025年1月に施行された改訂版の中小M&Aガイドラインに基づき、売り手・買い手双方にリスク事項を書面で説明する義務を自社に課しています。調査3で確認した内容が実際に履行されているかも、この段階で再度チェックします。

AIを活用した危険性の検知・スコアリング

M&Aナビでは、自社開発の顧客管理システム「ナビクラウド」にAIを組み込み、案件ごとの危険性を自動検知・スコアリングしています。

具体的には、以下のような仕組みで運用しています。

  • パーソナライズドAI:案件に紐づく通話記録・Web面談記録・メール・議事録をすべてシステムに蓄積し、案件個別の危険性を算出
  • SmartDD:AIによる財務OCR機能で決算書を解析し、3期比較・キャッシュフロー分析・減価償却の一覧を自動生成。買い手グループ全体の資金の流れを見える化
  • プラットフォームデータの活用:約2万ユーザーの顧客データ・活動データを分析し、悪質な取引パターンを学習。不適切な事業者のパトロールとアラート通知を実施

テクノロジーだけでなく人の目によるチェックも並行して行い、システムの漏れを補完する体制を取っています。

仲介会社を選ぶ際のチェックポイント: 買い手企業をどのような体制で審査しているかを具体的に質問しましょう。「しっかりチェックしています」という抽象的な回答ではなく、チェックのタイミング・確認項目・判断基準について具体的な説明を求めることが重要です。

詳しくは「買い手企業の見極め方 — 吸血型M&Aに巻き込まれないための5つの確認事項」で解説しています。


取り組み2 — 職業倫理を持ったプロフェッショナルの育成

M&A仲介の品質は、担当者個人のスキルと倫理観に大きく左右されます。M&Aナビでは独自の教育カリキュラム(全10回・テスト付き)と、200以上の工程に分解した業務標準化により、担当者の質のばらつきを排除しています。

どれだけ優れたシステムを構築しても、実際に経営者と向き合うのは担当者一人ひとりです。担当者の知識不足や倫理観の欠如は、不適切な取引を見逃す直接的な原因になります。吸血型M&Aに加担した仲介会社では、担当者レベルで不正の兆候を認識していた可能性も指摘されています。

独自の教育カリキュラムと資格取得

M&Aナビでは、全10回の教育カリキュラムを策定し、年間を通じて反復的に実施しています。

  • 全10回のカリキュラム:M&Aの基本概念から実務まで体系的に学ぶプログラム。各回にテストを設け、基準点に達しなければ再テストを実施
  • 第1回は倫理教育から:吸血型M&Aのような不適切な事例を学び、従業員の倫理観の向上を最優先に位置づけている
  • 入社後1年以内のKPI:事業承継・M&Aエキスパート資格の取得率100%、成約件数1件以上

「成約すればよい」ではなく「適切な取引かどうかを判断できる人材」の育成を重視しています。資格取得による知識の習得だけでなく、実際の案件を通じてM&Aの一連の流れを経験し、アウトプットできるプロフェッショナルを育てることを目標としています。

業務標準化による品質の均一化

M&A支援のプロセスを200以上の工程に分解し、業務を標準化しています。

自社開発の顧客管理システム上で、担当者ごとに案件に紐づいたタスクが自動的に割り当てられ、スケジュールとタスクの進捗を一元管理しています。これにより、どの担当者がどの段階まで対応しているかが社内で可視化されます。

評価制度にもこの仕組みを組み込んでいます。タスク達成率に応じたインセンティブ評価(A・B・C = 15%、10%、5%)を設定し、成約金額だけでなく「プロセスの質」を評価に反映させています。「早く成約させること」よりも「適切なプロセスを踏むこと」を評価する設計です。

オープンコミュニケーションポリシー

M&Aナビでは創業以来、「オープンコミュニケーション」を組織文化として掲げています。

  • 折衝記録(通話・Web面談・メール・議事録)をすべて社内システムに自動保存
  • プライベートメッセージやプライベートチャンネルは使用しない
  • 全社員がすべての案件情報にアクセス可能

M&A仲介業界では、案件が担当者個人に紐づき、他の担当者が関与しない「属人化」が起こりやすい構造があります。情報が個人にブラックボックス化すると、不正の隠蔽や問題の放置につながるリスクがあります。すべての情報をオープンにすることで、問題の早期発見と是正を可能にしています。

