【2024年最新版】M&Aのニーズが高い業界はどこか？人気業種を解説！

M&Aは、企業が成長戦略を実現するための有力な手段としてますます重要性を増しています。

特に、人手不足や規制の変化、新技術の登場などが背景にあり、さまざまな業界でM&Aのニーズが急増しています。

本記事では、運送業界や建設業界、IT業界など、M&Aニーズが高い6つの業界について、その理由や具体的な事例を詳しく解説します。

M&Aのニーズが高まる背景

M&A（合併・買収）のニーズが近年ますます高まっている背景には、様々な社会的、経済的要因があります。

特に中小企業や業界全体が変化に直面している状況において、M&Aは成長や生き残りを図るための有効な手段として注目されています。

ここでは、人手不足や規制の変化、業界再編、新しい技術の登場といったM&A需要が高まる背景について解説します。

人手不足

日本の労働市場では、少子高齢化に伴う深刻な人手不足が続いています。

特に、中小企業や地方では人材確保が困難であり、企業の運営が停滞するケースが増えています。

このような状況で、M&Aは事業継続のための重要な解決策となっています。

買収によって人材を引き継ぐことで、人手不足を補い、事業を維持することが可能になるため、M&Aのニーズが高まっているのです。

規制強化・規制緩和

規制の強化や規制緩和は、企業の競争環境に大きな影響を与えます。

規制が強化されることで、特定の業界での競争が激化し、業界再編が加速することがあります。

特に、環境規制や労働法の厳格化は、従来の経営手法に限界を感じさせ、中小企業がM&Aを通じて大企業に吸収されたり、他社と統合する流れが強まっています。

一方で、規制の緩和もM&Aのニーズを高めます。

例えば、新たな業界に参入しやすくなったり、規制によって抑えられていた事業展開が容易になることで、企業は他社を買収して市場シェアを拡大する機会を得ます。

特に、金融業界や医療関連業界などで規制が変化した場合、業界再編が進みやすく、M&Aが盛んに行われる傾向があります。

業界再編の動き

業界再編の動きも、M&Aのニーズを押し上げる要因の一つです。

市場の成熟化や需要の変化に伴い、競争力を維持するためには、業界全体の再編が必要となる場合があります。

特に、競争が激しい業界では、効率を高めるために他社との統合や買収を行い、コスト削減やシェア拡大を図る企業が増えています。

また、グローバル化の進展により、国内市場だけでなく海外市場への進出を目指す企業も増加しています。

日本国内では、産業全体の競争力を高めるために業界再編が促進されており、M&Aがその一環として活用されています。

新しい技術の誕生

技術革新は、企業の競争力を左右する大きな要因です。

新しい技術が登場することで、従来のビジネスモデルや製品に変革をもたらすことが多く、その結果としてM&Aが活発化します。

特に、ITやソフトウェア業界では、技術の進化が急速であり、新しい技術を持つ企業の買収を通じて競争力を強化する動きが見られます。

また、デジタルトランスフォーメーション（DX）の進展も、M&Aのニーズを高めています。

企業がデジタル技術を活用して業務効率を改善し、顧客体験を向上させるためには、新しい技術やノウハウが必要です。

これを自社内で開発するよりも、すでにその分野で成功している企業を買収することで、迅速かつ効果的に技術力を強化できる点が、M&Aを選択する理由となっています。

このように、M&Aのニーズが高まる背景には、社会や業界全体の構造的な変化が関わっています。

企業はこれらの変化に適応し、競争力を維持するためにM&Aを活用する傾向が強まっています。

M&Aのニーズが高い6つの業界

近年、M&Aの需要が高まっている業界がいくつか存在します。

それぞれの業界が直面している課題や市場の変化が、M&Aを通じて解決されることが多いためです。

ここでは、M&Aのニーズが特に高いとされる6つの業界について詳しく解説します。

運送業界

運送業界でM&Aニーズが高い理由

運送業界は、長引く人手不足や燃料コストの上昇、さらにはデジタル化による競争激化など、さまざまな課題に直面しています。

これにより、効率化や規模拡大を図るためのM&Aニーズが高まっています。

特に、中小規模の運送会社が大手に吸収されるケースが増加しています。これは2024年問題と言われる労働規制により人材不足に陥っていることから人材確保や業務の効率化を目的としたものです。

さらに、物流ネットワークの整備やラストマイル配送の効率化も運送業界の大きな課題です。

特にEコマース市場の拡大に伴い、消費者のニーズに応えるため、配送の迅速化やシステムの最適化が求められています。

これらの要因が、業界再編を促進し、M&Aの動きを加速させています。

運送業界の具体的なM&A事例

具体例としては、近年多くの大手運送企業が中小規模の地域運送業者を買収し、全国規模での配送網の強化を進めています。

これにより、地域ごとの細かいニーズに対応しつつ、効率的な配送体制を構築しています。

また、IT技術を取り入れた運送管理システムを持つ企業が買収されるケースも増えており、業界全体のデジタル化がM&Aを通じて進んでいることが分かります。

建設業界

建設業界でM&Aニーズが高い理由

建設業界では、労働力不足が大きな問題となっています。

特に、現場での人材不足や技術者の高齢化が進んでいるため、企業間での合併や買収を通じて人材確保や技術力の強化を図る動きが目立ちます。

また、インフラ整備や都市再開発といった大規模プロジェクトの増加に伴い、規模拡大を目指して中小企業が大手に買収されるケースが増えています。

さらに、環境への配慮や持続可能な開発目標（SDGs）の推進により、建設業界でも新しい技術や資源の有効活用が求められています。

これにより、環境対応技術を持つ企業や、最新の建設技術を提供する企業の買収が増加しています。

建設業界の具体的なM&A事例

具体的な事例として、大手建設会社が技術力を強化するために、再生可能エネルギー技術を持つ中小企業を買収したり、環境に配慮した建材を製造する企業との統合を進めているケースがあります。

