廃業する会社を買うには?黒字廃業のデータと探し方・価格相場・注意点を解説

2025年に休廃業・解散した企業は67,210件で、3年連続で過去最多を更新しました。このうち赤字企業は47.2%にとどまり、黒字を保ったまま市場から姿を消す会社も相当数含まれています。廃業する会社を買うとは、事業として成立しているのに引き継ぐ人がいない、こうした会社に買い手として名乗りを上げることです。
廃業予定の会社は売り案件として市場に出る前に消えることが多く、探し方にもコツがあります。背景のデータ、アプローチの窓口、価格の考え方、見極めるべきリスクの順に整理します。
廃業する会社を買うとは?
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廃業とは、経営者が自らの意思で会社をたたむことです。倒産と違い、負債の返済に行き詰まったわけではないケースが大半を占めます。経営自体は成り立っているのに、後継者がいない、体力的に続けられないといった理由で幕を引く会社が相当数含まれます。
買い手にとってこの構図は、顧客リスト・従業員・設備・許認可・取引先との関係といった資産を、ゼロから作らずに引き継げる機会を意味します。問題は、こうした会社の多くが売り案件として市場に出る前に、廃業届の提出まで進んでしまうことです。廃業を決める前の段階でどう接点を持つかが、この買収戦略の実務上のポイントになります。
データで見る廃業の実態|黒字のまま消える会社も少なくない
年間67,210件が休廃業し、代表者の9割は60代以上を占める
東京商工リサーチの調査によると、2025年に休廃業・解散した企業は67,210件で、3年連続で過去最多を更新しました。代表者の年齢は60代以上が90.6%を占めており、高齢の経営者が引退のタイミングで事業をたたむ動きが加速しています。
赤字企業は47.2%、黒字を保ったまま廃業する会社も相当数ある
この調査で見落とされがちなのが、休廃業した企業のうち赤字企業は47.2%にとどまる点です。裏を返せば、黒字を保ったまま廃業する会社も相当数含まれていることになります。事業としては成立しているのに、引き継ぐ人がいないという理由で市場から消える会社が、毎年数万社規模で存在しています。
後継者不在率は50.1%、脱ファミリー化も進む
帝国データバンクの2025年調査では、日本企業の後継者不在率は50.1%です。7年連続で改善しているものの、2社に1社は後継者が決まっていません。同じ調査では後継者の属性として「非同族」が41.0%と初めて4割を超えており、子どもや親族が継ぐ前提が崩れつつあることも、廃業を選ぶ会社が増える一因になっています。
廃業を決める前の会社に、買い手からどうアプローチするか
廃業する会社を買う際の最大の壁は、案件を見つけるタイミングです。経営者が正式に廃業を決めてしまうと、許認可の返納や在庫の処分、従業員への通知が進み、買収の受け皿として機能しなくなります。買い手として動くなら、経営者が廃業を検討し始めた段階で情報に接する必要があります。
| 窓口 | 廃業検討中の会社と接点を持てる理由 | 買い手側の動き方 |
|---|---|---|
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 廃業を考え始めた経営者が最初に相談する公的窓口 | 買収希望を事前登録し、後継者人材バンク経由の紹介を待つ |
| 金融機関(地銀・信用金庫) | 融資相談の場で経営者が廃業の意向を漏らすことがある | 取引金融機関の事業承継担当部署に買収ニーズを伝えておく |
| M&Aマッチングサイト | 「後継者不在」「体力的な理由」を譲渡理由に挙げる案件が該当することが多い | キーワードで案件を検索し、気になる案件は早めに問い合わせる |
| M&A仲介会社 | 相談段階の経営者から非公開で情報を預かっていることがある | 希望する業種・規模を伝え、案件が出た際の連絡ルートを確保する |
「廃業する会社」は案件名として出てこない
マッチングサイトや仲介会社の案件一覧に「廃業予定」と明記されていることはほとんどありません。実際には、譲渡理由の欄に「後継者不在」「経営者の体力的な事情」「事業継続が困難」といった表現で書かれているケースの多くが、廃業を検討していた会社です。案件を探す際は、こうした表現に着目して問い合わせることが実務上のコツになります。
専門家への事前登録が接点を作る
事業承継・引継ぎ支援センターや金融機関は、廃業を考え始めた経営者から早い段階で相談を受けています。買収したい業種・地域・規模をあらかじめ伝えておくと、案件が正式に売り案件化する前の段階で連絡が来ることがあります。廃業が決まってから探し始めるのでは遅く、日頃から接点を持っておく姿勢が重要です。
廃業する会社の価格相場はどう決まるか
数百万円から数十億円まで、価格は4つの要素で決まる
廃業する会社の価格は、有形資産(不動産・設備・在庫)と無形資産(ブランド・顧客リスト・特許)を合わせた資産価値をベースに、負債の規模、業界の需給、将来の収益性の見通しを加味して決まります。一般的な範囲は数百万円から数十億円と幅が広く、規模や業種、地域によって大きく変わります。売り手側から見た価格の決まり方や算定方法は「M&Aの売却価格の決まり方と相場」で解説しています。
300万円で会社を買えるのか
