赤字であっても会社売却はできる?成功のポイントや進め方について解説!
赤字企業であっても、適切な戦略と準備があれば売却は可能です。
本記事では、赤字企業を売却する際のメリットやデメリット、企業価値の評価方法、売却を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
赤字企業の売却を検討している方に向けて、実際に活用できる具体的なアドバイスを提供します。
目次
赤字の会社は売却できる?
赤字の会社でも売却は可能です。
しかし、その背景や条件によって売却の成功確率が大きく変わってきます。
赤字会社とは、簡単に言えば、収益よりも支出が多いために利益を生み出せていない会社のことです。
通常、こうした会社は負債を抱えており、経営が厳しい状況にあることが多いです。
ですが、赤字だからといって必ずしも売却が不可能というわけではありません。
むしろ、適切な準備と戦略があれば、赤字であっても会社を売却することが可能です。
赤字会社とは
赤字会社とは、利益を生み出せず、経営が悪化している会社を指します。
売上が十分に上がっていない、またはコストが過剰にかかっていることで、収支がマイナスになっている会社です。
赤字が続くと資金繰りが厳しくなることから経営の継続が難しくなるため、事業の存続や発展が困難になります。
このような状況にある会社は、経営の立て直しを図るか、売却を検討することになります。
赤字であっても会社売却は可能
赤字であっても、会社売却は可能です。
実際、買い手側には様々なニーズが存在するため赤字会社であっても買収対象になります。
例えば、買い手が特定の市場に進出したいと考えている場合、その市場に既にある赤字会社を買収することで迅速に市場に参入できるメリットがあります。
また、赤字会社が持つ技術や人材・資産に価値を見出す買い手も存在します。
したがって、赤字であっても、売却が成立する可能性は十分にあります。
ただし、売却価格や条件は赤字であることを考慮したものになるため、期待するような高値での売却は難しいといえるでしょう。
赤字の会社を売却するメリット
赤字の会社を売却することには、いくつかのメリットがあります。
経営が厳しい状況である赤字会社にとって、事業を継続することは非常に困難です。
しかし、売却することで新たなチャンスを得られる可能性があります。
以下に、赤字の会社を売却する主なメリットについて詳しく解説します。
事業継続が可能
赤字であっても、会社を売却することで事業が継続できるという大きなメリットがあります。
経営者にとって、自らの手で事業を立て直すことが難しい場合、他の企業に売却することで事業の継続が可能となります。
特に、売却先が同業者や関連業種であれば、既存の事業を活かしながら新たなシナジーを生み出すことが期待できます。
これにより、赤字の原因となっていた問題を解決し、事業を再生するチャンスが生まれるのです。
債務整理の機会
赤字会社の売却は、債務整理の機会を提供することにもなります。
多くの赤字会社の場合、負債が膨らんでいることが経営を圧迫する要因となっています。
会社を売却することで、負債を引き継ぐ形で買い手が現れることもあります。
また、売却によって得た資金を用いて債務を整理することが可能です。
これにより、経営者は個人的な負担を軽減し、新たなスタートを切ることができます。
従業員の雇用維持
赤字会社の売却によって、従業員の雇用を維持できることも重要なメリットです。
経営が悪化すると従業員の解雇が避けられない状況になることが多いですが、会社を売却することで従業員の雇用を守ることができます。
買い手が事業を引き継ぐ際には、従業員の雇用継続が条件となることが多いため、売却によって従業員の将来が保障される可能性が高まります。
これにより、経営者にとっても従業員にとっても、より良い結果を得ることができます。
赤字の会社を売却するデメリット
赤字の会社を売却することには、メリットだけでなくいくつかのデメリットも存在します。
売却を検討する際には、これらのデメリットを理解し、慎重に判断することが重要です。
以下に、赤字の会社を売却する際の主なデメリットについて詳しく解説します。
事業の価値が低い状態で売却することになる
赤字の会社を売却する最大のデメリットは、事業の価値が低い状態で売却することになる点です。
赤字であるということは、収益が出ておらず経営がうまくいっていないことを意味します。
そのため、会社の評価額は低くなりがちで、期待していた価格での売却が難しくなります。
