廃業する会社を買うには?価格相場やメリット・デメリットを解説!
多くの起業家や投資家にとって、廃業する会社の買収は大きなチャンスを意味します。
しかし、このような買収には、様々なメリットとデメリットが伴います。
本記事では、廃業する会社を買う際の基本的な考え方、価格相場、メリットとデメリット、成功事例、おすすめの相談先について解説します。
この記事が、買収を検討している方々にとって、有益な情報となることを願っています。
目次
廃業する会社を買うとは?
多くの人が疑問に思うかもしれませんが、「廃業する会社を買う」という行為は、実は非常に有効な経営戦略となります。
このアプローチによって、既存の事業基盤を利用し、新しい市場に迅速に進出することが可能となります。
具体的には、廃業予定の企業が持つ顧客リスト、ブランド価値、特許や技術などの無形資産を手に入れることができます。
これらの資産は、新規事業の立ち上げや既存事業の拡大において、大きなアドバンテージとなり得るのです。
しかし、廃業する会社を買収する際には、隠れた負債や法的なリスクなど、注意すべき点も多く存在します。
それゆえ、買収プロセスには、専門家のアドバイスが不可欠となるのです。
このような買収を成功させるためには、買収対象となる企業の選定から、買収後の統合プロセスに至るまで、綿密な計画と戦略が求められます。
廃業する会社を買う5つのメリット
廃業する会社の買収は、見過ごされがちですが、実は非常に魅力的な投資対象となり得ます。
この戦略にはいくつかの明確なメリットがあり、この章ではその主要なものについて解説します。
1.素早い立ち上げのスピード
新規事業を立ち上げる場合、市場に足場を築くまでには時間とコストがかかります。
そこで、廃業する会社を買収することで、即座に既存の顧客基盤へアクセスできるため、市場への進出が迅速になります。
2.既存のブランド価値の活用
ブランドをゼロから構築することは、膨大な努力と長い時間を要します。
そこで、廃業する会社を買収することにより、その会社が長年にわたり築き上げてきたブランド価値を利用できるようになります。
3.専門人材・ノウハウの獲得
廃業予定の会社にも、貴重な業界知識とスキルを持つ従業員が在籍していることがあります。
これらの人材を獲得することは、新事業の成功の鍵となることが多いです。
4.資産・設備の取得
新規事業を始める際には、必要な設備や資産の購入に多額の初期投資が必要になることがあります。
そこで、廃業する会社を買うことで、これらの設備や資産を割安で取得できる可能性があります。
5.競争力の確保
特定の業界や市場において、競合他社が減少することは、残る企業にとって競争力を確保することにつながります。
廃業する競合の買収は、市場における自社のポジションを強化し、競争を有利に進めるための手段となり得ます。
これらのメリットは、廃業する会社の買収を検討する際の重要な動機となります。
しかし、成功を収めるためには、買収前の詳細なデューデリジェンスと、買収後の統合プロセスの計画が不可欠です。
適切な準備と戦略をもって進めば、廃業する会社の買収は大きな価値を生み出す可能性があります。
廃業する会社を買う4つのデメリット
廃業する会社の買収は、多くのメリットがありますが、それには当然リスクも伴います。
この章ではその主要なものについて解説します。
1.簿外債務のリスク
表面上は魅力的に見える買収案件でも、簿外債務が存在する可能性があります。
これらは、買収後に発覚し、経済的な負担となることが少なくありません。
2.統合の難しさ
異なる企業文化の融合は、予想以上に困難を伴います。
特に廃業が目前に迫っている企業は、長い期間事業を運営してきた方が多いでしょう。
新しい環境に慣れてもらう必要もあるため、難しさがあるといえます。
統合プロセスがスムーズに進まなければ、生産性の低下や従業員の離職を招くリスクがあります。
3.ブランド価値の損失
買収する会社が過去に負ったネガティブなイメージは、新しいオーナーにも影響を与えかねません。
特に、公に知られている問題がある場合、ブランドの再構築には相当な努力が必要です。
事前に調査をすることで可能な限りブランド価値が失われないようにしましょう。
4.買収後の事業継続が困難な可能性がある
買収する事業の廃業する理由が財務状況に起因する場合、買収後も事業の立て直しが困難な可能性があります。
また、長年事業を続けてきた企業の場合は、設備が古くなっている可能性が高いです。
これらのデメリットは、買収の決定を下す前に慎重に評価する必要があります。
適切なデューデリジェンスの実施と、長期的な視点を持つことで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能となります。
買収によって大きなチャンスを生み出せる可能性がある反面、成功のためには潜在的なリスクを理解し、それに対処する準備が必要です。
廃業する会社の価格相場
廃業する会社の買収において、価格は最も議論されるポイントの一つであり、価格相場を理解することは、適正な価格での取引を実現するために不可欠です。
この章では買収価格に影響を与える主要な要素について解説します。
1.資産の価値
廃業する会社の価格は、主にその資産の価値に基づいています。
有形資産(不動産、設備、在庫など)と無形資産(ブランド名、特許、顧客リストなど)の両方の評価により決定されます。
2.負債の規模
会社の負債は、買収価格に大きな影響を与えます。
負債額が多いほど、買収価格は低下する傾向にあります。
3.市場の需給
市場の需給バランスも、価格相場に影響を及ぼします。
買収対象の会社が属する業界の現状や将来性が、価格を左右する重要な要素となります。
4.収益性の見通し
会社の収益性の見通しも、評価の際に重要視されます。
持続可能な収益が見込める場合、買収価格は上昇する傾向にあります。
