M&A失敗事例18選~経営統合が破綻した企業の教訓と原因を徹底解説~

2024年10月22日

M&Aナビとは?

M&A(合併・買収)は企業成長戦略の一つとして注目されていますが、成功とともに失敗事例も少なくありません。

本記事では、飲料食品業界、IT/WEB業界、商社業界、製造業界、小売業界、電気業界、不動産業界、金融業界、自動車業界、航空業界、製薬業界の各業界における18のM&A失敗事例を詳しく解説します。

具体的には、キリンホールディングスやDeNA、富士通、丸紅、パナソニック、テスコ、ウォルマート、セブン&アイホールディングスなどの企業が直面した失敗の教訓と原因を探ります。
これにより、失敗を避けるための具体的なポイントを理解し、成功するM&Aを実現するための知識を得ることができます。

この記事を読むことで、M&Aの失敗事例から貴重な教訓を学び、自社のM&A戦略に活かすことができるでしょう。
これにより、将来のM&Aが成功し、企業の成長と発展につながる明るい未来を描くことができるはずです。

M&Aナビには、様々な企業規模や業種の売り手・買い手の方にご登録をいただいており、様々な出会いのお手伝いをしています。
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飲料食品業界のM&A失敗事例

キリンホールディングスのM&A失敗事例

国内でトップクラスのシェアを持つキリンホールディングスですが、過去には海外M&Aで失敗があります。2011年11月には、ブラジルで第二位の市場シェアを持つビール企業スキンカリオールを、総額3000億円で買収しました。
その当時、ブラジルは年間10%の成長が見込まれる市場でしたが、景気の悪化が影響し、ベルギーのビール企業との価格競争に敗れました。2015年12月期決算では、ブラジルキリンは1100億円の減損を計上し、上場以降初めての473億円の赤字が発生しました。
最後に、ブラジルキリンは2017年6月にオランダのハイネケングループに770億円で売却されました。このM&A失敗の原因として、市場調査不足が指摘されています。

参考:スキンカリオール・グループの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

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IT/WEB業界のM&A失敗事例

DeNAのM&A失敗事例

ゲームアプリ運営などで有名なDeNAも、M&A失敗を経験した企業の一つです。2014年には、キュレーションサイト運営会社であるiemoとペロリを買収し、合計10のサイト運営を開始しました。[2]
ところが、WELQを始めとする運営サイトで、医療・ヘルスケア関連の情報が根拠不明で、外部コンテンツの無許可利用・コピー・リライトが疑われる記事が多く見つかり、炎上騒ぎとなりました。
さらに、クラウドソーシングを利用して、低コストで外部ライターにリライトを依頼するような内容の発注が明らかになり、最終的に守安功社長が謝罪会見を開き、運営していた10のサイトが閉鎖されました。

参考:DeNAがキュレーションプラットフォーム事業を開始~キュレーションプラットフォーム運営会社2社を買収、リアル巨大産業の構造変革を目指す~

富士通のM&A失敗事例

1990年11月、富士通はイギリスの国策IT事業であったICLを1,890億円で買収し、完全子会社化しました。このM&Aによって電算機で世界2位となったように思われましたが、業績は悪化してしまい、2007年3月期の個別決算で2,900億円の評価損を計上しました。

参考:がんじがらめの富士通、「英郵便局冤罪事件」を覆う深い霧

日立製作所のM&A失敗事例

2002年12月、日立製作所はアメリカのIBM社からハードディスク事業を20億ドルで買収しました。買収前後からHDDの価格破壊が進み、毎年100億円規模の赤字が発生し、2011年に同じ事業を行うアメリカのウェスタン・デジタルに約48億ドルで買収しましたが、9年間にもわたる累積赤字や工場への追加投資を考えれば採算割れしている可能性が高いといわれています。