仲介会社を選ぶ際のチェックポイント: 担当者の教育・研修制度がどうなっているか、担当者個人に情報が閉じない仕組みがあるかを確認しましょう。「担当者との相性が合わなかった場合に変更できるか」も合わせて確認しておくと安心です。

詳しくは「M&A仲介会社の選び方や費用について解説!」で解説しています。


取り組み3 — 経営者保証解除に向けた提携ネットワークの強化

吸血型M&Aの被害の核心は経営者保証の未解除にあります。M&Aナビでは、金融機関グループ4社が株主として参画し、金融機関提携数109行庫・税理士提携数185社のネットワークを活用することで、経営者保証解除を前提としたディール進行を実現しています。

経営者保証(個人保証)は日本特有の融資慣行であり、日本政策金融公庫の調査によると、メインバンクからの借入において経営者保証を提供している中小企業の割合は75.3%にのぼります。M&Aで経営権が移転する際、この保証の解除は避けて通れない課題です。

吸血型M&Aでは、契約書に経営者保証の解除を明記しながらも実行しないケースが多発しました。資産だけを吸い上げ、保証は元オーナーに残すという構造が成り立ってしまうのは、金融機関との連携体制が不十分なことも一因です。

金融機関4社が株主として参画する意味

M&Aナビには、以下の金融機関グループ4社が株主として参画しています。

  • みずほキャピタル
  • りそなキャピタル
  • 南都キャピタルパートナーズ
  • とちぎんキャピタル&コンサルティング

単なる業務提携ではなく株主として参画している点が重要です。金融機関側にとっても「取引先企業の事業承継を適切に支援する」ことは重要なニーズであり、利害関係が一致しています。株主としての参画は、長期的なコミットメントの表れでもあります。

提携ネットワークの規模と保証解除への効果

M&Aナビは現在、金融機関109行庫、税理士185社と提携しています。

この提携ネットワークが経営者保証の解除にどう効果を発揮するかというと、金融機関との直接的な連携により、M&A成立前の段階から保証解除に向けた協議をスムーズに進められる点が大きな強みです。

2025年1月施行の改訂版中小M&Aガイドラインでは、M&A実行後2週間以内に金融機関とコミュニケーションを取ること、2ヶ月以内に経営者保証の解除に向けた対応を行うことが求められています。M&Aナビでは、この期限を待つまでもなく、案件の初期段階から金融機関と連携して保証解除を前提としたディール進行を行っています。

仲介会社を選ぶ際のチェックポイント: 経営者保証の解除実績を仲介会社に確認しましょう。「解除に向けて努力します」ではなく、過去にどのような案件で実際に保証を解除できたのか、解除に向けてどのようなプロセスを踏んでいるのかを具体的に聞くことが重要です。

詳しくは「M&Aで会社売却する場合の経営者保証の取扱いは?注意点も解説!」で詳しく解説しています。


まとめ — 安全なM&A取引のために確認すべき3つのチェックポイント

安全なM&A取引を実現するためには、仲介会社の買い手審査体制、担当者の教育体制、経営者保証解除の実績の3点を確認することが重要です。これらは吸血型M&Aの被害を未然に防ぐための実効的なチェックポイントとなります。

本記事で紹介したM&Aナビの取り組みを、仲介会社を選ぶ際の汎用的なチェックリストとして活用してください。

安全なM&A取引のための3つのチェックポイント

  • チェック1:買い手企業をどのような体制で審査しているか — チェックのタイミング、確認項目、判断基準を具体的に説明できる仲介会社を選びましょう。「しっかりチェックしています」という抽象的な回答は、体制が整っていないサインかもしれません。
  • チェック2:担当者の教育・評価制度はどうなっているか — 担当者個人の力量に依存していないか、情報が個人にブラックボックス化しない仕組みがあるかを確認しましょう。組織的に品質を担保している仲介会社は、担当者変更にも柔軟に対応できます。
  • チェック3:経営者保証の解除に向けた具体的な支援体制があるか — 保証解除の実績と、金融機関との連携体制を確認しましょう。契約書に「解除する」と書かれていても、実行する体制がなければ意味がありません。

M&Aナビについて

M&Aナビは、「テクノロジーを活用し、すべての経営者に自由なM&Aを」というビジョンのもと、2017年9月に設立されたM&A仲介会社です。売り手側は完全成功報酬制で、着手金・中間報酬はかかりません。東京・大阪・愛知・宮城の4拠点で、金融機関109行庫・税理士185社との提携ネットワークを活かした支援を行っています。

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