「300万円で会社を買う」という言葉が広まりましたが、実際に数百万円台の案件は珍しくありません。ただし、価格が安いのには理由があります。設備が老朽化している、売上が減少傾向にある、簿外の負債や未払いの残業代があるといった事情が、価格の安さに反映されているのが通常です。廃業予定の案件は交渉力が買い手側に傾きやすく相場より安く出ることもありますが、安さだけで判断すると引き継いだ後に苦しみます。
赤字企業でも買う意味があるケースを見極める
休廃業した企業の半数弱は赤字企業です。赤字だからといって価値がないわけではありません。一時的な投資や需要の落ち込みによる赤字なのか、市場そのものが縮小した構造的な赤字なのかを見極めることが判断の分かれ目です。前者であれば、許認可・立地・熟練人材・取引先との関係に価値が残っており、経営資源を入れ替えることで再生できる余地があります。後者は、買収後も同じ理由で苦しむ可能性が高く、慎重な判断が必要です。
廃業する会社を買うと何が得られるか
顧客基盤とブランドを引き継げる
新規事業を立ち上げる場合、市場に足場を築くまでに時間とコストがかかります。廃業する会社を買収すれば、その会社が築いてきた顧客基盤とブランド価値をそのまま引き継ぎ、市場への進出を早められます。
専門人材と設備を確保できる
廃業予定の会社にも、業界知識とスキルを持つ従業員が在籍していることがあります。設備や在庫を新規購入するより割安に取得できる場合も多く、初期投資を抑えながら事業基盤を整えられます。
競合の減少を自社の強みに変えられる
特定の業界で競合が廃業すると、市場シェアや取引先に空きが生まれます。廃業予定の競合を買収することは、その空白を自社に取り込み、市場でのポジションを強化する手段にもなります。
廃業する会社を買うリスクをどう見極めるか
最大のリスクは簿外債務が潜んでいること
表面上は魅力的に見える案件でも、帳簿に載っていない債務が後から発覚することがあります。買収前のデューデリジェンスで、財務・税務・法務の実態を確認する工程を省略しないことが対策になります。
従業員が離散するリスクに備える
長年事業を運営してきた従業員は、オーナー交代に不安を感じやすく、統合がうまく進まないと離職につながります。廃業を決めていた経営者から従業員に丁寧に説明してもらい、引き継ぎ期間を十分に確保することが有効です。
廃業を選んだ理由を見極める
廃業の理由が後継者不在だけなのか、事業自体の限界によるものなのかで、買収後の見通しは大きく変わります。後継者不在であれば経営を引き継ぐだけで事業が続く可能性が高い一方、需要そのものが縮小している事業は買収後も同じ課題に直面します。トップ面談では、価格の話より先に、廃業を検討した経緯を確認することを優先してください。
設備の老朽化も価格に織り込む
長年事業を続けてきた会社ほど、設備が古くなっている可能性が高くなります。買収後すぐに更新投資が必要になるケースもあるため、資産の評価には設備の稼働状況や残存耐用年数の確認を含めておくことが重要です。
よくある質問
300万円で会社を買うにはどうすればいいですか?
数百万円台の譲渡案件はマッチングサイトや事業承継・引継ぎ支援センター経由で見つかります。ただし価格が安い案件には、設備の老朽化や売上減少、簿外リスクなど、安さの理由があるのが通常です。価格だけでなく、なぜその価格になっているのかを確認してから検討してください。
会社を買う値段はいくらですか?
有形資産(不動産・設備・在庫)と無形資産(ブランド・顧客リスト・特許)を軸に、負債の規模・業界の需給・収益性の見通しを加味して決まります。一般的な範囲は数百万円から数十億円で、規模と業種によって大きく異なります。
会社を買うリスクは何ですか?
最大のリスクは簿外債務です。加えて、企業文化の統合の難しさ、従業員の離職、買収後も事業の立て直しが進まない可能性があります。デューデリジェンスの実施と、廃業を選んだ理由の見極めがリスクを下げる対策になります。
赤字の会社を買うメリットはありますか?
あります。一時的な投資や需要の落ち込みによる赤字であれば、許認可・立地・人材・取引先との関係に価値が残っており、経営資源を入れ替えることで再生できる余地があります。市場そのものが縮小している構造的な赤字かどうかを見極めることが前提です。
廃業する会社はどこで見つかりますか?
事業承継・引継ぎ支援センター、取引金融機関、M&Aマッチングサイト、M&A仲介会社が主な接点です。廃業が正式に決まってからでは案件として出てこないことが多いため、買収希望をあらかじめ登録し、日頃から接点を持っておくことが重要です。
まとめ
2025年には67,210社が休廃業・解散し、そのうち黒字を保ったまま市場から消える会社も相当数を占めています。廃業する会社を買うことは、こうした会社が持つ顧客基盤・人材・設備を引き継ぐ機会であり、廃業を決める前の段階で接点を持てるかどうかが実務上の分かれ目になります。
事業承継・引継ぎ支援センター、金融機関、マッチングサイトを組み合わせて情報源を確保し、価格の安さだけでなく廃業を選んだ理由を見極めながら検討を進めてください。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。

株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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