休眠会社を買取するには?価格相場や買取の流れ、メリット・デメリットを解説!
休眠会社は、過去に事業を行っていたものの、何らかの理由により現在は一切の業務を行っていない会社のことを指します。
休眠会社を買取することにより、新規事業を始める際にメリットがある場合があります。
そこで本記事では、休眠会社の買取における重要なステップ、価格相場の理解、そして適切な相談先の選定方法を詳細に解説します。
目次
休眠会社とは
休眠会社は、事実上の商取引が停止しているが、法的には存続している会社を指します。これらの企業は、さまざまな理由で活動を停止しているものの、企業としての法人格は保持しています。
休眠会社の定義
休眠会社の主な特徴は、営業活動がないにもかかわらず、法人登録がなされている状態を指します。これは、企業が過去に事業を行っていたが、現在は活動をしていない状況を示しています。
どうすれば休眠会社とわかるのか
休眠会社を識別するには、財務諸表の提出の有無や、事業活動の証拠を検証することが一般的です。
休眠会社を特定するには、公的な登記情報の確認や過去数年間の事業報告書の分析を行うことが有効です。これにより、会社が実際に活動をしているかどうかを判断することが可能になります。
休眠会社を買い取るメリット
休眠会社の買取は、多くの起業家や既存のビジネスオーナーにとって魅力的な選択肢となっています。
この章では、休眠会社を買い取るメリットについて解説します。
新事業へスピーディーに参入できる
最も注目すべきメリットの一つは、スピーディーに新事業へ参入できることです。
休眠会社を買い取ることで、新規事業の立ち上げに伴う時間とコストを大幅に削減できます。
特に、設立手続き、法人設立のための書類作成、規制当局への申請など、新たに会社を設立する際に必要とされる煩雑なプロセスを回避することができます。
法人歴の承継
また、法人歴をそのまま引き継ぐことができる点も大きな利点です。
事業における信頼性を構築する上で、法人歴は重要な要素となります。
休眠会社を買収することで、すでに確立された企業の背景を利用し、取引先や顧客からの信頼を容易に獲得できるようになります。
事業拡大へのスムーズな移行
休眠会社の買取は、既存のビジネスオーナーにとっても、新たな事業分野への拡大や、製品・サービスのポートフォリオの多様化を目指す際の有効な戦略となります。
休眠会社の資産や法人格を利用することで、新しい市場セグメントへの進出を加速させることができます。
財務面でのメリット
財務面でも、休眠会社の買取はコスト削減に寄与します。
新会社を設立する際に必要な初期投資や手続きに関連する費用を節約できるだけでなく、場合によっては、休眠会社が保有する資産を価値あるリソースとして活用することも可能です。
これにより、資金調達の過程を簡略化し、事業運営資金の確保に役立てることができます。
休眠会社の買取には、ビジネスを迅速に拡大し、市場における競争力を高めるための重要な戦略的利点があります。しかし、休眠会社の選択と買取プロセスには、慎重な検討と専門的な知識が求められます。
休眠会社を買い取るデメリット
休眠会社の買取には多くのメリットが存在しますが、その一方で潜在的なデメリットも理解することが重要です。
この章では、休眠会社を買い取るデメリットについて解説します。
簿外債務の引継ぎリスク
休眠会社を買い取る最大のリスクは、未解決の法的・財務的問題が存在する可能性があることです。
これらの問題は、買収後に新たなオーナーに移行した際に、予期せぬコストの発生や法的な責任問題を引き起こすことがあります。したがって、買収プロセスには、徹底的なデューデリジェンスが不可欠です。財務状況、過去の契約、訴訟履歴など、会社の全ての側面を詳細に検討する必要があります。
ブランドイメージへの悪影響
休眠会社を買収すると、その会社の過去の評判やブランドイメージが、新たな事業活動に影響を与える場合があります。
特に、負のイメージが付随する企業を買収した場合、それを払拭するためには相当な労力と時間が必要になることがあります。これは、市場における新しいブランドの確立や、顧客の信頼を築く上で大きな障害となり得ます。
立ち上げの難しさ
また、休眠会社の買収には、事業の統合に関連する複雑さが伴います。
買収した会社の資産、従業員、業務プロセスを既存のビジネス構造に統合することは、予想以上に難しく、時間がかかることが多いです。
適切な統合計画と管理がなければ、事業運営の効率性や生産性に悪影響を与える可能性があります。
休眠会社の買取は、適切に行えば大きなメリットをもたらしますが、慎重な検討と計画が必要です。
未解決の法的・財務的問題のリスク、ブランドイメージへの悪影響、統合の複雑さなど、デメリットを充分に理解し、これらの課題に対処する準備を整えることが、成功の鍵となります。
休眠会社の価格相場
休眠会社の買取に際して、適切な価格を把握することは、取引の成功に直結します。価格相場は、多岐にわたる要因によって形成され、これらを理解することで、有利な交渉が可能になります。
価格決定要因と交渉のポイント
価格決定要因には、主に会社が保有する資産の種類と価値、負債の額、企業の業績履歴、市場でのブランド価値などがあります。これらの要因を正確に評価することで、買取価格の妥当性を判断することができます。
交渉においては、これらの要素に基づき、買い手と売り手の間で価格の合意に至るまでのプロセスが重要となります。
買い手としては、休眠会社の資産だけでなく、潜在的なリスクもしっかりと評価する必要があります。特に、未払いの税金や隠れた負債などは、後に大きな問題となることがあるため、デューデリジェンスを徹底することが交渉の成功の鍵となります。