特に、買い手がリスクを負ってまで買収するインセンティブが少ない場合、売却条件が厳しくなることが多いです。
会社の資産や将来性に対する適正な評価を得ることが難しくなり、売却価格が大幅に低くなる可能性があります。
従業員の不安や反発
赤字の会社を売却する際には、従業員の不安や反発が生じる可能性があります。
経営の行方に不安を抱く従業員にとって、会社の売却はさらに不安材料となり得ます。
特に売却先が外部企業である場合には、従業員は雇用条件の変更や業務環境の変化に直面する可能性が高く不安が高まることがあります。
これにより、従業員のモチベーションが低下し反発が生じることもあります。
このような状況を避けるためには、売却前に従業員に対する十分な説明とコミュニケーションが必要不可欠です。
赤字会社の企業価値の考え方
赤字会社の企業価値を評価する際には、いくつかの特有の考慮事項があります。
赤字であること自体が企業価値を下げる要因となる一方で、その企業が持つ資産や将来性・人材など、他の要素によっては買い手にとって魅力的な価値を持つ場合があります。
ここでは、赤字会社の企業価値を評価する際に重要となるポイントについて解説します。
明確な相場はない
赤字会社の企業価値には、明確な相場というものは存在しません。
通常の企業であれば、過去の業績や将来のキャッシュフロー予測に基づいて評価が行われますが、赤字会社の場合、これらの基準が当てはまらないことが多いためです。
そのため、赤字会社の価値は、買い手がどれだけその会社に将来のポテンシャルを見出すか、またはどれだけリスクを取れるかに大きく依存します。
結果として、同じ赤字会社でも、買い手によって評価額が大きく異なることがあります。
評価してもらえるポイント
赤字会社でも評価されるポイントは存在します。
特に以下の要素が買い手にとって重要視されることが多いです。
保有する資産・設備
赤字会社が持つ資産や設備は、企業価値を評価する際に大きな要素となります。
これらの資産が有効活用されていない場合でも、買い手がそれらを活用できると判断すれば評価が高まる可能性があります。
特に、不動産や生産設備・知的財産権などは、赤字であっても大きな価値を持つことがあります。
事業の将来性
赤字であっても、将来的に収益性が見込まれる事業を展開している場合、その将来性が評価されることがあります。
例えば、新規市場への進出や革新的な技術の開発など、成長の余地が大きいと判断されれば買い手にとって魅力的な投資先となり得ます。
この場合、赤字は一時的なものと捉えられ、将来的な利益が期待されることになります。
人材や技術
赤字会社が優れた人材や技術を保有している場合、それもまた評価される要因となります。
特に、専門性の高い技術や業界内での知名度が高い人材は、他の企業にとって貴重な資産と見なされます。
これにより、赤字であっても、その人材や技術を活かすことで企業価値を高められると判断されることがあります。
赤字の会社を売却する際のポイント
赤字の会社を売却する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
これらのポイントを理解し、適切に対処することで、売却を成功に導くことができます。
以下では、赤字会社の売却において特に重要なポイントについて解説します。
赤字の要因を明確にしておく
まず、赤字の要因を明確にしておくことが重要です。
買い手にとって、なぜその会社が赤字に陥ったのかを理解することは、将来的なリスクを評価するうえで不可欠です。
赤字の原因が一時的なものであったり、外部環境の影響によるものであれば、その説明をしっかりと行うことで、買い手の不安を軽減することができます。
また、赤字を克服するために行った施策や現状の改善点についても具体的に伝えることが求められます。
高い価値になりづらいことを理解する
赤字の会社を売却する際には、期待するような高い価値での売却が難しいことを理解しておく必要があります。
赤字であること自体が会社の評価を低くする要因となるため、売却価格もそれに応じて低くなることが一般的です。
このため、現実的な価格設定を行い、売却を進めることが重要です。
M&Aの専門家に相談する
赤字会社の売却は、通常のM&Aよりも複雑であり、専門的な知識と経験が必要となる場合が多いです。
そのため、M&Aの専門家に相談することが強く推奨されます。
専門家は、赤字会社の特性を理解し、適切な買い手を見つけるための戦略を立てることができます。