参考:日立がIBMのHDD事業部門を買収し、「Hitachi Global Storage Technologies」を設立

NTTコミュニケーションズのM&A失敗事例

2000年8月、NTTコミュニケーションズは6,000億円を投資し、アメリカのベリオを買収しました。NTTグループとしてはM&Aにて悲願の海外進出を実現し成功を感じていました。ところが、業績が悪化していき、わずか1年後の2001年9月中間期で5,000億円の減損損失を計上しています。

参考:NTTの内憂外患—。実は他人事ではない

ソフトバンクのM&A失敗事例

2006年には、ソフトバンクがVodafone Japanを1兆7500億円で買収しました。買収後、ソフトバンクは同社を「ソフトバンクモバイル」として再ブランド化し、イメージチェンジに成功しましたが、一方で負債が膨らみ、業績も低迷しました。その後、2013年にはソフトバンクがスプリント・ネクステルを買収し、グループ内での再編を行っています。

参考:ソフトバンク、ボーダフォンを1兆7500億円で買収

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商社業界のM&A失敗事例

丸紅のM&A失敗事例

総合商社の大手である丸紅は、2012年に同社の買収額としては過去最大となる約2800億円でアメリカの有名な穀物会社ガビロンを買収しました。[5]当時、丸紅はガビロンを含めたアメリカ国内のいくつかの拠点での穀物集荷事業や、中国を中心とするアジア地域での販売ルート拡大を期待して、買収を行いました。
しかしながら、買収後に丸紅が予想していたようなスケジュールでシナジー効果を発揮できなかったことが一因で、ガビロンの巨額なのれん代である1000億円のうち、500億円の減損損失が発生しました。

参考:まるべに 株主レポート

製造業界のM&A失敗事例

パナソニックのM&A失敗事例

国内でのM&Aの失敗事例として挙げられるのは、2008年12月に、世界最大の家電製造企業であるパナソニックが、三洋電機を400億円で買収し子会社化したケースです。

その後、さらなる投資が行われ、2011年には完全子会社化が実現しました。総投資額は、驚くべき8,100億円以上にものぼっていたと言われています。しかしながら、リチウム電池事業における予測の誤りから、2013年3月期の個別決算で6,000億円以上の評価損が計上されました。

参考:パナソニック株式会社が三洋電機株式会社の子会社化を完了

小売業界のM&A失敗事例

テスコのM&A失敗事例

2003年7月、イギリスのスーパー大手テスコは、日本の中堅スーパーのつるかめランドを展開していた「シートゥーネットワーク」の買収を行いました。約300億円を投じたものの、業績が上がることはなく、日本進出からわずか8年後の2011年に撤退しました。最終的にはイオンが発行した株式の50%を1円で取得し、傘下に収められました。テスコは日本法人の負債を請け負い、事業立て直しのために約50億円の追加投資を行って、全店舗の引き受けと従業員の雇用維持を条件にしています。

参考:英テスコ、日本撤退スーパー「つるかめ」など売却へ アジア新興国に集中

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ウォルマートのM&A失敗事例

2002年4月、アメリカ小売大手のウォルマートは、日本の西友とのM&Aにて資本提携をしました。しかし、西友は業績不振からその後も復帰できず、2005年に子会社化したものの業績が伸びず、2007年に1,000億円追加投資して完全子会社化となりました。最終的な投資資金は2,470億円を超えたとされており、2002年に完全子会社化していれば1,000億円で済んでいたといわれています。

参考:米ウォルマート、西友を売却へ 日本での店舗運営撤退

セブン&アイホールディングスの失敗事例

2005年12月、セブン&アイホールディングスは1,300億円を投じて野村プリンシパル・ファイナンスから株式を65%取得し、その後に株式交換により完全子会社化しました。その後も累計で2,300億円を投資しましたが、業績は伸びることなく評価減を行い、2010年2月期個別決算で670億円の評価損益を計上しています。