これにより、環境対応技術を取り入れた持続可能な開発を実現しつつ、競争力を高めることが可能になっています。

介護業界

介護業界でM&Aニーズが高い理由

日本は超高齢社会に突入しており、介護業界は需要が急速に拡大しています。

しかし、介護人材の不足や厳しい経営環境に直面している企業も多く、M&Aを通じた業界再編が進んでいます。

特に、小規模な介護施設が、大手の介護グループに買収されることで、経営の効率化やサービスの質向上を目指す動きが活発化しています。

さらに、介護報酬の見直しや規制の強化が進む中で、資金力のある企業が小規模施設を吸収し、統合することで規模のメリットを生かすケースも増えています。

また、ITやAI技術を活用して業務の効率化を図る企業の買収も増加しており、介護の質向上と業務効率化の両立を目指したM&Aが進んでいます。

介護業界の具体的なM&A事例

大手介護グループが地域の中小規模の介護施設を買収し、全国展開を強化するケースが典型的です。

また、介護ロボットやAIシステムを導入している企業が買収され、業務のデジタル化を進める動きも加速しています。

このように、技術革新と高齢化社会の進行が介護業界におけるM&Aを促進しています。

飲食業界

飲食業界でM&Aニーズが高い理由

飲食業界では、店舗運営の効率化や多店舗展開を目指したM&Aが増加しています。

特に、フランチャイズチェーンの拡大やブランド力の強化を目指した買収が増えており、大手チェーンが地域の人気店を買収するケースが増えています。

また、コロナ禍以降、飲食店の経営環境が厳しくなっている中で、経営難に陥った企業が買収されるケースも増加しています。

飲食業界の具体的なM&A事例

具体例として、外食チェーンが地域に根ざした個人経営の飲食店を買収し、ブランド力を強化する事例が多く見られます。

また、デリバリーサービスを強化するために、IT技術を活用しているスタートアップ企業を買収するケースも増えています。

IT・ソフトウェア業界

IT・ソフトウェア業界でM&Aニーズが高い理由

IT・ソフトウェア業界は、技術革新のスピードが非常に速く、新しい技術やノウハウを持つ企業を迅速に取り込むためのM&Aが頻繁に行われています。

特に、クラウド技術やAI、ビッグデータの分野では、スタートアップ企業が大手企業に買収されるケースが多く見られます。

これにより、大手企業は技術力を強化し、競争力を維持することができます。

IT・ソフトウェア業界の具体的なM&A事例

具体例としては、クラウドサービスを提供するスタートアップ企業が大手IT企業に買収され、グローバルなサービス展開を目指す事例が多くあります。

また、AIやビッグデータ技術を活用したソリューション企業が、大手企業に吸収されることで、より広範なサービス提供が可能になるケースも増えています。

web広告・webマーケティング業界

web広告・webマーケティング業界でM&Aニーズが高い理由

インターネット広告市場は急速に成長しており、特にデジタルマーケティングや広告技術に関するM&Aが活発化しています。

企業は、デジタル広告のノウハウや技術を持つ企業を買収し、より効果的な広告運用を目指しています。

特に、SNSマーケティングやデータ解析を強みとする企業の買収が進んでいます。

web広告・webマーケティング業界の具体的なM&A事例

具体的には、広告代理店がデジタルマーケティング企業を買収し、オンライン広告の運用効率を高めるケースが多く見られます。

また、データ解析技術を持つ企業が広告プラットフォームを運営する企業に買収され、広告のターゲティング精度を向上させる動きも進んでいます。

まとめ

M&Aのニーズが高まっている背景には、さまざまな要因が絡み合っています。

人手不足や規制の変化、業界再編、新技術の登場が企業に大きな影響を与え、M&Aはこれらの課題を解決するための手段としてますます重要視されています。

特に運送業界や建設業界、介護業界などでは、業界特有の課題がM&Aを通じて解決されつつあり、規模の拡大や効率化が進んでいます。

また、IT・ソフトウェア業界やweb広告・マーケティング業界においては、新しい技術やノウハウを取り入れるために、スタートアップ企業の買収が積極的に行われており、競争力を強化しています。

これからもM&Aは、企業の成長や課題解決のために重要な戦略となり続けるでしょう。

企業が持続的に成長し、競争力を保つためには、自社のニーズや業界の動向を踏まえ、適切なM&A戦略を選択することが不可欠です。

特に、適切なタイミングでM&Aを活用し、新たな技術やリソースを取り込むことが、今後の企業経営において重要な鍵となるでしょう。

代表取締役社長 瀧田 雄介

株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』