また、交渉や契約のプロセスにおいても、専門家のサポートを受けることでリスクを最小限に抑えながら売却を進めることができます。
これにより、売却の成功確率を高めることができるでしょう。
なぜ赤字企業であっても売却できるのか
赤字である会社が売却できる理由には、いくつかの理由があります。
単に経営がうまくいっていないからといって、すべての買い手が敬遠するわけではありません。
むしろ、特定の条件や戦略が整えば、赤字の会社でも魅力的な投資先となることがあります。
以下に、赤字の会社が売却できる理由を解説します。
人材の獲得をしたい買い手がいる
赤字会社であっても、優秀な人材を多く抱えている場合、その人材を目当てに買収を検討する企業があります。
特に、専門的な技術や知識を持った人材が集まっている場合、買い手にとってはその人材を獲得することが最大の目的となることもあります。
こうしたケースでは、会社の業績よりも人材そのものの価値が重視されるため、赤字であっても売却が成立する可能性があります。
売却する事業とのシナジー効果を見込んでくれる買い手がいる
赤字会社の事業内容が、買い手の既存事業と補完関係にある場合、シナジー効果を期待して買収が行われることがあります。
例えば、買い手が持つ製品やサービスと、赤字会社の技術や市場が組み合わさることで、より強力なビジネスモデルを構築できる場合があります。
このシナジー効果によって、赤字であった事業が収益を生み出す可能性が高まり、買い手にとって魅力的な投資対象となるのです。
事業の立て直しを得意としている買い手がいる
赤字会社を買収して事業を再建することに長けた企業も存在します。
こうした企業は、経営改善のノウハウを持ち、赤字会社を買収後に短期間で利益を出せると判断した場合、積極的に買収を行います。
この場合、赤字であっても、立て直しによって将来的に高い収益を見込めると考えられるため、買い手にとっては魅力的な案件となり得ます。
このように、経営改善を狙う買い手にとっては、赤字会社も有望な投資対象となるのです。
赤字企業の売却する際のおすすめのM&A専門家
赤字企業を売却する際には、専門的な知識と経験を持つM&A専門家のサポートが不可欠です。
特に赤字企業の売却は通常のM&Aよりも複雑な要素が絡むため、適切な専門家を選ぶことが成功の鍵となります。
以下に、赤字企業の売却におすすめのM&A専門家について解説します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、双方のニーズを調整しながら取引を進める役割を果たします。
赤字企業の売却では、企業価値の評価や買い手候補の選定が難しいため、M&A仲介会社の経験とネットワークが非常に重要です。
特に、赤字企業の売却実績が豊富な仲介会社であれば、適切なアドバイスやサポートを提供してくれるでしょう。
また、仲介会社は取引全体を通じて交渉や契約のサポートを行い、売却プロセスをスムーズに進めることができます。
M&Aプラットフォーム
M&Aプラットフォームは、オンライン上で売り手と買い手をマッチングするサービスです。
赤字企業の売却では、幅広い買い手候補にアプローチできるM&Aプラットフォームが有効な手段となります。
プラットフォームを利用することで、複数の買い手からのオファーを比較し、最適な取引先を見つけることができます。
また、プラットフォーム上では、買い手が自ら企業価値を評価するケースが多いため、赤字であっても買い手の視点から魅力的に映るポイントをアピールしやすくなります。
ただし、プラットフォームを利用する際には、売却のサポートが少ない場合もあるため必要に応じて他の専門家と併用することを検討するのが良いでしょう。
赤字企業の会社売却のまとめ
赤字企業でも、事業の将来性や人材、資産の価値を見込んで売却が可能です。
事業継続や債務整理、従業員の雇用維持といったメリットがある一方で、低評価や従業員の不安といったデメリットも考慮が必要です。
M&A仲介会社やプラットフォームの活用が成功の鍵となります。
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長。
大手ソフトウェアベンダー、M&Aナビの前身となるM&A仲介会社を経て2021年2月より現職。後継者不在による黒字廃業ゼロを目指し、全国の金融機関 を中心にM&A支援機関と提携しながら後継者不在問題の解決に取り組む。著書に『中小企業向け 会社を守る事業承継(アルク)』
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