参考:セブン&アイホールディングスは1,300億円を投じて野村プリンシパル・ファイナンスから株式を65%取得し、その後に株式交換により完全子会社化

電気業界のM&A失敗事例

古河電気工業のM&A失敗事例

2001年7月、古河電気工業は、アメリカの光ファイバー事業のルーセント・テクノロジーを22.27億ドルで買収し、世界ファイバー業界で2位にまで上り詰めました。しかし、一時期はM&Aが成功したように見えた事業はピーク時の5分の1まで売り上げが減少し、2004年3月期には1,000億円の評価損を計上しています。

参考:米ルーセントが光ファイバ部門を売却,古河電工が世界シェア2位に躍進

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不動産業界のM&A失敗事例

三菱地所のM&A失敗事例

1989年10月に実施された三菱地所によるロックフェラーセンターの買収も、海外M&Aの失敗事例の1つです。当時約2,200億円でマンハッタンのロックフェラーセンターを買収した三菱地所ですが、不動産市場の冷え込みにより時価が暴落し、最終的には本物件の大半をアメリカに売り戻し、1,500億円の損失を計上しています。

参考:三菱地所、続きがあったロックフェラー物語

金融業界のM&A失敗事例

新生銀行のM&A失敗事例

2004年9月、新生銀行はM&Aにより第三者割当増資を引き受けて、アプラスを350億円で普通株式の67%、優先株式を300億円でUFJ銀行から取得しました。その後も優先株式を受けましたが、過払金訴訟の影響を受けて業績が悪化し、1,010億円の減損損失を計上しています。

参考:優先株引受によるアプラスへの継続的支援について

野村證券のM&A失敗事例

1998年には、野村證券が欧州最大手の証券会社ドイツ銀行の大株主になるため、同行に投資を行いました。しかし、ドイツ銀行が経営不振に陥り、野村證券が引き受けた債券を返済不能に陥りました。その後、野村證券は債券を1円でドイツ銀行に譲渡するということで、1300億円以上の損失を計上しています。

参考:ドイツの金融機関による株式保有の経緯

自動車業界のM&A失敗事例

マツダのM&A失敗事例

1997年、日本の自動車メーカーであるマツダはフォード・モーター社に39.1%出資することを決定しました。しかし、その後、マツダは赤字続きで経営不振に陥り、フォード社は2008年に出資比率を一部減らしています。

参考:フォード、マツダ全株売却 36年の資本提携に幕

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航空業界のM&A失敗事例

日本航空のM&A失敗事例

1990年代後半、日本航空(JAL)は国内外でM&Aを展開しましたが、その多くが失敗に終わりました。1998年には、JALがアメリカのハワイ航空を買収することを決定しましたが、2001年には買収価格の6割減で売却しました。また、同じく1998年には、JALが英国航空と資本提携を行いましたが、2001年に解消しています。

製薬業界のM&A失敗事例

第一三共のM&A失敗事例

製薬業界の大手企業、第一三共もまた、海外M&Aで痛い失敗を経験しています。2008年6月には、第一三共はインドのジェネリック医薬品メーカーであるランバクシー・ラボラトリーズを約4,900億円で買収しました。この時、その規模から大変注目を集めていたのです。

ところが、デューデリジェンスが不十分であったため、輸出規制などの影響で事業が思うように進まず、最終的には失敗に終わってしまったのです。

参考:Ranbaxy Laboratories Limited株式取得による医療用医薬品事業の強化について

M&A失敗事例15選:経営統合が破綻した企業の教訓と原因を徹底解説 まとめ

本記事では、M&A失敗事例15選を紹介し、経営統合が破綻した企業の教訓と原因を徹底解説しました。
これらの事例から、適切な事前調査、文化の違いへの対応、コミュニケーションの重要性、戦略的な計画立案など、M&A成功のためのポイントを把握することができます。
失敗事例を学ぶことで、企業は同じ過ちを繰り返さず、効果的なM&A戦略を実施することができるでしょう。
今後のM&A活動において、本記事が参考になれば幸いです。

またM&Aナビは、売り手・買い手ともにM&Aにかかる手数料などを完全無料でご利用いただけます。買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いのも特徴です。

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