これらの要素を踏まえ、廃業する会社の価格相場を一概に言うことは難しいですが、一般的には数百万円から数十億円の範囲にわたります。
価格は、買収する会社の規模、業界、地域、そしてその他の条件によって大きく異なります。
適切な価格を見極めるためには、専門家による詳細な評価が必要不可欠です。
買収を検討する際には、これらの要素を十分に考慮し、適正な価格での取引を目指すことが重要です。
廃業する会社を買収した成功事例
廃業する会社を買収して成功を収めた事例は数多く存在します。ここでは、その中から具体例を2つ紹介します。
1.有限会社上市場
奈良県吉野郡にある有限会社上市魚市場は、仕出し専門店として営業し、中谷氏と中谷夫人、そして数人のパートタイマーのみという、注文に応えるための最小限の人員で運営されていました。
しかし、中谷夫人の健康問題をきっかけに事業継続が困難になり、中谷氏は廃業を考え始めました。
廃業の危機を前に、中谷氏は奈良県事業承継・引継ぎ支援センターへの相談を決意しました。
そこで出会ったのが、仕出し弁当業界のベンチャー企業である株式会社ミライトリンクです。ミライトリンクの中本和昭社長は、中谷氏の地域への貢献に共感し、事業承継の提案に積極的でした。
ミライトリンクは、創業以来、地域社会への貢献と社会課題の解決を目指す企業であり、吉野町の過疎化や人口減少といった課題にも積極的に取り組んでいる点で、中谷氏との価値観が一致していました。
そして話し合いの末、2023年1月に両者の強い絆と共通の目標の下、「寿司・割烹 甚八 吉野店」として事業は新たに生まれ変わりました。
この事業承継は、ただ単に会社を救うだけでなく、地域社会に対してもポジティブな影響を与えることに成功しました。
事業承継のプロセスは簡単なものではありませんでしたが、中谷氏と中本氏の熱意、そして地域社会と専門機関のサポートがあってこそ、成功に至ることができました。
(引用元:事業承継・引継ぎポータルサイトより引用)
2.株式会社新家製作所
石川県加賀市は、観光と伝統産業で知られる地域ですが、実は明治時代から織物機械の生産で機械産業の基盤を築いてきました。
そして、この地で長年にわたり金属部品加工を専門としてきた新家製作所は、創業から半世紀以上経過し、技術力と熟練した職人の技で業界内で確固たる地位を築いてきました。
しかし、社長である兄の急逝後、次男の正幸氏は、急遽社長に就任することになりました。
当時の正幸氏は経営を継続する意思がなく、廃業も視野に入れていました。
この重大な転機に、新家製作所と関わりの深い元銀行員で経営アドバイザーの荒木氏の助言により、石川県事業引継ぎ支援センターに相談することとなりました。
そこで出会ったのが、大手重工業メーカーで働いていた山下公彦氏でした。
山下氏は早期退職後、第二の人生を地元で送りたいと考えており、新家製作所の後継者として最適であると判断されました。
山下氏の事業承継により、新家製作所は新たに生まれ変わり、技術と伝統を維持しつつ、新しいビジネスモデルへと移行する機会を得ました。
荒木氏の助言により、売却価格の設定では、ただ単に高値での売却を目指すのではなく、企業の存続と従業員の雇用維持を最優先に考えるアプローチが採られました。
このプロセスは、新型コロナウイルスの影響による交渉の停滞や資金繰りの悪化という困難を乗り越えながら進められ、最終的に株式譲渡契約が成立しました。
この事例は、後継者不在による廃業の危機に瀕した企業が適切なサポートとマッチングを通じて再生する可能性を示しています。
(引用元:事業承継・引継ぎポータルサイトより引用)
これらの例からわかるように、買収に成功するためには、買収対象の会社が持つ資産や技術が買収者のビジネスにどのように貢献するかをしっかりと理解し、計画的に進めることが重要です。
廃業する会社を買う際のおすすめの相談先
廃業する会社を買収する際には、専門的な知識と経験が必要になります。
この章では、買収プロセスをスムーズに進めるために相談すべきおすすめの相談先を紹介します。
市場に精通しており、買収に最適な会社を見つけるためのアドバイスを提供してくれます。
法律事務所
契約書の作成や法的なデューデリジェンスは、専門的な知識を要するため、経験豊富な法律事務所に相談することが重要です。
特に、商法や会社法、労働法などに精通した弁護士のアドバイスは買収成功の鍵となります。
財務顧問会社
買収対象の会社の財務状態を正確に評価するためには、財務顧問会社のサポートが不可欠です。
財務顧問会社は、財務諸表の分析や評価、価格交渉のアドバイスを提供してくれます。
業界の専門家
特定の業界での買収を検討している場合、その業界の動向や将来性を理解している専門家からの意見を聞くことも有効な手段となります。
専門家は、業界内の潜在的なリスクや機会についての洞察を提供してくれます。
これらの相談先を活用することで、買収プロセスをより安全かつ効率的に進めることができます。
専門家の意見を参考にしながら、慎重に買収を進めて行くことを推奨します。
【廃業する会社の買収】まとめ
廃業する会社の買収は、適切な準備と正しい戦略があれば、ビジネスの成長と発展に大きく寄与することができます。
メリットを最大限に活用し、デメリットを慎重に管理することが重要です。
また、M&A仲介会社、法律事務所、財務顧問会社、業界の専門家など、適切な相談先にアドバイスを求めることで、買収プロセスをスムーズかつ成功に導くことが可能です。
廃業する会社の買収を検討している方々は、この記事で紹介したポイントを参考に、望む成果を達成していただければ幸いです。
M&Aナビは、買い手となりうる企業が数多く登録されており、成約までの期間が短いことが特徴です。ぜひご活用ください。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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