市場動向と価格相場の最新情報
市場動向についての最新情報を把握することは、休眠会社の価格相場を理解する上で不可欠です。
経済全体の状況、特定の業界の動き、法律や政策の変更など、外部環境の変化は価格相場に大きな影響を与えることがあります。
最新の市場情報に注意を払うことで、買取りを検討するタイミングや、価格交渉における戦略をより適切に立てることが可能です。
市場での休眠会社への需要が高まっている場合、価格相場は上昇傾向にあります。
逆に、市場に休眠会社が溢れている場合、買い手市場となり、より低い価格での買取が期待できるかもしれません。
このように、市場の供給と需要のバランスを考慮することが、適切な価格での買取を実現する上で重要となります。
休眠会社を買い取る際の流れ
休眠会社の買取は、計画的かつ段階的なアプローチを必要とします。
このプロセスを通じて、買い手は潜在的なリスクを最小限に抑えつつ、投資の利益を最大化することができます。休眠会社を買い取る際の流れは複雑であるため、事前の準備と正確な情報が必要となります。
ステップバイステップの詳細ガイド
休眠会社の買取プロセスは、以下のステップで構成されます。各ステップを慎重に実行することで、プロセス全体がスムーズに進行します。
事前調査と選定: 興味のある休眠会社を特定し、初期のデューデリジェンスを行います。この段階で、企業の財務状態、市場での評価、潜在的なリスクを評価します。
意向書(LOI)の提出: 買取に対する正式な興味を示すために、意向書を提出します。これにより、買い手と売り手の間で初期的な合意が形成されます。
詳細なデューデリジェンス: 財務、法務、営業など、企業のあらゆる側面について詳細な調査を行います。このプロセスには、専門家の協力を仰ぐことが推奨されます。
購買契約の交渉と締結: デューデリジェンスの結果を基にして、購買契約の条件を交渉します。契約には、価格、支払条件、責任の範囲など、取引の詳細が含まれます。
クロージング: 契約条件に基づいて、取引を完了します。この段階で、資金の移動や資産の移転が行われます。
統合と運営: 買収後は、休眠会社を既存のビジネス構造に統合し、事業運営を開始します。このプロセスは、計画的かつ段階的に行う必要があります。
重要書類の準備とチェックリスト
休眠会社の買取に際しては、以下の書類の準備が必要となります。これらの書類は、プロセスの各段階で重要な役割を果たします。
- 意向書(LOI):取引の初期段階で交渉を始める前の意図を示す文書。
- 財務報告書:企業の財務状態を理解するために必要な、過去数年間の財務諸表
- 資産リスト:企業が保有する物理的および知的資産の詳細リスト
- 契約書類:企業が関与する契約、合意、およびその他の法的文書
- 法務調査報告書:企業の法的状況に関する詳細な分析を含む文書
- 統合計画:買収後の休眠会社を既存のビジネスに統合するための計画書
これらの書類の準備と検討は、休眠会社の買取におけるリスクを最小限に抑え、成功に導くための基礎を築きます。適切な準備と計画により、買収プロセスを効率的に進めることが可能となります。
休眠会社を買い取る際のおすすめの相談先
休眠会社の買取を検討している際には、適切なアドバイスとサポートを得るために、いくつかの専門機関に相談することが推奨されます。
この章では、休眠会社を買い取る際のおすすめの相談先を3つ紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社を利用することは、休眠会社の買取において最も効果的な第一歩です。
M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチング、価格交渉のサポート、取引の成立までのプロセス管理を行います。これらの会社は、市場の動向や価格相場に関する深い知識を有しており、買い手が適切な休眠会社を見つけるための貴重なリソースを提供します。
また、経験豊富な仲介会社は、買収プロセスにおける潜在的な障壁を事前に特定し、解決策を提案することができます。
法律顧問
法律顧問は、買取プロセス全般にわたる法的支援を提供し、契約書の作成、法的リスクの評価、買収に関わる法的手続きのアドバイスなどを行います。
特に、休眠会社が持つ潜在的な法的問題や負債の調査には、法律の専門知識が不可欠であり、適切な法律顧問の選定が買取成功の鍵となります。
財務顧問
財務顧問は、休眠会社の財務状況の詳細な分析、資産の評価、買取による投資収益の見積もりなどを行い、買取の経済的合理性を評価します。
買取後の財務戦略の立案や資金調達のアドバイスにも貢献し、買取プロセスの財務的側面をサポートします。
これらの相談先を利用することで、休眠会社の買取に関する包括的なサポートを受けることが可能となり、買取プロセスを効率的かつ効果的に進めることができます。
【休眠会社を買取するには?】まとめ
休眠会社を買い取る際には、多くのチャレンジが伴いますが、適切な準備と専門家の助言により、これらの障壁を克服し、買取から得られる利益を最大化することが可能です。
M&A仲介会社、法律顧問、財務顧問といった専門家への相談は、休眠会社の買取プロセスを成功に導くために不可欠です。
本記事で紹介したステップバイステップのアプローチと、重要書類の準備、価格相場の理解、そして適切な相談先の選定方法を活用することで、読者の休眠会社の買取が成功することを願っています。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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